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第2章 冒険者1~2か月目
30話 散策開始【中編】
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目の前に広がったギルドには、思い描いた通り、多くの冒険者の姿があった。
そうだよこれだよ! オレが求めていた異世界のギルドってやつは!
あとはあれだな、こういうギルドであるあるイベントと言えば、やっぱり……
「買取での一波乱とか、冒険者パーティの仲間わ……」
「はい、ヒロト。本日の目的地はこちらになりまーす」
「サクサクと行きましょう、きびきびと行きましょう、テキパキと行きましょう」
ガッツポーズをしていたオレの首根っこを引っ掴み、猫を運ぶ感覚でズルズルとサディエルに引きずられていく。
…………あの、あのさ。
「サディエル離して! これ結構恥ずかしい! オレ、こんな公衆の面前で恥ずかしい思いしたくてギルドに意気揚々と入ったんじゃない!」
「はいはい、わかった、わかった。あ、すいませーん、調べ物をしたいので、書庫の鍵を借りしたいんですけどー」
「話聞いてた!? ねぇ!?」
オレの主張を軽やかに無視して、サディエルはそのまま受付まで行き、書庫の鍵を借りる申請してるし。
そして特に動揺もせずギルドの職員さんも鍵を取りに席外しちゃうし。
「あの、サディエル……落ち着いたから離して欲しいです……」
「ん? 正気に戻ったか。ほいよ」
正気喪失判定食らってたのかよ、オレ……めっちゃ正常だったんだけど。
無事にサディエルに離されて、ホッと一息つく。
改めてギルド内を見回す。
ギルドに居る冒険者たちは、2つのパーティが情報交換しているのか楽しそうに話していたり、仕事を吟味してるのか依頼掲示板っぽい所で2~3枚の依頼書を手に取りながら相談していた。
他には地図を指さしながら何か真剣な表情で喋っていたり、単純に飲み物を飲みながらの談笑している人たちもいる。
受付の方を見ると、ギルドの職員の人が持ち込まれたと思われる品物を鑑定しながら、あれこれと持ち込んだ冒険者に話しかけているし。
別の窓口だと、まだ冒険者になりたてっぽい、オレと同年代ぐらいの少年少女たちが依頼書を受付に渡していた。
依頼書の確認したギルドの職員さんが押印して『魔物退治ですから、命を大事に。気を付けて行ってきてください』と激励をしている姿も。
うん……なんつーか……
「ふ、ふつー……」
「そうですよ? 深夜の酒場で酔っぱらい同士が喧嘩する場所じゃないんですし」
「ヒロトの所では"良くある"らしい冒険者同士が喧嘩したり、ギルドの受付が何故か煽ったりとか、そんなこといちいちやってたら、経営成り立たないって」
そこまで言われて、あー……と、オレは頭を抱える。
うん、そうでした。オレの想像しているギルドは『展開的に面白いor不遇』にするためのフレーバーだった。
実際は、真面目に仕事を探したり、近辺で出た強敵に対する対策検討とか情報共有していく等、そういうのがメインになる場所だった、ギルドってのは。
っていうか、行くたびに利用者が喧嘩ばっかりとか、受付の対応が悪かったりとかだと、現代社会なら問答無用でSNSに晒されて叩かれて、廃業コース待ったなしだよな。
うん、ファンタジーだから許されてるシーンだわ、あれ。
そうオレが黄昏ている間に、サディエルは戻ってきたギルドの職員さんに、先ほどから記入していた紙を渡す。
「今のは?」
「ギルドの書庫を使わせて貰うので、入室手続きですよ。本の紛失があった場合とかの備えであり、私たち自身も疑われないための証明書になります」
「サインと入退出時間で、犯人候補じゃないって分かるって感じか」
「そういうことです」
凄く現実的な話ばかりになって、一気に思考がクリアになっていく感覚がする。
一通りの手続きが終わったのか、サディエルはギルドの職員さんから鍵を受け取りながらお礼を言い、オレらに着いてくるように合図を送ってくれる。
そのまま、ギルドの奥へと繋がる通路に入り、いくつかの部屋を通り過ぎ、少しばかり厳重なドアの前に来た。
そこでサディエルは預かった鍵を鍵穴に差し込み、軽くひねる。
すると、カチャリ、と言う小さな音と共にドアが開いた。
「おおー、本格的な書庫だ!……って、これでもエルフェル・ブルグの足元に及ばないの?」
「あぁ。あっちはここの数千倍クラスだからな」
う、うわぁい……オレの世界でいう所の国立国会図書館に該当するんだろうな、きっと。
けど、それだけの量になるってことは、"探してる本はココにあるよ"的な検索機能かお助けキャラいないと、目的のやつ探すだけで数日かかりそうだな、それ。
できれば、ここで決着ついてくれないもんかなー……都合よく。
「さて、書庫には俺らしかいないわけで、本を確認している間は暇になるヒロトに、1つギルドの特徴を教えよう」
「ん? 特徴?」
「あぁ。それは『伝達用の水晶』についてだ」
伝達用の、水晶?
オレは首を傾げながらサディエルたちの説明に耳を傾ける。
―――『伝達用の水晶』
それは、この世界で現状唯一の情報伝達手段のことだった。
「俺らの世界は、ヒロトの所みたいに声を届ける"でんわ"とか、文字を伝える"めーる"とか、互いの姿を映すものもない。だけど、エルフェル・ブルグで研究されている対魔物・魔族に対する情報は、常にどの国でも最新にしていなければならない」
「そうしないと対策が遅れて人が死ぬ。最悪の場合だと街や村、国が滅ぶからだよね」
「そういうこと。だけど、書簡とかになるとどうしても遠い国には数か月の空白期間が出来てしまう」
その空白期間を解消する手段として、数百年前に作られたもの。
それが、各ギルドに必ず設置されている『伝達用の水晶』というわけだ。
この水晶の使い方は至ってシンプル。
魔力を込めて相手側の水晶を発光させる、というものだった。
もちろん、その発光には規則性がある。
最初に情報を伝達したい場所を魔力で設定して、それが終わったら送信先の水晶を発光させて情報を伝える、という方式らしい。
ようは、モールス符号である……何でこんな異世界でお目にかかるんだよ、この前のToDoリストといい。
あと、情報を伝達したい場所の設定も、ようは電話番号のようなものだ。
この街のギルドにはこれ、って感じで設定値が割り振られている。
電話番号で例えるなら、1桁目が0なら国内で、次の4桁で市内局番か市外局番、残り4桁が……ってやつ。
「そんでもって、この水晶だが……おおまかに3種類存在するんだ」
まず1つ目は『エルフェル・ブルグからの情報受信専用』
ギルド内をしっかり見ると、どこに居ても見えやすい場所に、凄い豪華な装飾がされた水晶があるそうだ。
それが先ほど言っていた、対魔物や魔族の最新情報を受信する専用の水晶になる。
これが光っている時は、業務を一時中断して、伝えられる情報を確認及び情報共有をする必要があるとのこと。
後日に書簡こそ届くけど、まずは第一報としてそれが光るのだ。
2つ目と3つ目は『送信専用の水晶』と『受信専用の水晶』
電話と違って、1台で声を届けて受け取るってことが出来ない。
その為、相手と通話する形にしたい場合は、どうしても送信専用と受信専用を並列させて使用する必要がある。
この水晶はギルドごとに保有量が異なっており、具体的な使用用途を上げるとすると、こうなる。
〇国内の各避難所との連絡用
〇魔物襲撃時の各防衛箇所との連絡用
〇隣接する国や街との緊急連絡用
〇近隣諸国の中間に点在する、中継地点との連絡用
〇国内にギルドが複数ある場合は、各ギルドと連絡用
ざっくり上げると、これだけあるらしい。
「ちなみに、この中央ギルドが保有する水晶は、壊れたときの予備を含めて、送信用が30基、受信用が60基だ」
「この書庫に着く前にいくつかの部屋を通り過ぎましたよね。あれらのいくつかは、通信専用室です」
「まじか」
ちなみに、メールとかみたいに後から読めるとか、留守電機能は当然ないわけなので、24時間365日……で、いいのか? この世界の暦は。
とにもかくにも必ず2人以上が水晶の前で待機する必要があるらしい。
「あっ、ってことは以前の魔物襲撃の情報もそれで?」
「そうそう。街のギルドから『こっちに襲撃確定したよー、戻ってきてー』と連絡を貰い、戻る準備を大急ぎでやって、ついでに中継地点に詳細を伝えに来た冒険者から、追加情報貰ったって流れだな」
「ギルド側も避難準備と防衛内容調整で忙しく、初動は必要最低限の通信になってしまいます。中継地点まで馬を飛ばして追加情報を伝えてくれた冒険者の方も、大変そうでした」
あの時、防衛ルールだけでもびっくりしてたのに、さらにその手前に通信云々でそんなことがあったとは。
そっか、緊急時には水晶があっちこっち光りまくるから、1つに集中してあれこれする余裕がなくなるんだな。
……なにその修羅場、超怖い。
「ヒロトが覚えているか分からないけど、避難所にも水晶があって、各避難所同士やギルドと情報共有も出来るんだ」
「そっか。それであの時、オレがまだ避難してないって、すぐに把握出来たってわけになるのか」
「そういうこと。情報は迅速に、正確に! ってわけさ」
オレの世界と比較すれば原始的には違いないけど、確かに遠くの場所と情報共有が出来るって点では便利だよな。
「あと発光内容の解読に関してだけど、ギルド職員だけじゃ対応しきれない場合に備えて、冒険者も解読出来るようになっていないといけないんだ」
「………」
つまり、この世界のモールス符号を覚える事が冒険者になる最低条件ってこと?
オレはぐぎぎっ、とサディエルたちを見て
「えーっと、オレが覚える必要は……いや、それ以前に、まずこの世界の文字読めないと話にならないんですが」
「うん、大丈夫。帰る予定のヒロトには不要な知識だから覚えなくていいよ。そもそも時間に限りがあるんだから、切る項目はすっぱり切っていかないとな」
ぱららっ、と本の内容を確認しながらサディエルはそう答える。
取捨選択は本当に大事だな……本当に……
そんな会話をしている間にも、サディエルとリレルは手早く本を取っては内容確認を繰り返していく。
明らかに違うジャンルの本棚を除いて、一通り確認し終え……
「うん! 無い!」
「無かったですね」
「想像はついてたけど……残念」
予想通りの空振りとなったのだった。
うん、期待は少ししてたけど、そうだよなーって感想だ。
「落ち込まない、落ち込まない。さて、少し遅くなったけど昼飯にしよう。その後は、軽く国内を散策かな」
「はーい」
そうだよこれだよ! オレが求めていた異世界のギルドってやつは!
あとはあれだな、こういうギルドであるあるイベントと言えば、やっぱり……
「買取での一波乱とか、冒険者パーティの仲間わ……」
「はい、ヒロト。本日の目的地はこちらになりまーす」
「サクサクと行きましょう、きびきびと行きましょう、テキパキと行きましょう」
ガッツポーズをしていたオレの首根っこを引っ掴み、猫を運ぶ感覚でズルズルとサディエルに引きずられていく。
…………あの、あのさ。
「サディエル離して! これ結構恥ずかしい! オレ、こんな公衆の面前で恥ずかしい思いしたくてギルドに意気揚々と入ったんじゃない!」
「はいはい、わかった、わかった。あ、すいませーん、調べ物をしたいので、書庫の鍵を借りしたいんですけどー」
「話聞いてた!? ねぇ!?」
オレの主張を軽やかに無視して、サディエルはそのまま受付まで行き、書庫の鍵を借りる申請してるし。
そして特に動揺もせずギルドの職員さんも鍵を取りに席外しちゃうし。
「あの、サディエル……落ち着いたから離して欲しいです……」
「ん? 正気に戻ったか。ほいよ」
正気喪失判定食らってたのかよ、オレ……めっちゃ正常だったんだけど。
無事にサディエルに離されて、ホッと一息つく。
改めてギルド内を見回す。
ギルドに居る冒険者たちは、2つのパーティが情報交換しているのか楽しそうに話していたり、仕事を吟味してるのか依頼掲示板っぽい所で2~3枚の依頼書を手に取りながら相談していた。
他には地図を指さしながら何か真剣な表情で喋っていたり、単純に飲み物を飲みながらの談笑している人たちもいる。
受付の方を見ると、ギルドの職員の人が持ち込まれたと思われる品物を鑑定しながら、あれこれと持ち込んだ冒険者に話しかけているし。
別の窓口だと、まだ冒険者になりたてっぽい、オレと同年代ぐらいの少年少女たちが依頼書を受付に渡していた。
依頼書の確認したギルドの職員さんが押印して『魔物退治ですから、命を大事に。気を付けて行ってきてください』と激励をしている姿も。
うん……なんつーか……
「ふ、ふつー……」
「そうですよ? 深夜の酒場で酔っぱらい同士が喧嘩する場所じゃないんですし」
「ヒロトの所では"良くある"らしい冒険者同士が喧嘩したり、ギルドの受付が何故か煽ったりとか、そんなこといちいちやってたら、経営成り立たないって」
そこまで言われて、あー……と、オレは頭を抱える。
うん、そうでした。オレの想像しているギルドは『展開的に面白いor不遇』にするためのフレーバーだった。
実際は、真面目に仕事を探したり、近辺で出た強敵に対する対策検討とか情報共有していく等、そういうのがメインになる場所だった、ギルドってのは。
っていうか、行くたびに利用者が喧嘩ばっかりとか、受付の対応が悪かったりとかだと、現代社会なら問答無用でSNSに晒されて叩かれて、廃業コース待ったなしだよな。
うん、ファンタジーだから許されてるシーンだわ、あれ。
そうオレが黄昏ている間に、サディエルは戻ってきたギルドの職員さんに、先ほどから記入していた紙を渡す。
「今のは?」
「ギルドの書庫を使わせて貰うので、入室手続きですよ。本の紛失があった場合とかの備えであり、私たち自身も疑われないための証明書になります」
「サインと入退出時間で、犯人候補じゃないって分かるって感じか」
「そういうことです」
凄く現実的な話ばかりになって、一気に思考がクリアになっていく感覚がする。
一通りの手続きが終わったのか、サディエルはギルドの職員さんから鍵を受け取りながらお礼を言い、オレらに着いてくるように合図を送ってくれる。
そのまま、ギルドの奥へと繋がる通路に入り、いくつかの部屋を通り過ぎ、少しばかり厳重なドアの前に来た。
そこでサディエルは預かった鍵を鍵穴に差し込み、軽くひねる。
すると、カチャリ、と言う小さな音と共にドアが開いた。
「おおー、本格的な書庫だ!……って、これでもエルフェル・ブルグの足元に及ばないの?」
「あぁ。あっちはここの数千倍クラスだからな」
う、うわぁい……オレの世界でいう所の国立国会図書館に該当するんだろうな、きっと。
けど、それだけの量になるってことは、"探してる本はココにあるよ"的な検索機能かお助けキャラいないと、目的のやつ探すだけで数日かかりそうだな、それ。
できれば、ここで決着ついてくれないもんかなー……都合よく。
「さて、書庫には俺らしかいないわけで、本を確認している間は暇になるヒロトに、1つギルドの特徴を教えよう」
「ん? 特徴?」
「あぁ。それは『伝達用の水晶』についてだ」
伝達用の、水晶?
オレは首を傾げながらサディエルたちの説明に耳を傾ける。
―――『伝達用の水晶』
それは、この世界で現状唯一の情報伝達手段のことだった。
「俺らの世界は、ヒロトの所みたいに声を届ける"でんわ"とか、文字を伝える"めーる"とか、互いの姿を映すものもない。だけど、エルフェル・ブルグで研究されている対魔物・魔族に対する情報は、常にどの国でも最新にしていなければならない」
「そうしないと対策が遅れて人が死ぬ。最悪の場合だと街や村、国が滅ぶからだよね」
「そういうこと。だけど、書簡とかになるとどうしても遠い国には数か月の空白期間が出来てしまう」
その空白期間を解消する手段として、数百年前に作られたもの。
それが、各ギルドに必ず設置されている『伝達用の水晶』というわけだ。
この水晶の使い方は至ってシンプル。
魔力を込めて相手側の水晶を発光させる、というものだった。
もちろん、その発光には規則性がある。
最初に情報を伝達したい場所を魔力で設定して、それが終わったら送信先の水晶を発光させて情報を伝える、という方式らしい。
ようは、モールス符号である……何でこんな異世界でお目にかかるんだよ、この前のToDoリストといい。
あと、情報を伝達したい場所の設定も、ようは電話番号のようなものだ。
この街のギルドにはこれ、って感じで設定値が割り振られている。
電話番号で例えるなら、1桁目が0なら国内で、次の4桁で市内局番か市外局番、残り4桁が……ってやつ。
「そんでもって、この水晶だが……おおまかに3種類存在するんだ」
まず1つ目は『エルフェル・ブルグからの情報受信専用』
ギルド内をしっかり見ると、どこに居ても見えやすい場所に、凄い豪華な装飾がされた水晶があるそうだ。
それが先ほど言っていた、対魔物や魔族の最新情報を受信する専用の水晶になる。
これが光っている時は、業務を一時中断して、伝えられる情報を確認及び情報共有をする必要があるとのこと。
後日に書簡こそ届くけど、まずは第一報としてそれが光るのだ。
2つ目と3つ目は『送信専用の水晶』と『受信専用の水晶』
電話と違って、1台で声を届けて受け取るってことが出来ない。
その為、相手と通話する形にしたい場合は、どうしても送信専用と受信専用を並列させて使用する必要がある。
この水晶はギルドごとに保有量が異なっており、具体的な使用用途を上げるとすると、こうなる。
〇国内の各避難所との連絡用
〇魔物襲撃時の各防衛箇所との連絡用
〇隣接する国や街との緊急連絡用
〇近隣諸国の中間に点在する、中継地点との連絡用
〇国内にギルドが複数ある場合は、各ギルドと連絡用
ざっくり上げると、これだけあるらしい。
「ちなみに、この中央ギルドが保有する水晶は、壊れたときの予備を含めて、送信用が30基、受信用が60基だ」
「この書庫に着く前にいくつかの部屋を通り過ぎましたよね。あれらのいくつかは、通信専用室です」
「まじか」
ちなみに、メールとかみたいに後から読めるとか、留守電機能は当然ないわけなので、24時間365日……で、いいのか? この世界の暦は。
とにもかくにも必ず2人以上が水晶の前で待機する必要があるらしい。
「あっ、ってことは以前の魔物襲撃の情報もそれで?」
「そうそう。街のギルドから『こっちに襲撃確定したよー、戻ってきてー』と連絡を貰い、戻る準備を大急ぎでやって、ついでに中継地点に詳細を伝えに来た冒険者から、追加情報貰ったって流れだな」
「ギルド側も避難準備と防衛内容調整で忙しく、初動は必要最低限の通信になってしまいます。中継地点まで馬を飛ばして追加情報を伝えてくれた冒険者の方も、大変そうでした」
あの時、防衛ルールだけでもびっくりしてたのに、さらにその手前に通信云々でそんなことがあったとは。
そっか、緊急時には水晶があっちこっち光りまくるから、1つに集中してあれこれする余裕がなくなるんだな。
……なにその修羅場、超怖い。
「ヒロトが覚えているか分からないけど、避難所にも水晶があって、各避難所同士やギルドと情報共有も出来るんだ」
「そっか。それであの時、オレがまだ避難してないって、すぐに把握出来たってわけになるのか」
「そういうこと。情報は迅速に、正確に! ってわけさ」
オレの世界と比較すれば原始的には違いないけど、確かに遠くの場所と情報共有が出来るって点では便利だよな。
「あと発光内容の解読に関してだけど、ギルド職員だけじゃ対応しきれない場合に備えて、冒険者も解読出来るようになっていないといけないんだ」
「………」
つまり、この世界のモールス符号を覚える事が冒険者になる最低条件ってこと?
オレはぐぎぎっ、とサディエルたちを見て
「えーっと、オレが覚える必要は……いや、それ以前に、まずこの世界の文字読めないと話にならないんですが」
「うん、大丈夫。帰る予定のヒロトには不要な知識だから覚えなくていいよ。そもそも時間に限りがあるんだから、切る項目はすっぱり切っていかないとな」
ぱららっ、と本の内容を確認しながらサディエルはそう答える。
取捨選択は本当に大事だな……本当に……
そんな会話をしている間にも、サディエルとリレルは手早く本を取っては内容確認を繰り返していく。
明らかに違うジャンルの本棚を除いて、一通り確認し終え……
「うん! 無い!」
「無かったですね」
「想像はついてたけど……残念」
予想通りの空振りとなったのだった。
うん、期待は少ししてたけど、そうだよなーって感想だ。
「落ち込まない、落ち込まない。さて、少し遅くなったけど昼飯にしよう。その後は、軽く国内を散策かな」
「はーい」
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