35 / 76
第一章
第三十五話 良いフラグなら大歓迎
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
「ーーお兄さん、もうちょっと上デス」
「これくらい?」
「もうちょっと上デス」
「こう?」
「そうデス! 他の牛さんも同じように吊るしておいてくだサイ」
「了解了解」
〈錬金鎧〉の謎金属を使って作った吊るし棒へと、倒したばかりのクリムゾンブルを次々と吊り上げていく。
かなりの重さと図体なので、本来ならば超人化していても吊り上げるのは大変だが、謎金属製の吊るし棒を操作して直接クリムゾンブルの脚を掴むので関係ない。
地面に刺した吊るし棒から伸びる金属触手で吊り上げたクリムゾンブルの死体。
その死体の真下に謎金属製スコップで深い穴を掘ってから、頭部を両断して血抜きを行う。
一連の作業を全てのクリムゾンブルの死体に行なっていく間に、ソフィアが謎金属製解体包丁で吊られるクリムゾンブル達を素早く解体していく。
「やっぱりお兄さんの刃物は斬れ味抜群デス」
「今さらだが、コレって既存の金属じゃないよな」
「お兄さん自身、謎金属って呼んでますものネ」
「そうとしか言いようがないからなぁ」
ソフィアが切り分けたクリムゾンブルの肉を受け取ると、持参した大型ラップで梱包してからクーラーボックスに入れる。
クーラーボックスがいっぱいになったら冷凍トラックの冷凍室へと運ぶ。
手袋にエプロン、マスクとフル装備のソフィアに解体を任せて俺は力仕事に従事し続ける。
幸いにも解体作業中に他のモンスターがやってくることはなく、初エンカウントした全てのクリムゾンブルの解体を終えた。
「少し勿体ないデスネ」
「精肉の素人だからな。主な可食部位だけになるのは仕方ないだろう。それに、これだけでもかなりの量だ」
切り分けたのは、肩ロースやサーロインに、ヒレ、バラ、ランプ、モモなどといった解体しやすい部位の肉のみだ。
頭部と内臓系には手を出しておらず、そのまま血抜き用に掘った穴の中に捨てた。
専門家なら事細かくやれたんだろうが、グルメ番組でグルメがやっていたレベルの解体はできない。
「フゥ。それにしても結構時間が掛かりましたネ」
「一体一体がデカいし、数も十体以上いたからな」
「あと二時間ぐらい余裕がありますケド、どうしマス?」
「んー、冷凍室に余裕はあるし、もう少し積みたいな」
「クリムゾンブルは捌きましたし、あとはミノタウルスですカ。食べれるか分かりませんケド」
「出来ればそうしたいが、見当たらないんだよな……」
「クリムゾンブルと一緒に行動してるって話でしたケド、この群れにはいなかったですネ」
「クリムゾンブルの肉を得るには都合が良かったけどな」
「そうデスネ。このまま現れないでいてくれたらーー」
「ブモォオオオオーーーーッ!!」
突如として遠くから聞こえてくるモンスターらしき雄叫び。
聞こえてきた方角に顔を向けると、四体の牛頭人身のモンスターであるミノタウルスと、他の四体よりも一回り大きい肉体の一体の黒いミノタウルスがいた。
「……ほら、ソフィアがフラグを立てるから」
「お、お兄さんも倒したいって言ってましたから同罪デス!」
「まぁ、そうなんだが。さて、戦いに巻き込むわけにはいかないから、トラックから離れるぞ」
「了解デス!」
ソフィアがエプロンなどを脱いでいる間に解体作業に使った謎金属を回収・同化していく。
次に、冷凍トラックの車体に謎金属を使ってくっつけておいた自作グレイヴを手に取り、車内に置いていた間食の肉串を適当に持ってきた。
「準備はいいか?」
「万全デス」
「ほい。駄目押しのカロリー補充。食べながら移動するぞ」
モグモグと咀嚼しながら頷くソフィアを連れて移動する。
残りの肉串を手早く食べながら視線を動かすと、遠くから此方に向かって駆けてくるミノタウルス達の姿があった。
俺達に向かってくるのは狙い通りだが、中々に迫力があるな。
五体のミノタウルス達はどの個体も巨大な両刃斧を持っており、俺達でもマトモに直撃したら真っ二つにされそうだ。
特に黒ミノタウルスの両刃斧は雷を纏っているように見える。
黒ミノタウルスの能力だろうか?
「戦力バランス的には俺の相手は黒ミノタウルスか?」
「そうデスネ。でも、私一人で四体はちょっと不安デス」
「だよな……なら、初撃で数を減らすかダメージを与えるか何なりしとくか」
戦場に良さそうな平地に到着すると、足元の地面へと謎金属を這わせて下準備を行なった。
これで数を減らせたら万々歳だが、どうなるかな?
24
あなたにおすすめの小説
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる