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鏡晶石は錬金術を行うのに意外と使う材料で、ポーションをいれるフラスコやガラス製品なんかを作るときに加工する素材アイテムのひとつ。ガラス瓶やフラスコなんかは倉庫の中に師匠が作り置きしたものがいくつかあったり、鏡硝石もいくつかあったけど、すぐになくなってしまうから何かを作るなら用意はしておいた方がいい素材だ。ちなみに、ガラス石と呼ばれているけどガラスでできてるわけじゃなくて、石の中に水晶が含まれている物をこの世界ではガラス石、って呼ばれているみたい。
「鏡晶石かぁ。前はお店にも置いてあったんだけど、最近は誰も使わないから一個もないなぁ。でも、その石ならあの山の麓の行けばたくさん落ちてるよ」
立ち上がり大きく背伸びをするとルーシーちゃんは村から見える大きな山を指さした。そこまで遠くないし、日帰りでもじゅうぶんいけそう。
「ほんとぉ!?それ、すっごい助かるよー!教えてくれてありがとう!貴重な情報教えてもらった上に草むしりまで…」
話ながら草を抜き続けていると、けっこうあっという間に残りあと少し!、というところまで来ていた。抜いていくうちになにか畑に隠れていないか気にしていたけど、(ずっと雑草しかないなぁっ)と思っいながらふと、ルーシーちゃんが抜いた草の山を見てみると、見覚えのある草があった。
「あれ?この草ってたしか…」
「え?抜いちゃダメな草があった?ごめんなさい、全部抜いていいものだとばかり思ってたから」
「ううん、違うの、この草は王立錬金術学園にいた時に見たことがあるなぁって思って」
たしか、1年生の時に実際に調合の実習で使ったような…。
(でも、こんなボロボロになって汚れてたらダメだよなぁ)
私は無造作に積み上げられていた草の山から、いくつかを取り上げてみる。根っこも、葉も茎も潰されてたりボロボロになって千切れていて調合の素材としては使えそうにない。しかも、茎から液が出てちょっとくちゃい…。
まぁ、材料として使えないことはないんだけど、汚れてるとか、腐ってるとかよりも綺麗な方が当然いいものができるから使いたくない。腐ったキノコをスープにしても腐ってるものは腐ってるのと同じような考え…かな。
「エリーちゃん、その草、まだ生えてるんだけど…抜かない方がいい。よね?」
「えっ?まだあるの?」
普通こんなところに自生しないものだし、昔師匠が植えてたのかな。この草ってたしか…。
「うん、ほら。ここの下に同じような草があるでしょ?」
ルーシーちゃんが指をさすところへ移動すると大きめの雑草の下に埋もれるような形でひっそりと生えていた。
「あ、『ムシコナーイ』だ」
「この草、何か錬金術に使える素材なの?」
「うん、使えることには使えるんだけど…」
「?なにか問題があるの?」
問題があるってわけじゃないんだけど、あんまり需要がないのだ。この草。調合して作る自体は王立錬金術学園の1年生でやる初歩的な調合だから簡単だし、私でも絶対成功する。ただ、王都ではほっとんど売れてるところを見たことがない。
私がムシコナーイを数本引き抜いてなにか使い道を考えていると、ルーシーちゃんから
「もし、その草で錬金術ができるなら、見せてもらえないかな!私、錬金術見たことなくて、すっごく興味あるんだ!」
ルーシーちゃんのワクワクした顔を見ると、師匠が調合している時の姿が好きだった自分と重なるところがあると感じた。錬金術や魔法は才能で、100人に1人使えるか使えないか、と言われている。魔力がない人もいるが、魔力は持っていても使えない人はこの世界に割と多くいる。錬金術の中にはそういった魔力はあるけど使い方がわからない人のサポートをして魔法や簡単な錬金術なら使えるようにするような補助具もあるくらいだ。
「いいよ!私が錬金術を見せてあげる!」
私はムシコナーイをさらに数本引き抜くと家の中にルーシーちゃんと一緒に入った。
「鏡晶石かぁ。前はお店にも置いてあったんだけど、最近は誰も使わないから一個もないなぁ。でも、その石ならあの山の麓の行けばたくさん落ちてるよ」
立ち上がり大きく背伸びをするとルーシーちゃんは村から見える大きな山を指さした。そこまで遠くないし、日帰りでもじゅうぶんいけそう。
「ほんとぉ!?それ、すっごい助かるよー!教えてくれてありがとう!貴重な情報教えてもらった上に草むしりまで…」
話ながら草を抜き続けていると、けっこうあっという間に残りあと少し!、というところまで来ていた。抜いていくうちになにか畑に隠れていないか気にしていたけど、(ずっと雑草しかないなぁっ)と思っいながらふと、ルーシーちゃんが抜いた草の山を見てみると、見覚えのある草があった。
「あれ?この草ってたしか…」
「え?抜いちゃダメな草があった?ごめんなさい、全部抜いていいものだとばかり思ってたから」
「ううん、違うの、この草は王立錬金術学園にいた時に見たことがあるなぁって思って」
たしか、1年生の時に実際に調合の実習で使ったような…。
(でも、こんなボロボロになって汚れてたらダメだよなぁ)
私は無造作に積み上げられていた草の山から、いくつかを取り上げてみる。根っこも、葉も茎も潰されてたりボロボロになって千切れていて調合の素材としては使えそうにない。しかも、茎から液が出てちょっとくちゃい…。
まぁ、材料として使えないことはないんだけど、汚れてるとか、腐ってるとかよりも綺麗な方が当然いいものができるから使いたくない。腐ったキノコをスープにしても腐ってるものは腐ってるのと同じような考え…かな。
「エリーちゃん、その草、まだ生えてるんだけど…抜かない方がいい。よね?」
「えっ?まだあるの?」
普通こんなところに自生しないものだし、昔師匠が植えてたのかな。この草ってたしか…。
「うん、ほら。ここの下に同じような草があるでしょ?」
ルーシーちゃんが指をさすところへ移動すると大きめの雑草の下に埋もれるような形でひっそりと生えていた。
「あ、『ムシコナーイ』だ」
「この草、何か錬金術に使える素材なの?」
「うん、使えることには使えるんだけど…」
「?なにか問題があるの?」
問題があるってわけじゃないんだけど、あんまり需要がないのだ。この草。調合して作る自体は王立錬金術学園の1年生でやる初歩的な調合だから簡単だし、私でも絶対成功する。ただ、王都ではほっとんど売れてるところを見たことがない。
私がムシコナーイを数本引き抜いてなにか使い道を考えていると、ルーシーちゃんから
「もし、その草で錬金術ができるなら、見せてもらえないかな!私、錬金術見たことなくて、すっごく興味あるんだ!」
ルーシーちゃんのワクワクした顔を見ると、師匠が調合している時の姿が好きだった自分と重なるところがあると感じた。錬金術や魔法は才能で、100人に1人使えるか使えないか、と言われている。魔力がない人もいるが、魔力は持っていても使えない人はこの世界に割と多くいる。錬金術の中にはそういった魔力はあるけど使い方がわからない人のサポートをして魔法や簡単な錬金術なら使えるようにするような補助具もあるくらいだ。
「いいよ!私が錬金術を見せてあげる!」
私はムシコナーイをさらに数本引き抜くと家の中にルーシーちゃんと一緒に入った。
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