43 / 76
第一章
第四十三話 時には勢いも大事
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
「ーー片方は鎧騎士タイプで、もう片方は……たぶん魔法使いタイプってところか」
少し離れた場所で車を降りてから近付くと、そこには気配探知で索敵した通りの二体のボスらしきモンスターがいた。
こちらを待っていたのか、ボスモンスター達がいた公園内には他のモンスターの姿が見当たらない。
一体は、デュラハンとは違って頭部があり、馬にも乗っていないが、妖しい雰囲気を漂わせる長剣を持つ重装鎧騎士姿のモンスターだ。
そしてもう一体は、豪奢な飾りの金色の杖と王冠に加えて、ザ・魔法使いなローブを纏った骨と皮だけのゾンビ?みたいな姿のモンスターだった。
「どっちがいい?」
「お兄さんの話によれば、モンスターが持つアイテムがアーティファクト化するんですよネ?」
「ネット上ではそれ以外もあったけど、少なくともヤルングレイプはそうだったな」
「元の形から変化するみたいですケド、近いタイプの方がいい気がしますカラ、私はあの騎士がいいデス」
「見るからに硬そうだぞ?」
「なんとかしマス」
「分かった。じゃあ、俺はあの魔法使い……適当に〈リッチ〉とでも呼ぶか。騎士は〈デスナイト〉ってところか」
二体に近付いていくと、デスナイトがリッチを守るように立ちはだかった。
すると、デスナイトの背後でリッチが何かを呟き出した。
数秒ほど理解できない言語を呟くと、リッチとデスナイトの周りの地面から大量のスケルトン達が現れた。
ただのスケルトンではなく、骸骨戦士と評するのが相応しい装いをしており、剣や槍、盾には使い込まれた感のある一種の凄みが感じられる。
「……ネクロマンサーってか?」
〈錬金鎧〉で全身を金属鎧化し、背負ったグレイヴを引き抜くと、剣刃に〈双炎掌〉の蒼紫色の炎を纏わせた。
更に、それら全てに〈黒化〉を発動させたことで、黒い全身鎧に剣刃に黒い炎を纏う黒いグレイヴという黒だらけな姿になった。
「お兄さんの方がアンデッド達よりも地獄の死者みたいな姿デス」
「カッコいいだろ?」
「確かにカッコいいデス」
最後にヤルングレイプが発する銀雷にも〈黒化〉を使い、黒雷もグレイヴの剣刃に纏わせた。
なお、グレイヴに使っている謎金属の電気抵抗は下げてあるので、黒雷は弾かれることなく剣刃に纏えている。
全ての準備を整えると、片手にグレイヴを持ったままクラウチングスタートの体勢をとった。
「先に行くから、少し離れてから後に続いてくれ。巻き込まれるからな」
「分かりマシタ」
此方の準備が終わったタイミングで、ちょうどリッチが全ての骸骨戦士を召喚?し終わった。
まるで壁が迫ってくるように走ってくる数十体の骸骨戦士達。
その壁が動き出したと同時に、リッチに向かって駆け出した。
「〈強蹴〉〈突進〉」
デカウサギとミノタウルスから手に入れた能力を同時発動させることで、爆発的な速度の初速を得て疾走する。
骸骨戦士達に接触する瞬間、〈怪力〉で黒グレイヴを横薙ぎに振るう。
黒炎と黒雷が付加された〈衝撃刃〉が骸骨戦士達を一掃する。
〈衝撃刃〉が直撃しなかった残りの骸骨戦士達にも黒炎と黒雷が広がっていき、少なくないダメージを与えていった。
炎と雷のダメージで動きが大きく鈍った骸骨戦士達へとそのまま突撃し、ボウリングのピンのように弾き飛ばしながら前進していく。
そんな俺から少し離れてから続くソフィアが、俺が放った黒い炎と雷へと風を送り込み更に大きく育てると、そのまま螺旋状の暴風の中へと取り込んだ。
あっという間に炎と雷を内包した竜巻のドリルを作り出すと、残っていた骸骨戦士達へと竜巻ドリルを振り下ろす。
そこで視線を後方から前方へと戻し、再びグレイヴを振るった。
先ほどと同じ攻撃だが、一撃目とは違って、解き放った炎と雷の壁の向こう側からデスナイトが剣を振り上げながら飛び込んできた。
「飛び込み乗車はお断りしております」
〈強蹴〉を発動させて地面を再度強く蹴って急な方向転換でデスナイトの攻撃を回避する。
そのままデスナイトの横を通り抜けると、後方でソフィアがデスナイトへと竜巻ドリルを放った気配がした。
ボスモンスターなだけあって、あのデスナイトはデュラハンよりも強い気配を発しているが、まぁソフィアなら何とかするだろう。
「っ! はははっ、心でも読めるのかな?」
リッチが追加で十体以上のデュラハンを召喚しようとしているのが見えて思わず笑いが出てしまった。
流石に多勢に無勢だが、そういうことなら此方も追加の手札を切るとしよう。
オーバーキルな気もするし、コレを使うと最高にハイな気分になってしまうのが欠点なのだが、力試しにはちょうど良い相手なのは間違いないので使うことにした。
「〈闘牛本能〉ッ!!」
ボスモンスターである黒ミノタウルスから手に入れた、全ての身体能力を爆発的に上げる時間制限付きの能力を発動させると、更に勢いを増した突進力を持ってリッチ率いるデュラハンの集団へと突撃していった。
12
あなたにおすすめの小説
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる