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6.やりなおし聖女の本音
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休憩用の部屋には、あらかじめ飲み物が用意されていた。お茶と酒と果実水だ。ソファセットに向かい合わせに座って、イレーニアは息を吐いた。男がイレーニアに果実水をくれたので、それを飲み干す。
「巻きこんでしまってごめんなさい……あなたもまだ夜会を楽しみたいでしょう……」
「いいや、顔を出すだけ出して義理は果たしたから帰るつもりだった。だから問題ない」
「……帰るところだったのに、ごめんなさい……」
うう、と言葉をこぼすと男が笑う。
「貴女は謝ってばかりだな」
そう言われて、イレーニアは少し黙る。
「謝ってばかり。……そうね。私は本当は、もっと謝らなくちゃいけないんだわ。もっともっと、色んな人に……」
果実水をもう一杯ついで、イレーニアはこぼす。
男は、イレーニアの名前を聞いてこない。彼女も男の名前を尋ねたりなんかしなかった。先ほどはジルドだと思ったが、彼の声とは違う声だ。顔つきもなんとなく違うように思える。だからきっとよく似た体格の別人なのだろう。イレーニアはこんな均整の取れた男にジルド以外で出会ったことがない。だから、たぶんお互い知らない同士だ。
それで、気が緩んでいる。
「たくさんの人に謝らねばならないような大罪を犯したのか?」
「……ずっと、昔に。悪いことだって知らずに、たくさんしたんです」
自嘲気味にイレーニアは言う。
彼女も『悪女』と言われた意味が最初はわからなかった。前世ではついぞ理解することもなかった。彼女が時間を巻き戻って魅了の瞳を隠したのは、ただただ処刑から逃げたかっただけなのだ。けれど、魅了の瞳を隠して生活し、治癒の力を使って人々に奉仕するうちに徐々にわかってきた。イレーニアは無知で、それゆえに無邪気に我儘を言って、色々な人の生活を捻じ曲げていたのだ。前世のイレーニアは、まごうことなき悪女だった。
「悪いことって言ったって……」
この夜会に招待されるような貴族令嬢が悪いことをしたと言われても、ピンとこないのだろう。先ほどの二人組の男のような輩は、仮面舞踏会では『悪いこと』にも入らない。なぜなら、互いが了承の上なら『そういうこと』を愉しむのもこの夜会の目的の一つなのだ。もちろん、ただ会話を楽しむためだけに来る者もいるのだが。
「婚約者がいるのに、他の人と寝るのは、悪いことでしょう?」
「……あなたが、そんなことを?」
「毎晩のように、男を侍らせて……中には妻子持ちの方もいたのよ。でも、それを悪いことだって知らなかったの。……誰も、悪いことだって、教えてくれなかった」
話しながら、イレーニアはどんどん言葉が止まらなくなる。
「私が我儘を言えば、なんだって誰かが叶えてくれた。でもそれじゃだめだったんです。……それをね、終わらせてくれた人がいたの。だから、今はやりなおして……一生懸命頑張ったんです。今度は嫌われないように、悪いことをしないように、色んなことしました」
ぽつぽつとしゃべり続けるイレーニアの言葉を、男は黙って聞いてくれている。
「……おかげで、今はそんなに嫌われてない、と思います。ううん。多分、けっこう好かれてるんじゃないかな。人に、殺されるくらい憎まれるようなことは……ない、と思うんですけど……誰も、私が悪い奴だって、知らないんですよね」
そう言って、イレーニアは果実水の入っていた金属のカップを見る。カップに施されたメッキが一部剥がれて、内側の金属が覗いていた。
(これ、私みたい)
本当のイレーニアは、我儘で我慢を知らなくて、楽しいことばかりが好きな人間だ。前世の享楽にふけるあの姿が、本来のイレーニアなのだ。少なくとも彼女はそう思っている。だから、今周囲が抱いているイメージは、イレーニアが被った仮面にすぎない。ヴェールを被っていい人のふりをしているだけなのだ。このカップのメッキのように、いつかその『いい人』のふりができなくなって、はがれた途端にまた悪女に逆戻りするかもしれない。
きっとそうなれば、今イレーニアをもてはやしてくれる人たちは、誰もが掌を返すだろう。
「それはいけないことなのか? 貴女が新たに出会った人たちに、過去を知られていないことが?」
「だって!」
男の言葉に、イレーニアは顔を上げる。男の仮面の奥の瞳が、まっすぐに彼女を見ている。
「今は、周りの人は優しくしてくれます! でも、でも……みんな、私の本当の姿を知らなくて……きっと、私が悪い奴だって知ったら、嫌われちゃうから……! そんなの!」
叫んだところで、くしゃりと顔が歪んだ。
「寂しい……」
小さく呟いて、イレーニアは顔を手で覆う。涙が出ても、仮面で泣き顔なんか見られることはない。けれど、目から溢れたものを隠したかった。
(誰も、私のことなんか好きじゃない……)
もちろん、両親やカルタ伯爵は違うだろう。だが、自身の我儘な性格を考えると、ありのままで好いてくれる人なんかいないのではないかと思えてしまう。普段は忙しいから考えないが、ふと一人になったときにどうしようもなくその事実がイレーニアを苛む。死なずに平穏な暮らしを営めたとして、それは無為な時間だ。
「……寂しい、か」
イレーニアを見守っていた男は反芻して、彼女をじっと見つめる。しかし不意に目を逸らして、息を吐いた。
「貴女は、ありのままの自分を好いてほしいんだな」
「……ごめ、んなさい……勝手に、喋って……騒いで……」
「いや、かまわない」
短く言った男は、イレーニアから視線を逸らしたままだ。そうして何か気を紛らわせようとでもしたのか酒瓶を手に取って注ぎ、そのまま一気に呷った。
「ごめんなさい……」
「謝らなくていい。貴女はこれまでずっと頑張ってきたんだろう。……その、罪は大きいのかもしれないが」
「あなたが聞いてくれるからって、甘えてしまって……ごめんなさい」
またも謝るイレーニアに、男は首を振る。
「問題ない。見知らぬ相手のほうが気を許せるということもあるだろう。……それに、自分の本音が曝け出せなくて、孤独に思うのはわからないではない」
「……あなた、も?」
驚いて尋ねれば、男は小さく頷いた。その口元が、ほんのりと緩んでいる。けれども仮面の奥の瞳はなんだか寂しげだった。その口ぶりが、別人だと思った人にまたも重なってイレーニアは思わず笑みをこぼした。
「あなたって、私の好きな人に似てるわ」
「好きな人?」
驚いたように言って、男はまた酒を注いで呷った。今度は一気飲みではない。仮面の下の涙をぬぐって、「ええ」とイレーニアは答える。
「凄くお仕事ができてね、とってもかっこよくて……それでいつもたくさんの人に囲まれててね」
「それは、俺を口説いているのか」
「ふふ。違うわ。でも、凄く立派な人なのに、ときどきすごく寂しそうなの」
「貴女みたいに?」
すかさず聞かれて、イレーニアはくすくすと笑う。
「そう……そうなの。本当は、ずっと寂しかったの。それをあの人だけが気づいてくれて……」
『貴女は常に人に囲まれているのに、まるで独りでいるような顔をするんだな』
それは前世で、ジルドと婚約するよりもずいぶん前に言われた言葉だった。きっと彼はその頃にはすでにイレーニアのことを悪女だと思っていたのだろう。厳しい顔しか見せていなかったのに、あの時だけは困ったようにしながら優しく笑いかけてくれたのだ。
王太子という立場上、ジルドは常に立派であらねばならなかった。もちろん彼がもともと王子たるにふさわしい資質があったのは確かだろう。だが、彼だって人間だ。弱みを吐露できないことに思い悩むことだってあったに違いない。
自分と同じで人に好かれているのに、どうしようもなく寂しそうな人。そんな彼だけが、イレーニアの気持ちに気づいてくれた。だから恋に落ちたのだ。
「だからあの人の婚約者になったのに……」
笑っているのに、イレーニアの目尻からはまた涙がこぼれた。ジルドを思えば思うほど、涙が止まらない。そんな思い出なんか、今目の前にいるこの男には関係のない話だというのに。
「……今でも好きなのか」
静かな問いかけに、イレーニアがぴくんと震える。
「……ええ。好きだわ。どうしてかしら。……もう、何年も会ってないのに」
「もう復縁できないなら忘れたほうがいい」
無慈悲な言葉をかけられて、またもイレーニアは笑ってしまう。
「ふ、ふふふっ本当に、あなたってあの人にそっくりだわ。正論で、言葉がぶっきらぼうで……なのにとっても格好よくて。それで、優しいんだわ」
「貴女はやはり俺を口説いていないか?」
「どうかしら」
イレーニアは笑ってごまかす。口説いているつもりはない。だが、本当にジルドに似ているのだ。喋り方も、寂しそうな笑い方も。声だけは違うが、彼に慰められているように錯覚してしまう。
「……あなたの言う通りだわ。あの人のことだけはやりなおせないんだから、もう……忘れたほうがいいんだわ」
「そうだな」
男は酒杯を傾けて、残った酒を飲みほした。そうしてソファから立ち上がり、ゆっくりとイレーニアの傍に寄る。長い指が、イレーニアの顎をすくって、上向かせた。
「なら、忘れさせてやろうか」
ソファに片膝を乗せて、男が囁く。
「あ……」
それがどんな誘いなのかはわかっていた。けれど、イレーニアはジルドそっくりの仮面の男に、見惚れる。
(だめ、なのに……)
「ん?」
仮面の奥の瞳は、もう彼女の答えを知っているかのように、熱が灯っている。
「……お願い、します」
小さな了承の言葉を合図に、イレーニアの唇が柔らかに奪われた。
「巻きこんでしまってごめんなさい……あなたもまだ夜会を楽しみたいでしょう……」
「いいや、顔を出すだけ出して義理は果たしたから帰るつもりだった。だから問題ない」
「……帰るところだったのに、ごめんなさい……」
うう、と言葉をこぼすと男が笑う。
「貴女は謝ってばかりだな」
そう言われて、イレーニアは少し黙る。
「謝ってばかり。……そうね。私は本当は、もっと謝らなくちゃいけないんだわ。もっともっと、色んな人に……」
果実水をもう一杯ついで、イレーニアはこぼす。
男は、イレーニアの名前を聞いてこない。彼女も男の名前を尋ねたりなんかしなかった。先ほどはジルドだと思ったが、彼の声とは違う声だ。顔つきもなんとなく違うように思える。だからきっとよく似た体格の別人なのだろう。イレーニアはこんな均整の取れた男にジルド以外で出会ったことがない。だから、たぶんお互い知らない同士だ。
それで、気が緩んでいる。
「たくさんの人に謝らねばならないような大罪を犯したのか?」
「……ずっと、昔に。悪いことだって知らずに、たくさんしたんです」
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この夜会に招待されるような貴族令嬢が悪いことをしたと言われても、ピンとこないのだろう。先ほどの二人組の男のような輩は、仮面舞踏会では『悪いこと』にも入らない。なぜなら、互いが了承の上なら『そういうこと』を愉しむのもこの夜会の目的の一つなのだ。もちろん、ただ会話を楽しむためだけに来る者もいるのだが。
「婚約者がいるのに、他の人と寝るのは、悪いことでしょう?」
「……あなたが、そんなことを?」
「毎晩のように、男を侍らせて……中には妻子持ちの方もいたのよ。でも、それを悪いことだって知らなかったの。……誰も、悪いことだって、教えてくれなかった」
話しながら、イレーニアはどんどん言葉が止まらなくなる。
「私が我儘を言えば、なんだって誰かが叶えてくれた。でもそれじゃだめだったんです。……それをね、終わらせてくれた人がいたの。だから、今はやりなおして……一生懸命頑張ったんです。今度は嫌われないように、悪いことをしないように、色んなことしました」
ぽつぽつとしゃべり続けるイレーニアの言葉を、男は黙って聞いてくれている。
「……おかげで、今はそんなに嫌われてない、と思います。ううん。多分、けっこう好かれてるんじゃないかな。人に、殺されるくらい憎まれるようなことは……ない、と思うんですけど……誰も、私が悪い奴だって、知らないんですよね」
そう言って、イレーニアは果実水の入っていた金属のカップを見る。カップに施されたメッキが一部剥がれて、内側の金属が覗いていた。
(これ、私みたい)
本当のイレーニアは、我儘で我慢を知らなくて、楽しいことばかりが好きな人間だ。前世の享楽にふけるあの姿が、本来のイレーニアなのだ。少なくとも彼女はそう思っている。だから、今周囲が抱いているイメージは、イレーニアが被った仮面にすぎない。ヴェールを被っていい人のふりをしているだけなのだ。このカップのメッキのように、いつかその『いい人』のふりができなくなって、はがれた途端にまた悪女に逆戻りするかもしれない。
きっとそうなれば、今イレーニアをもてはやしてくれる人たちは、誰もが掌を返すだろう。
「それはいけないことなのか? 貴女が新たに出会った人たちに、過去を知られていないことが?」
「だって!」
男の言葉に、イレーニアは顔を上げる。男の仮面の奥の瞳が、まっすぐに彼女を見ている。
「今は、周りの人は優しくしてくれます! でも、でも……みんな、私の本当の姿を知らなくて……きっと、私が悪い奴だって知ったら、嫌われちゃうから……! そんなの!」
叫んだところで、くしゃりと顔が歪んだ。
「寂しい……」
小さく呟いて、イレーニアは顔を手で覆う。涙が出ても、仮面で泣き顔なんか見られることはない。けれど、目から溢れたものを隠したかった。
(誰も、私のことなんか好きじゃない……)
もちろん、両親やカルタ伯爵は違うだろう。だが、自身の我儘な性格を考えると、ありのままで好いてくれる人なんかいないのではないかと思えてしまう。普段は忙しいから考えないが、ふと一人になったときにどうしようもなくその事実がイレーニアを苛む。死なずに平穏な暮らしを営めたとして、それは無為な時間だ。
「……寂しい、か」
イレーニアを見守っていた男は反芻して、彼女をじっと見つめる。しかし不意に目を逸らして、息を吐いた。
「貴女は、ありのままの自分を好いてほしいんだな」
「……ごめ、んなさい……勝手に、喋って……騒いで……」
「いや、かまわない」
短く言った男は、イレーニアから視線を逸らしたままだ。そうして何か気を紛らわせようとでもしたのか酒瓶を手に取って注ぎ、そのまま一気に呷った。
「ごめんなさい……」
「謝らなくていい。貴女はこれまでずっと頑張ってきたんだろう。……その、罪は大きいのかもしれないが」
「あなたが聞いてくれるからって、甘えてしまって……ごめんなさい」
またも謝るイレーニアに、男は首を振る。
「問題ない。見知らぬ相手のほうが気を許せるということもあるだろう。……それに、自分の本音が曝け出せなくて、孤独に思うのはわからないではない」
「……あなた、も?」
驚いて尋ねれば、男は小さく頷いた。その口元が、ほんのりと緩んでいる。けれども仮面の奥の瞳はなんだか寂しげだった。その口ぶりが、別人だと思った人にまたも重なってイレーニアは思わず笑みをこぼした。
「あなたって、私の好きな人に似てるわ」
「好きな人?」
驚いたように言って、男はまた酒を注いで呷った。今度は一気飲みではない。仮面の下の涙をぬぐって、「ええ」とイレーニアは答える。
「凄くお仕事ができてね、とってもかっこよくて……それでいつもたくさんの人に囲まれててね」
「それは、俺を口説いているのか」
「ふふ。違うわ。でも、凄く立派な人なのに、ときどきすごく寂しそうなの」
「貴女みたいに?」
すかさず聞かれて、イレーニアはくすくすと笑う。
「そう……そうなの。本当は、ずっと寂しかったの。それをあの人だけが気づいてくれて……」
『貴女は常に人に囲まれているのに、まるで独りでいるような顔をするんだな』
それは前世で、ジルドと婚約するよりもずいぶん前に言われた言葉だった。きっと彼はその頃にはすでにイレーニアのことを悪女だと思っていたのだろう。厳しい顔しか見せていなかったのに、あの時だけは困ったようにしながら優しく笑いかけてくれたのだ。
王太子という立場上、ジルドは常に立派であらねばならなかった。もちろん彼がもともと王子たるにふさわしい資質があったのは確かだろう。だが、彼だって人間だ。弱みを吐露できないことに思い悩むことだってあったに違いない。
自分と同じで人に好かれているのに、どうしようもなく寂しそうな人。そんな彼だけが、イレーニアの気持ちに気づいてくれた。だから恋に落ちたのだ。
「だからあの人の婚約者になったのに……」
笑っているのに、イレーニアの目尻からはまた涙がこぼれた。ジルドを思えば思うほど、涙が止まらない。そんな思い出なんか、今目の前にいるこの男には関係のない話だというのに。
「……今でも好きなのか」
静かな問いかけに、イレーニアがぴくんと震える。
「……ええ。好きだわ。どうしてかしら。……もう、何年も会ってないのに」
「もう復縁できないなら忘れたほうがいい」
無慈悲な言葉をかけられて、またもイレーニアは笑ってしまう。
「ふ、ふふふっ本当に、あなたってあの人にそっくりだわ。正論で、言葉がぶっきらぼうで……なのにとっても格好よくて。それで、優しいんだわ」
「貴女はやはり俺を口説いていないか?」
「どうかしら」
イレーニアは笑ってごまかす。口説いているつもりはない。だが、本当にジルドに似ているのだ。喋り方も、寂しそうな笑い方も。声だけは違うが、彼に慰められているように錯覚してしまう。
「……あなたの言う通りだわ。あの人のことだけはやりなおせないんだから、もう……忘れたほうがいいんだわ」
「そうだな」
男は酒杯を傾けて、残った酒を飲みほした。そうしてソファから立ち上がり、ゆっくりとイレーニアの傍に寄る。長い指が、イレーニアの顎をすくって、上向かせた。
「なら、忘れさせてやろうか」
ソファに片膝を乗せて、男が囁く。
「あ……」
それがどんな誘いなのかはわかっていた。けれど、イレーニアはジルドそっくりの仮面の男に、見惚れる。
(だめ、なのに……)
「ん?」
仮面の奥の瞳は、もう彼女の答えを知っているかのように、熱が灯っている。
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小さな了承の言葉を合図に、イレーニアの唇が柔らかに奪われた。
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