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一角うさぎ。この世界ではわりとポピュラーな生物で、狩りの対象にされることもある。
ただし、それは大のおとこの大人が狩りに行くわけで、私たちのように戦闘慣れしていない女子が戦うような相手じゃない。
額から生えている角は薬の材料になるとも言われていて素材にはなる。けどこんなの倒せないよぉぉ!!
大きさは中型犬程度。そのくせ動くスピードは脱兎のごとくウサギと一緒でものすごく早い。しかも額の角に刺されると死ぬか大けがするというおまけつき。なめてかかると死ぬ。ウサギや中型犬などと表現しているが、この世界では立派なモンスターだ。
「みみみ、ミーちゃん!!ど!どどどどーしよう!!!でた!でたよ!!」
「おおおお、落ち着きないエリナ!一角ウサギのスピードじゃ逃げられないわ!た、戦うしかないわよ!」
震える手で勇ましくも剣を構えるミーちゃん。私も近くにあった太めの棒を拾ってとりあえず真似して構えてみる。
一角ウサギはというと、こちらをしっかりロックオンされているようでずっと目が合っている状態のまま硬直状態が続く。正直、さっき見たミーちゃんの剣術で倒せるような相手ではない。熟練した冒険者や魔法使いなら1人でも倒せると思うけど、私たち2人では到底まだ勝てる相手じゃなさそう。誰か、助けになる人がいないか周囲を見渡してみるも、人の気配はない。村の人がだれかいたら助けてもらおうと思ったけど、そこまで甘くないみたい。
(どーしよう。ミーちゃんのいう通り走って逃げても追いつかれて後ろから刺さるし、攻撃しても早くて当たらないで結局刺されちゃうし、…あー!!こんな時に魔法道具の一つでもつくってあれば…)
ものすごく、長く感じる硬直状態が続く。
「わ、私が相手になるわ!あんたは逃げなさい!ロクな武器持ってないんだから!そんなんじゃどうにもならないでしょ!」
手を震わせて涙を流しながら私をかばうように、私の前に立つミーちゃん。確かに、持っているのは拾った棒だけど…。14歳の女の子置いて逃げるわけには行かないよ!とりあえず、とりあえずなにかしなくちゃ!
「私も戦えるよ!初級魔法しか使えないけど…。と、とにかくいくよ!!ファイヤーボール!!」
私はそう叫ぶと目の前に燃える球を召喚し、一角ウサギめがけて投げつける。ミーちゃんはそれを見て一角ウサギめがけて走り出す。
「やーーー!!!!」
ミーちゃんが一角ウサギに突撃しながら叫ぶ。ファイヤーボールは一角ウサギにジャンプ一つで余裕でよけられてしまうが、着地の一瞬、一角ウサギの動きが不自然に止まると、すぐさま私たちに背中を向ける。しきりに奥の茂みを気にしている様子だった。
ズブッ…
「キィーーー!!」
鈍い音と主に、ウサギの叫び声が森に響いた。奥の茂みを気にしていてミーちゃんの事は目に入らなかったのかわからないけど、急に動きが悪くなって一角ウサギの体にミーちゃんの剣が突き刺さった。
ミーちゃんは自分の剣にウサギが突き刺さったことに驚いてすぐに剣を手放してしまったが、剣が胴体に刺さったまま一角ウサギは少しの間暴れるも、やがて動かなくなり、絶命した。
「はっ、はっ、はっ、はっ…」
ミーちゃんは浅い呼吸を繰り返し、肩を大きく上下に揺らしていた。私はすぐにミーちゃんのそばに走っていくとすぐに背中をなでながら、「ゆっくり深呼吸して」と何回も言いながらミーちゃんが落ち着くまで続けた。
「勝ったよ、みーちゃんが一角ウサギを倒したんだよ!」
少しすると呼吸が落ちきはじめ、ボーっとしているミーちゃんは全身の力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。少しづつ理解してきたのか、横に倒れている一角ウサギを見ると、一瞬『ひぃ!』と驚いていたが。
「わたし、倒せたの?本当に?…う、うわーーーん!!!こわかったよーー!死んじゃうかと思ったじゃないか、このばかーー!!」
安心したのか、急に泣き出してしまうミーちゃんを私は「うん、うん。すごかったよ。かっこよかったよ」と泣き止むまでずっと抱きしめ話しかけていた。
(まだ14歳なのに、あんなのに1人で戦っても勝てないってわかってたろうに。私を守ってくれようとしてすごいな。前世の私なんて、14歳のころはひきこもってゲームばっかりだったのに。自分の身を犠牲にして誰かを守ろうなんて考えたことなかったな。ミーちゃんって実は本当に立派な村長になれちゃうかも…)
泣きじゃくる女の子を見ながら、今後は危ないことは絶対にやめよう。と固く決意した。
ただし、それは大のおとこの大人が狩りに行くわけで、私たちのように戦闘慣れしていない女子が戦うような相手じゃない。
額から生えている角は薬の材料になるとも言われていて素材にはなる。けどこんなの倒せないよぉぉ!!
大きさは中型犬程度。そのくせ動くスピードは脱兎のごとくウサギと一緒でものすごく早い。しかも額の角に刺されると死ぬか大けがするというおまけつき。なめてかかると死ぬ。ウサギや中型犬などと表現しているが、この世界では立派なモンスターだ。
「みみみ、ミーちゃん!!ど!どどどどーしよう!!!でた!でたよ!!」
「おおおお、落ち着きないエリナ!一角ウサギのスピードじゃ逃げられないわ!た、戦うしかないわよ!」
震える手で勇ましくも剣を構えるミーちゃん。私も近くにあった太めの棒を拾ってとりあえず真似して構えてみる。
一角ウサギはというと、こちらをしっかりロックオンされているようでずっと目が合っている状態のまま硬直状態が続く。正直、さっき見たミーちゃんの剣術で倒せるような相手ではない。熟練した冒険者や魔法使いなら1人でも倒せると思うけど、私たち2人では到底まだ勝てる相手じゃなさそう。誰か、助けになる人がいないか周囲を見渡してみるも、人の気配はない。村の人がだれかいたら助けてもらおうと思ったけど、そこまで甘くないみたい。
(どーしよう。ミーちゃんのいう通り走って逃げても追いつかれて後ろから刺さるし、攻撃しても早くて当たらないで結局刺されちゃうし、…あー!!こんな時に魔法道具の一つでもつくってあれば…)
ものすごく、長く感じる硬直状態が続く。
「わ、私が相手になるわ!あんたは逃げなさい!ロクな武器持ってないんだから!そんなんじゃどうにもならないでしょ!」
手を震わせて涙を流しながら私をかばうように、私の前に立つミーちゃん。確かに、持っているのは拾った棒だけど…。14歳の女の子置いて逃げるわけには行かないよ!とりあえず、とりあえずなにかしなくちゃ!
「私も戦えるよ!初級魔法しか使えないけど…。と、とにかくいくよ!!ファイヤーボール!!」
私はそう叫ぶと目の前に燃える球を召喚し、一角ウサギめがけて投げつける。ミーちゃんはそれを見て一角ウサギめがけて走り出す。
「やーーー!!!!」
ミーちゃんが一角ウサギに突撃しながら叫ぶ。ファイヤーボールは一角ウサギにジャンプ一つで余裕でよけられてしまうが、着地の一瞬、一角ウサギの動きが不自然に止まると、すぐさま私たちに背中を向ける。しきりに奥の茂みを気にしている様子だった。
ズブッ…
「キィーーー!!」
鈍い音と主に、ウサギの叫び声が森に響いた。奥の茂みを気にしていてミーちゃんの事は目に入らなかったのかわからないけど、急に動きが悪くなって一角ウサギの体にミーちゃんの剣が突き刺さった。
ミーちゃんは自分の剣にウサギが突き刺さったことに驚いてすぐに剣を手放してしまったが、剣が胴体に刺さったまま一角ウサギは少しの間暴れるも、やがて動かなくなり、絶命した。
「はっ、はっ、はっ、はっ…」
ミーちゃんは浅い呼吸を繰り返し、肩を大きく上下に揺らしていた。私はすぐにミーちゃんのそばに走っていくとすぐに背中をなでながら、「ゆっくり深呼吸して」と何回も言いながらミーちゃんが落ち着くまで続けた。
「勝ったよ、みーちゃんが一角ウサギを倒したんだよ!」
少しすると呼吸が落ちきはじめ、ボーっとしているミーちゃんは全身の力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。少しづつ理解してきたのか、横に倒れている一角ウサギを見ると、一瞬『ひぃ!』と驚いていたが。
「わたし、倒せたの?本当に?…う、うわーーーん!!!こわかったよーー!死んじゃうかと思ったじゃないか、このばかーー!!」
安心したのか、急に泣き出してしまうミーちゃんを私は「うん、うん。すごかったよ。かっこよかったよ」と泣き止むまでずっと抱きしめ話しかけていた。
(まだ14歳なのに、あんなのに1人で戦っても勝てないってわかってたろうに。私を守ってくれようとしてすごいな。前世の私なんて、14歳のころはひきこもってゲームばっかりだったのに。自分の身を犠牲にして誰かを守ろうなんて考えたことなかったな。ミーちゃんって実は本当に立派な村長になれちゃうかも…)
泣きじゃくる女の子を見ながら、今後は危ないことは絶対にやめよう。と固く決意した。
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