混血の守護神

篠崎流

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残せる物

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それでまた何十年か経った。この辺りで世界情勢の内情の収集から、円はイタリアに向かうローマ帝国だ

勿論「またここも戦争してるのか」としか思わなかった、時期としてはローマ帝国時代なので外征が多く周辺各国で争っている時代なのでどこへ行ってもあまり状況が変わらない

では何故来たかと言えば、これも趣味の部分「学」である
哲学、神学の地で書が多い、ついでラテン文学の最盛どうせ公的な側に関わる事もないし、と軽く考えた

極端な話し、円個人なら別に名前を変えて国を移動すれば、徴兵の類があろうと余裕で逃げられる、そもそも現地の人間じゃないし拘る理由すらない

ただ、そこに着いて見ると、あまり状況は宜しくない、街は豪華だし、栄えているが、この頃のローマは兎角あちこち出兵、派兵している、そもそも帝国だし

「ま、別に関係ない」と思ったが、税の徴収が重いので円は旅人の様な行動、自然の側に紛れて生活半々で、国の外側、漁の類の街に入って荒れた情勢にも関わらず悠々自適に過ごした

だいたい、円はこれまでの積み重ね、生活あって別に無理矢理働かなくてもそれ程困らない、つまり、割り合い資産持ちな訳で、手持ちの金だけでも結構あるし、余分なものはアチコチ隠し置いてある

ここで適当な家も借りて子供の教師もしながら自身も本を読んで過ごしつつ、漁場に通って手伝いもした

そうするのもこの辺りになると「船」が中々大型で立派だ、海を使った交易もあり、異文化や商品が入ってくる

実にいい環境と言えるが、やはり戦争の類は邪魔ではあった、市民の生活になんら益を齎さないし徴税に徴兵と負担が増える

「関わらなきゃいい」もそれはそうなのだが戦時はどうしても市民生活に影響する、ましてローマは拡大的に外に広がる

1年ほど過ごした後、また転機が訪れる。船や漁を手伝う内、船乗りの男性と知己になる。別に深く関わるつもりも無かったのだが彼は明るい人物で、何かと円に話しかけた

そっけなくしてれば向こうから近づいて来ないだろうと、いつも大体そうしているが、そうは行かなかった

向こうからすれば生真面目で美しい東洋人の女性がそもそも珍しいもちろんそれだけではない、円が余りに見識と学に詳しく優れた所だ、特に語学である

「君は教師もしているのか?だったらオレの娘に学を教えて欲しい」と彼は頼み込んだ
「娘??」
「この国は内部でも荒れている、民衆派と官派で政策が逆でどっちに転ぶかで悪い展開に成りかねない、まぁ、既に戦争で圧迫が厳しいが」
「それで?」

「オレらは自分の生活と糧が固定されている、ここで終るだろう、だが、子供には広い選択支を持たせたい、エンは語学が堪能だし何の仕事でもこなせるから‥」

これは人の親としては全うな考えだ。選択肢とは、何れここに拘らなくていい形を作りたいという事、つまり、諸外国への移住なりである

円も断らなかった、尤もな考えだし
元々教師もやっている、しかも自身も世界中回っているし、政治の犠牲に、その場に留まる事に拘って犠牲になる必要もない

彼の家で奥さんと子供に挨拶して仕事の終りから夜にその教育を受けた「報酬は夕食でいいよ」として無償に近い形で受けて教えた

娘は12歳でクロエと言った
奥さん似で金髪青い眼のきっと将来美人になりそうだという子だった。この子は素直で学方面にはかなり適正があった少なくとも自分よりはあるだろう

半年程でヨーロッパ地方の言語、文の部分を半分出来る様に成った

これは円の実体験からこの辺りの語学は大抵同じパターンで出来ている事を効率的、簡単に説明出来る事である、全く違うのはギリシア文字くらいだろう

「読み、音が違うだけで書いて伝える分にはどこでも大抵通じる」
「うん、殆ど同じ文字なんだね」
「そう、ローマ文学は少し違い、発音も独特だが半分は同じで通じる、これを覚えておけば、何れどこに行っても書いて通じる」
「はい」
「文字の源流も分別するとそれほど種類は無いし、法則の元に今の形に出来上がっている、だから同じ地方なら大抵筆談でいける」
「音も同じなのが結構あるんだね」
「そうだね、南方まで行かなければ問題ない」
「南方?」
「アラビア方面に行くとまた、混じって変化する、これは少し異質だ」

「うーん」
「所詮人間やっている事や、作り上げて社会に浸透するものはあまりにも複雑で難しいというのは無い、クロエみたいに頭が良く、コツが分る子なら他所の土地でも苦労は少ないだろう」
「そっか、難しいと誰にでも分らないもんね」
「そういう事、言葉も、生活も誰でもやっている、老若男女関わらずね、だから、誰でも使えなければそれは浸透もしないしシステムから外されていく、人のやってる事なんてどれもそれ程複雑ではない」

兎角クロエはマジメで物覚えがよく、コツを掴むのが上手い。こういう生徒は教えている方も楽しい自身にも復習が出来て新たな発見もある

勿論、両親も喜んだ円もクロエをベタ褒めであるし、娘も円を尊敬している、ただ、クロエは円の家にも通った

というのも、クロエは円を好きだし、彼女の家は珍しい物がいっぱいあった、円が何時も持っている剣、趣味で集めた他国の文学書、美術品、道具

幼いクロエからすれば、目新しい物ばかりだから、それは当然かもしれない

特に円の武器は、この頃から独自なモノに変わっている、これは自身が「なるべく殺傷はしない」という所と「何時何があるか判らないから普段持っていても邪魔にならないもの」の方針から個人的に改良したものだからだ

剣は両刃で無く片刃、細身の剣で先も突き刺しを出来ないようにしている、元の故郷や中国での経験から後の「日本刀」に近い形に成っている

西洋の剣と、東洋の円月刀の中間を取った、剣の要素とミネ打ちに寄る、斬りと打撃、両方の効果を出す為にそうなった

無論防具、小手もだ、重くごつい物で無く、普段つけても邪魔にならず、薄い長方形の金属を縦に並べて重ね、くっ付けた様な形でフィットして美観を損ねない、尚且つ、徒手での打撃を想定している

ここでクロエも円が武芸者でもあることを知り
それもせがんで習った、円はクロエに棒術を教える

「なるべく近接で無い方が楽」と云う理由と殺生は宜しくない、で

というのも「誰かを殺す」は自分に良くない、贖罪、自身が後、後悔する事もあるからでそれをクロエに与えようとは思わなかった

クロエは武に関しても中々の才能だった、取り組みが真摯で才能がある特に彼女は、反射神経が良く、素早い

一年で「自衛ならこれで十分だろう」という所まで伸びる、円も暫くは公私共に充実した日々を送ったが悪い流れ、の動きはやはり戦だった、拡大政策から他国への出兵が重なり、税が重くなるそこまではいい

問題は徴兵も始まった事にある
円はここにも計二年半程居たがこうなると居心地が悪く

「また、移動するか」と考えていたが結果的にそれは半々に行う事なった

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