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第4章 聖王都エルフェル・ブルグ
69話 束の間のひととき
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2人を無理やり押しながら入室すると、ベッドに横になりながら管に繋がれてるっつーか、採血中のサディエルが居た。
声だけ聞こえたのは、そういうことだったのか。
「ヒロトは今朝振りだな。アルム、リレル、体調は大丈夫か?」
「昨日はぐっすり寝させて貰ったよ……」
「はい……大丈夫です……」
……どっちが体調不良なのか、よくわからない顔色しているんだけど。
その返答を聞いて、サディエルは苦笑いして、バークライスさんはため息を吐く。
これじゃあ話が進みそうにないし、オレから切り出すしかなさそうかな。
オレはアルムとリレルの背中から手を離し、バークライスさんに視線を向ける。
「えっと、バークライスさんですよね。どうしてこちらに?」
「君は……? あぁ、サディエルたちの新しい旅仲間か」
「はい。初めまして、ヒロトと言います。昨日は救援要請に応じて頂き、ありがとうございます」
「構わないよ、これもエルフェル・ブルグの役割だ。今日は、彼の様子を見に来たんだ。まだ眠っているようであれば、追加で術をと思ったが、取り越し苦労だったよ」
あ、昨日サディエルが言っていた通りだったのか。
確か、急に体が暖かくなって周囲が見えるようになって、とかなんとか。
「あっははは……けど、ありがとうございますバークライスさん。正直、1週間ぐらい寝込むのを覚悟していたもんで」
……最悪、1週間起きれなかった可能性、あったんだ。
もしそうだったら、1週間不安になりながら生活しないといけなかったわけだから、うん、バークライスさんに感謝しないといけないな、これ。
「気にしなくていい。それに、普段はそこの2人の世話を押し付けているんだ」
そこの2人って……
バークライスさんの視線は、明らかにアルムとリレルに向いている。
えぇ……逆、じゃなくて?
オレのそんな表情に気づいたのか、サディエルは苦笑いしている。
「ヒロト、一応弁明しとくけど、この件に関してだけは完全に被害者だからな、俺」
「うっそだー……」
ちょっとそれは信じられない。
普段の行いから、絶対にサディエルが何かやらかしてると思ってたんだけど。
というか、アルムとリレルの方がやらかすって、何があったんだよ!? 逆に気になるよ!
恐らく3人がパーティ組む経緯にも関わっているだろうし。
よし、絶対に聞き出してやろう。
オレがそんなことを決心している間に
「アルム」
「は、はい!」
「リレル」
「はい!?」
バークライスさんに呼ばれて、2人は慌てて姿勢を正す。
「そこまで固くなるな。今は業務中じゃないと言ったであろう」
「そうですが……」
「正式な報告は、サディエルの退院を待ってからにする。それまで、お前たちもしっかり休養を取るように」
……なんか、想像よりも普通に良い感じの上司っぽいんだけど。
アルムたちがあそこまで恐縮する雰囲気は感じないし、どういうことだろう。
「さて、私はこれで失礼する。サディエル、明日からは精密検査でこちらに来ることになるだろうが、体調が悪くなったらすぐに報告をしなさい」
「わかりました。何から何までありがとうございます」
「気にするな。お前には色々と恩があるからな。図書館への入館許可も申請が済んでいる、明日以降から利用可能だから、そのつもりで」
そう言うと、バークライスさんは荷物を持って立ち上がった。
立ち去る前、改めてオレを見てくる。
「……ふむ、あの時も思ったが、良い目をしている。彼らの背中をしっかり見ておきなさい、いい刺激になるだろう」
「えっと……」
「頑張りたまえ」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、バークライスさんは軽く手を振って部屋を後にした。
足音が聞こえなくなったころ、ようやくアルムとリレルが大きく息を吐いて、床に座り込んだ。
「はぁぁ……生きた心地がしねぇ」
「全くです……何でいらっしゃるんですか……!」
「うーん、言うほど怖いって感じはなかったけど……」
オレの率直な感想を聞くと、2人はギロリッ、と睨んできた。
ちょっと待って、何でオレが睨まれなきゃいけないの!?
「アルム、リレル。ヒロトを睨むな、可哀そうだろ」
「お前は良いよな、お前は! ったく」
アルムは立ち上がり、適当な椅子に腰かける。
リレルの方はまだ気力が戻ってないのか、若干ふらふらとしながら手近なソファーに腰掛けた。
オレは今朝と同じように、サディエルの近くの椅子に座る。
「さっき、バークライスさんが図書館がどうとか言ってたけど……」
「あぁ、図書館への入館許可をお願いしたんだ。夕方には入館許可書がクレインさんの屋敷に届くようになっているから、受け取っておいてくれ」
入館許可が必要だったのか。
いや、かなりの量の本があるわけだし、その辺りはやっぱり厳重にもなるか。
ものによっては禁書レベルのものもありそうだし……
「そっか、ありがとうサディエル」
「お礼なら、俺よりバークライスさんに頼むよ。今度会った時でいいから」
「わかった。それで……また採血中?」
「あぁ、もうそろそろ終わりそうなんだけどな」
そう言いながら、サディエルはベッド横に掛けられている採血された血が溜められている容器を見る。
確かに、もうちょっとで溢れそうな量になっているな。
そう思った時、コンコン、と病室のドアがノックされ『失礼します』という言葉と共に、看護婦さんが入ってきた。
「サディエルさん、お時間ですので針を抜きますね」
「はい、お願いします」
看護婦さんは慣れた手つきで、消毒したと思われるコットンを押し当てながら、サディエルの腕から針を抜く。
うわぁ……めっちゃ針が太い。
少なくとも、オレの世界の5倍ぐらいありそうな太さに、思わず引きかけた。
そりゃ、あんな太さの注射をされるって言われたら、サディエルだって嫌だって言うよな……
「では、10分間は動かないで安静にしていてください。本日はこれで完了となりますが、明日以降は魔術省にて別途検査があるので、そちらへ行ってもらうことになります」
「分かりました」
一瞬、針が刺さっていた箇所が見えたんだけど……うわっ、若干青くなってない?
オレの所と違って、やっぱり医療器具もそこまで発達してないわけだし、針の太さもすごかったから、そうなるのはわかるけど……こっちまで痛くなりそうだ。
看護婦さんは手早く絆創膏を張り、採血した血が入った容器を手に取る。
そして、サディエルと……何故かリレルにも一礼してから、退室して行った。
「はー、やっと採血終わった」
「お疲れ様。毎回あんな感じだったんだ……」
「めっちゃ血抜かれるからな。もう数分したら、多分気分悪くなってくると思う」
あぁ、ダウンしてたあの光景になるわけか。
これまでサディエルが撃沈していた光景を思い出して、納得する。
それはそうと……
「リレル、さっきの人は知り合い?」
「知り合いと言いますか、後輩ですよ」
あ、そっか……ん?
「えっと、後輩って……」
「旅に出るまでは、私も医者として働いていましたからね」
「だいぶ若いお医者さんだったんだ……」
「正確には、医者の見習いですね。旅に出ていなければ、ここで医者として勤務していたかもしれませんけど……たられば、ですね、気にしないでください」
苦笑いしながらリレルは答える。
「そんなこと言ったら、僕だって同じだよ」
「ふふっ、それもそうですね」
うーん、凄い聞きたくなってきた、3人の出会い話。
絶対に波乱あったよな、ここまでの情報を総括した感じだと。
オレの視線に気づいてか、アルムとリレルはどうしようか、と言う表情でサディエルを見る。
「まぁ話しても問題ないけど……」
「けど?」
「多分、喋ってる間に俺がダウンして、話どころじゃなくなる」
……あ、ハイ。
確かに、出会い話は長くなるのが相場で決まっているし、途中で絶対にサディエルがダウンするよな。
「んー、じゃあ喋れる場所までお願いしていい?」
「そんなに聞きたいのかよ」
「そりゃ聞きたいよ、こういう出会い話って言うのは、どんな物語でもワクワクするもんじゃん」
どうやら、想像していた出会いとはだいぶ違うっぽいし。
てっきり、お人よしの光属性主人公全開のサディエルが、小さな親切、大きなお世話で2人と関わって大騒動!
みたいな展開を予想していたが、まさかの巻き込まれ被害者がサディエルと言う。
普段なら絶対に騒動の元凶にならなさそうな、アルムとリレルがだよ?
これはめっちゃ聞きたいに決まってるじゃん!
「うーわー、目を輝かせるなヒロト。そのまなざしが痛い」
「私たちの思い出したくない過去を聞いて楽しいんですか……」
一方で、心底嫌そうな2人。
いやマジでこれは気になるから、少なくともオレは超気になる。
なんだったら、今日一晩掛けて語り明かして欲しいぐらいだ。
「どうせ図書館は明日からしか行けないわけだし、聞きたい! みんなの出会い話!」
「あっははは、じゃあ暇つぶしがてら喋るか」
「喋るなら、前段階のクレインさんを助けて、フットマンとして働いた辺りも話せよ」
「え、何でわざわざそこまで遡らないとダメなんだよ……余計に長くなるだろ」
「もちろん、長くするために決まってるじゃないですか! サディエルだけ良い思いをするのは許しませんから!」
うーん……
オレの目の前で、サディエルたちによるどこから喋るか議論が白熱し始めた。
これは、もしかしなくても今日聞けないパターンなのでは……?
このまま議論が続いたら、まず間違いなくサディエルが体調崩してダウンからの、なし崩しにお流れになりそうな気配がめっちゃするんだけど。
「俺のフットマン時代なんか、レックスさんにマナー教わりました、はい、おしまい! だぞ?」
「絶対嘘だな。もっと色々やらかしてるだろ」
「決めつけるなよ!?」
「でしたら、クレインさんのお屋敷にいらっしゃる皆さんから言質を取りましょうか。サディエルの面白行動の数々を」
「あのー、3人とも……どこからでもいいから、話し始めて欲しい、なぁ……」
結局、話が始めるまで30分ほど時間を要した上、途中でサディエルが体調不良になってベッドへダウン。
そのせいで、アルムとリレルが『色々ありました、以上!』って強制終了、という形になってしまった。
「横暴だー、年下のお願いは聞いてくれても良いと思いまーす!」
「今度な、今度」
「はい、また今度」
「サディエル起きてよー! 2人がいじめるー!」
声だけ聞こえたのは、そういうことだったのか。
「ヒロトは今朝振りだな。アルム、リレル、体調は大丈夫か?」
「昨日はぐっすり寝させて貰ったよ……」
「はい……大丈夫です……」
……どっちが体調不良なのか、よくわからない顔色しているんだけど。
その返答を聞いて、サディエルは苦笑いして、バークライスさんはため息を吐く。
これじゃあ話が進みそうにないし、オレから切り出すしかなさそうかな。
オレはアルムとリレルの背中から手を離し、バークライスさんに視線を向ける。
「えっと、バークライスさんですよね。どうしてこちらに?」
「君は……? あぁ、サディエルたちの新しい旅仲間か」
「はい。初めまして、ヒロトと言います。昨日は救援要請に応じて頂き、ありがとうございます」
「構わないよ、これもエルフェル・ブルグの役割だ。今日は、彼の様子を見に来たんだ。まだ眠っているようであれば、追加で術をと思ったが、取り越し苦労だったよ」
あ、昨日サディエルが言っていた通りだったのか。
確か、急に体が暖かくなって周囲が見えるようになって、とかなんとか。
「あっははは……けど、ありがとうございますバークライスさん。正直、1週間ぐらい寝込むのを覚悟していたもんで」
……最悪、1週間起きれなかった可能性、あったんだ。
もしそうだったら、1週間不安になりながら生活しないといけなかったわけだから、うん、バークライスさんに感謝しないといけないな、これ。
「気にしなくていい。それに、普段はそこの2人の世話を押し付けているんだ」
そこの2人って……
バークライスさんの視線は、明らかにアルムとリレルに向いている。
えぇ……逆、じゃなくて?
オレのそんな表情に気づいたのか、サディエルは苦笑いしている。
「ヒロト、一応弁明しとくけど、この件に関してだけは完全に被害者だからな、俺」
「うっそだー……」
ちょっとそれは信じられない。
普段の行いから、絶対にサディエルが何かやらかしてると思ってたんだけど。
というか、アルムとリレルの方がやらかすって、何があったんだよ!? 逆に気になるよ!
恐らく3人がパーティ組む経緯にも関わっているだろうし。
よし、絶対に聞き出してやろう。
オレがそんなことを決心している間に
「アルム」
「は、はい!」
「リレル」
「はい!?」
バークライスさんに呼ばれて、2人は慌てて姿勢を正す。
「そこまで固くなるな。今は業務中じゃないと言ったであろう」
「そうですが……」
「正式な報告は、サディエルの退院を待ってからにする。それまで、お前たちもしっかり休養を取るように」
……なんか、想像よりも普通に良い感じの上司っぽいんだけど。
アルムたちがあそこまで恐縮する雰囲気は感じないし、どういうことだろう。
「さて、私はこれで失礼する。サディエル、明日からは精密検査でこちらに来ることになるだろうが、体調が悪くなったらすぐに報告をしなさい」
「わかりました。何から何までありがとうございます」
「気にするな。お前には色々と恩があるからな。図書館への入館許可も申請が済んでいる、明日以降から利用可能だから、そのつもりで」
そう言うと、バークライスさんは荷物を持って立ち上がった。
立ち去る前、改めてオレを見てくる。
「……ふむ、あの時も思ったが、良い目をしている。彼らの背中をしっかり見ておきなさい、いい刺激になるだろう」
「えっと……」
「頑張りたまえ」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、バークライスさんは軽く手を振って部屋を後にした。
足音が聞こえなくなったころ、ようやくアルムとリレルが大きく息を吐いて、床に座り込んだ。
「はぁぁ……生きた心地がしねぇ」
「全くです……何でいらっしゃるんですか……!」
「うーん、言うほど怖いって感じはなかったけど……」
オレの率直な感想を聞くと、2人はギロリッ、と睨んできた。
ちょっと待って、何でオレが睨まれなきゃいけないの!?
「アルム、リレル。ヒロトを睨むな、可哀そうだろ」
「お前は良いよな、お前は! ったく」
アルムは立ち上がり、適当な椅子に腰かける。
リレルの方はまだ気力が戻ってないのか、若干ふらふらとしながら手近なソファーに腰掛けた。
オレは今朝と同じように、サディエルの近くの椅子に座る。
「さっき、バークライスさんが図書館がどうとか言ってたけど……」
「あぁ、図書館への入館許可をお願いしたんだ。夕方には入館許可書がクレインさんの屋敷に届くようになっているから、受け取っておいてくれ」
入館許可が必要だったのか。
いや、かなりの量の本があるわけだし、その辺りはやっぱり厳重にもなるか。
ものによっては禁書レベルのものもありそうだし……
「そっか、ありがとうサディエル」
「お礼なら、俺よりバークライスさんに頼むよ。今度会った時でいいから」
「わかった。それで……また採血中?」
「あぁ、もうそろそろ終わりそうなんだけどな」
そう言いながら、サディエルはベッド横に掛けられている採血された血が溜められている容器を見る。
確かに、もうちょっとで溢れそうな量になっているな。
そう思った時、コンコン、と病室のドアがノックされ『失礼します』という言葉と共に、看護婦さんが入ってきた。
「サディエルさん、お時間ですので針を抜きますね」
「はい、お願いします」
看護婦さんは慣れた手つきで、消毒したと思われるコットンを押し当てながら、サディエルの腕から針を抜く。
うわぁ……めっちゃ針が太い。
少なくとも、オレの世界の5倍ぐらいありそうな太さに、思わず引きかけた。
そりゃ、あんな太さの注射をされるって言われたら、サディエルだって嫌だって言うよな……
「では、10分間は動かないで安静にしていてください。本日はこれで完了となりますが、明日以降は魔術省にて別途検査があるので、そちらへ行ってもらうことになります」
「分かりました」
一瞬、針が刺さっていた箇所が見えたんだけど……うわっ、若干青くなってない?
オレの所と違って、やっぱり医療器具もそこまで発達してないわけだし、針の太さもすごかったから、そうなるのはわかるけど……こっちまで痛くなりそうだ。
看護婦さんは手早く絆創膏を張り、採血した血が入った容器を手に取る。
そして、サディエルと……何故かリレルにも一礼してから、退室して行った。
「はー、やっと採血終わった」
「お疲れ様。毎回あんな感じだったんだ……」
「めっちゃ血抜かれるからな。もう数分したら、多分気分悪くなってくると思う」
あぁ、ダウンしてたあの光景になるわけか。
これまでサディエルが撃沈していた光景を思い出して、納得する。
それはそうと……
「リレル、さっきの人は知り合い?」
「知り合いと言いますか、後輩ですよ」
あ、そっか……ん?
「えっと、後輩って……」
「旅に出るまでは、私も医者として働いていましたからね」
「だいぶ若いお医者さんだったんだ……」
「正確には、医者の見習いですね。旅に出ていなければ、ここで医者として勤務していたかもしれませんけど……たられば、ですね、気にしないでください」
苦笑いしながらリレルは答える。
「そんなこと言ったら、僕だって同じだよ」
「ふふっ、それもそうですね」
うーん、凄い聞きたくなってきた、3人の出会い話。
絶対に波乱あったよな、ここまでの情報を総括した感じだと。
オレの視線に気づいてか、アルムとリレルはどうしようか、と言う表情でサディエルを見る。
「まぁ話しても問題ないけど……」
「けど?」
「多分、喋ってる間に俺がダウンして、話どころじゃなくなる」
……あ、ハイ。
確かに、出会い話は長くなるのが相場で決まっているし、途中で絶対にサディエルがダウンするよな。
「んー、じゃあ喋れる場所までお願いしていい?」
「そんなに聞きたいのかよ」
「そりゃ聞きたいよ、こういう出会い話って言うのは、どんな物語でもワクワクするもんじゃん」
どうやら、想像していた出会いとはだいぶ違うっぽいし。
てっきり、お人よしの光属性主人公全開のサディエルが、小さな親切、大きなお世話で2人と関わって大騒動!
みたいな展開を予想していたが、まさかの巻き込まれ被害者がサディエルと言う。
普段なら絶対に騒動の元凶にならなさそうな、アルムとリレルがだよ?
これはめっちゃ聞きたいに決まってるじゃん!
「うーわー、目を輝かせるなヒロト。そのまなざしが痛い」
「私たちの思い出したくない過去を聞いて楽しいんですか……」
一方で、心底嫌そうな2人。
いやマジでこれは気になるから、少なくともオレは超気になる。
なんだったら、今日一晩掛けて語り明かして欲しいぐらいだ。
「どうせ図書館は明日からしか行けないわけだし、聞きたい! みんなの出会い話!」
「あっははは、じゃあ暇つぶしがてら喋るか」
「喋るなら、前段階のクレインさんを助けて、フットマンとして働いた辺りも話せよ」
「え、何でわざわざそこまで遡らないとダメなんだよ……余計に長くなるだろ」
「もちろん、長くするために決まってるじゃないですか! サディエルだけ良い思いをするのは許しませんから!」
うーん……
オレの目の前で、サディエルたちによるどこから喋るか議論が白熱し始めた。
これは、もしかしなくても今日聞けないパターンなのでは……?
このまま議論が続いたら、まず間違いなくサディエルが体調崩してダウンからの、なし崩しにお流れになりそうな気配がめっちゃするんだけど。
「俺のフットマン時代なんか、レックスさんにマナー教わりました、はい、おしまい! だぞ?」
「絶対嘘だな。もっと色々やらかしてるだろ」
「決めつけるなよ!?」
「でしたら、クレインさんのお屋敷にいらっしゃる皆さんから言質を取りましょうか。サディエルの面白行動の数々を」
「あのー、3人とも……どこからでもいいから、話し始めて欲しい、なぁ……」
結局、話が始めるまで30分ほど時間を要した上、途中でサディエルが体調不良になってベッドへダウン。
そのせいで、アルムとリレルが『色々ありました、以上!』って強制終了、という形になってしまった。
「横暴だー、年下のお願いは聞いてくれても良いと思いまーす!」
「今度な、今度」
「はい、また今度」
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