アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第二章

第七十二話 偶には自分自身を褒めてあげよう

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーーグォオオオオッ!!」

「うるさっ」

「グボラッ!?」


 扉を突き破って襲い掛かってきた虎頭男を裏拳で撃退する。
 虎頭男が出てきた部屋を覗き込むと、どうやら食事中だったようでナニカの肉や骨が散乱していた。


「グッ、やるじゃねぇか」

「なんだ、まだ生きてるのか。その見た目は伊達じゃないんだな」


 〈暗龍治焼武琉アンタッチャブル〉の拠点の中央に聳え立つ建造物は、敢えて例えるならば違法増築を繰り返したビル、またはマンションだった。
 外観的にはタワーとでも言うべき建造物内ではアンタッチャブルの超人達が待ち受けており、一撃では倒れなかった目の前の虎頭男もその一人だ。


「クックックッ。不意打ちで俺をやれなかったことを後悔するんだな」

「いや、不意打ちしたのはオマエなんだが」

「行くゼぇッ!!」


 虎っぽい両手の爪を伸ばして虎頭男が斬りかかってくる。
 金属を引っ掻く不快音がした直後、何かが折れた音がした。


「……へっ?」

「だから聞けよ」


 今度は力を込めてから頭部を殴りつけると、返事を聞く前に虎頭が爆散してしまった。


「ツッコミが強すぎたか……まぁいいや」


 もう一度虎頭男の部屋を覗き込んで生存者がいないことを確認してから先に進む。
 回廊の規模のわりには部屋の数は少ないようで、次に確認する扉まで少し歩く必要があった。


「虎男を倒すとはやるじゃネーか」

「だが奴は此処の守衛でしかない」

「俺達本隊の足元にすら及ばない弱者よ」


 十メートルほど歩いたところで次の敵が出現した。
 ザ・雑魚テイストなセリフを吐きながら登場した角が生えた狼っぽい頭の三人衆の背後には、奴隷階級を示す黒い線が首に刻まれた四つん這いで歩かされている女性達の姿が見えた。
 黒い線が見えたのは一人だけだが、状況的に他の女性達も同じ奴隷階級だろう。


「全身金属化とは随分と高い変質率みたいだが、俺達三人も変質率は高いんだゼ?」

「見ての通りな!」

「見るからに硬そうだが、俺達の力の前では無力だ」


 角狼頭男三人衆の牙と爪から分泌された液体が地面に落ちると、床が白煙を上げながら溶け出した。
 背後の女性達の怯えっぷりからして日常的に使い慣れている溶解液なのだろう。
 まぁ、だから何だというのが正直な感想だが。


「そうなるといいな」


 特に警戒することなく彼らに向かって歩いていく。
 俺の態度が予想外だったのか三人衆は一瞬だけ狼狽えていたが、すぐに立ち直って襲い掛かってきた。


「「「ウォオオオオオッ!!」」」


 異口同音の雄叫びを上げながら三人衆が溶解液付きの爪を振り抜いてくる。
 付着した溶解液が潤滑油になって滑ったからか、三人衆の爪が折れることはなかった。
 引っ掻かれた部分から白煙が上がるが、体感的には体表を軽く擦った程度のダメージしかない。
 それでもこの〈神秘金属メルクリウス〉製の身体を傷付けたのは事実なので、三人衆が自信を持つのも無理もないかもしれない。
 俺みたいな異能でもなければ、多くの超人にとっては致命傷になるだろうな。

 未だに期待したほどのダメージがなかったことに気付いていない三人衆の内の二人の首を両手で掴み上げ、残る一人の首を尻尾で締め上げた。
 尻尾操作は慣れていないので、尻尾で捕まえた一人は力加減を間違えてそのまま引きちぎってしまった。


「ぐ、グヘッ!?」

「な、何故、無事なん、だ?」

「何故って言われてもな。まぁ……単純に力の差?」

「ぐぞったれ……」

「この先にいる奴らの情報を聞きたいんだが」

「な、ながまはう、売らねぇッ」

「そっか。じゃあな」


 掴み上げていた首を握り潰して角狼頭男二人を始末する。
 一連の様子を見ていた奴隷達が凄く怯えているのが見えた。


「……簡単に要件だけ告げるが、俺と二人の仲間は君達を助けるつもりだ。だが、他にもまだ敵がいるから、助け出すのは最後に纏めてになる。だから全てが終わるまでこの中に入っていてくれ。頑丈だから安全だ」


 メルクリウス製のコンテナを作りだすと、その中に奴隷達を半強制に放り込んでから封鎖した。
 小さな穴は空けているから窒息死することもないだろう。
 こうして助けた奴隷階級の者達を保護していけば、この先の超人達との戦いに巻き込まれて死ぬことはあるまい。

 我ながらナイスアイディアだと自画自賛しつつ先に進んでいった。


 
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