万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第一章

第三十七話 不浄墓地のダンジョンボス

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 ◆◇◆◇◆◇


 〈不浄墓地〉のダンジョンボスは〈冥獄騎死長ヘルナイトロード〉というアンデッド系の人型モンスターだ。
 ダンジョン内で最も大きな建造物である霊廟の前に佇んでおり、その周囲には下位種である〈冥獄騎死兵ヘルナイト〉が多数巡回している。
 ダンジョンボスのヘルナイトロードさえ倒せば眷属のヘルナイト達は動かなくなるため、前世では他の者達がヘルナイト達の注意を惹きつけている隙に、精鋭パーティーでヘルナイトロードを倒すことで攻略した。
 
 元々は単独で攻略するつもりだったので、物陰などに隠れながらこっそりとヘルナイトロードに近付き、一気に倒す予定だった。
 そんな予定とは違い、リリアと共に攻略することになったので、彼女の力を存分に使わせてもらうことにした。


「それじゃあ、よろしく」

「任せてください」


 隠密系マジックアイテム〈隠者の祈り〉の予備をリリアに貸し出し、その能力【気配希薄】も使って物陰に隠れると、目に見える範囲内にいるヘルナイト達に向けて運命属性魔力を放出させた。
 彼女の運命属性魔力に侵されたヘルナイト達の動きが止まる。
 程なくして、ヘルナイト達は周囲を警戒する個体と同士討ちを始める個体の2つに分かれた。
 ヘルナイトほどのモンスターになると確率で抵抗レジストされるようだ。


「抵抗されちゃいました。どうします?」

「通じている奴もいるから、何度もやってみてくれ」


 俺の指示に従い、リリアが幾度となく運命属性魔力を放ち続ける。
 やがて、全てのヘルナイトが運命属性魔力に侵されたのが鑑定系のアーティファクトである〈月神の賢眼〉で確認できた。
 同化している〈月神の賢眼〉で視える情報によれば、運命属性魔力で侵されている状態は〈魅了〉扱いになるらしく、全てのヘルナイトの状態欄が〈魅了〉になっていた。


「よし。これで邪魔は入らないな。魅了が解けてボスの援軍に向かおうとしている奴がいたら、その都度対処してくれ」

「分かりました。頑張ってくださいね」

「ああ。すぐに終わらせる」


 異能【万物変換コンバート】の第7層能力【座標変換】を発動させ、一瞬でヘルナイトロードの背後へと転移した。
 ヘルナイトロードは、ナイトと言うだけあって全身に金属製の騎士鎧を纏っている。
 金属鎧に守られているので生半可な攻撃ではダメージを与えることはできないが、アンデッドに属するモンスターであるため、その種族的な弱点はヘルナイトロードにも適用される。

 この〈不浄墓地〉にて幾度となく使用したアンデッド特効の神聖属性魔力を、此処で手に入れた〈白霊剣オルトレール〉へと注ぎ込む。
 聖気という別称がある神聖属性魔力を注ぎ込んだことにより発動した能力【白聖霊起】によって、身体能力が超強化される。
 続けて発動させた【破魔剣気】により、魔性特効の効果を持つオーラを剣身から発した。
 神聖属性魔力と相乗効果を発揮する【破魔剣気】のオーラは、そのオーラ光だけでもアンデッドにダメージを与える。
 そんな光を浴びたヘルナイトロードが背後からの奇襲に気付かないわけがなく、振り返り様に手に持つ黒き騎死剣を振り抜いてきた。

 白剣と黒剣が空中で激しくぶつかる。
 黒剣は濃密な死のオーラを纏っており、その死のオーラによって聖なるオーラが大幅に減衰され、威力が弱まっていた。
 この奇襲の一撃でヘルナイトロードの武器を破壊するつもりだったが、そう上手くはいかないようだ。


「仕方ない。プランBだ」


 腕に巻いていた〈千鞭無骨〉を操作してヘルナイトロードの両手を起点に上半身を拘束し、剣を振るい難くする。
 複合系アーティファクト〈支配の王環〉の念動力を使い、空間的圧力もかけてできるだけ動きを阻害すると、死のオーラを纏う騎死剣に触れて、第6層能力【状態変換】を使用した。


「〈封印〉」


 死のオーラによって手装備の〈盗賊王の技装手〉と手がダメージを負ったが、おかげで死のオーラを封印することができた。
 『対象の状態を認識済みの別の状態へと変換する』という力で、ヘルナイトロードの騎死剣に〈封印〉の状態を強制付与したのだ。
 これでヘルナイトロードの厄介な武器が使えなくなった。
 第1層能力【魔生変換】で魔力を体力へと変換して手の負傷を治癒すると、その場から飛び退く。
 全ての拘束を振り解いたヘルナイトロードが振り下ろした騎死剣の一撃を躱わすと、その胴体をオルトレールで斬りつけダメージを与える。
 鎧の方は騎死剣ほどの死のオーラは纏わないため、今のオルトレールでも斬り裂くことができた。


「とはいえ、流石はダンジョンボス。攻撃力だけでなく耐久力も高いな」


 ただの頑丈な剣と化した騎死剣の斬撃を弾き躱しながら、隙を突いてヘルナイトロードを斬り刻んでいく。
 ヘルナイトロードの剣撃は凄まじい威力と速さだったが、第4層能力【肉体変換】で敏捷値と反応値を上げているので当たることはない。
 筋力値をもっと上げられたら深く斬り裂き大ダメージを与えられるのだが、バランス的には今の状態がベストだ。
 アンデッドへの効果抜群の斬撃を何度も刻んでいると、ヘルナイトロードの身体が崩れ出した。
 斬撃と共に体内に送り込んでいた神聖属性魔力と運命属性魔力の2つが、漸く効果を発揮したようだ。


「これで終わりだ」


 今の状態ならオルトレールじゃなくても攻撃は通るだろう。
 腰に佩いた〈魔喰の精霊剣バアル〉も鞘から引き抜くと、身体の一部が崩れて膝をついたヘルナイトロードにトドメを刺した。
 

──〈魔喰の精霊剣バアル〉の【魔を喰らう刃】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──筋力値が10ポイント増大します。
──耐久値が15ポイント増大します。
──反応値が15ポイント増大します。
──スキル【命喰剣】を獲得しました。


 
 
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