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「ひっく…。ひっく…」
涙をこぼしながら歩くミーちゃんの手を繋いで、私は村まで戻ってきた。
あのあと、落ち着いたミーちゃんに「村へ帰ろう、」と伝えて、剣に突き刺さったままの一角ウサギを収納カバンへとしまう。さすがドラ〇もんの四次元ポケット。カバンより大きなものでやっぱり口が広がって入るんだなぁ。でも、中で腐らないように早く帰らないと。他の素材に血が…。生臭くなるのも嫌だし…。なるべく刺激をあたえないように一角ウサギをカバンに入れると、ミーちゃんの手を繋いでここまで帰ってきたのだ。戻ってくる間は特にモンスターにも合わなかったし、危ないことはなかった。
私は村に戻っても、泣き止まないミーちゃんに困り果て、とりあえずルーシーちゃんがいると思われるグラーデン家に向かうことにした。
「ルーシーちゃん、いるー?」
「あっ!エリーちゃん!来てくれたんだ!いやーここはもう…退屈で…もう‥…しにそ-」
昨日の食堂とは違う入口に入ると、そこにはカウンターに法杖をついてつまらなそうなルーシーちゃんがいた。つまらなそうな顔から私を見るとぱぁあっと明るくなって、土で汚れた私の服を見てちょっと考えて、私と手を繋いでゆっくりお店に入ってくるミーちゃんを見ると口をパクパクして声が出なくなってしまった。しかも、ミーちゃんはウサギの返り血を受けているので洋服が土と血で汚れて怪我をしているように見えるのがまたよくないんだとおもう。
「ちょ、ちょっとちょっと!!どうしたの!?なんでミリアーメルが…え?これ血!?どこか怪我しちゃったの!?」
急いでミーちゃんのところに走り寄ってくると、手や足、汚れた洋服の下など怪我がないか調べだした。
「ちょっ…ひっく。きやすく触るんじゃないわよ…ひっく」
「多分、怪我はしてないんだけど…ちょっと、ねぇ」
「ちょっと、ねぇ。で済むような事じゃないでしょこれ!どうしたら2人ともこんな汚れて、ミリアーメルは血までついてるの?本当に怪我はないの!?」
「う、うん。血の原因はこれだから。私たちは怪我はしてないよ。ほら、これ」
ドサッ
私はカバンの中から剣に刺さったままの一角ウサギを取り出した。
床に落ちた一角ウサギに驚く、というのもあるけど多分カバンからにゅいーんっと急に現れた一角ウサギの串刺しに驚いたんだろうな。「きゃああああ!」と叫びながらミリアーメルを抱きしめて2∼3歩後ろに下がると、カバンとウサギと剣を交互にみるルーシーちゃんに、私は「うん」とうなずいてみる。
「な、なによこれ!一角ウサギじゃない!それにこの剣、ミリアーメルがいつも村はずれで剣術の稽古って言って使ってるやつでしょ?…まさか、2人で倒したの!?」
まぁ、倒せたのは偶然なんだけど。
「すごい…。すごいわ!一角ウサギなんてレベルとしたら低レベルかもしれないけど、村の男連中でも2∼3人で戦って勝てるようなモンスターなのに、女の子2人だけで倒しちゃうなんて。ちょっとミリアーメル、すごいじゃない!あんたって実はこんな強かったのね!」
「そんなの当たり前…ひっく。…じゃない。だから…ひっく。ひっく…。ずびびびびぃーーー。…いい加減離れなさいよ、バカルーシア…」
おもいっきりルーシーちゃんの服で鼻水をかんで、汚れた顔を拭くとようやく目を開けて少し落ち着いたように見えた。
「あぁああもう。汚いなぁ。人の服で鼻水かまないでよ。バカミリア!…でも、それだけ元気なら大丈夫そうね。でもこれ、どうするの?」
ルーシーちゃんはミーちゃんの頭をポンポンと叩くと立ち上がり、動かなくなった一角ウサギをつついてみる。
「いやぁ。私あまりモンスターを解体したりするの無理で。どうにもできなくてとりあえず持って帰ってきたんだけど、どうにかなったりする?」
「それじゃあこの一角ウサギ、うちの食堂へ売っちゃうっていうのはどう?食用でも流通しているし、何より新鮮だからきっとおいしいと思うし。」
「あ、それはいいんだけど。骨とか毛皮とか角とかは錬金術で使えるかもしれないからほしいんだけど。もらえたりするのかなぁ?」
「この骨とかも錬金術で使えるの?なんでも使えるのってすごいわね…。うーん。多分食べれないし、この村では毛皮とかの買取するお店もないし、いいんじゃない?私からもお母さんに話してみるね!今日の夜はこのウサギ料理にになると思うし、2人とも絶対食べに来てよね!」
よいしょ。っと言いながら一角ウサギを店の隅にあった台車に乗せると、ルーシーちゃんはそのまま道具屋の看板を『閉店』に変えて出ていってしまった。店に残された私たちは汚れた服を着替えるためにも一度家に帰ることにした。
涙をこぼしながら歩くミーちゃんの手を繋いで、私は村まで戻ってきた。
あのあと、落ち着いたミーちゃんに「村へ帰ろう、」と伝えて、剣に突き刺さったままの一角ウサギを収納カバンへとしまう。さすがドラ〇もんの四次元ポケット。カバンより大きなものでやっぱり口が広がって入るんだなぁ。でも、中で腐らないように早く帰らないと。他の素材に血が…。生臭くなるのも嫌だし…。なるべく刺激をあたえないように一角ウサギをカバンに入れると、ミーちゃんの手を繋いでここまで帰ってきたのだ。戻ってくる間は特にモンスターにも合わなかったし、危ないことはなかった。
私は村に戻っても、泣き止まないミーちゃんに困り果て、とりあえずルーシーちゃんがいると思われるグラーデン家に向かうことにした。
「ルーシーちゃん、いるー?」
「あっ!エリーちゃん!来てくれたんだ!いやーここはもう…退屈で…もう‥…しにそ-」
昨日の食堂とは違う入口に入ると、そこにはカウンターに法杖をついてつまらなそうなルーシーちゃんがいた。つまらなそうな顔から私を見るとぱぁあっと明るくなって、土で汚れた私の服を見てちょっと考えて、私と手を繋いでゆっくりお店に入ってくるミーちゃんを見ると口をパクパクして声が出なくなってしまった。しかも、ミーちゃんはウサギの返り血を受けているので洋服が土と血で汚れて怪我をしているように見えるのがまたよくないんだとおもう。
「ちょ、ちょっとちょっと!!どうしたの!?なんでミリアーメルが…え?これ血!?どこか怪我しちゃったの!?」
急いでミーちゃんのところに走り寄ってくると、手や足、汚れた洋服の下など怪我がないか調べだした。
「ちょっ…ひっく。きやすく触るんじゃないわよ…ひっく」
「多分、怪我はしてないんだけど…ちょっと、ねぇ」
「ちょっと、ねぇ。で済むような事じゃないでしょこれ!どうしたら2人ともこんな汚れて、ミリアーメルは血までついてるの?本当に怪我はないの!?」
「う、うん。血の原因はこれだから。私たちは怪我はしてないよ。ほら、これ」
ドサッ
私はカバンの中から剣に刺さったままの一角ウサギを取り出した。
床に落ちた一角ウサギに驚く、というのもあるけど多分カバンからにゅいーんっと急に現れた一角ウサギの串刺しに驚いたんだろうな。「きゃああああ!」と叫びながらミリアーメルを抱きしめて2∼3歩後ろに下がると、カバンとウサギと剣を交互にみるルーシーちゃんに、私は「うん」とうなずいてみる。
「な、なによこれ!一角ウサギじゃない!それにこの剣、ミリアーメルがいつも村はずれで剣術の稽古って言って使ってるやつでしょ?…まさか、2人で倒したの!?」
まぁ、倒せたのは偶然なんだけど。
「すごい…。すごいわ!一角ウサギなんてレベルとしたら低レベルかもしれないけど、村の男連中でも2∼3人で戦って勝てるようなモンスターなのに、女の子2人だけで倒しちゃうなんて。ちょっとミリアーメル、すごいじゃない!あんたって実はこんな強かったのね!」
「そんなの当たり前…ひっく。…じゃない。だから…ひっく。ひっく…。ずびびびびぃーーー。…いい加減離れなさいよ、バカルーシア…」
おもいっきりルーシーちゃんの服で鼻水をかんで、汚れた顔を拭くとようやく目を開けて少し落ち着いたように見えた。
「あぁああもう。汚いなぁ。人の服で鼻水かまないでよ。バカミリア!…でも、それだけ元気なら大丈夫そうね。でもこれ、どうするの?」
ルーシーちゃんはミーちゃんの頭をポンポンと叩くと立ち上がり、動かなくなった一角ウサギをつついてみる。
「いやぁ。私あまりモンスターを解体したりするの無理で。どうにもできなくてとりあえず持って帰ってきたんだけど、どうにかなったりする?」
「それじゃあこの一角ウサギ、うちの食堂へ売っちゃうっていうのはどう?食用でも流通しているし、何より新鮮だからきっとおいしいと思うし。」
「あ、それはいいんだけど。骨とか毛皮とか角とかは錬金術で使えるかもしれないからほしいんだけど。もらえたりするのかなぁ?」
「この骨とかも錬金術で使えるの?なんでも使えるのってすごいわね…。うーん。多分食べれないし、この村では毛皮とかの買取するお店もないし、いいんじゃない?私からもお母さんに話してみるね!今日の夜はこのウサギ料理にになると思うし、2人とも絶対食べに来てよね!」
よいしょ。っと言いながら一角ウサギを店の隅にあった台車に乗せると、ルーシーちゃんはそのまま道具屋の看板を『閉店』に変えて出ていってしまった。店に残された私たちは汚れた服を着替えるためにも一度家に帰ることにした。
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