128 / 140
第三章
第百二十七話 混沌再世
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
暫くして、再び全員が集合した。
既に選んだアイテムが消費されたエリスを除いて、1人1つずつマジックアイテムを手に持って集まっている。
○幻想魔女杖ファンタズム
等級:叙事級。
とあるダンジョンで産出された杖型マジックアイテム。
異界の魔女の力が込められており、特殊な条件を満たせば力の一端を取得できる可能性がある。
・【魔女魔法・幻想】……異界の魔女の固有魔法の一端を行使する。幾つの魔法を使用できるかは使用者次第。
・【大魔女ノ擬杖】……魔法行使能力と魔力回復力を大幅に強化する。
搦手の手段が乏しいリリアは、〈幻想魔女杖ファンタズム〉という杖型マジックアイテムを選んでいた。
随分と使い手を選びそうなマジックアイテムだが、直感的にコレだと思ったそうだ。
真の意味で使い手に選ばれれば、リリアは更なる力を手に入れられるだろう。
○暴喰天盾ベルゼ
等級:叙事級。
とあるダンジョンで産出された大盾型マジックアイテム。
同じ盾型マジックアイテムを取り込むことによって能力が追加される可能性がある。最大2枠追加可能。
・【喰滅の牙城】……敵の攻撃を防いだ際、自動反撃能力〈喰滅の牙〉が発動する。〈喰滅の牙〉の攻撃力は、使用者の筋力値と耐久値によって変化し、〈喰滅の牙〉で与えたダメージ量に従って使用者の体力が回復する。
マリヤが選んだ大盾は非常に心躍る能力を持っていた。
ベルゼの能力は盾役ならば垂涎ものだろう。
他の盾型マジックアイテムを取り込み更なる能力を追加できる特性も強力だし、非常に良い選択だと思う。
○財宝王の四宝具:天運導く耳飾り
等級:遺物級。
とあるダンジョンで産出されたイヤリング型マジックアイテム。
〈財宝王〉となる者が手にすることになる4つのマジックアイテムの1つ。
4つ全てを集めると何かが起こる。
・【勘威宝冠】……着用者の直感力を強化する。【直感】スキルを所持している場合、スキル等級をワンランク上昇させる。
・【天が導く強運】……所持する財宝の価値に従って、精神値と反応値と幸運値がそれぞれ最大で7ずつ増大する。
俺はこのダンジョンに来たそもそもの目的である〈財宝王〉のシリーズ系アイテムを選んだ。
このダンジョンに出現するボスモンスターからランダムでドロップするという情報しか知らなかったが、どうやら宝物庫からも入手できたらしい。
このマジックアイテムの能力によって、Aランクスキル【直感】がA+ランクへとランクアップしたおかげで、これまで以上に勘が冴え渡りそうだ。
これで〈財宝王の四宝具:財を漁る魔宝環〉〈財宝王の四宝具:命運握る首飾り〉〈財宝王の四宝具:天運導く耳飾り〉の3つの〈財宝王〉のシリーズ系アイテムが揃った。
残る最後の1つは、回帰前と変わらなければ大金さえあれば手に入れられるはずなので、あとは金を稼ぎつつ機会を待てばいい。
その機会を待たずに手に入れるには外国に行く必要があるが、それを叶えるには障害が多すぎるので大人しく機会を待った方が利口だ。
「それで、リーダーが言っていた試したいことって何ですか?」
「それはだな……まぁ、直接見てもらった方が早いだろう」
マリヤからの問いにそう答えると、宝物部屋の壁際へと歩いていく。
その一角、頭上に黄金の炎を1つ灯した銀色の星型のオブジェクトに向けて手を翳した。
「〈再世〉」
スキルを発動させた瞬間、視界内に映る星型のオブジェクトが一瞬だけ歪んだと思ったら、その5つの頂点の1つにしか灯っていなかった黄金の炎が、再び全ての頂点に灯っていた。
「えっ?」
彼女達の誰かの驚く声が後ろから聞こえた。
可能だというのは何となく分かっていたが、実際に再び炎を灯すことができたのを見て、やった俺自身も正直驚いていた。
適当に近くのガラスケース内のアイテムを手に取ると、星型のオブジェクトの炎が1つ消えた。
隣のガラスケース内のアイテムを手にすると更にもう1つ炎が消えていた。
スキル使用前と現象が変わらないことの確認を済ませて、確認作業のために手に取ったアイテムを戻していると、エリスの興奮する声が聞こえてきた。
「ちょ、ちょっと待ってクロヤッ! もしかして、宝物庫のアイテムを更に選べるってこと!?」
「そうなるな。あのオブジェクトを見て何となくできるのは分かっていたんだが、実際に成功するとやっぱ驚くよな」
「つまり取り放題!?」
エリスの両眼が銭マークになっているのを幻視しつつ、首を横に振った。
「いや、残念ながら俺のスキルでのズルができるのは1度だけみたいだ。さっきまで感じていた手応えみたいな感覚が無くなっているから、たぶん無理だろう」
「そっかぁ。流石に何度も取れるなんてことはないかぁ……」
「でも凄いですよ、クロヤさん!! 此処にある一級品のマジックアイテムを通常の倍近い数を獲得できるだなんて!!」
「これだけ凄い効果ですけど、リスクは無いんですか?」
「幸いにも魔力消費だけだよ。まぁ、1度の発動で全回復していた魔力の全てを失うほどに重いけどな」
全部で5回しかアイテムを獲得出来ない宝物庫の制限を破ったスキルは、俺が王級覚醒者となった際に取得したクラス〈終末の再世者〉のクラススキルの1つであるA++ランクスキル【混沌再世】だ。
○スキル【混沌再世】
任意発動型特殊スキル。
指定した事象を一定範囲内まで回帰させる。回帰後の対象事象は独立する。
対象が生物か非生物か、等級の高さ、範囲の広さ、回帰する時間の長さ、回帰による影響などといった様々な条件によって魔力消費量は異なる。
もう一方のクラススキル【状態回帰】とは違ってノーコストではないが、回数制限も対象制限もないブッ壊れスキルだ。
その分だけ使用コストは重いが、使いどころを間違わなければ今回のように不可能を可能にしてくれるスキルなので、非常に有用なのは間違いない。
クラスの名前といい、未来から回帰してきた俺との関係性を強く感じるスキル効果だが、流石に俺自身が過去に回帰する力までは無いようだ。
「それじゃあ、追加でアイテムを選ぶとしようか。ダメ元でスキルを使ってみるから、1つ選んだらまた集まってくれ。ダメだったら、最後の1つは皆で選ぶとしよう」
そう告げると、再びアイテムを選ぶため俺達は宝物部屋の各所へと散っていった。
10
あなたにおすすめの小説
新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜
黒城白爵
ファンタジー
異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。
新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。
旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。
そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。
命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。
泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる