S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られパーティ追放されヒキコモリに→美少女エルフに養って貰います
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
文字の大きさ
大中小
27 / 214
第2章
第27話 「え……? インポだったんですか、ケースケ様?」
しおりを挟む
「え……? インポだったんですか、ケースケ様?」
俺の告白にアイセルが驚いたような声をあげた。
「……そうだ。俺は3年前、幼馴染が勇者に寝取られてるシーンを見てしまって以来、ピクリとも勃たなくなったんだ」
性的興奮を全く感じなくなったことに不安を感じてこっそり宿に呼び寄せた医者の見立てでは、どうもそういうことらしかった。
「えっとあの、寝取られってその、あれですよね? つまり彼女さんが別の男の人と極度の濃厚接触してる的な……?」
「ああ。夜に2人がこっそり会ってまぐわっているところを、偶然に見てしまってさ。勇者が腰を突き上げるたびにアンジュは――俺の幼馴染は俺が聞いたことのないような嬌声をあげてたんだ」
「アンジュさんって確か勇者パーティーの魔法戦士の……ケースケ様の幼馴染だったんですね」
「さすがアイセルは詳しいな」
「えへへ、ファンでしたので」
「俺はずっとアンジュのことが好きでさ、子供の頃に将来結婚しようって約束したのをついこの前まで無邪気に信じてたんだ」
「アンジュさんが、ケースケ様の幼馴染で婚約者……」
「それで俺が冒険者になることを決めた時も、アンジュは『じゃあ私も』ってついてきてくれてさ。自然と俺たちは2人でパーティを組んだんだ」
『ケースケだけじゃ心配だもん、わたしが面倒見てあげるわよ』
そう言って俺の手を握ったアンジュの笑顔は、俺の心の奥底に今でもあって決して忘れることがなかった。
「まぁでも俺は最初の職種決定でまさかのバッファーになっちゃって、いきなり前途は多難だったんだけどな」
「そんないきさつがあったんですね……」
「でのあの頃は楽しかったな。バッファーっていうろくに戦えない後衛不遇職でも、アンジュと一緒なのは楽しくてさ。見ているだけで一緒に戦えないのは辛く感じることもあったけど、それでもあの時の俺は間違いなく幸せだったよ」
「アンジュさんのことが本当に好きだったんですね」
アイセルが少しだけ羨ましそうに、少しだけさみしそうに、そしてどこか切なそうにつぶやいた。
「でもアンジュは違ったんだ。俺をあっさり捨てて、途中からパーティのメンバーになった勇者に乗り換えたんだ」
「そんな……」
「勇者とはとあるクエストの攻略のために一時的にパーティを組んだんだけど、アンジュが強く希望したのもあってクエスト攻略後に正式にパーティの一員に迎え入れたんだ」
今思えばあの時からもう、アンジュは勇者のことを好いていたのかもしれないな……。
「乗り換えたって……どうして? どうしてそんな酷いことをするんですか……? 好き合ってた相手なのに……」
「さぁなんでなんだろうな? でも人の心なんてきっとそんなものなんだよ。何をどうしたって見ることはできなくて、どこまでも曖昧でどうしようもなく虚ろで、確実なものなんて何もない、ただただ空虚なものなんだ」
「ケースケ様……そんな悲しいこと言わないでください……」
そして傷を受けた心はすぐに壊れてしまうのだ。
俺があの日から勃たなくなってしまったように。
「ま、パーティの絶対エースで強くて何でもできる勇者と、開幕バフスキルを使ったら後は使い物にならない後衛不遇職のバッファーだ、比べるのもおこがましいよな」
前衛で共に身体を張って戦う勇者と魔法戦士。
であれば、好き合うのはむしろ自然な流れなのかもしれなかった。
ただ頭でそう理解するのと、心が納得いくのはまったく別の話なわけで。
俺の心はまだ、あの事実を事実として納得することができていないのだった。
受け入れることができないでいるのだった――。
「そんなことはありません、ケースケ様は本当にステキな男の人です!」
「ありがとうなアイセル。アイセルにそう言ってもらえて少しだけ気持ちが楽になったよ」
「って、あ――」
アイセルが何かを思い出したように言った。
「どうした?」
「だからケースケ様はわたしとパーティを組む時に言ったんですね。『俺がパーティのメンバーに求める条件はただ一つ。俺を裏切らないことだ』って」
「ま、そういうことだ。俺はもう2度と傷つきたくなかったから。だからあがり症で困っていて、手助けすると恩義を感じてくれるであろう素直なアイセルをパーティのメンバーに選んだんだよ。ははっ、情けないよな、ほんと」
果てしなく後ろ向きで、どこまでも個人的に過ぎる理由だった。
素直で優しいアイセルもさすがにこれには怒るかも――、
「……わたしはアンジュさんとは違います」
アイセルが何事か、聞き取れないような小さな声で言った。
「ん? ごめん、なんだって?」
俺が聞き返すと、アイセルは俺の胸から顔を離した。
そして俺を見上げると、しっかりと俺の目を見つめて言ったんだ、
「わたしはケースケ様を裏切ったりはしません。死ぬまでずっと一緒にいます、絶対の絶対にです」
――って。
俺の告白にアイセルが驚いたような声をあげた。
「……そうだ。俺は3年前、幼馴染が勇者に寝取られてるシーンを見てしまって以来、ピクリとも勃たなくなったんだ」
性的興奮を全く感じなくなったことに不安を感じてこっそり宿に呼び寄せた医者の見立てでは、どうもそういうことらしかった。
「えっとあの、寝取られってその、あれですよね? つまり彼女さんが別の男の人と極度の濃厚接触してる的な……?」
「ああ。夜に2人がこっそり会ってまぐわっているところを、偶然に見てしまってさ。勇者が腰を突き上げるたびにアンジュは――俺の幼馴染は俺が聞いたことのないような嬌声をあげてたんだ」
「アンジュさんって確か勇者パーティーの魔法戦士の……ケースケ様の幼馴染だったんですね」
「さすがアイセルは詳しいな」
「えへへ、ファンでしたので」
「俺はずっとアンジュのことが好きでさ、子供の頃に将来結婚しようって約束したのをついこの前まで無邪気に信じてたんだ」
「アンジュさんが、ケースケ様の幼馴染で婚約者……」
「それで俺が冒険者になることを決めた時も、アンジュは『じゃあ私も』ってついてきてくれてさ。自然と俺たちは2人でパーティを組んだんだ」
『ケースケだけじゃ心配だもん、わたしが面倒見てあげるわよ』
そう言って俺の手を握ったアンジュの笑顔は、俺の心の奥底に今でもあって決して忘れることがなかった。
「まぁでも俺は最初の職種決定でまさかのバッファーになっちゃって、いきなり前途は多難だったんだけどな」
「そんないきさつがあったんですね……」
「でのあの頃は楽しかったな。バッファーっていうろくに戦えない後衛不遇職でも、アンジュと一緒なのは楽しくてさ。見ているだけで一緒に戦えないのは辛く感じることもあったけど、それでもあの時の俺は間違いなく幸せだったよ」
「アンジュさんのことが本当に好きだったんですね」
アイセルが少しだけ羨ましそうに、少しだけさみしそうに、そしてどこか切なそうにつぶやいた。
「でもアンジュは違ったんだ。俺をあっさり捨てて、途中からパーティのメンバーになった勇者に乗り換えたんだ」
「そんな……」
「勇者とはとあるクエストの攻略のために一時的にパーティを組んだんだけど、アンジュが強く希望したのもあってクエスト攻略後に正式にパーティの一員に迎え入れたんだ」
今思えばあの時からもう、アンジュは勇者のことを好いていたのかもしれないな……。
「乗り換えたって……どうして? どうしてそんな酷いことをするんですか……? 好き合ってた相手なのに……」
「さぁなんでなんだろうな? でも人の心なんてきっとそんなものなんだよ。何をどうしたって見ることはできなくて、どこまでも曖昧でどうしようもなく虚ろで、確実なものなんて何もない、ただただ空虚なものなんだ」
「ケースケ様……そんな悲しいこと言わないでください……」
そして傷を受けた心はすぐに壊れてしまうのだ。
俺があの日から勃たなくなってしまったように。
「ま、パーティの絶対エースで強くて何でもできる勇者と、開幕バフスキルを使ったら後は使い物にならない後衛不遇職のバッファーだ、比べるのもおこがましいよな」
前衛で共に身体を張って戦う勇者と魔法戦士。
であれば、好き合うのはむしろ自然な流れなのかもしれなかった。
ただ頭でそう理解するのと、心が納得いくのはまったく別の話なわけで。
俺の心はまだ、あの事実を事実として納得することができていないのだった。
受け入れることができないでいるのだった――。
「そんなことはありません、ケースケ様は本当にステキな男の人です!」
「ありがとうなアイセル。アイセルにそう言ってもらえて少しだけ気持ちが楽になったよ」
「って、あ――」
アイセルが何かを思い出したように言った。
「どうした?」
「だからケースケ様はわたしとパーティを組む時に言ったんですね。『俺がパーティのメンバーに求める条件はただ一つ。俺を裏切らないことだ』って」
「ま、そういうことだ。俺はもう2度と傷つきたくなかったから。だからあがり症で困っていて、手助けすると恩義を感じてくれるであろう素直なアイセルをパーティのメンバーに選んだんだよ。ははっ、情けないよな、ほんと」
果てしなく後ろ向きで、どこまでも個人的に過ぎる理由だった。
素直で優しいアイセルもさすがにこれには怒るかも――、
「……わたしはアンジュさんとは違います」
アイセルが何事か、聞き取れないような小さな声で言った。
「ん? ごめん、なんだって?」
俺が聞き返すと、アイセルは俺の胸から顔を離した。
そして俺を見上げると、しっかりと俺の目を見つめて言ったんだ、
「わたしはケースケ様を裏切ったりはしません。死ぬまでずっと一緒にいます、絶対の絶対にです」
――って。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる