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可愛い女の子の作ったごはんが食べたいです
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姉であるナージュと間違われ(…たんだよな?)、竜王国に連れてこられて早丸一日が経った。
間違われたとはいえ、俺は竜王の番いの弟、いわば親類、つまり身内、なんと義弟だ。
豪奢な王宮で、平民の俺からは馴染みの無い広い室内で、贅を尽くした調度品に囲まれ、見たこともないコース料理に見た目も美しいお菓子を振る舞われ、帰宅できるその時まで、下にも置かない歓待を受ける。
と、思うだろ?
な?
普通そう思うよな?
ざ ん ね ん !
しっくりくる広さの家で(俺の家より狭いかもしれない。山小屋?)、
純朴な家具に囲まれ(すげー手作り感溢れてる)、
見たことない焦げ付いた飯を出され(味付け塩だけとかシンプルすぎるわ!)、
妙に美味い素朴なクッキーを振る舞われ、
帰宅できないとか言われてるんだよぉぉぉぉぉ!!!
「いやー、マジ陛下の執着ヤベーっすわ」
丸太を切ったままの素朴な椅子(むしろ丸太)に腰掛けて、ミルさん――竜王と一緒に俺を竜王国に拉致した犯人である――は、他人事のように言った。
「俺を帰してくださいよぉぉぉ!」
何度目か分からない魂の叫びをぶつけてしまう。
単に竜王国観光で滞在できるなら、それは一生分の幸運を使っても成し遂げたいチャンスなんだろう。
大陸に住む俺達竜族以外の種族は、番いに選ばれた者しか竜王国には行けないと聞く。
いや、行く手段がそもそもないのだ。
竜人の案内がなければ、空の向こうの見えないこの島にたどり着く事はできない。
つまり、現在、俺は、一人じゃ、家に帰れないっ、てこと!!!
「いやぁ~、普通に考えて無理っしょ?」
「ミルさぁん、こっそり帰してぇ!」
「ん~、何回もいうけどさぁ無理無理ぃ。番い殿には悪いけどぉ、俺まだ死ぬ理由ないからさぁ」
死ぬの!?
俺を逃したらミルさん死ぬの!?
「もしやったら多分俺、上等の炭か灰になるんじゃないかなぁ?」
オゥ……。
燃やされる……燃やされるのぉ……?
えええ……。
「う……じゃあ!竜王陛下にちゃんと言って下さいよ!陛下の番は俺の姉だって!
似てるかもしれないけど、俺は弟の方なんだって!」
そうだ、こんな所でのんびりしてはいられない。
姉のナージュは確実に怒っているだろうし、その原因が俺なら機嫌をとるのが大変なのだ。
嫁入りの日に夫になる人物が来なかっただなんて、花嫁からしたら一生根に持つ事なんじゃないか?
うわー、そう思うと竜王陛下にちょっと同情するわ。
俺の奥さんにはそんな不義理しないようにしよう。
わかってる、奥さんは俺の未来の妄想だ。
「つーか番い殿が言えば良いんじゃないっすかぁ」
「昨日から顔見せない相手にどうやって言えと」
そう。
昨日の俺は、ゴージャスな部屋でゴージャスなソファーとそこに座るゴージャスな竜王陛下の膝に抱っこされていたのだ。
お茶を口移しするとか寝ぼけた事をしようと諦めずに、こっちをチラチラ見るのを終始知らんぷりしてやり過ごしていた。
そんな攻防をちょっとばかし繰り広げていたら、陛下はなんかキリッとした感じの可愛いメイドさんに引きずられて出ていってそれから顔を見ていない。
つーか、ホントにここの竜人、竜王陛下の扱い雑じゃない?
「ん~。……なぁ番い殿ぉ?ここの食事どうだったぁ?」
「は?何を急に…。食事……食事ですか。」
昨晩は味のうすーいスープにカチカチのパンだけ。
食後のおやつは、ちょっと固めだけど美味しいクッキーだった。
今朝は黒焦げになったパンとリンゴといったラインナップ。
「……竜人て、意外と質素な食事なんですね?」
クソまず粗食とはさすがに言えない。
正直平民である俺の家ですら、もう少しまともだったぞ。
「ぶははっ!!いやいや、俺たちだってもっと良いもの食べてるからねぇ?」
「え、……俺だけあんなマズい飯だった訳……?えっ、俺、捕虜みたいな扱い?」
まさか、竜王の番いの身内といった扱いですら無い?
勝手に連れてこられただけなのに、不法入国扱いとか!?
だからこんな家に押し込められてる!?
「ククク……番い殿ぉ、アンタめっちゃくちゃ面白いねぇ。マズい飯……捕虜……ぶふっ」
何がツボに入ったのか、ミルさんはテーブルに突っ伏して笑った。
解せぬ。
間違われたとはいえ、俺は竜王の番いの弟、いわば親類、つまり身内、なんと義弟だ。
豪奢な王宮で、平民の俺からは馴染みの無い広い室内で、贅を尽くした調度品に囲まれ、見たこともないコース料理に見た目も美しいお菓子を振る舞われ、帰宅できるその時まで、下にも置かない歓待を受ける。
と、思うだろ?
な?
普通そう思うよな?
ざ ん ね ん !
しっくりくる広さの家で(俺の家より狭いかもしれない。山小屋?)、
純朴な家具に囲まれ(すげー手作り感溢れてる)、
見たことない焦げ付いた飯を出され(味付け塩だけとかシンプルすぎるわ!)、
妙に美味い素朴なクッキーを振る舞われ、
帰宅できないとか言われてるんだよぉぉぉぉぉ!!!
「いやー、マジ陛下の執着ヤベーっすわ」
丸太を切ったままの素朴な椅子(むしろ丸太)に腰掛けて、ミルさん――竜王と一緒に俺を竜王国に拉致した犯人である――は、他人事のように言った。
「俺を帰してくださいよぉぉぉ!」
何度目か分からない魂の叫びをぶつけてしまう。
単に竜王国観光で滞在できるなら、それは一生分の幸運を使っても成し遂げたいチャンスなんだろう。
大陸に住む俺達竜族以外の種族は、番いに選ばれた者しか竜王国には行けないと聞く。
いや、行く手段がそもそもないのだ。
竜人の案内がなければ、空の向こうの見えないこの島にたどり着く事はできない。
つまり、現在、俺は、一人じゃ、家に帰れないっ、てこと!!!
「いやぁ~、普通に考えて無理っしょ?」
「ミルさぁん、こっそり帰してぇ!」
「ん~、何回もいうけどさぁ無理無理ぃ。番い殿には悪いけどぉ、俺まだ死ぬ理由ないからさぁ」
死ぬの!?
俺を逃したらミルさん死ぬの!?
「もしやったら多分俺、上等の炭か灰になるんじゃないかなぁ?」
オゥ……。
燃やされる……燃やされるのぉ……?
えええ……。
「う……じゃあ!竜王陛下にちゃんと言って下さいよ!陛下の番は俺の姉だって!
似てるかもしれないけど、俺は弟の方なんだって!」
そうだ、こんな所でのんびりしてはいられない。
姉のナージュは確実に怒っているだろうし、その原因が俺なら機嫌をとるのが大変なのだ。
嫁入りの日に夫になる人物が来なかっただなんて、花嫁からしたら一生根に持つ事なんじゃないか?
うわー、そう思うと竜王陛下にちょっと同情するわ。
俺の奥さんにはそんな不義理しないようにしよう。
わかってる、奥さんは俺の未来の妄想だ。
「つーか番い殿が言えば良いんじゃないっすかぁ」
「昨日から顔見せない相手にどうやって言えと」
そう。
昨日の俺は、ゴージャスな部屋でゴージャスなソファーとそこに座るゴージャスな竜王陛下の膝に抱っこされていたのだ。
お茶を口移しするとか寝ぼけた事をしようと諦めずに、こっちをチラチラ見るのを終始知らんぷりしてやり過ごしていた。
そんな攻防をちょっとばかし繰り広げていたら、陛下はなんかキリッとした感じの可愛いメイドさんに引きずられて出ていってそれから顔を見ていない。
つーか、ホントにここの竜人、竜王陛下の扱い雑じゃない?
「ん~。……なぁ番い殿ぉ?ここの食事どうだったぁ?」
「は?何を急に…。食事……食事ですか。」
昨晩は味のうすーいスープにカチカチのパンだけ。
食後のおやつは、ちょっと固めだけど美味しいクッキーだった。
今朝は黒焦げになったパンとリンゴといったラインナップ。
「……竜人て、意外と質素な食事なんですね?」
クソまず粗食とはさすがに言えない。
正直平民である俺の家ですら、もう少しまともだったぞ。
「ぶははっ!!いやいや、俺たちだってもっと良いもの食べてるからねぇ?」
「え、……俺だけあんなマズい飯だった訳……?えっ、俺、捕虜みたいな扱い?」
まさか、竜王の番いの身内といった扱いですら無い?
勝手に連れてこられただけなのに、不法入国扱いとか!?
だからこんな家に押し込められてる!?
「ククク……番い殿ぉ、アンタめっちゃくちゃ面白いねぇ。マズい飯……捕虜……ぶふっ」
何がツボに入ったのか、ミルさんはテーブルに突っ伏して笑った。
解せぬ。
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