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第2章 冒険者1~2か月目
40話 リスタート
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―――滞在5日目、出発日
「それではレックス、後のことは頼んだよ」
「承知致しましたクレイン様。道中、お気をつけて。皆様も」
別邸の前で、クレインさんとレックスさんはそう言葉を交わす。
そして、同じように見送りに出ていたフットマンさんたちと一緒に、姿勢を正して礼をした。
「レックスさん、滞在中はありがとうございました!」
「これも我らの務め故……ですが、ありがとうございます、ヒロト様」
ほんと、滞在中はレックスさんにもお世話になったからなぁ。
あれこれと、気遣ってくれたし、足りないものとかすぐに準備してくれたりと……これが、本物の執事……! って、感じでめっちゃ感動したよ。
あれだ、元の世界に戻ったら、ちょっと執事喫茶に足を運んでみたくなるぐらいに、すごく良かった。
オレたちは改めてお礼を言い、荷馬車に乗りこみ、出発する。
「それで、これからの日程は……海路だったよね」
「あぁ。ここから1週間の位置にある港町で船に乗って、3週間ほどの船旅だ」
オレの質問に、サディエルはそう答えてくれる。
3週間か、オレの世界じゃ船旅はクルーズ客船みたいな金持ちの道楽なイメージがあるから、ちょっと楽しみだ。
フェリーとかもあるにはあるけど、時間が掛かるから電車や飛行機になりがちだし。
他にも観光地で遊覧船とかあるけど、それも数十分だけだしさ。
それに、船を使う=旅の中盤って感じがする! 実際、日程的にも中盤に差し掛かるわけだから、あながち間違いじゃないよな。
「行程の都合上、サディエルの検査結果は再検査のタイミングで聞くことになってしまいますね」
「まっ、仕方ないさ。2週間後に絶対聞きに来い、とは言われてないんだし。本当に異常があったら、船に設置されている水晶で連絡が来るはずだ」
あ、船にも設置されてるんだ、水晶。
そっか、連絡手段がないと海上でトラブルが合った際に対応出来ないし、救援に行こうにも何処にいるかわからないもんな。
オレらの世界だって、船が今、どこでどの位置にいるかとか、ネットでちょっと調べればわかるわけだし、そのあたりはちゃんとしてるよな、やっぱり。
「ヒロト、船旅の経験は?」
「ほぼ無し」
「酔い止め買っとかないとかな。慣れないと最初はきついから」
「それでしたら心配いりませんよサディエル。先日、医療品セットを購入した時に一緒に買いました」
「さすがリレル、なら心配ないか……って、アルム? 何ぼけーっと外見てるんだ」
ふと、この国に到着した時のサディエルのように、アルムが頬杖をつきながら流れる景色を見ていた。
「……いや、相変わらず良い国だなって、思っていただけだ」
「そっか。そうだな、良い国……だな」
「えぇ、良い国でしたね」
こういう時、ちょこっとだけオレはサディエルたちが羨ましい。
3人の間にある5年間、例えその内容を聞いたとしても、オレは本当の意味で共感することはきっとできない。
この疎外感に近い何かは、経験がある。
小学校から中学校へ上がった時、中学校から高校へ上がった時、もっと細かく言うと学年が上がって、クラスが変わった時。
毎日当たり前のように遊んでいた友達がいた。
ズッ友だよ、みたいな勢いで毎日一緒で楽しくやっていた。
だけど、クラスが変わったり、学校が変わって離れ離れになって、久しぶりに見かけたらお互い別の友人たちと、それぞれ仲良くやっている。
別に友情が壊れたわけじゃないけど、そんな時に少し感じる疎外感。
きっとこれは、それと同じなのだろう。
だから……
「3人とも! しんみりしすぎ!」
「ヒロト?」
「ほら、しんみりするより笑顔、笑顔! それが一番じゃない?」
オレの言葉に、3人は顔を見合わせる。
そして、同時に頬を緩ませ
「そうだな」
「えぇ、そうですね」
「ヒロトに言われるとはな」
「どういう意味だよ!」
そこまで言って、オレたちは同時に笑う。
そんなオレたちの笑い声を聞き、クレインさんは微笑みながら、荷馬車を進める。
笑っている間に、アルムがオレの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
エルフェル・ブルグまで……あと2か月弱。
―――第2章 冒険者1~2か月目【アルム編】 完
「それではレックス、後のことは頼んだよ」
「承知致しましたクレイン様。道中、お気をつけて。皆様も」
別邸の前で、クレインさんとレックスさんはそう言葉を交わす。
そして、同じように見送りに出ていたフットマンさんたちと一緒に、姿勢を正して礼をした。
「レックスさん、滞在中はありがとうございました!」
「これも我らの務め故……ですが、ありがとうございます、ヒロト様」
ほんと、滞在中はレックスさんにもお世話になったからなぁ。
あれこれと、気遣ってくれたし、足りないものとかすぐに準備してくれたりと……これが、本物の執事……! って、感じでめっちゃ感動したよ。
あれだ、元の世界に戻ったら、ちょっと執事喫茶に足を運んでみたくなるぐらいに、すごく良かった。
オレたちは改めてお礼を言い、荷馬車に乗りこみ、出発する。
「それで、これからの日程は……海路だったよね」
「あぁ。ここから1週間の位置にある港町で船に乗って、3週間ほどの船旅だ」
オレの質問に、サディエルはそう答えてくれる。
3週間か、オレの世界じゃ船旅はクルーズ客船みたいな金持ちの道楽なイメージがあるから、ちょっと楽しみだ。
フェリーとかもあるにはあるけど、時間が掛かるから電車や飛行機になりがちだし。
他にも観光地で遊覧船とかあるけど、それも数十分だけだしさ。
それに、船を使う=旅の中盤って感じがする! 実際、日程的にも中盤に差し掛かるわけだから、あながち間違いじゃないよな。
「行程の都合上、サディエルの検査結果は再検査のタイミングで聞くことになってしまいますね」
「まっ、仕方ないさ。2週間後に絶対聞きに来い、とは言われてないんだし。本当に異常があったら、船に設置されている水晶で連絡が来るはずだ」
あ、船にも設置されてるんだ、水晶。
そっか、連絡手段がないと海上でトラブルが合った際に対応出来ないし、救援に行こうにも何処にいるかわからないもんな。
オレらの世界だって、船が今、どこでどの位置にいるかとか、ネットでちょっと調べればわかるわけだし、そのあたりはちゃんとしてるよな、やっぱり。
「ヒロト、船旅の経験は?」
「ほぼ無し」
「酔い止め買っとかないとかな。慣れないと最初はきついから」
「それでしたら心配いりませんよサディエル。先日、医療品セットを購入した時に一緒に買いました」
「さすがリレル、なら心配ないか……って、アルム? 何ぼけーっと外見てるんだ」
ふと、この国に到着した時のサディエルのように、アルムが頬杖をつきながら流れる景色を見ていた。
「……いや、相変わらず良い国だなって、思っていただけだ」
「そっか。そうだな、良い国……だな」
「えぇ、良い国でしたね」
こういう時、ちょこっとだけオレはサディエルたちが羨ましい。
3人の間にある5年間、例えその内容を聞いたとしても、オレは本当の意味で共感することはきっとできない。
この疎外感に近い何かは、経験がある。
小学校から中学校へ上がった時、中学校から高校へ上がった時、もっと細かく言うと学年が上がって、クラスが変わった時。
毎日当たり前のように遊んでいた友達がいた。
ズッ友だよ、みたいな勢いで毎日一緒で楽しくやっていた。
だけど、クラスが変わったり、学校が変わって離れ離れになって、久しぶりに見かけたらお互い別の友人たちと、それぞれ仲良くやっている。
別に友情が壊れたわけじゃないけど、そんな時に少し感じる疎外感。
きっとこれは、それと同じなのだろう。
だから……
「3人とも! しんみりしすぎ!」
「ヒロト?」
「ほら、しんみりするより笑顔、笑顔! それが一番じゃない?」
オレの言葉に、3人は顔を見合わせる。
そして、同時に頬を緩ませ
「そうだな」
「えぇ、そうですね」
「ヒロトに言われるとはな」
「どういう意味だよ!」
そこまで言って、オレたちは同時に笑う。
そんなオレたちの笑い声を聞き、クレインさんは微笑みながら、荷馬車を進める。
笑っている間に、アルムがオレの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
エルフェル・ブルグまで……あと2か月弱。
―――第2章 冒険者1~2か月目【アルム編】 完
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