97 / 214
第6章

第95話 シャーリーのお父さん

しおりを挟む
 新たに『魔法使い』シャーリーを加え4人になったパーティ『アルケイン』は、馬車で数日かけて南部諸国連合の中央都へとやってきていた。

 着いたのは昨日で、シャーリーは実家に泊まっていて、俺たちは宿で一泊している。
 シャーリーとはちょうど今、再合流したところだった。

 ここで冒険者ギルド本部のギルドマスターをしているシャーリーのお父さんに、彼氏として紹介されるのが今回の俺のミッションだ。

 今日の俺は髪をオールバックに固め、清潔感のある服に身を包んでいる。
 挨拶の口上も考えてあるし、手土産にちょっといいお酒も用意していた。

 少し緊張はしているものの、準備にぬかりはない。

「中央都にはこの前来たばっかりなのに、まさかまたすぐ来ることになるとはな。普段来ることのないところに短期間で立て続けに来ると、なんだか不思議な感じがするよな」

「あ、私、買い物行きたい! アイセルさん一緒に行こう? この前は人と会ってばっかりだったから、今日は色々見て回りたいなぁ」

 おいサクラ、俺の発言は当たり前のようにスルーかい。
 まぁもう慣れたけどね。

「ごめんねケースケ、手間とらせちゃって」

 そんな俺にシャーリーが少し申し訳なさそうに声をかけてくる。

「いいっていいって。それに俺だって、シャーリーの意に沿わないお見合いは間違ってるって思うしな」

 もちろんお見合いそのものを否定する気はない。
 お見合いで幸せな結婚をするケースもたくさんあるだろう。

 だけど当の本人が納得していないのなら、やっぱりそれは違うと思うんだよな。

「じゃあケイスケとシャーリーはお父さんに会いに行って、私とアイセルさんは街で買い物。夜に宿で落ち合うってことで」

「なんでいつの間にサクラが仕切ってんだよ……まぁいいけどさ」

 俺とシャーリーはアイセル&サクラと別れると、冒険者ギルド本部へと向かった。

 冒険者ギルド本部のギルドマスターともなればとても忙しいらしく、ギルドの中で仕事の合間に会うことになっていたのだ。

 ギルドマスターの執務室はギルドの3階にあった。

 応接室を兼ねた小洒落た部屋に通されると、そこには一人の男性がいて。

「ようこそケースケ=ホンダム君。クレイグ=シェフィールドだ。会うのは初めてだが、君のことは昨晩、我が娘シャーリーからいろいろと聞かされて、それなりに知っているつもりだよ」

 ギルドマスターは堅苦しい口調で威厳たっぷりにそう言ってきたんだけど、

「え? あ、いえ、先日Sランクパーティに昇格した時のレセプションで、少しですが顔を合わせて話したかと……」

「そういえば、あのパーティにバッファーがいたような……そうか、君だったのか」

「ええ、はい」

 ……まぁ覚えられてないのはある意味仕方がない。

 ただでさえ話題の中心は若くて可愛い&絶対エースのアイセルだったうえに、俺もアイセルの名前を売るにはまたとない機会だと考えて、ひたすらアイセルを立てることに徹して俺自身は極力目立たないようにしてたからな。

 だからまぁ顔も名前も記憶すらされていないのは仕方ないんだけど、シャーリーは俺のことを昨日お父さんに伝えているんだよね?

 シャーリーはお父さんに俺の何を話したのかな?
 もしくはお父さんは、最初から聞く気がなかったりしませんでしたか?

「ワシも忙しいのでな、早速本題に入るとしよう。君はシャーリーと付き合っているそうだね? これは事実かい?」

「もちろんです、シャーリーさんとは良いお付き合いをさせていただいています。ですのでお見合いの件は、なかったことにしていただきたいんです」

「断固拒否する」

「……いやあの、えっと?」

 よもやよもや。
 のっけからこれ以上なくはっきりと断られてしまうとは。

「たかがバッファーなんぞに、ワシの大切な娘は任せられんと言ったのだ!」

 そして追い打ちをかけるようにまるで大型魔獣の咆哮のような、大気がビリビリと震えるほどの大声が飛んできた。

 さすがは冒険者ギルド本部のギルドマスターだ、迫力が半端ない。
 正直ビビりました。

 そんな想定外すぎる展開の連続に、俺が内心の動揺を必死に顔に出さないようにしていると、

「ちょっとお父さん! ケースケはSランクの勇者パーティの元メンバーで、今もパーティ『アルケイン』を結成わずか1年弱でSランクに引き上げてみせた有能な人材よ。たかがバッファーだなんて失礼なこと言うのはやめてよね」

 シャーリーが俺を擁護するべく、すかさず割って入ってきてくれた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

処理中です...