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Ⅲ アルマディス公国との婚姻
1 ニコラスの旅立ち
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ガラガラ ガラガラ
「おい、こっちだ!」
「これはどこに置く?」
「急げ、隊長が呼んでたぞ!」
「まずいっ、忘れてた!」
ヒヒーン!
ドタバタ ドタバタ
カルリスタ王国の王宮広場は、冷たい空気に馬が白い息を吐いている。足元の砂利を踏む音が小さなリズムを刻む。王子の馬車は漆黒の車体に金の装飾が施され輝いていた。
「ニコラス殿下!準備はよろしいでしょうか!」
側近であり親友のエドガー伯爵令息の声が清々しい朝の空気に響く。馬車の傍らでは、甲冑を身にまとった騎士たちが甲高い声で掛け声を交わし、革の手袋を叩く音や鎖帷子の小さな金属音が広場に響く。
「騎士様だ!カッコいいね」
「王子様だよ!」
「お馬さんおっきいねぇ!」
通りの向こうでは、市井の人々が集まり、旅立つニコラス殿下に手を振っている。
小さな子供が「行ってらっしゃい!」と叫ぶ声に馬の耳がぴくりと動く。
ゴーーーン!______
遠くの塔の鐘が一度、低く鳴り、緊張と期待が入り混じった空気をさらに重くする。
カルリスタ王国王都の広場に、豪華な馬車が整列した。
旗を翻す王室の紋章――黄金のフェニックスが太陽を抱く図柄――が朝日に煌めく。
侍従が馬車の扉を開け、ニコラス王子は馬車に乗り込む。窓からフェニックスの加護宿る白亜の城”王城ソルフェニア“をもう一度見上げる___ 彼女の暮らす王宮を。
カルリスタ王国を出発する――
騎士団は旅の無事を願って高らかに唱える ーー 『ソルフェニアの炎に誓え』とーー。
「さあ、出発の時間だ!」
馬車は号令と共に動き出した。
車輪の前に進むたびに広場のざわめきと混ざり合い、街全体が旅立ちの序曲を奏でるようだった。
副官や騎士たちの声
子供たちの歓声
市場のかけ合い
鳥や猫、金槌の音……
すべてが一瞬の生き生きとした交響曲となり、王子の胸の奥にわずかな高鳴りを生む。
「今日から ニヶ月の旅だ――」
馬車は王都を抜け、遠くアルマディス公国を目指しひた走るーー
心の奥でマーガレットを想いながら
つづく
________________
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「おい、こっちだ!」
「これはどこに置く?」
「急げ、隊長が呼んでたぞ!」
「まずいっ、忘れてた!」
ヒヒーン!
ドタバタ ドタバタ
カルリスタ王国の王宮広場は、冷たい空気に馬が白い息を吐いている。足元の砂利を踏む音が小さなリズムを刻む。王子の馬車は漆黒の車体に金の装飾が施され輝いていた。
「ニコラス殿下!準備はよろしいでしょうか!」
側近であり親友のエドガー伯爵令息の声が清々しい朝の空気に響く。馬車の傍らでは、甲冑を身にまとった騎士たちが甲高い声で掛け声を交わし、革の手袋を叩く音や鎖帷子の小さな金属音が広場に響く。
「騎士様だ!カッコいいね」
「王子様だよ!」
「お馬さんおっきいねぇ!」
通りの向こうでは、市井の人々が集まり、旅立つニコラス殿下に手を振っている。
小さな子供が「行ってらっしゃい!」と叫ぶ声に馬の耳がぴくりと動く。
ゴーーーン!______
遠くの塔の鐘が一度、低く鳴り、緊張と期待が入り混じった空気をさらに重くする。
カルリスタ王国王都の広場に、豪華な馬車が整列した。
旗を翻す王室の紋章――黄金のフェニックスが太陽を抱く図柄――が朝日に煌めく。
侍従が馬車の扉を開け、ニコラス王子は馬車に乗り込む。窓からフェニックスの加護宿る白亜の城”王城ソルフェニア“をもう一度見上げる___ 彼女の暮らす王宮を。
カルリスタ王国を出発する――
騎士団は旅の無事を願って高らかに唱える ーー 『ソルフェニアの炎に誓え』とーー。
「さあ、出発の時間だ!」
馬車は号令と共に動き出した。
車輪の前に進むたびに広場のざわめきと混ざり合い、街全体が旅立ちの序曲を奏でるようだった。
副官や騎士たちの声
子供たちの歓声
市場のかけ合い
鳥や猫、金槌の音……
すべてが一瞬の生き生きとした交響曲となり、王子の胸の奥にわずかな高鳴りを生む。
「今日から ニヶ月の旅だ――」
馬車は王都を抜け、遠くアルマディス公国を目指しひた走るーー
心の奥でマーガレットを想いながら
つづく
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