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第三章
第百十八話 闇から影へ
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ボス戦のドロップアイテムの分配を終え、ボス宝箱の中にあった黒色の騎士甲冑〈黒煌魔鎧アグレシア〉へと装備を更新したマリヤと合流すると、戦場だった大広間を後にした。
「それにしても、着用者が違うと鎧の印象も違って見えるな」
「そうですか? 確かに、デザインは少し変化してますけど」
大広間から続く廊下を移動している最中、周りを取り囲むようにして複数のモンスターが召喚された。
それらのモンスターを迎撃していると、真新しい鎧を身に纏ったマリヤの戦う姿が目に入った。
元になった鎧を着ていたボスモンスターは、鎧の上からでも分かるぐらいに筋骨隆々な悪魔系モンスターだったので、鎧自体も無骨な印象を受けた。
だが、長身でスタイルの良いマリヤが着ていると、鎧が軽装になっているのもあって華やかな印象があった。
クラスが〈戦乙女〉なのもあって、戦う姿はまさに黒衣の戦乙女という表現がピッタリだった。
ボス宝箱からドロップした叙事級の鎧は伊達ではなく、これまでの道中の戦闘時よりもマリヤの動きが良い。
常態的な身体能力の強化などを齎すアグレシアの能力のおかげで、戦闘時の動きに余裕がある。
突然モンスターが周囲に現れるという奇襲を受けても、盾役として崩れることなく対処していた。
「戦闘終了、っと。全員無事だな」
「大丈夫です。いきなり周りにモンスターが召喚されてきたのには驚きましたね」
「もしかして、ここからは今回みたいな襲撃を受けるのでしょうか?」
「奇襲を受け続けるのは心臓に悪いわね」
「確かにな。難易度が高いルートだからか?」
「罠が発動したんじゃないですか? RPG風というなら、ダンジョンには罠が仕掛けられているのが普通ですよ」
「罠か。なるほど」
マリヤからの指摘を受けてアーティファクト〈月神の賢眼〉の空間認識能力を発動させてから、進路上の通路を注視する。
すると、通路の至るところに罠の発動へと繋がる怪しい場所があるのが確認できた。
「……ビンゴだ。アーティファクトで確認してみたら、そこら中に罠が設置されていた。どんな罠かまでは分からないが……リリア」
「はい?」
「さっき分配した指環でモンスターを召喚して、指定した場所を踏ませてみてくれ」
「分かりました」
リリアが〈悪魔騎士の指環〉の能力で悪魔騎士を召喚する。
デビルズナイトに俺が指定した場所を踏ませると、デビルズナイトを取り囲むように複数のモンスターが召喚されてきた。
「予想が当たったな。【神聖光撃】」
エリスからコピーした【神聖光撃】で味方のデビルズナイトごと敵のモンスターを殲滅する。
更に数度同じことを繰り返した結果、〈月神の賢眼〉の空間認識能力で知覚し、わざと発動させた罠は全てモンスター召喚の罠であることが分かった。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──耐久値が12ポイント増大します。
──魔力値が10ポイント増大します。
──スキル【武装具現】を獲得しました。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──筋力値が15ポイント増大します。
──敏捷値が15ポイント増大します。
──スキル【闇ノ寵児】を獲得しました。
──条件が達成されました。
──スキル【狩猟ノ闇獣王】【闇の祭壇】【王者の威光】【悪魔の術戯】【武装魔靭化】【闇の鎧皮】【武装具現】【闇ノ寵児】が統合され、スキル【影ノ城主】を獲得しました。
──特殊条件〈闇影の王〉が達成されました。
──スキル【暗黒魔法】を取得しました。
召喚されたモンスターの中にいた初見の悪魔系モンスターを倒して獲得したスキルによって、闇の獣といったイメージのユニークスキルが、闇の戦士といったイメージのユニークスキルへと変化した。
それに伴い、ユニークスキルに内包されていた闇属性魔法の行使権が分離したことで、闇属性魔法を使用できる【暗黒魔法】のスキルも取得できた。
○スキル【狩猟ノ闇獣王】
多能内包型複合スキル。
・スキル【闇影ノ支配者】
闇と影を支配する者。凡ゆる闇は共にあり、影は従うことしかできない。また、闇属性魔法の行使権限を獲得する。
・スキル【狩猟ノ牙獣】
襲撃時の成功率が上昇し、攻撃行動において身体能力補正(大)を得る。
また、眷属型具現体〈猟獣〉を生み出す。猟獣の性能は術者のレベルと具現化時に使用した魔力量によって異なる。
・スキル【百獣王戯】
百の獣を統べる王としての戯れの力。獣の力をその身に宿し、獣に属さぬ力を拒絶する。同レベル以下の魔法・状態異常攻撃を無効化する。筋力値+20、耐久値+20、敏捷値+20、反応値+20、精神値+20。
○スキル【影ノ城主】
多能内包型複合スキル。
・スキル【影ノ王】
闇と影を支配する王。全ての影は王と共にある。
判定に成功すると、威圧した対象を〈畏怖〉や〈恐怖〉の状態異常にする。
また、魔力を消費して眷属型具現体〈眷影〉を生成可能。性能は術者のレベルと具現化時に使用した魔力量によって異なる。
・スキル【影ノ鎧】
身に纏った影の力は凡ゆる障害を取り除く。同レベル以下の魔法・状態異常攻撃を無効化する。筋力値+25、耐久値+25、敏捷値+30、反応値+30、精神値+30。
・スキル【影ノ城】
フィールド効果〈影ノ城〉を展開し、自勢力は戦闘行動において身体能力補正(大)を得る。
一定範囲内の影を自由自在に支配できる。
・スキル【海獣ノ魔槍】
漆黒の魔槍を具現化する。魔槍は、天に投げれば無数の鏃と化して敵に降り注ぐ〈死翔〉、突けば無数の棘となって敵を内側から貫く〈死棘〉、敵へ投擲すれば必ず命中する〈必滅必中〉、穂先で傷付けた対象に猛毒と不治の呪いを齎す〈刻死〉、という4つの能力を持つ。
ユニークスキルの詳細を比較してみると、どう変化したかが分かるな。
内容的に似ている能力もあるが、総評としては全ての能力が強化されているとみて間違いないようだ。
【海獣ノ魔槍】という魔槍を具現化するスキルが追加されたが、俺、既に【光王ノ武戯】という槍型具現体を生み出すスキルがあるんだよな……。
槍という点では被っているが、【光王ノ武戯】の槍形態とは違って、【海獣ノ魔槍】の方には使用回数に制限がない。
気軽に使えるという点では良い能力なのかもしれない。
「まぁ、俺のメインウェポンは剣なんだけどね……」
「どうしたの?」
「いや、思い通りにはいかないな、と思ってね」
「そうね。こんなに召喚系の罠が多いとは思わなかったわ」
エリスが俺の言葉を誤解しているが、特に訂正せずに聞き流す。
「全ての罠をわざと発動させればレベリングに使えそうだけど、時間制限があるから罠は避けていこう。皆、俺が歩いた場所を通ってきてくれ」
〈月神の賢眼〉が同化している両眼で罠を看破し、罠を発動させないように気を付けながら通路を進んでいった。
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