アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第二章

第六十五話 犯人は現場に戻ってくるかもしれない

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 ◆◇◆◇◆◇


 緊急招集を受けた後、黄色ゲートが見つかったという現場に駆け付けると、そこには幾多もの蔓に捕まっているデカウサギ達の姿があった。


「既視感があるな」

「デジャヴデス」

「彼女の能力よ」


 シオンが指し示す先では、身体を震わせながら両腕を前に突き出している女性がいた。
 彼女の両腕の手首から先は人間の手ではなく、大量の植物の蔓が生えている。
 おそらくだが、俺の〈錬金竜〉の全身金属竜鎧化と同じく肉体置換系の能力か異能なのだろう。


「この間の大樹モンスターとの戦いに後衛として参加していた人よ。あの一戦の後にこの異能が発現したの」

「あー、見覚えのあるような、ないような……」

「あっ、これはお兄さん絶対覚えていまセンネ」

「そんなことはないぞ」


 ソフィアの言う通り全く覚えてはいないが、そのことを認めるのはなんだか負けた気がするので話題を変えるとしよう。


「んで、アレがデカウサギ達の黄色ゲートか?」

「まさか建物の中に出現していたとはね」

「見つからないのも当然ですネ」


 黄色ゲートがあったのは元はショッピングモールらしき商業施設の廃墟の中だった。
 イベントなどで使われていたと思われる広場の中央の空間に、黄色い光を放つ亀裂が出現している。
 既に排出を終えたのか、デカウサギ達が新たに飛び出してくる様子はない。


「今捕まってるのが今回出現した分か?」

「その一部みたいよ。ちょうど廃墟内部から大量のウサギ系モンスター達が出てきたところに遭遇したそうだから、ここで捕まっている分は最後尾だと思うわ」

「ふーん」

「いや、あの、ふーん、じゃなくて、早く、代わってくれ、ませんか?」


 なんか途切れ途切れの言葉が聞こえてきた方に顔を向けると、そこには此方を恨めしそうに見ている顔色の悪い植物女がいた。


「言っておくけど彼女はマインに言ってるのよ」

「お兄さんですからネ?」

「……分かってるとも。捕まえるだけだったよな?」

「ええ。まだ超人化に至っていない人達用に生きたまま拘束してちょうだい」

「りょーかい」


 植物女の蔓に捕まっているデカウサギ達の元に近寄ると、口元まで蔓に覆われているモンスター達が身動ぎする。
 たぶん威嚇をしようとしているのだと思うが、この程度の拘束すら抜け出せないような相手の威嚇など、仮に拘束無しで相対しても微塵も怖くはないだろうな。
 足元から〈神秘金属メルクリウス〉を生成し、この広場一帯の地面を覆うように這わせていく。
 モンスター達の足元まで這わせると、そのままモンスター達の身体へと纏わり付かせていった。
 ものの数秒で銀色の金属質の輝きを放つモンスターの彫像が多数完成した。


「デカウサギも上位種っぽいウサギも拘束は完了っと。あとはボスモンスターか……」

「ボスモンスターらしいのはいなかったのよね?」

「はぁ、はぁ、は、はい。此処から出てきた中にはいませんでした」


 まぁ、ボスモンスターはたぶん初出現時に掃き出されたはずだから、今回の放流分にはいないだろうよ。


「でも、お兄さん。黒ミノタウルスはゲートの近くにいましたヨ?」

「……そういやそうだな。シオン」

「今探してるわ。索敵能力持ちは全員周囲にボスモンスターらしき個体がいないか探してちょうだい」


 ソフィアの指摘を受けてシオンが〈魔眼〉の多数ある能力の一つである索敵能力を発動させた。
 上層部から現場リーダーを任されたシオンーー正確にはリーダーはAランク超人の俺だが面倒だから委任したーーからの指示を受け、俺達以外の超人達も周囲の索敵を開始した。


「……そんなに都合良くいるわけがないか」

「それもそうですよネ……お兄さん、端末が鳴ってますヨ」

「ホントだ。シオンからだ、っていつの間にかいないし」


 モンスターがいる野外に出ているためマナーモードにしていた端末の画面には、ついさっきまで近くにいたシオンの名前が表示されていた。
 おそらく索敵能力以外にも遠視能力でも探すために屋外に出ているのだろう。


「はい、もしもし」

『南の報告に鎌みたいのを持った二足歩行のウサギがいるわ。たぶんボスモンスターだから捕まえてきて』

「俺が?」

『マインが。速く走る能力があるでしょう?ここからナビゲートするわ。絶対に殺しちゃダメよ?』


 どうやら決定事項らしい。
 適材適所ではあるが、人材不足の皺寄せが俺に結構な割合できている気がするので、早く他の超人達には育って欲しいものだ。



 
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