万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
100 / 139
第三章

第九十九話 装備の重要性

しおりを挟む


 雑然とした室内で唯一整理されている武具の数々を眺める。
 別室にあるらしい素材置き場ほど整理整頓されているわけではないが、武具以外の物が納められている棚や床と比べればマシなほうだ。
 そんな散らかっている作業部屋の一角を巨大なモンスターの死体が占めていた。

 生前からすれば見る影も無いほどにボロボロな状態のこのモンスターは、先日の〈堕天の回廊〉で起きた異常暴走スタンピードの折に倒した徘徊主ワンダリングボス浮動晶騎の大天使フロータルナイト・アークエンジェル〉だ。
 討伐後に俺が気を失ったことにより、収納系スキル【堕天の蔵】の効果によって自動的に収納されていた。
 一度状態を確認するついでに、このボスモンスターの素材で何かアイテムが作れないかと思い、退院後すぐに久坂マモルの工房へと直行した。


「どうですか? 何か作れそうですか?」

「んー、質を問わないなら作ろうと思えば色々作れるかな?」


 はじめ摩天楼ダンジョンのボスモンスターであるフロータルナイトの死体を見せた時のはしゃぎっぷりは落ち着いたようで、いつも通りの間延びした声が返ってきた。


「質を問うなら?」

「天使系の素材は難しいからね。コレ単体なら装身具ぐらいが限界だと思うよ。他の素材も用意すればそれと同じセット装備が作れるかもね?」


 マモルが指差した先には、彼が入院中の俺のお見舞いに来てくれた際に修理を頼んでおいた〈祝福の銀殻騎士〉セットがあった。
 修理は済んでおり、フロータルナイトとの一戦で損耗の激しかった防具が新品のようになっている。


「コレより上ですか?」

「たぶんね」

「つまり伝説レジェンド級?」

「ハハハハハッ! 僕がいかに凄腕でも伝説レジェンド級の製作は難しいだろうね」


 絶対に無理とは思っていないらしく、その瞳には確かな自信が垣間見える。
 回帰前のマモルは伝説レジェンド級のアイテムを自作できる域にまでは達していなかったが、今世のマモルはどうだろうか?
 回帰前のマモルの腕前をしっかりと把握しているわけではないので比較は出来ないが、これまでに製作を依頼した防具の完成度を思うと、俺もつい期待してしまう。


「では挑戦してみてください。金が足りなかったら言ってください。可能な限りは出しますので」

「えっ、本当かい!?」

「自分の装備のためなら金に糸目は付けませんよ」


 今回のボス戦でも装備の重要性というものを強く実感していた。
 マモルに作ってもらった〈祝福の銀殻騎士〉セットの能力が無ければ、もしかすると死んでいたかもしれない。


「では、新たな防具と装身具の製作をお願いしますね」

「任せてくれ。そういえば、ネットニュースで見たんだけど、このボスを倒して伝説レジェンド級の剣がドロップしたらしいね」

「しましたね」

「み、見せてくれないか! 見せてもらえれば今後のアイテム製作に活かせると思うんだ!」

「……」


 フロータルナイト討伐後のボス宝箱から得たということにしている〈堕天剣バラキエル〉の実際の出所は、俺の異能【万物変換コンバート】の〈システム〉によるクエスト報酬だ。
 普通なら分からないだろうが、職人系覚醒者の中でも上澄みの存在であるマモルには気付かれる可能性がある。
 これまでのマモルの人間性を考えると問題ない気もするが、心情的にはあまり見せたくないのが正直な気持ちだ。
 特に、伝説レジェンド級のマジックアイテムまで生み出すほどの力だということが露見するのは出来るだけ避けた方がいいだろう。


「この後予定があるので……」

「1時間、いや、30分だけでいいから頼む!!」

「うーん」

「じゃ、じゃあ、あそこに並んでいる武具の中から好きなのを1つタダでやると言ったらどうだ?」


 マモルの視線の先を追うと、そこは先ほど俺が眺めていた武具が陳列されている場所だった。


叙事エピック級もあるようですが?」

伝説レジェンド級をじっくりと見れるなら惜しくはない」

「……それならまぁ、構いませんよ」


 頭の中で損得勘定を済ませると、【堕天の蔵】の収納空間から一振りの黒剣を取り出した。


○堕天剣バラキエル
 等級:伝説レジェンド級。
 とあるダンジョンで産出された長剣型マジックアイテム。
 認められた者にしか扱えない。
・【雷聖剣煌】……破壊的な雷属性と聖なる光属性を宿したオーラを剣身より発する。属性を分けて使用することも可能。
・【雷皇天身】……紫電を纏い身体能力を強化する。また、使用者次第では身に纏う雷を防具や翼などへと変化させることが可能。
・【堕天ノ雷霆】……使用者は黒紫色の雷霆を生成し、自由自在に支配する。
・【堕天使の祝福・雷】……光属性と闇属性に対する耐性(大)を獲得。また、雷属性の無効化と強化(大)を獲得する。


 工房内に叙事エピック級以下のマジックアイテムが多数あるからこそ如実に理解できる。
 やはり、伝説レジェンド級のマジックアイテムは存在感からして格下のアイテムとは違うな。
 ギラギラとした眼差しでバラキエルを凝視するマモルに恐る恐る黒剣を手渡す。
 マモルは言語化できない声を上げると、バラキエルと何かの小道具を掲げて近くの作業台へと駆けて行った。


「約束通り30分だけですからねー」


 聞こえていないだろうが、形だけそう告げておく。
 もし延長を願い出るようなら追加でマジックアイテムを貰うとしよう。
 修理の済んでいる〈祝福の銀殻騎士〉セットを回収すると、武具が置かれている場所へと移動する。


「さて、色々と目移りしてしまうが、どれを貰おうかな?」


 陳列されているマジックアイテムを一つ一つ手に取り、〈システム〉の力を使ってその詳細を確認していった。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...