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第5章 冒険者4か月目
88話 3対3【3】
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―――エルフェル・ブルグ、滞在12日目にして試験2日目。
「と言うわけで、セコンドとしてヒロト君たちに雇われた、アークシェイド総監督だ。よろしく頼むよ」
「……………そう来たか」
超笑顔で挨拶するアークさんを見て、サディエルは右手で顔を覆った。
「アークさんは戦闘に参加はしないから、もちろんルール違反じゃないよね」
「あぁ……うん、そうだな、うん。そっちだったかー……」
少し困った表情で呻く彼に、思わず首を傾げる。
アークさんの参加そのものが嫌そうというか、なんというか。
同じ違和感を感じたのか、リレルがサディエルに問いかける。
「私たちがアークさんの所に行くことは、予想ついていらっしゃったんですね、サディエル」
「まぁな。最も、ヒントを貰いに行くぐらい、だと思っていたわけなんだが」
両腕を組んで、サディエルはさらに唸る。
「何だ、不都合でもあるのか?」
「うわ、サディひっで。おれが居るのがそんなに嫌かよ」
「そこまで言ってないだろ!? えーっと、アークのせこんど? としての参加を了承するよ。じゃあ、30分後から開始で」
そう言いながら、サディエルは慌ただしくバークライスさんとレックスさんが居る場所へと戻って行った。
残ったオレたちは、互いの顔を見合わせる。
「なーんか、怪しいなアイツ」
最初に疑問を口にしたのは、サディエルの幼馴染でもあるアークさんだった。
「サディエルの奴にしては、珍しく分かりやすい困り方だったな」
「いつもあぁだと助かるですけどね、本当に」
その言葉に続くように、アルムとリレルも同意する。
「やっぱり、みんな変だって感じたんだ。オレですら、違和感あったもんな」
一番付き合いが短いオレですら、今日のサディエルの様子がおかしいのぐらいは分かった。
となると、これは偶然じゃないわけで。
何隠してるんだろ、サディエル。
「予想外な事が起こった時ほど、あいつは内心はともかく、見た目上は冷静だ。おれが来た程度で、あの反応は普通しない」
これにはオレの方も心当たりがある。
最近判明したことだけど、オレがこの世界に来た直後、結構テンパってたって話らしいし。
普通に話してくれたように見えて、内心のパニック具合はやばかったとか。
「隠し方があそこまで下手になっている、と言うことは……ちーっとばかし、状況が悪いかもしれないな」
「状況が悪い?」
「あいつの性格上、隠す場所はきっちり隠し切るはずだ。それが出来ない時は、昔っから体調が悪かったり、精神的に不安だったりする場合がほとんどだった」
「……僕も心当たりあるな。船旅で……っと、いや、なんでもない」
体調不良か、精神的な不安?
アークさんの言葉を聞いて、オレは最近の事を思い出す。
正直、ここ数日に限定するならば、サディエルが体調不良になったり、精神的に不安定になる要素が見当たらない。
いや、対ガランド戦での不安と言う意味では、精神的なものに該当するかもしれない。
だけど、それだったらエルフェル・ブルグに到着する前から、そう言う予兆があってしかるべきだ。
特にサディエルは、この国に到着する前……襲撃が分かり切っているタイミングですら、いつも通りのふるまいをしていた。
それに対して、オレとアルムが聞こえない場所で苦言を呈していたのは、記憶に新しい。
「この調子だと、あっちの陣営は全員グルだろうなきっと。さーて、今回は何やらかしたんだか」
ため息をつきながら、アークさんは肩を落とす。
彼の言葉を聞いて、オレたちはしばし考えこむ。
「直近ですと、精密検査がありましたけど」
「あれは痣の調査だろ。その痣も、魔王がほとんどの効果を消していったんだし。残っているのは、目印と遅延性の弱体化の2つだ」
精密検査の結果は、まだ通達されていない。
そもそも、検査結果が1日2日で出るものでもないはずだ。
そうなると、精密検査が原因とも考えづらい。
「皆さん、この件はアークさんに一任しませんか」
「アークさんに?」
「はい。サディエルに何か変化が無いかを、見て頂きたいのです」
リレルの言葉に、オレたちは首を傾げる。
名指しされたアークさんも、自身を指さして『おれ?』と言う感じで疑問符を浮かべていた。
「それは構わないけど、サディだけに集中していると、他2人の確認が疎かになるぞ」
「恐らく、常時見る必要はないと思います。特定の時間で、サディエルに目を向ける回数を増やして貰えれば問題ないかと」
「……と、言うと?」
「推測で申し訳ありませんが、何かしらの拍子で彼に変化があるはずです……ごまかしているのであれば、ですが」
ごまかす為。
体調不良か精神不安をごまかす何か?
「リレル、それは……」
「医者としての観点です。本当に体調不良もしくは精神不安が原因であるならば、それを抑える何かが必ずあります。恐らくは薬でしょうが、それらの効果が切れる "時間" も存在するはずなんです」
「変化が無ければ、おれらの取り越し苦労。サディのやつの演技が上手かった、ということでカタも付けることが出来ると」
アークさんの言葉を聞いて、リレルは小さく頷く。
「一般的な薬の効果持続時間は、4時間~6時間ほど。服用時刻は、彼の起床時刻から午前9時30分の範囲と仮定します。午後の事も考慮しますと、お昼休憩で追加の服用をしたいはずですから、午前11時30分~12時あたりが怪しいです」
こういう時、ガチ専門家の見解は本当に助かる。
薬の服用とその効果については、素人よりは玄人の意見を優先したほうがいい。
「それが、薬なりなんなりの効果が切れる可能性がある時間帯か。わかった、その辺りは特に注意しておく。変化があったら合図をするさ」
「よろしくお願い致します。杞憂で済めばいいのですが……」
「難しいと思うよ。オレら4人が違和感もっちゃった時点で」
今回ばかりは、サディエルの落ち度とも言える。
ただ、本当に珍しいことには違いない。
オレらのことも、自分のことも、過大も過小も評価しないサディエルなんだ。
本当に体調が悪くて、その辺りの判断も鈍っているとか。
いや、それなら1日ぐらい試験を延期するって、いつもの彼ならば言って来ても不思議じゃない。
仮に体調不良や精神不安が原因だとして、それを押してでもこの試験を強行しなければならない理由は……
「ダメだ、考えがまとまらない」
決め手になる何かが、完全に不足している。
ここ数日の動きを見ても、特段変化があったようにも見えないから余計に始末が悪い。
「まっ、そこはおれに任せてくれ。君らは当初の予定通り、コンビネーションの試験合格を目指してくれれば良いさ」
「お願いします、アークさん。すいません、そう言う意味でセコンドをお願いしたはずじゃなかったんですけど……」
「気にしなくていいさ、ヒロト君。何事も臨機応変にってな」
そう笑いながら、アークさんはオレの頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫でまわす。
こういう細かい動きも、幼馴染なのか一緒だよなぁ。
アークさんもだけど、アルムやリレルも時々オレの頭を撫でてくるし、絶対にサディエルの影響なんだろうな、これ。
ひとしきり撫で終わり満足いったのか、アークさんは特別訓練所内を見渡せる場所まで移動し、恐らくレックスさんが準備してくれたであろう椅子に座る。
近くに飲み物などもしっかり準備されており、至れり尽くせりな状況だ。
「さってと、それじゃあ僕らは僕らで、今日の動きを確認しよう」
「了解」
「はい」
アルムは紙を広げて、2色のおはじきのような丸い玉を6個置いた。
それを、こつこつと並べていく。
「今日からは、動きに連携性を持たせるように立ち回るわけだが……ヒロト、3対3の布陣の場合、どこから落とす」
「どこから……か」
アルムの問いかけに、オレは考え込む。
真っ先に突っ込んでくるのは、当然ながら前衛になる。
だけど、これまでのサディエルたちの動きを元にするならば……
「最初に落とすべきは、中衛か後衛かな。前衛は、戦闘開始時だと "自分を抑えないと危ないぞ" って、ヘイト稼ぎ……敵愾心を煽るように動くことが多いよね」
「そうだな。で、その行動が意味することは?」
「中衛か後衛を、真っ先に狙って欲しくないから、だと思う」
前衛は確かに強い。
いわゆる勇者ポジション、最も力量がある人物がそこを担うイメージがある。
この位置に居る人が、敵陣に突っ込んでいって無双する、なんてのは良くあるパターンだ。
だけど、実際の所は、前衛はしっかりと中衛や後衛からのフォローを受けて、中衛や後衛は、前衛に守ってもらうのが正しい立ち回りになる。
「ただ……それって、かなり定石に近い動きだよね?」
オレの問いかけに、アルムとリレルは頷く。
つまりは、すぐに想像出来る動きにもなるわけで、あちらもそれは承知しているはずだ。
定石、定石……か。
「アルム、リレル。まずは、その定石をしっかり踏んでおきたい。んでもって、それを布石にしたい」
「理由は?」
「サディエルたちの方も、今日のオレらは、コンビネーションの基礎中の基礎をオレに教え込む……と、睨んでいると思う。動きを学んで対策して、決戦は "明日"、起死回生の策と共に1勝をもぎ取る、という筋書きを想像しているはずだ」
実際、昨日の段階でのこちらの思惑はきっちりと読まれていた。
今日も十中八九読まれているだろうし、それに合わせた動きをあちらだってしてくるだろう。
「だから、今日決着をつけるつもりで立ち回りたい」
「……なるほど、今日か」
「早く仕掛けると、こちらは準備不足で不利な部分が多いですよ」
「うん、準備不足は否めないと思う。ただ、チャンスが1つだけあるはずだ……リレルの推測が正しければ、1回だけ中衛が機能しないタイミングを作れると思う」
中衛が機能しない、という言葉に2人は反応する。
さっき、アークさんは、サディエルに変化があったら合図をくれると言ってくれた。
その変化があったタイミングを、逆転のチャンスにする。
「サディエルが意図的に作った隙じゃないとは思う。だけど、付け入る隙には違いない。使える手札を使える時に切れないなら、宝の持ち腐れだ」
「それなら、明日まで伸ばすのも……と、言いたいが、アークさんを連れて来た時点で、あっちもバレたと認識するわけか」
「うん、だからチャンスは昼前の1回。これがダメなら、明日の策をまた夜にでもみんなで考えよう」
アルムはしばしオレの話した内容を元に考え込む。
さて、判定はいかほどにっと。
「先手必勝か、悪くなさそうだ」
「いけそう?」
「いけるように今からやるんだ。時間がない、作戦を詰めるぞ。まずは、あちらにこっちの意図を悟らせないために、昼前までの動きをまとめる」
「と言うわけで、セコンドとしてヒロト君たちに雇われた、アークシェイド総監督だ。よろしく頼むよ」
「……………そう来たか」
超笑顔で挨拶するアークさんを見て、サディエルは右手で顔を覆った。
「アークさんは戦闘に参加はしないから、もちろんルール違反じゃないよね」
「あぁ……うん、そうだな、うん。そっちだったかー……」
少し困った表情で呻く彼に、思わず首を傾げる。
アークさんの参加そのものが嫌そうというか、なんというか。
同じ違和感を感じたのか、リレルがサディエルに問いかける。
「私たちがアークさんの所に行くことは、予想ついていらっしゃったんですね、サディエル」
「まぁな。最も、ヒントを貰いに行くぐらい、だと思っていたわけなんだが」
両腕を組んで、サディエルはさらに唸る。
「何だ、不都合でもあるのか?」
「うわ、サディひっで。おれが居るのがそんなに嫌かよ」
「そこまで言ってないだろ!? えーっと、アークのせこんど? としての参加を了承するよ。じゃあ、30分後から開始で」
そう言いながら、サディエルは慌ただしくバークライスさんとレックスさんが居る場所へと戻って行った。
残ったオレたちは、互いの顔を見合わせる。
「なーんか、怪しいなアイツ」
最初に疑問を口にしたのは、サディエルの幼馴染でもあるアークさんだった。
「サディエルの奴にしては、珍しく分かりやすい困り方だったな」
「いつもあぁだと助かるですけどね、本当に」
その言葉に続くように、アルムとリレルも同意する。
「やっぱり、みんな変だって感じたんだ。オレですら、違和感あったもんな」
一番付き合いが短いオレですら、今日のサディエルの様子がおかしいのぐらいは分かった。
となると、これは偶然じゃないわけで。
何隠してるんだろ、サディエル。
「予想外な事が起こった時ほど、あいつは内心はともかく、見た目上は冷静だ。おれが来た程度で、あの反応は普通しない」
これにはオレの方も心当たりがある。
最近判明したことだけど、オレがこの世界に来た直後、結構テンパってたって話らしいし。
普通に話してくれたように見えて、内心のパニック具合はやばかったとか。
「隠し方があそこまで下手になっている、と言うことは……ちーっとばかし、状況が悪いかもしれないな」
「状況が悪い?」
「あいつの性格上、隠す場所はきっちり隠し切るはずだ。それが出来ない時は、昔っから体調が悪かったり、精神的に不安だったりする場合がほとんどだった」
「……僕も心当たりあるな。船旅で……っと、いや、なんでもない」
体調不良か、精神的な不安?
アークさんの言葉を聞いて、オレは最近の事を思い出す。
正直、ここ数日に限定するならば、サディエルが体調不良になったり、精神的に不安定になる要素が見当たらない。
いや、対ガランド戦での不安と言う意味では、精神的なものに該当するかもしれない。
だけど、それだったらエルフェル・ブルグに到着する前から、そう言う予兆があってしかるべきだ。
特にサディエルは、この国に到着する前……襲撃が分かり切っているタイミングですら、いつも通りのふるまいをしていた。
それに対して、オレとアルムが聞こえない場所で苦言を呈していたのは、記憶に新しい。
「この調子だと、あっちの陣営は全員グルだろうなきっと。さーて、今回は何やらかしたんだか」
ため息をつきながら、アークさんは肩を落とす。
彼の言葉を聞いて、オレたちはしばし考えこむ。
「直近ですと、精密検査がありましたけど」
「あれは痣の調査だろ。その痣も、魔王がほとんどの効果を消していったんだし。残っているのは、目印と遅延性の弱体化の2つだ」
精密検査の結果は、まだ通達されていない。
そもそも、検査結果が1日2日で出るものでもないはずだ。
そうなると、精密検査が原因とも考えづらい。
「皆さん、この件はアークさんに一任しませんか」
「アークさんに?」
「はい。サディエルに何か変化が無いかを、見て頂きたいのです」
リレルの言葉に、オレたちは首を傾げる。
名指しされたアークさんも、自身を指さして『おれ?』と言う感じで疑問符を浮かべていた。
「それは構わないけど、サディだけに集中していると、他2人の確認が疎かになるぞ」
「恐らく、常時見る必要はないと思います。特定の時間で、サディエルに目を向ける回数を増やして貰えれば問題ないかと」
「……と、言うと?」
「推測で申し訳ありませんが、何かしらの拍子で彼に変化があるはずです……ごまかしているのであれば、ですが」
ごまかす為。
体調不良か精神不安をごまかす何か?
「リレル、それは……」
「医者としての観点です。本当に体調不良もしくは精神不安が原因であるならば、それを抑える何かが必ずあります。恐らくは薬でしょうが、それらの効果が切れる "時間" も存在するはずなんです」
「変化が無ければ、おれらの取り越し苦労。サディのやつの演技が上手かった、ということでカタも付けることが出来ると」
アークさんの言葉を聞いて、リレルは小さく頷く。
「一般的な薬の効果持続時間は、4時間~6時間ほど。服用時刻は、彼の起床時刻から午前9時30分の範囲と仮定します。午後の事も考慮しますと、お昼休憩で追加の服用をしたいはずですから、午前11時30分~12時あたりが怪しいです」
こういう時、ガチ専門家の見解は本当に助かる。
薬の服用とその効果については、素人よりは玄人の意見を優先したほうがいい。
「それが、薬なりなんなりの効果が切れる可能性がある時間帯か。わかった、その辺りは特に注意しておく。変化があったら合図をするさ」
「よろしくお願い致します。杞憂で済めばいいのですが……」
「難しいと思うよ。オレら4人が違和感もっちゃった時点で」
今回ばかりは、サディエルの落ち度とも言える。
ただ、本当に珍しいことには違いない。
オレらのことも、自分のことも、過大も過小も評価しないサディエルなんだ。
本当に体調が悪くて、その辺りの判断も鈍っているとか。
いや、それなら1日ぐらい試験を延期するって、いつもの彼ならば言って来ても不思議じゃない。
仮に体調不良や精神不安が原因だとして、それを押してでもこの試験を強行しなければならない理由は……
「ダメだ、考えがまとまらない」
決め手になる何かが、完全に不足している。
ここ数日の動きを見ても、特段変化があったようにも見えないから余計に始末が悪い。
「まっ、そこはおれに任せてくれ。君らは当初の予定通り、コンビネーションの試験合格を目指してくれれば良いさ」
「お願いします、アークさん。すいません、そう言う意味でセコンドをお願いしたはずじゃなかったんですけど……」
「気にしなくていいさ、ヒロト君。何事も臨機応変にってな」
そう笑いながら、アークさんはオレの頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫でまわす。
こういう細かい動きも、幼馴染なのか一緒だよなぁ。
アークさんもだけど、アルムやリレルも時々オレの頭を撫でてくるし、絶対にサディエルの影響なんだろうな、これ。
ひとしきり撫で終わり満足いったのか、アークさんは特別訓練所内を見渡せる場所まで移動し、恐らくレックスさんが準備してくれたであろう椅子に座る。
近くに飲み物などもしっかり準備されており、至れり尽くせりな状況だ。
「さってと、それじゃあ僕らは僕らで、今日の動きを確認しよう」
「了解」
「はい」
アルムは紙を広げて、2色のおはじきのような丸い玉を6個置いた。
それを、こつこつと並べていく。
「今日からは、動きに連携性を持たせるように立ち回るわけだが……ヒロト、3対3の布陣の場合、どこから落とす」
「どこから……か」
アルムの問いかけに、オレは考え込む。
真っ先に突っ込んでくるのは、当然ながら前衛になる。
だけど、これまでのサディエルたちの動きを元にするならば……
「最初に落とすべきは、中衛か後衛かな。前衛は、戦闘開始時だと "自分を抑えないと危ないぞ" って、ヘイト稼ぎ……敵愾心を煽るように動くことが多いよね」
「そうだな。で、その行動が意味することは?」
「中衛か後衛を、真っ先に狙って欲しくないから、だと思う」
前衛は確かに強い。
いわゆる勇者ポジション、最も力量がある人物がそこを担うイメージがある。
この位置に居る人が、敵陣に突っ込んでいって無双する、なんてのは良くあるパターンだ。
だけど、実際の所は、前衛はしっかりと中衛や後衛からのフォローを受けて、中衛や後衛は、前衛に守ってもらうのが正しい立ち回りになる。
「ただ……それって、かなり定石に近い動きだよね?」
オレの問いかけに、アルムとリレルは頷く。
つまりは、すぐに想像出来る動きにもなるわけで、あちらもそれは承知しているはずだ。
定石、定石……か。
「アルム、リレル。まずは、その定石をしっかり踏んでおきたい。んでもって、それを布石にしたい」
「理由は?」
「サディエルたちの方も、今日のオレらは、コンビネーションの基礎中の基礎をオレに教え込む……と、睨んでいると思う。動きを学んで対策して、決戦は "明日"、起死回生の策と共に1勝をもぎ取る、という筋書きを想像しているはずだ」
実際、昨日の段階でのこちらの思惑はきっちりと読まれていた。
今日も十中八九読まれているだろうし、それに合わせた動きをあちらだってしてくるだろう。
「だから、今日決着をつけるつもりで立ち回りたい」
「……なるほど、今日か」
「早く仕掛けると、こちらは準備不足で不利な部分が多いですよ」
「うん、準備不足は否めないと思う。ただ、チャンスが1つだけあるはずだ……リレルの推測が正しければ、1回だけ中衛が機能しないタイミングを作れると思う」
中衛が機能しない、という言葉に2人は反応する。
さっき、アークさんは、サディエルに変化があったら合図をくれると言ってくれた。
その変化があったタイミングを、逆転のチャンスにする。
「サディエルが意図的に作った隙じゃないとは思う。だけど、付け入る隙には違いない。使える手札を使える時に切れないなら、宝の持ち腐れだ」
「それなら、明日まで伸ばすのも……と、言いたいが、アークさんを連れて来た時点で、あっちもバレたと認識するわけか」
「うん、だからチャンスは昼前の1回。これがダメなら、明日の策をまた夜にでもみんなで考えよう」
アルムはしばしオレの話した内容を元に考え込む。
さて、判定はいかほどにっと。
「先手必勝か、悪くなさそうだ」
「いけそう?」
「いけるように今からやるんだ。時間がない、作戦を詰めるぞ。まずは、あちらにこっちの意図を悟らせないために、昼前までの動きをまとめる」
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