断罪された魅了の悪女は過去に戻ってやり直します!~嫌われてたはずの王太子様に迫られてます!?~

かべうち右近

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4.従順な身体と反発する心 ※

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(このままじゃ本当に抱かれちゃう……! その前に何か……)

 婚約誓約書に署名はそろっている。けれど、あんなもの破ってしまえばそれで証拠は消えるのだ。だが、抱かれてしまったら逃げられない。

「……っ! そうだ、王族の婚約者は純潔じゃないとだめなんじゃないんですか!?」

 もはや淑女の仮面は取れている。かろうじて丁寧語なものの、彼女はもう今すぐこの行為をやめてもらうことしか頭にない。

 イレーニアは叫ぶ。前世でも今世でも、王族の嫁は純潔でなければならない。この規定は変わらないが、前世では魅了の瞳の力で、そのしきたりをねじ伏せていたのだ。常に男が閨にはべっていたイレーニアには前世は結婚できようはずもなかったのだ。

「そうだな」

「! ですよね! じゃあだめです! 私は婚約者になれません! 私は処女じゃないですから!」

 大声でとんでもない告白をする。イレーニアが以前、成人直後にやらかしたというのは、このことだ。一度だけ、彼女は今世でも情事を営んだことがある。それ以降は一切ないが、処女でないから王族の嫁になれないことは確かだ。

 しかし、そんな重大な告白に、ジルドの手は止まらない。肌着の胸の部分を留めている紐を、しゅるっと解いた。

「それは問題ない」

「えっあぁ……っ」

 肌着の内側に入りこんだ手が、彼女の胸の尖りをつまんだ。くにゅくにゅとこねて、性急に彼女の身体の熱を上げていく。

「これが好きなんだろう?」

「ちがっや、ぁぁあっやっ、あ……っ」

 耳元で囁かれたところで、耳朶を甘噛みされた。優しく耳たぶを引っ張って、ぬろっと舌が耳を舐める。イレーニアの身体はまだ蜜をこぼしていないのに、まるで股から溢れているかのように、じゅるじゅると淫猥が音が耳を責める。その感触と音があいまって、余計に胸への愛撫に感じてしまう。

「や、だぁ……」

 今抱かれたら、本当にジルドのものになってしまう。処女でなくとも、婚約誓約書に署名をしている以上、正妃になれずとも側妃に収まる可能性はある。そんなことになれば平穏な人生など望めないだろう。社交界からは遠ざかれないし、処刑台送りにしたジルドとも離れられない。

「身体はいやがってないだろう。こんなに乳首を硬くして」

「んぁ……っ」

 きゅむ、とつまみあげて引っ張られれれば、勝手に口から嬌声が漏れる。首筋に唇を沿わせて、皮膚の薄いところをちろちろと舐めらて、身体はどんどんと快楽へと押しやられる。このままではいけない。ジルドの触れる指も唇も、全て気持ちがよくなってしまう。

「ああ、このままでは頭が痛いか?」

 そう言って、髪飾りを抜かれたのでさえ、ぞくりと背中に震えが走った。もうだめだ。彼女はもう、全身で情事を受け入れている。

「だめぇ……やあああ……」

 拒絶の声はあまりにも弱弱しい。今の彼女は拘束されているわけではない。だから暴れようとすればできるし、逃げようと思えば逃げられるはずなのだ。なのに、彼女は愛撫に翻弄されて、全てを受け入れてしまっている。

(だめ……だめなのに……)


 荒い息を吐きながら、イレーニアは必死に声を抑えようとする。けれども、次々に口をついて甘い声が漏れた。

(気持ちいい……)

 それが情けない。

 いつか殺されるかもしれない相手に身体を暴かれて、恐ろしいのに気持ちがいい。ジルドは言葉の乱暴さに反して、愛撫は決して乱暴ではない。まるで最初からイレーニアの身体のことを知っていたかのように、的確に彼女の悦いところを触れてくる。

「……顔を見せてくれ。貴女の目が見たい」

「だめ……っ!」

 ヴェールに手をかけられたところで、ようやくイレーニアは抵抗する。けれども、もう遅かった。するっと外されて、イレーニアの視界が解放される。レース越しに見えていたジルドの顔が、はっきりと、間近に見える。

「いや……」

「ああ、やっと顔が見れたな」

 琥珀の瞳がまっすぐに視線を合わせて、目元を緩ませる。

(どうして、そんな優しい顔をするの)

 彼に魅了が効かないことはわかっている。それでももうずっと、誰かの目を直視したことなどない。だからジルドの視線が怖かった。そのせいで自然と涙がこみあげる。

「やはり綺麗な瞳だ」

 目尻に伝った涙を、ジルドの舌が舐めとった。今、無理やりに抱かれようとしているのに、そんな言葉ですらイレーニアの胸を衝く。

(ばかみたい)

「嘘を、おっしゃらないで。み、醜いんです、私……」

 それは前世の死の間際、ジルド自身が言った言葉だ。イレーニアの瞳は醜いのだと。

「いや、貴女の瞳は綺麗だ」

 断言されて、イレーニアは言葉に詰まる。

(私、ばかみたい)

 またも涙が溢れてきて、それをジルドがまたも舐めとってくれる。それが嬉しくてたまらない。

(殺されたのに、まだ、ジルド様のことが好きだなんて)

 彼に触れられて気持ちがいいのは、口づけ一つで胸を震わせてしまうのは、彼が好きだからだ。殺されてもなお、ジルドのことが諦められない。だからこそ、離れたかったのに。

「だめです……」

(いつか、彼に殺されるのに)

 ぎゅっと目を閉じて、イレーニアは両手で顔を覆った。そんな彼女の手に口づけを落として、ジルドは愛撫を再開する。

「顔を見るのが嫌なら、気持ちよくなっていればいい」

 イレーニアの気持ちを無視して、彼はことを進める。この部屋が用意されていたのも、速やかに婚姻を結ぶためなのだろう。ジルドに、気持ちなどないのだ。

(こんなの、やだ……)

 ジルドの手が肌をつたって修道服ごと肌着を脱がす。豊満な胸が空気にさらされても、その冷気は彼女の感度を高めるだけだ。唇を鎖骨から順におとされて、指で虐められていた尖りが今度は舌で転がされる。ちろちろと舐められれば、その奥に刺激が走って、どうしようもなく胎に響く。後はドロワーズ一枚というところになって、イレーニアは太ももに手をかけられて硬直する。

「だめ……いや……!」

 股部分に染みのできたドロワーズは、あっけなく脱がされた。

「いやぁ……っ!」

 とっさにジルドの身体を押す。けれども彼は大きく股を開かせると、イレーニアの割れ目に指をさしいれた。

「は、あああんんん……っ」

 ぐちゅぐちゅと音が響く。いきなり二本もぐりこまされたのに、蜜壺は熱く熟れている。溶けた身体はジルドの指を受け入れて、中をかきまわすのを許した。

「ジルド、様ぁ……や、だぁ……」

「どうしてだ。こんなによがって、何を嫌がる?」

 ふるふると首を振って、なおをイレーニアは拒む。なのに、ぐっと内壁を指で押されれば、蜜壺はたやすく快楽に悦んでうねる。

「んぁぁあっだ……って……嫌われてる、ひとに……抱かれ、たくない……」

「なんだ、そんなこと・・・・・か」

 ジルドの言葉にまたも胸が痛む。

(わかってたのに。ジルド様にとっては、国益が一番。気持ちなんて……)

「俺は貴女が好きだ」

「……っうそ! そんな、嘘で騙さないで!」

 だって彼はずっと前から想い人がいるはずなのだ。とってつけたように好意を口にされたって、信用できるはずがない。

「嘘なものか。ああ、イレーニア。貴女の身体はあのときと変わらず綺麗だな」

「……え?」

 ジルドが太ももに触れながら言うのに、イレーニアは耳を疑う。彼はまるで見たことがあるかのような口ぶりだ。

「ど、して……」

「まだわからないか」

 ふっと口元を笑ませて、ジルドはイレーニアの両頬を手で包んだ。

「貴女が純潔を捧げたのは、俺だ」

 至極嬉しそうな顔のジルドが、とんでもない言葉を吐いた。

 途端に、忘れようと封印した過去のやらかしが頭に浮かぶ。
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