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「大丈夫エリナ?どこか怪我していない?痛いところない?」
「うん、もう大丈夫だよ。ものすごく驚いたけど、もう落ち着いたし、どっちかって言えば私が朝ミーちゃんの手をケガさせちゃった方が痛そうだったていうか。あの時はごめんね」
「そんなのもう大丈夫よ、全然痛くないんだから。それより、うちのお爺様がごめんね。あの年でイタズラばっかりで、まさかあんなことするとは思わなかったから」
ミーちゃんは手際よく部屋を片付けるとテーブルにお茶とお菓子を並べてくれた。さっきの私はなにもしないで掃除してたんだけど…。それは今触れないでそっとしておこう。これがマナーというやつなんだな。覚えておかないと。
私のとなりに座ったミーちゃんはキッ!っとお爺さんをにらみつけている。お爺さんは特に悪びれた様子もなく、いつものこと、という様子だ。
「なんじゃなんじゃ、2人はそんな仲良しなのか。ワシにもその子を紹介してくれないかミリアーメルよ」
「お爺様!まずは謝ってください!お客様にケガさせてしまうところだったんですよ!」
うぅ。耳が痛い。つい数時間前の私じゃないですかそれ。むしろケガさせちゃったし。お茶もお菓子も出さなかったし。おじいさんよりも立場悪いのでは?
「ま、まぁまぁミーちゃん。私は大丈夫だから。そんなに怒らないであげて?」
「ふぉっふぉ!優しい娘っ子じゃなぁ。ミリアーメルも見習ってほしいところじゃて」
うるさい!と言いたげなミーちゃんはイライラした様子でお菓子に手を伸ばす。このお爺さん。相当めんどうな人かもしれない。
「はじめまして。村長さん。私はエリセフィーナ・スターリンクです。昨日、師匠に連れてこられてこの村に来ました。この村でお店をやりたいと思っているのですが、許可をいただけますか?他の人の迷惑になるような事はしませんので」
「ふぉっふぉ、好きにしたらええ。こんな小さな村で商いなんてしたって大変だろーにとんでもないところに来たもんじゃてぇ。お前さんの師匠とやらもよほどの物好きなんじゃなぁ。この村は人口もすぐねぇ。若い者はこの村を離れて行っちしまうし、子供も少ねぇ。それに年寄りがおおい村でな。定期的に南の町から冒険者組合の連中が様子見に来てくれてはモンスター盗伐にしてくれる程度で、住民以外の往来もすぐねぇ。店をやるには苦労すっとおもうが、なにかあったら相談してけれ」
確かにここに来るまで若い人や子供が遊んでいる姿をほとんど見てこなかった。中年以上の人が多くて、村長さんの話している内容はここに来るまでに見た村の様子そのものだった。南の町は王都とグリムホルンの間にある中継の町でそこそこ栄えている。一番近い冒険者組合はそこなのかぁ。冒険者組合は私みたいな戦闘に向かない錬金術士や商人が護衛を雇うのに最適なんだけど、ギルドが遠いとなると素材探しに雇うこと難しいし、村からでてあまり無理はできないな…。モンスターに襲われてしまったらひとたまりもない。
「普通のお店じゃ苦労すると思うけど、エリナは特別なんだよね?」
「ほぅ。特別とな?そのおっ・・・ゲフンっ!女子ひとりで何の店を作ろうとしとるんじゃ?」
なぜか私よりも自慢げに話しているミーちゃんの言いまわし方に村長さんは興味を持ったようだった。しかも村長さんの視線。長い眉毛で見えにくいんだけど、咳払いする前に見てたところ…若干視線が気になるんだけど…気にしすぎかな。
「特別かどうかはわからないですけど、私は錬金術士なので、錬金術で作ったアイテムなんかを販売していけたらいいなぁと思って」
「れ、錬金術士じゃと!おぬしが…。ふぅぅむ…」
テーブルの上に肘をつき、手を組み考え事をしている風なポーズだけど、このお爺さん、絶対に私の胸を見てると思うんだよね。視線が。私が左右に動いたり、揺れたりするとおじいさんも胸の位置に合わせて上下に揺れたり左右に少し動いたり。このジジィさっきの『おっ』てまさか
「店は好きにすればいいじゃて、ワシは何もいいやせん。だが危ないことだけはしないでくれ。それをまもってくれたらええ。今日はこんな年寄りの為にわざわざすまなんだな。ミリアーメルや、今日は特にやることがないのなら村の中を案内してやるといい。やることがあるのでな。ここで失礼するよ」
私が声を出そうとした瞬間、村長は立ち上がると手をパタパタとふり別の部屋へと移動していった。視線は最低だったけど、なんかちょっとだけ考えていたような素振りもあったんだけど、正直何にどっちに興味を持っていたのかわからない。
ただ、村長が錬金術士と言った後に態度が素っ気なくなった反応に少し戸惑いを感じた。
「うん、もう大丈夫だよ。ものすごく驚いたけど、もう落ち着いたし、どっちかって言えば私が朝ミーちゃんの手をケガさせちゃった方が痛そうだったていうか。あの時はごめんね」
「そんなのもう大丈夫よ、全然痛くないんだから。それより、うちのお爺様がごめんね。あの年でイタズラばっかりで、まさかあんなことするとは思わなかったから」
ミーちゃんは手際よく部屋を片付けるとテーブルにお茶とお菓子を並べてくれた。さっきの私はなにもしないで掃除してたんだけど…。それは今触れないでそっとしておこう。これがマナーというやつなんだな。覚えておかないと。
私のとなりに座ったミーちゃんはキッ!っとお爺さんをにらみつけている。お爺さんは特に悪びれた様子もなく、いつものこと、という様子だ。
「なんじゃなんじゃ、2人はそんな仲良しなのか。ワシにもその子を紹介してくれないかミリアーメルよ」
「お爺様!まずは謝ってください!お客様にケガさせてしまうところだったんですよ!」
うぅ。耳が痛い。つい数時間前の私じゃないですかそれ。むしろケガさせちゃったし。お茶もお菓子も出さなかったし。おじいさんよりも立場悪いのでは?
「ま、まぁまぁミーちゃん。私は大丈夫だから。そんなに怒らないであげて?」
「ふぉっふぉ!優しい娘っ子じゃなぁ。ミリアーメルも見習ってほしいところじゃて」
うるさい!と言いたげなミーちゃんはイライラした様子でお菓子に手を伸ばす。このお爺さん。相当めんどうな人かもしれない。
「はじめまして。村長さん。私はエリセフィーナ・スターリンクです。昨日、師匠に連れてこられてこの村に来ました。この村でお店をやりたいと思っているのですが、許可をいただけますか?他の人の迷惑になるような事はしませんので」
「ふぉっふぉ、好きにしたらええ。こんな小さな村で商いなんてしたって大変だろーにとんでもないところに来たもんじゃてぇ。お前さんの師匠とやらもよほどの物好きなんじゃなぁ。この村は人口もすぐねぇ。若い者はこの村を離れて行っちしまうし、子供も少ねぇ。それに年寄りがおおい村でな。定期的に南の町から冒険者組合の連中が様子見に来てくれてはモンスター盗伐にしてくれる程度で、住民以外の往来もすぐねぇ。店をやるには苦労すっとおもうが、なにかあったら相談してけれ」
確かにここに来るまで若い人や子供が遊んでいる姿をほとんど見てこなかった。中年以上の人が多くて、村長さんの話している内容はここに来るまでに見た村の様子そのものだった。南の町は王都とグリムホルンの間にある中継の町でそこそこ栄えている。一番近い冒険者組合はそこなのかぁ。冒険者組合は私みたいな戦闘に向かない錬金術士や商人が護衛を雇うのに最適なんだけど、ギルドが遠いとなると素材探しに雇うこと難しいし、村からでてあまり無理はできないな…。モンスターに襲われてしまったらひとたまりもない。
「普通のお店じゃ苦労すると思うけど、エリナは特別なんだよね?」
「ほぅ。特別とな?そのおっ・・・ゲフンっ!女子ひとりで何の店を作ろうとしとるんじゃ?」
なぜか私よりも自慢げに話しているミーちゃんの言いまわし方に村長さんは興味を持ったようだった。しかも村長さんの視線。長い眉毛で見えにくいんだけど、咳払いする前に見てたところ…若干視線が気になるんだけど…気にしすぎかな。
「特別かどうかはわからないですけど、私は錬金術士なので、錬金術で作ったアイテムなんかを販売していけたらいいなぁと思って」
「れ、錬金術士じゃと!おぬしが…。ふぅぅむ…」
テーブルの上に肘をつき、手を組み考え事をしている風なポーズだけど、このお爺さん、絶対に私の胸を見てると思うんだよね。視線が。私が左右に動いたり、揺れたりするとおじいさんも胸の位置に合わせて上下に揺れたり左右に少し動いたり。このジジィさっきの『おっ』てまさか
「店は好きにすればいいじゃて、ワシは何もいいやせん。だが危ないことだけはしないでくれ。それをまもってくれたらええ。今日はこんな年寄りの為にわざわざすまなんだな。ミリアーメルや、今日は特にやることがないのなら村の中を案内してやるといい。やることがあるのでな。ここで失礼するよ」
私が声を出そうとした瞬間、村長は立ち上がると手をパタパタとふり別の部屋へと移動していった。視線は最低だったけど、なんかちょっとだけ考えていたような素振りもあったんだけど、正直何にどっちに興味を持っていたのかわからない。
ただ、村長が錬金術士と言った後に態度が素っ気なくなった反応に少し戸惑いを感じた。
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