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Ⅲ アルマディス公国との婚姻
7 幼馴染の二人
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ニコラス殿下への挨拶を終えたオーデリア公女と、護衛騎士ローレンス公爵子息は居室塔の廊下から回廊へと出た。
窓の外では、アルマディスの海が陽射しを反射している。
「ラリー……あの"王子様“、思ったよりしっかりしてるわね」
オーデリアは肩の力を抜き、微笑む。目の前にいるローレンスに、無意識の愛称で呼びかけるのは、幼馴染としての自然さだ。
"ラリー“――ローレンスは、その呼び声に軽く笑みを浮かべた。
「そうだな、リア。頭も切れるし、礼儀も完璧。……悪くない“王子様"だ」
その笑顔には、兄のような余裕と、少しだけ嫉妬めいた色も含まれる。
オーデリアはそっと肩をすくめる。
「私、幸せになれるのかもって少し考えちゃった(えへっ)」
ローレンスは驚いた顔を見せず、穏やかに頷いた。
「そうか……リアがそう思えるなら、俺はそれでいい。大事なのは、リアの幸せだ。……誰とでも、な」
オーデリアの顔が少し赤くなる。
「ラリー……ありがとう」
言葉に迷いがあるのは、十九歳の公女がまだ恋心に自覚がないからだ。ただ、なぜか胸の奥が温かくなるのは確かだった。
ローレンスはニヤリと笑い、片手をポケットに滑り込ませる。
「……まあ、俺としては、リアの隣は譲りたくないけどな」
小さく呟き、肩をすくめ、ふわりと軽く笑う。その姿は、いつもと変わらぬ、軽く見えるけど実は誠実な護衛騎士の姿そのものだった。
オーデリアはしばらく海を見つめた後、そっとローレンスの腕を軽くつかむ。
「ねえ、ラリー……ありがとう」
その声には、幼い頃からの信頼と、まだ言葉にならない淡い恋心が混じっている。
ローレンスは微笑みながら、ふと立ち止まる。
「リア……俺は、ずっとそばにいる。……王子がどんなに優れていても、俺はリアのことは守る」
回廊を照らす陽射しが二人を包む。まるで二人だけの世界をそっと包み込んでいるようだった。
――その視線の端に、ニコラス王子の姿があったとしても、ローレンスの心は揺るがない。
オーデリアを守りたい、そして、いつかこの気持ちを伝えたい――そんな誓いが、陽射しに溶けていく。
つづく
窓の外では、アルマディスの海が陽射しを反射している。
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小さく呟き、肩をすくめ、ふわりと軽く笑う。その姿は、いつもと変わらぬ、軽く見えるけど実は誠実な護衛騎士の姿そのものだった。
オーデリアはしばらく海を見つめた後、そっとローレンスの腕を軽くつかむ。
「ねえ、ラリー……ありがとう」
その声には、幼い頃からの信頼と、まだ言葉にならない淡い恋心が混じっている。
ローレンスは微笑みながら、ふと立ち止まる。
「リア……俺は、ずっとそばにいる。……王子がどんなに優れていても、俺はリアのことは守る」
回廊を照らす陽射しが二人を包む。まるで二人だけの世界をそっと包み込んでいるようだった。
――その視線の端に、ニコラス王子の姿があったとしても、ローレンスの心は揺るがない。
オーデリアを守りたい、そして、いつかこの気持ちを伝えたい――そんな誓いが、陽射しに溶けていく。
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