127 / 214
第8章

第125話 やけに整備された道

しおりを挟む
 数日後。
 クエストの準備とあわせて、お菓子やらお酒やらのお土産の準備も終えた俺たちは、冒険者ギルドから借りた馬車に乗って南部のアルケイン地方へと向かっていた。

 御者は当たり前のように俺がやっている。
 なんかもう慣れた俺が御者をするのが当たり前、みたいな感じになっている今日この頃だけど、特に不満があるというわけではない。

 むしろこうやってパーティの役に立てるのは、俺としてはとてもありがたかった。
 なにせついこの間も、戦闘でみんなに迷惑かけたばっかりだからね……。

 アイセルの生まれた村は森の中にあるので、近づくにつれてどんどんと緑が色濃くなっていくんだけど、

「なんか、思ってたより道が綺麗に整備されてるような……?」

 俺は田舎という割にはやけに綺麗な道に、なんともチグハグな感じを受けて、思わずそうつぶやいていた。

 街道を外れてもうだいぶん経ったというのに、いまだ道はしっかりと整備されているのだ。

 普通、主要な街道以外の脇道はろくに整備されていないものだ。
 今回みたいに街道を大きく外れて、森の奥深くまで入る道ともなれば草がぼうぼうで大きめの石が落ちていたって、なんら不思議じゃないはずなのに。

 だっていうのに、完全に森の中に入ったというのに道は綺麗にならされているし、そもそもかなり広いし、道の脇にはご丁寧に一定距離ごとに置かれるマイルストーンまで設置される親切設計ときたもんだ。

 完全に整備された主要街道ほどではないけれど、とても通りやすい道だった。

「ええっと……はい……」

 しかしなぜか地元民であるはずのアイセルが、一番不思議そうにあたりをキョロキョロと見回していたのだ。

「どうしたんだアイセル? なにか気になることでもあったのか?」

「気になると言いますか、この辺りの景色がわたしの記憶と全然違うんですけど……」

「げっ、マジか? もしかして道を間違えたか? ちょっと前の分かれ道かな? 悪いシャーリー、そこに地図があるから取ってくれないか?」

「はい、ケースケ」
「サンキュー。えっと今はだいたいこの辺りのはずだろ……」

 俺は馬車のペースを落とすと、ながら運転で地図を見始めたんだけど、

「あ、いえ。道はこれであってるはずです」

 アイセルはそんなことを言ってきたのだ。

「ん? でも景色が記憶と違ってるんだろ?」

「周囲の景色はあってるんです。でもこんな綺麗な道じゃありませんでした。もっと狭くて、それに地面もでこぼこしていたはずです。石とかもけっこうそのままで」

「……ってことは整備工事でもあったのかな?」

「こんな辺鄙へんびな、森の中の村へと続く道をですか?」

「でも辺鄙って言うわりに、意外とさっきから人や馬車とすれ違うんだよなぁ」

 俺はそれも疑問だった。
 この道、割と人通りあるよね?

「それも不思議なんですよね。なんの用事があって皆さんこの道を通ってるんでしょうか? だってこの道はこの辺りの村々をつなぐ生活道路で、最後の村まで行くとそこの先は獣道になるんですよ?」

「確かにそれはとても謎だな」
「謎ですよね……」

 俺とアイセルがうんうん頭を悩ませていると、

「この先になんかいい感じの観光スポットでもできたんじゃないの? ついでだから遊んで行こうよ!」
 サクラが超適当なことを言って、

「道はあってるのよね? だったらとりあえずはこのまま進めば分かるんじゃない? 行き来する人の表情を見る限り、特に危険はなさそうだし」

 シャーリーは冷静に分析をしてそう結論づけた。

「じゃあアイセルの村に寄った時に、ついでにその辺りのことも聞いてみるか」

 俺はいったん疑問を棚上げすると、当初の目的地であるアイセルの故郷の村に向かって馬車を進ませることにした。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...