アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第二章

第六十四話 探し物はふと見つかる時もある

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 ◆◇◆◇◆◇


 昼食を摂るために向かった外食先のテーブルの一つに見覚えのあるヨレヨレの白衣姿があった。


「真田さん?」

「あっ、仕事生産鬼さんじゃないですか。美女達と一緒に昼食とは羨ましいですね」

「色々と酷い言い草ですね……」


 研究所の主任研究員の真田が何かのモンスター肉の生姜焼きを食べていた。
 大樹モンスターの各種素材を持ち込んで以来なので数日ぶりか。
 その時に、俺は新たな仕事を持ち込んでくる鬼みたいな人だから〈仕事生産鬼〉と研究所の者達から密かに呼ばれていることを知った。


「研究所の方々には皆がお世話になっていますからね。そんなに新たな仕事を熱望されるのでしたら、また何かを探しに外に行ってきましょう」

「い、いえいえっ。せ、せせ、先日の樹木タイプのモンスター戦でお疲れでしょうから、ゆっくり、そう。ゆっくり休んでくださいッ!」


 食事を摂ったことで普段より良くなっていた真田の顔色が再び悪くなっている。
 そんな真田に更なる言葉を掛けようとするとシオンから襟首を掴まれた。


「お食事中のところすいません、真田主任研究員。マインの動向は私の方で管理しています。ですので、無闇矢鱈に研究所の仕事が増えることはありませんのでご安心ください」

「あ、いえいえ。というよりも、そもそもこれ以上仕事を増やさないでーー」

「それでは失礼します」


 真田からの返事を途中で打ち切ったシオンに強制連行されつつ、スルーされて固まっている真田に手を振る。


「二人とも鬼畜デス……」


 当事者の一人である俺が言うのもなんだが、ソフィアの言う通りだと思う。
 シオンに襟首から手を離してもらって自分の足で少し歩くと、カウンターに少し並んでから超人向け豪華欲張りセットとやらを注文した。
 三人とも同じものを頼んでから注文番号が書かれた板を持って適当な席に座った。


「結構繁盛しているんだな?」

「外食できるところは少ないからね。普段は配食される分しか食べていない人や自炊している人だって偶には贅沢はしたいでしょう」

「まぁ、確かにな」

「どの料理にも写真がなかったから知らないんですケド、そんなに贅沢な料理が多いんですカ?」

「注文した料理に使われているモンスター肉は、配食に使われているウサギ系とかのモンスターよりも数段強いモンスターの肉だから高いの。料理人の腕が良いのもあって値段以上の味だそうよ」

「ナルホド。それは楽しみデス!」


 ウサギ系モンスターことデカウサギは、弱いのにデカいから可食部位が多く、その個体数も多い。
 おそらくは何処かに定期的にデカウサギを掃き出している黄色ゲートがあると言われているが、今なお発見には至っていない。
 黄色ゲートが定期的にモンスターを掃き出す際は、下位のモンスターとその上位種にあたるモンスターを放出することが確認されている。
 下位にあたるのがデカウサギだとすると、上位種も放出されているはずだが上位種の発見情報もない。
 デカウサギの上位種といったら一度戦ったことのある黒デカウサギが思い浮かぶが、あの一戦以外では遭遇したことはないので、黒デカウサギは特殊個体のようなモンスターだったのだろうか?

 仮に黒デカウサギが上位種でないなら、未だにデカウサギの上位種とボスモンスターが不明ということになる。
 その黄色ゲートの出現位置を把握し、ボスモンスター共々管理下におければ食料問題が一気に解決することができるため、新都エリアの者達にとってデカウサギの黄色ゲートの発見は死活問題でもあった。
 まぁ、あくまでもデカウサギの黄色ゲートがあると仮定した話だけど。
 今は新都エリアの超人部隊が依頼を受けてモンスターを狩ってモンスター肉を調達したりしているが、ただでさえ少ない戦闘ができる人材が食料調達へと割かれてしまっている。
 戦闘員不足も解決するという意味でも死活問題と言えるかもな。


「何か考えごと?」

「ん? いや、デカウサギのゲートは何処にあるんだろうな、と思ってな」

「ああ、その話ね。毎度同じ場所に出現するとはいえ、モンスター放出のタイミングじゃないと見つけられないもの。こればかりは運よね」

「お肉も良いですケド、お野菜も食べたいですネ」

「頼んだメニューに新都で育ててる野菜がちょっとだけあるわよ」

「本当ですカ?」


 へぇ、新都で野菜を育てていたんだな。
 土地はあるから何処かを畑にでもしたのだろうか?


「お待たせしました。超人向け豪華欲張りセット三人前です!」


 雑談に興じていると頼んでいた料理を店員が持ってきた。
 店員に聞いたところによると、日ごとに手に入るモンスター肉によって内容も変わるらしく、今日はミノタウルス肉と貴重な新米を使ったステーキ丼とキャベツの千切りサラダ、味噌汁に漬け物、あとはミニロックとか名付けられた鳥系モンスターの唐揚げだった。
 確かに今のご時世ではかなりのご馳走だな。
 焼き加減や揚げ方が絶妙だが、個人的にはステーキ丼に使われている特製ソースがお気に入りだ。
 

「流石はプロだな。俺達が作るのよりも美味い」

「とても美味しかったデスネ」

「本当にね。ステーキ肉もあんなに柔らかくなるとは思わなかったわ」


 デザートに頼んだカキ氷を食べながら感想を言っていると、シオンが持っている端末の通知音が鳴り響いてきた。
 この通知音は緊急招集だったかな?


「あら、何かしら……マイン」

「どうした?」

「タイムリーな話題よ。ほら」


 シオンが見せてきた端末の画面を隣に座るソフィアと共に確認する。
 そこには、デカウサギのものと思われる黄色ゲートが発見されたと表記されていた。
 確保すれば食料問題の解決に繋がるという、緊急性の高い内容なので俺の部隊にも連絡が来たようだ。
 〈神秘金属メルクリウス〉などの金属によるゲートの隔離あたりが招集目的かな?


「……本当にタイムリーな内容ですネ」

「本当にな」


 大樹モンスターの件で緊急招集を受けてから一週間以内にまた招集を受けるとは……。
 まぁ、今は特にやる事がなくてゴロゴロしているだけだったし、暇潰しにはなりそうだな。


 
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