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第二章
第七十三話 無駄なことには時間を割かない主義です
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「ーーなるほど。この建物は全部で七階層に分かれていると。そして全ての階層にはリーダーがいるんだな?」
「そ、そうです」
「それでさっき俺が倒したアレが一階のリーダーだと」
「そ、そうなりますです、ハイ……」
俺の背後で地面のシミになっているモノを指差すと、目の前の犬耳コスプレイヤーな見た目の超人(推定三十代♂)は吐き気を堪えるようにして頷いた。
一階リーダーは爬虫類タイプの超人だった。
二足歩行のトカゲに近い超人で、防御力系や回復系の能力でも持っていたのか中々死ななかった。
どこまでやったら死ぬかを試すべく、ひたすら全力で殴打を繰り返していき、四十四発目で動かなくなり、百八発目で気付いた時には原型が無くなっていた。
やはり考え事をしながら作業をするのは良くないな。
自戒を込めて胸中で改めて自分に誓いを立てると、一階リーダーのミンチ男、じゃなくてトカゲ男の雑用をしていたコスプレイヤー♂に更なる質問を行う。
「残りの階のリーダーについて教えてくれ」
「そ、それは……」
「……」
「……」
「……」
「ス、スイマセンッ! 出来ませーー」
「じゃあいいや」
金属竜尾を鞭のようにしならせてシミをもう一つ増やすと、部屋を出て二階に上がる。
各階のリーダーの情報を聞けなかったのは残念だが、元よりリーダー達が自分の能力を全て明かしているとは思っていないので気にしていない。
今気になるのはリーダー達が便利な能力を持っているか否かについてだ。
「今でもある意味完成されてるけど、どう変わるか楽しみーー」
「撃てぇ!!」
「うおっ」
腹部に炸裂した砲弾らしき物によって、上がってきたばかりの階段の手摺りに背中から衝突した。
視線を廊下の先に向けると、そこには数人がかりで長い筒を構えている超人達の姿があった。
「ビックリした……戦車の砲塔でも改造したのか?」
「な、何故死んでいねぇッ!?」
「まぁ、枕投げの衝撃程度では死なないよな」
「ぐっ、化け物めッ。野郎ども、放てぇ!!」
鼻ピアスの狼頭超人が命じると、廊下の至るところから現れた狼頭超人達が口から火を吐いてきた。
瞬く間に狼頭超人達がいる場所から俺がいる階段の辺りまでが火で埋め尽くされ、此処からは彼らの姿が見えなくなった。
何かを言っている気がするが、此処まで聞こえるわけがないのが分からないのだろうか?
「んー、この建物って燃えないんだな。かなり頑丈だし、やっぱり能力で作ったみたいだな」
今度はそのあたりの情報について聞き出すのが良いかもしれないな。
火の海の中を歩いていくと、先ほどの位置から狼頭超人達は動いていなかった。
「チッ。耐火能力持ちか!」
「お前達もな」
「火を扱うやつが自分の火に焼かれるかよ!」
「そうかもな」
のんびり歩いて近付く俺よりも先行して廊下の床を這わせて向かわせておいた〈神秘金属〉を使って狼頭超人達を串刺しにする。
「おっ、素早いな。お前がこの階のリーダーか?」
「そうだったらなんだッ! 喰らえ!」
壁を蹴って加速した鼻ピアスの狼頭超人改め二階リーダーが跳び蹴りを繰り出してきた。
その足には魔力が集まっており、何らかの効果が宿っていそうだ。
抵抗せずに蹴りを喰らってみると、蹴られた場所が爆発を起こした。
「ハッハッハッ! やっぱり硬いものを壊すには爆破するのが一番だぜッ!」
「殴るのもオススメだぞ」
「うわっ!?」
爆煙から出て全力で拳撃を見舞ったがギリギリで避けられてしまった。
やはり素早いやつは面倒くさいな。
まぁ、屋内ならやりようはあるけど。
「グッ、なんだ、このスライムみてーな奴は!?」
「俺の身体の一部だ」
俺の拳撃を避けた先で床を這うメルクリウスに足を拘束された二階リーダー。
これなら逃げ出せないだろうから尋問を行うとしよう。
「聞きたいことがある。この建物を作ったのは誰ーー」
「喰らえッ!!」
二階リーダーの口から部下達が吐いた火よりも強力な火炎がビームのように真っ直ぐ放たれてきた。
至近距離から放たれち火炎が顔に直撃して前が見えない。
「……鬱陶しい」
「ぐびャッ!」
顔に近寄る虫を払うように手を振って二階リーダーを物理的に黙らせた。
目の前の首無し死体をその辺にポイ捨てすると、メルクリウスを使ってまだ燃え続けている火を包み込んで消火していく。
万が一にも建物に引火したら大変だからな。
「これも拾っとくか。使わないだろうけど」
手持ち用に改造した砲塔と砲弾が入った箱などをアーティファクト〈空間保環レア〉の〈亜空間保管庫〉に収納すると、救出する者がいないか二階にある部屋の中を一つずつチェックしていった。
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