アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第三十五話 良いフラグなら大歓迎

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーーお兄さん、もうちょっと上デス」

「これくらい?」

「もうちょっと上デス」

「こう?」

「そうデス! 他の牛さんも同じように吊るしておいてくだサイ」

「了解了解」


 〈錬金鎧〉の謎金属を使って作った吊るし棒へと、倒したばかりのクリムゾンブルを次々と吊り上げていく。
 かなりの重さと図体なので、本来ならば超人化していても吊り上げるのは大変だが、謎金属製の吊るし棒を操作して直接クリムゾンブルの脚を掴むので関係ない。
 地面に刺した吊るし棒から伸びる金属触手で吊り上げたクリムゾンブルの死体。
 その死体の真下に謎金属製スコップで深い穴を掘ってから、頭部を両断して血抜きを行う。
 一連の作業を全てのクリムゾンブルの死体に行なっていく間に、ソフィアが謎金属製解体包丁で吊られるクリムゾンブル達を素早く解体していく。


「やっぱりお兄さんの刃物は斬れ味抜群デス」

「今さらだが、コレって既存の金属じゃないよな」

「お兄さん自身、謎金属って呼んでますものネ」

「そうとしか言いようがないからなぁ」


 ソフィアが切り分けたクリムゾンブルの肉を受け取ると、持参した大型ラップで梱包してからクーラーボックスに入れる。
 クーラーボックスがいっぱいになったら冷凍トラックの冷凍室へと運ぶ。
 手袋にエプロン、マスクとフル装備のソフィアに解体を任せて俺は力仕事に従事し続ける。
 幸いにも解体作業中に他のモンスターがやってくることはなく、初エンカウントした全てのクリムゾンブルの解体を終えた。


「少し勿体ないデスネ」

「精肉の素人だからな。主な可食部位だけになるのは仕方ないだろう。それに、これだけでもかなりの量だ」


 切り分けたのは、肩ロースやサーロインに、ヒレ、バラ、ランプ、モモなどといった解体しやすい部位の肉のみだ。
 頭部と内臓系には手を出しておらず、そのまま血抜き用に掘った穴の中に捨てた。
 専門家なら事細かくやれたんだろうが、グルメ番組でグルメがやっていたレベルの解体はできない。
 

「フゥ。それにしても結構時間が掛かりましたネ」

「一体一体がデカいし、数も十体以上いたからな」

「あと二時間ぐらい余裕がありますケド、どうしマス?」

「んー、冷凍室に余裕はあるし、もう少し積みたいな」

「クリムゾンブルは捌きましたし、あとはミノタウルスですカ。食べれるか分かりませんケド」

「出来ればそうしたいが、見当たらないんだよな……」

「クリムゾンブルと一緒に行動してるって話でしたケド、この群れにはいなかったですネ」

「クリムゾンブルの肉を得るには都合が良かったけどな」

「そうデスネ。このまま現れないでいてくれたらーー」

「ブモォオオオオーーーーッ!!」


 突如として遠くから聞こえてくるモンスターらしき雄叫び。
 聞こえてきた方角に顔を向けると、四体の牛頭人身のモンスターであるミノタウルスと、他の四体よりも一回り大きい肉体の一体の黒いミノタウルスがいた。


「……ほら、ソフィアがフラグを立てるから」

「お、お兄さんも倒したいって言ってましたから同罪デス!」

「まぁ、そうなんだが。さて、戦いに巻き込むわけにはいかないから、トラックから離れるぞ」

「了解デス!」


 ソフィアがエプロンなどを脱いでいる間に解体作業に使った謎金属を回収・同化していく。
 次に、冷凍トラックの車体に謎金属を使ってくっつけておいた自作グレイヴを手に取り、車内に置いていた間食の肉串を適当に持ってきた。
 

「準備はいいか?」

「万全デス」

「ほい。駄目押しのカロリー補充。食べながら移動するぞ」


 モグモグと咀嚼しながら頷くソフィアを連れて移動する。
 残りの肉串を手早く食べながら視線を動かすと、遠くから此方に向かって駆けてくるミノタウルス達の姿があった。
 俺達に向かってくるのは狙い通りだが、中々に迫力があるな。
 五体のミノタウルス達はどの個体も巨大な両刃斧を持っており、俺達でもマトモに直撃したら真っ二つにされそうだ。
 特に黒ミノタウルスの両刃斧は雷を纏っているように見える。
 黒ミノタウルスの能力だろうか?


「戦力バランス的には俺の相手は黒ミノタウルスか?」

「そうデスネ。でも、私一人で四体はちょっと不安デス」

「だよな……なら、初撃で数を減らすかダメージを与えるか何なりしとくか」


 戦場に良さそうな平地に到着すると、足元の地面へと謎金属を這わせて下準備を行なった。
 これで数を減らせたら万々歳だが、どうなるかな?



 
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