アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第二章

第六十話 発展の裏には偶然と必然が存在する

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーーこれで最後か」

「だと思いマス」

「よし。さっさと離れよう」


 蔓に捕まっていた味方の超人の最後の一人を担ぐと、木の根の集合体みたいな柱から急いで離れる。
 ソフィアに援護してもらいながら離れている途中で、この空間までの往路に使った通路の入り口にいるシオンに声を掛けた。


「シオン! まだイケるか?」

「大丈夫よ!」

「じゃあ投げるぞ!」


 担いでいた超人をシオンに向かって投げた。
 シオンがその超人へと手を翳すと飛翔スピードが徐々に落ちていき、やがてシオンの手前の空中で停止した。
 シオンの〈重力操作〉の能力を使った応用らしいが、詳しい理屈は分からない。
 彼女自身も感覚で使っているそうなので説明を求めても無意味だろう。
 シオンの周りの空中には救出した味方の超人達が浮かんでいる。
 あの人数を三人でどうやって運ぶか考えずに救出のために突入したが、シオンが一人で救出した超人達を連れて行ってくれて助かった。
 そこからは俺とソフィアで蔓から味方を掬い出し、その味方をシオンのいるところへと投げるを繰り返して今に至る。


「追ってきてるな」

「いっぱいウネってて気持ち悪いデス」

「確かになッ!」


 迫る蔓と根の群れに向かってヤルングレイプを装着した手を翳すと、〈放電〉を最大出力で放出する。
 マジックアイテムのテスター業務によって、自らの体内魔力を認識して操る能力である〈魔力操作〉を取得して以降、アーティファクトであるヤルングレイプの能力の細かい出力調整が可能になった。
 能力ごとに出力の上限下限が決まっているものの、以前と違って痒いところに手が届くようになっているため大変便利だ。

 空間を埋め尽くさんばかりに放出された大量の銀色の電撃が、大樹モンスターの一部である蔓や根を焼き尽くしていく。
 眩しすぎて状況が分からないが、たぶん根の柱も消し炭になったはずだ。


「さて、どうなったか、な……木の根の壁か?」


 放電を止めると、そこには地面から突き出ている大量の根によって形成された壁に守られている柱の姿があった。
 壁の手前には消し炭になった壁の一部が見えるので、おそらく次々と壁を形成し続けて〈放電〉を防ぎ切ったのだろう。


「なるほどね。じゃあ、コレはどうだ?」


 ヤルングレイプの〈雷光〉を発動させて掌からレーザーのような銀雷を放った。
 貫通力と火力に秀でた〈雷光〉は根の壁を容易く突き破り、壁の向こうに隠れている根の柱に大穴を空けた。
 植物系のモンスターに痛覚があるかは不明だが、流石にこの大ダメージを無視することは出来なかったようで、空間内にある残りの蔦と根が四方の壁を無差別に破壊しだした。


「ちょ、お兄さん! 敵がメチャクチャ暴れてるんですケドッ!?」

「不可抗力、不可抗力」

「下手したら天井が崩れそうね。マイン、連射して柱を焼き切ってみて。もしかすると切り倒せば止まるかもしれないわ」

「なるほど。やってみよう」


 暴れていることで根の壁が無くなっており、標的である根の柱がよく見える。
 そこには、先ほどの〈雷光〉によって焼失した場所を再生させている最中の柱の姿があった。
 柱が再生する代わりに、周りにぶら下がっていた地下茎みたいな瘤が小さくなっているため、どうやらあの瘤にはダメージの回復に使えるエネルギー、または魔力のようなモノが保管されているらしい。

 それなりに再生速度が速かったので、再生が間に合わない勢いでダメージを与えたほうが良さそうだ。
 試しに〈雷光〉を放ち続けたまま砲塔である手を左右に動かしてみた。
 パッと見は銀色のビームなサーベルとか、ライトなセーバーとかに見えるであろう銀色のレーザー剣ーー〈雷光剣〉ってところかーーは.狙い通り柱を焼き切っていった。
 柱の上部を両断した後、念のためそのまま下部も同じように焼き切って処理しておいた。

 ふとした思い付きでやってみたが、中々強力かつ便利そうな使い方だ。
 以前戦った怪物トカゲのような巨大モンスターが相手なら重宝しそうだが、威力相応にかなりの勢いで魔力を消費していた。


「うーん、カッコいいけど乱用は出来ないか……残念だ」


 気を取り直して、人質救出時に何かに使えるかもしれないと、足裏から地面に埋め込んでおいた〈神秘金属メルクリウス〉を遠隔操作し、倒れた柱から伸びる枝に付いている全ての瘤を切り離していく。
 地面から突き出てきた剣刃形態のメルクリウスで全ての瘤を切り離したのを確認すると、それらのメルクリウスに〈使役〉を発動させて銀色の金属製大蛇へと変化させた。
 銀色の金属製の大蛇達が自動で動き、全ての瘤を自分達の背に乗せて運んでくるのを眺めていると、ソフィアが話しかけてきた。


「えっと、お兄さん。アレってなんですカ?」

「メルクリウス」

「いえ、それは分かるんですケド……」

「あんなこともできたのね、ってこと?」

「そう、それデス!」


 ソフィアが言いたいことを横からシオンが代弁してきた。
 そういえば見せたことがなかったな。


「〈使役〉と〈錬金竜〉を組み合わせれば金属製の擬似モンスターみたいのが作れそうだなぁ、と思ったらできたんだよ。ここまで使いどころが無かったから見せてなかったけどな」

「……使いどころはいくらでもあると思うけど」

「そうか?」


 今みたいな荷運びとかかな?
 確かに便利そうではある。
 メルクリウス製の金属大蛇達が運んできた木の瘤を〈空間保環レア〉の〈亜空間保管庫〉に収納していく。


「ところで、なんでそれを回収したの?」

「これを消費して根の柱がダメージを回復していたんだよ。だから、この瘤の中身のエネルギーやら液体やらを研究すれば、人間用の回復薬とかを作れるんじゃないかな、って思ってな」

「へぇ、確かにそれはいいわね……研究所のスタッフの疲労度は更に高まるでしょうけど」

「治験を自分達ですれば一石二鳥だろうな」


 全ての瘤の収納を終えると、瘤の代わりに未だに気絶したままの味方の超人達をメルクリウス製大蛇達の上に乗せ、一度仕切り直すために屋外へ向かって来た道を戻っていった。



 
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