159 / 214
第9章

第157話 『精霊結晶』(1)

しおりを挟む
「あはは……。それで感謝の気持ちってのは?」

『あーうん、そうそうこれよこれ。はい、どうぞ、ウンディーネから』

 言いながらドリアードはどこからともなく、薄く青みがかった透明で美しい宝石を取り出した。

「へぇ、これはまた綺麗な宝石だな。なんだろう、ダイヤモンドか? いや、それにしては少し青みがかってるし、逆にエメラルドにしてはちょっと透明すぎるよな。一体なんの宝石だろ?」

 ドリアードから手渡された宝石を透かして見たり、光に当たる角度を変えて見たりしながら、俺は宝石に関する知識を総動員したものの。
 残念ながらこれはというものには思い至らなかった。

 勇者パーティ時代には王宮宝物庫を内覧させてもらったこともあるし、簡単にだけど宝石の真贋鑑定も習ったことがあるし、結構宝石については詳しい方なんだけどな。

『チッチッチ、これは宝石なんてチャチなもんじゃないのよね』

「宝石じゃない? でもこれどう見たって宝石だろ?」

『ふふふ、聞いて驚きなさいハーレムキング! これはね、なんとウンディーネが自身の精霊力を結晶化させて作った『精霊結晶』なんだから!』

「へぇ、宝石じゃなくて『精霊結晶』なのか……『精霊結晶』……『精霊結晶』…………はぁっっ!!?? 『精霊結晶』だって!? 『精霊結晶』って、あの『精霊結晶』か!? 世界の至宝とも言われるあの伝説のマジックアイテムの!?」

 俺は驚きのあまり手の中にある宝石――『精霊結晶』をまじまじと凝視した。

『ハーレムキングはなかなか物知りね。さすがは私との超絶頭脳バトルに勝っただけのことはあるわ』

「そりゃどうも。そんなことより、マジで『精霊結晶』なのか、これ……すごい、俺初めて見たよ」

 『精霊結晶』とは最上位精霊が精霊力を使って生み出す特殊な宝石のことで、作った精霊によって異なる様々な効果を持つマジックアイテム――なのだそうだ。

 語尾がとても曖昧なのには訳があって、なにせ物がほとんど現存しないので古い文献の中でしか知りようがないし、だから値段なんてつけようもなく、そもそも市場に流通することすら全くない伝説級の激レアアイテムだからだ。

 どれくらいレアかっていうと、俺たちのいる南部諸国連合や周辺諸国には実物は1つも存在しないんじゃないだろうか。

 下手したら、大陸中央にある超大国シェアステラ王国であっても1つ持っているかどうか。
 それくらいレアな、まさに神話級ともいうべきマジックアイテムが今、俺の手の中にあるなんて――!

『パッと見はちょっと綺麗な宝石だけど、試しにちょっと部屋を暗くして、よーく中を見てみなさいな』

 ドリアードに言われた通り、部屋の明かりを消してから目を凝らして見てみると。

「部屋を暗くしたのに、中が光ってる……?」

 『精霊結晶』の内部はわずかに発光していて、しかも自然の光ではあり得ない精緻かつ複雑で魂を揺さぶるような神秘的な煌めき方をしているのが見て取れた。

『そうそう、内部がわずかに自然発光してるでしょ? これはね、通常は見えない精霊力が超高度な圧縮術式によって、視認できるまで密度を高めて圧縮されてるからなのよ』

「圧縮された精霊力が光って、人間にも見えるようになってるってことか……すごいな、これが伝説の『精霊結晶』なんだ。ちょっと感動した」

『喜んでくれたようでなによりね!』

「そりゃ喜ぶさ。この『精霊結晶』をお礼にくれるってことなんだろ? マジなんだよな?」

『そうよ、マジマジ。今回の一件、ウンディーネはもうほんとすっごく喜んでるんだから、気持ちよく受け取りなさいな』

「そうか、マジでこれをくれるのか」

 ごくり、と俺の喉が鳴った。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

処理中です...