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都の乱
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黄巾の乱から五年
時の皇帝、霊帝の崩御、小帝がすぐさま後をとるがこれを機に大将軍、何進は宦官の蹇碩を誅殺し外戚の董重と董太后も殺害。
これは宦官政治、外戚を良く思わない官僚、公人側からすれば当然の措置ではあるが、簡単に言えば皇帝が国家の主であり、差し置いて臣下である宦官や前王の親戚が権力を持ち振るい、治世に直接関わるのはおかしいからだ
が、これに更に報復とし張譲を代表する宦官は何進を暗殺、殺害、宮中内部争いは内部に留まらぬ勢いと成った
大将軍何進と協力関係にあった三公の袁紹は、これを幸いとし宦官二千人を誅殺し宦官勢力を一掃するがこの混乱に乗じ董卓が洛陽に入城、権力闘争の末、少帝を廃して献帝を即位させ、自身が相国となる。
宦官の廃、董卓の相国から宮に集まった袁紹、袁術、曹操らも此れに賛同せず都を離れる、霊帝から献帝までが僅か一年という争いである
こうなると、流石に円らも洛陽を離れた、とは云え、各地の諸侯の割拠の中どこへ逃れるとも無い状況だった為一時再び円の元の隠れ家、山に避難する
「また、無茶苦茶な事に成ったわね‥」
円は云ったがヤオは考慮の後返した
「ふむ、出て正解だな」
「え?」
「今後も洛陽中心に荒れる」
「もう十分荒れてるけど‥」
「これは序章に過ぎぬな」
「それが分る、という事はアレ?、分岐ね?」
「うーん‥らしいのだが、イマイチハッキリせんのぅ」
「どゆこと?」
「予想予知でもハッキリしない、多分複数の要素と干渉、それから前後がかなり複雑に絡み合っていると思われる。それで予想予知も分岐が多すぎて捉えられん、其の上、別の力も感じる」
「それってどうすればいいのよ‥」
「ふむ‥困ったのう‥これはウチも潜らんといかんな」
「どういう意味?」
「直接、この乱の最中に潜って近い所で見てみる、それで一つ一つ解いていくしかないな」
「私には何時もの内乱にしか見えないけど、重要な歴史って事なのかしら?」
「歴史が重要かどうか、は余り関係ない複数干渉、あるいはウチへの直接妨害、色々だろう」
「とりあえず、私はどうすればいい?」
「そうじゃな、円もいっそ、近い所に居た方がいい、つまり、中央付近のどこかの州とか街とか」
「わかった」
「とは云え、お主に外的要因を知る能力は無いのでウチが何か掴んだ場合、知らせる、だからなるべく本土を離れるな、という事」
「分った、其の点は自己判断でいいのね」
「うむ、無理に洛陽に居る必要も無いが近隣には居た方が良い、物事の中心にあるし」
「ええ」
そうして二人、円とヤオは一旦離れる。ヤオは分身を戻して中国本土内での探査に切り替え、円はそのまま洛陽北の港に下りて滞在した
暫く動きは無かったものの翌年には先の董卓、袁紹の関係、都から離れた諸侯らと董卓の専横を良く思わぬ側とで乱に成って行く
所謂、義勇同盟「反董卓連合」が号令から各地の集まり、洛陽への共同武力行使に発展、これに各地、先の袁紹、袁術、曹操らの他にも全国から多数の豪族、州牧が集まる事となった
これに参戦した連合側義勇軍は
袁紹、曹操、袁術、孫堅、公孫、劉備
ただ、これ自体完全に「董卓許すまじ」とか
「彼に正義無し」という「義」によっての集まりではない
権力闘争の延長でこれに負けて都を出た袁紹の号令で、ようするに、皇帝を擁して相国と成った董卓が邪魔とか皇帝を逆にこの戦いで保護出来れば自分らが忠臣と成れる、という「計算」「打算」が多かった。それゆえに、この共同作戦も崩れる事となるが
とは言え名目、実質的には董卓の専横というか行いは酷い物だった。権力を得た後は、皇帝から都合の良い称号や位を与えさせ、不都合な相手を殺害、毒殺など行い
洛陽の富豪を襲って金品を奪ったり、村祭りに参加していた農民を皆殺しにしたり、董卓の兵が毎夜のごとく女官を凌辱したり悪道を重ねた
相国となって、反董卓連合が起きるまで一年程度でこれらの悪事を尽くした、故に討伐軍が起こるのは必然ではある
帝を擁する董卓は洛陽周囲の砦、汜水、虎狼関で連合軍と対峙迎撃を行う、董卓側には武に優れた将多く、二つの関が硬く一時連合側を抑えた
特に董卓の義理の子、呂布を中心とした戦いで、連合側も苦戦の状況となった
それには複数の要素、連合側のお互いが協力する部分が無く足の引っ張り合いにあった故である
洛陽包囲策を取ったものの、董卓軍は強力なこともあり、曹操・孫堅以外は積極的に動かず
曹操が諸侯の協力を得れず少数の兵で奇襲するも待ち伏せに合い惨敗、孫堅の進撃も仲間内の裏切りで中断、袁術が孫堅の躍進に危機を感じ兵糧の補給を断る等、誰かが結果を出そうとすると後ろから足を引っ張られる状況が繰り返され。この戦いも長期に及ぶ事となった
これら一連の流れを近隣から観戦していた円も呆れるしかない、だが、一方で、人間らしい何時もどおりだとも思った
これは先のユダヤ戦争も同じだ、両軍で覇権を争いながらも、どちらも権力を握ろうと、時勢が転べば身内から裏切られる、に終始したのだから、そう、思っても当然だろう
正に「また?」としか言いようが無い
だが、この戦いも何時までも続く訳ではない、先の孫堅が二つの関での勝利、威勢から結果的には洛陽まで進む事になる
ここで円も洛陽へ戻った
自身の意思ではない「ヤオ」から云われてだ
「どういう事?」
ヤオと街で合流して話したがそれもふざけた内容であった、歴史上の何時もどおりではあるのだが余りにも想像を絶して酷い、予想予知だった
「うむ、まだ、ちとかかるが、今後劣勢の董卓軍は洛陽を燃やして逃げる」
「ちょ‥」
「んで、敵の目的の半分でもある皇帝も殺害、長安に遷都しつつ居城を移す」
「焦土策か‥しかし滅茶苦茶するわね‥」
「ほんとな、どっちが悪魔なのか分ったもんじゃないわな」
「ま、まあ、それは良いとして、肝心の「分岐」だけど」
「うむ、ウチら、というか円は董卓の、というか皇帝の配下でもある一部官僚一族を守ってもらう」
「は???」
「云いたい事は分っとる、が、ここが分岐じゃ」
「なんというか‥全然やりたくないわ‥」
「だが、この人物の一族は何れこの董卓を潰す策動を行う、故に、それを守って実現してもらう」
「なるほど、一応分ったわ‥」
「うむ、円はそっちに張り付いて行動だな。ウチも周囲を張る」
つまりこの人物一族、とは三国志初期に重要な役割をもった、当時司徒の役職にあった、王允と養女貂蝉の事である
後の話しではあるが董卓は都を焼き払って後、暴政が続くが、この王允が養女、貂蝉を董卓と養子呂布の間に放ち両者を仲違いさせる
そこから呂布は義父董卓を殺害しこの暴政は終る事になる、故に、円らはこの王允を守るという事だ
「これが失敗すると、董卓の暴政が続き乱が乱のまま続く事になる」
「正直嫌だけど、やらない訳にはいかないわね」
「うむ」
「でも、これって分岐として必要性が見えないんだけど」
「どういう意味で?」
「魔の側がこの王允を殺そうが生かそうが戦は続くんでしょ?」
「そうじゃな、ウチにも意味不明ではあるが董卓が生きた場合、今後も今までの様な中央内乱が続く、つまり、都内だが」
「うん」
「そうなった場合、アチラ側に得が出るのかもしれない、例えば、この連合との戦いの様な事例が続けば「不幸」の拡大がより大きいのかも知れん」
「なるほど、分らなくは無いわね、この董卓もだけど連合側も微妙過ぎるし‥第二次連合と成っても同じく長期中央での消耗戦になるわね」
「ま、そこは向こうの事情でもあるがウチとしては「予想予知」を放置は出来ない」
「そうね‥裏とか先とか色々あるけど私がどうにか出来る話じゃない、分っている所をこなすしかないな」
「まあの、これは、今までの事情、事例からも大差ないし基本的な部分、予想予知の所で逐次やるしかあるまい」
「ええ、わかったわ」
こうして円は首都決戦「前」に言われた通り潜入して宮中周りを張ったヤオは消えて内部へ、である
予想予知で言われた部分の分岐の根源、つまり、洛陽の取り合いもそれ程掛からず突入する
連合側、孫堅が二つの関を突破した勢いのまま洛陽へ、ここでも激しい争いになるが、勢いに勝る側が都へ踏み込み内部での戦いと成る
ここで先の予想予知通り、董卓軍が都に放火、と言ってもただの焦土策ではない「全部焼け」だった
しかも事前策ですらなく、避難誘導すら薄い、宮中の官僚、宦士も慌てて避難する有様である、そして宮中に潜入したヤオから連絡が入る
「大混乱じゃな、今のうちに入れ」だった
円はすぐさま宮中「上」から侵入、内部は急な作戦で大混乱で持ち出しが始まる、しかも既に街には火が放たれている
「うわ~‥」としか円も言いようがない
円も屋根づたいに移動しながら集団を見守り後ろについた、誰がその王允なのか分らないがどうやらこの集団を守ればいいらしい
官僚らが正面門から出る所と同時「敵」が現れ、出入り口を塞いだ、5人程の兵が刀を抜いて一斉に官僚らに切りかかった
円も瞬間「まずい」と思った、何しろ自分は集団の後ろである
先頭の官僚の一人目が斬られると思ったが官僚側集団から飛び出し。前に立ちはだかって防いだのは「大人ヤオ」だった、棒で刀を受け止め叫んだ
「裏じゃ!そっちから逃げろ!」と
それらを受けて混乱する集団も一斉反転、再び宮殿内に逃げ込み、云われた通り裏へ向かう、もちろん「逃すか!」と敵兵も走るが駆けた先頭の兵が横に吹き飛ばされて壁に貼り付けにされる
「ヤオ!向こうを、こいつらは私がやる!」と
叫ぶと同時百歩神拳で吹き飛ばしてヤオの代わりに連合兵との間に飛び降り、割り込んだ、既に相手残りも四人、円ならどうという事もない
ヤオも受けて分身と自身で逃げる集団と円に同時ついた、手前の兵から殴り倒しに掛かる
一瞬で敵、3を発勁の掌打で倒し「残り一人!」と飛び掛るが、その最後の一撃を避けられた
予想してなかった事、だけに前に突っ込んで体勢が崩れた所、腹に突きを食らって円も後ろに吹き飛んだ
咄嗟、硬気功を張ってダメージを防いだが円も宮殿の入り口まで後ろに飛ばされ、踏みとどまった、7,8メートルは軽く飛ばされただろうか、思わず円も歯を食いしばった
「ぐ‥」
と唸って「そいつ」と対峙する
そう「まともな相手ではない」と直ぐ分かった
「何者!」そう残り一人を睨んで問うた
が、相手はそれに応えず、兜を脱ぎ捨て、刀を抜く、そして笑って返した
「まさか、ここで会うとはな」と
「干渉」には違い無い、が、何時もの魔の類ではないそして相手も「人間」だった、明らかに「気」の質がそうだった
「!‥まさか、向こうの使徒?!」
「そうらしいな」
相手はそう応えて、そうだと示した。背の高いどちらかと云えば痩せ型の顔も3割隠れる長い黒髪の、鋭い眼つきの男性武者
「魔」の側の使徒だった、故に、人間側の兵に紛れても分りはしない、手を合せるまで気が付かなかったのである
相手は前に駆け刀を横に払う。円はそれを仰け反ってかわしながら蹴りを打ち上げる。拳法の「背転脚」でバック転しながらかわすと同時蹴り返した、が、それを相手も頭を横に傾けてかわす
即座に空振りした刀を返して斜め左上から下に斬る円はそれも後ろに跳んで避けるがその「間」を相手は取らせない
前に駆けながら十字に二撃放つ「十字」と表現した通り1と2が同時に繰り出されたように感じる程早い、これで、円は右肩を僅かに斬られた
一瞬、それで気をやった、それが「隙」と成った。止めの一撃、最も避け難い胸への突きを差し込む
円はこれを左45度回転してかわし、自身が回った勢いのまま右掌打を打ち返した、だが、武器と素手、右手が届く訳が無い、と相手は思った
瞬間、相手と自分の前で空気爆発が起こり相手が吹き飛ばされた、そう、当てる気等最初からない
かねてから「有効」として構想があった「近距離からの百歩神拳」これを手が届かぬと見せかけ、相手と自分の間の空間に打ち込んで誘爆させた
「ぐう!」と相手も唸って再び距離を取ったが、これで、相手が膝から崩れる、まるで「電撃」でも食らったかの様に体の自由が利かない、左肩から胸まで痺れる
「なんだこれは‥!」
気功の特徴は精神波に近い事である、何が相手だろうと、生物なら、乱す勁を食らうと干渉して体の自由を奪われる、打ち込む側の意図で「毒にも薬にもなる」
これで相手も正面門から街側へ逃走し闇に消えていった
円も驚いたが、今はそれが優先ではない。直ぐに振り返って宮中から逃れた官僚らを追おうとした。これで終りとは限らない
が、それをヤオは止めた
「終りじゃ、変更なし」と告げられ、円も大きく息をはいた
「ふう‥終ったか‥」
「うむ、ご苦労じゃったな」
「何なのアイツ‥」
「円の逆の立場の人間じゃな」
「みたいね‥やっぱり強いのね」
「まぁ、どのくらい生きているかにも寄るが、条件は同じじゃからの、だが、円の方が明らかに上じゃな」
「持ってる技の差、でしょうね。武だけなら微妙だけどね‥」
「ま、兎に角戻ろう、連合の兵も殺到してくる」
「そ、そうね」
二人も街から消えたのであった
その後二人は長安、次の董卓の遷都先に向かいながら情報も収集しながら集落等を渡り歩く。ヤオの云った通りに進む事になった
連合側は洛陽を制圧するが都は半数消失、焦土策、ではあるがこれはつまり「向こうが欲しがっているモノを一つも渡さない」というやり方だった。
洛陽を捨てる際もあるだけの金品を略奪、これで長安へ移った
洛陽を占拠、奪還した事で一時、この集まりも解散し、其々の国へ戻る、聊か中途半端な終わり方ではあるが曹操にしても、孫堅にしても、また後ろから足を引っ張られては堪らんし、この連合は当初から協力する意思に欠ける、ならば、同一行動を続ける必要も無いと感じた
時の皇帝、霊帝の崩御、小帝がすぐさま後をとるがこれを機に大将軍、何進は宦官の蹇碩を誅殺し外戚の董重と董太后も殺害。
これは宦官政治、外戚を良く思わない官僚、公人側からすれば当然の措置ではあるが、簡単に言えば皇帝が国家の主であり、差し置いて臣下である宦官や前王の親戚が権力を持ち振るい、治世に直接関わるのはおかしいからだ
が、これに更に報復とし張譲を代表する宦官は何進を暗殺、殺害、宮中内部争いは内部に留まらぬ勢いと成った
大将軍何進と協力関係にあった三公の袁紹は、これを幸いとし宦官二千人を誅殺し宦官勢力を一掃するがこの混乱に乗じ董卓が洛陽に入城、権力闘争の末、少帝を廃して献帝を即位させ、自身が相国となる。
宦官の廃、董卓の相国から宮に集まった袁紹、袁術、曹操らも此れに賛同せず都を離れる、霊帝から献帝までが僅か一年という争いである
こうなると、流石に円らも洛陽を離れた、とは云え、各地の諸侯の割拠の中どこへ逃れるとも無い状況だった為一時再び円の元の隠れ家、山に避難する
「また、無茶苦茶な事に成ったわね‥」
円は云ったがヤオは考慮の後返した
「ふむ、出て正解だな」
「え?」
「今後も洛陽中心に荒れる」
「もう十分荒れてるけど‥」
「これは序章に過ぎぬな」
「それが分る、という事はアレ?、分岐ね?」
「うーん‥らしいのだが、イマイチハッキリせんのぅ」
「どゆこと?」
「予想予知でもハッキリしない、多分複数の要素と干渉、それから前後がかなり複雑に絡み合っていると思われる。それで予想予知も分岐が多すぎて捉えられん、其の上、別の力も感じる」
「それってどうすればいいのよ‥」
「ふむ‥困ったのう‥これはウチも潜らんといかんな」
「どういう意味?」
「直接、この乱の最中に潜って近い所で見てみる、それで一つ一つ解いていくしかないな」
「私には何時もの内乱にしか見えないけど、重要な歴史って事なのかしら?」
「歴史が重要かどうか、は余り関係ない複数干渉、あるいはウチへの直接妨害、色々だろう」
「とりあえず、私はどうすればいい?」
「そうじゃな、円もいっそ、近い所に居た方がいい、つまり、中央付近のどこかの州とか街とか」
「わかった」
「とは云え、お主に外的要因を知る能力は無いのでウチが何か掴んだ場合、知らせる、だからなるべく本土を離れるな、という事」
「分った、其の点は自己判断でいいのね」
「うむ、無理に洛陽に居る必要も無いが近隣には居た方が良い、物事の中心にあるし」
「ええ」
そうして二人、円とヤオは一旦離れる。ヤオは分身を戻して中国本土内での探査に切り替え、円はそのまま洛陽北の港に下りて滞在した
暫く動きは無かったものの翌年には先の董卓、袁紹の関係、都から離れた諸侯らと董卓の専横を良く思わぬ側とで乱に成って行く
所謂、義勇同盟「反董卓連合」が号令から各地の集まり、洛陽への共同武力行使に発展、これに各地、先の袁紹、袁術、曹操らの他にも全国から多数の豪族、州牧が集まる事となった
これに参戦した連合側義勇軍は
袁紹、曹操、袁術、孫堅、公孫、劉備
ただ、これ自体完全に「董卓許すまじ」とか
「彼に正義無し」という「義」によっての集まりではない
権力闘争の延長でこれに負けて都を出た袁紹の号令で、ようするに、皇帝を擁して相国と成った董卓が邪魔とか皇帝を逆にこの戦いで保護出来れば自分らが忠臣と成れる、という「計算」「打算」が多かった。それゆえに、この共同作戦も崩れる事となるが
とは言え名目、実質的には董卓の専横というか行いは酷い物だった。権力を得た後は、皇帝から都合の良い称号や位を与えさせ、不都合な相手を殺害、毒殺など行い
洛陽の富豪を襲って金品を奪ったり、村祭りに参加していた農民を皆殺しにしたり、董卓の兵が毎夜のごとく女官を凌辱したり悪道を重ねた
相国となって、反董卓連合が起きるまで一年程度でこれらの悪事を尽くした、故に討伐軍が起こるのは必然ではある
帝を擁する董卓は洛陽周囲の砦、汜水、虎狼関で連合軍と対峙迎撃を行う、董卓側には武に優れた将多く、二つの関が硬く一時連合側を抑えた
特に董卓の義理の子、呂布を中心とした戦いで、連合側も苦戦の状況となった
それには複数の要素、連合側のお互いが協力する部分が無く足の引っ張り合いにあった故である
洛陽包囲策を取ったものの、董卓軍は強力なこともあり、曹操・孫堅以外は積極的に動かず
曹操が諸侯の協力を得れず少数の兵で奇襲するも待ち伏せに合い惨敗、孫堅の進撃も仲間内の裏切りで中断、袁術が孫堅の躍進に危機を感じ兵糧の補給を断る等、誰かが結果を出そうとすると後ろから足を引っ張られる状況が繰り返され。この戦いも長期に及ぶ事となった
これら一連の流れを近隣から観戦していた円も呆れるしかない、だが、一方で、人間らしい何時もどおりだとも思った
これは先のユダヤ戦争も同じだ、両軍で覇権を争いながらも、どちらも権力を握ろうと、時勢が転べば身内から裏切られる、に終始したのだから、そう、思っても当然だろう
正に「また?」としか言いようが無い
だが、この戦いも何時までも続く訳ではない、先の孫堅が二つの関での勝利、威勢から結果的には洛陽まで進む事になる
ここで円も洛陽へ戻った
自身の意思ではない「ヤオ」から云われてだ
「どういう事?」
ヤオと街で合流して話したがそれもふざけた内容であった、歴史上の何時もどおりではあるのだが余りにも想像を絶して酷い、予想予知だった
「うむ、まだ、ちとかかるが、今後劣勢の董卓軍は洛陽を燃やして逃げる」
「ちょ‥」
「んで、敵の目的の半分でもある皇帝も殺害、長安に遷都しつつ居城を移す」
「焦土策か‥しかし滅茶苦茶するわね‥」
「ほんとな、どっちが悪魔なのか分ったもんじゃないわな」
「ま、まあ、それは良いとして、肝心の「分岐」だけど」
「うむ、ウチら、というか円は董卓の、というか皇帝の配下でもある一部官僚一族を守ってもらう」
「は???」
「云いたい事は分っとる、が、ここが分岐じゃ」
「なんというか‥全然やりたくないわ‥」
「だが、この人物の一族は何れこの董卓を潰す策動を行う、故に、それを守って実現してもらう」
「なるほど、一応分ったわ‥」
「うむ、円はそっちに張り付いて行動だな。ウチも周囲を張る」
つまりこの人物一族、とは三国志初期に重要な役割をもった、当時司徒の役職にあった、王允と養女貂蝉の事である
後の話しではあるが董卓は都を焼き払って後、暴政が続くが、この王允が養女、貂蝉を董卓と養子呂布の間に放ち両者を仲違いさせる
そこから呂布は義父董卓を殺害しこの暴政は終る事になる、故に、円らはこの王允を守るという事だ
「これが失敗すると、董卓の暴政が続き乱が乱のまま続く事になる」
「正直嫌だけど、やらない訳にはいかないわね」
「うむ」
「でも、これって分岐として必要性が見えないんだけど」
「どういう意味で?」
「魔の側がこの王允を殺そうが生かそうが戦は続くんでしょ?」
「そうじゃな、ウチにも意味不明ではあるが董卓が生きた場合、今後も今までの様な中央内乱が続く、つまり、都内だが」
「うん」
「そうなった場合、アチラ側に得が出るのかもしれない、例えば、この連合との戦いの様な事例が続けば「不幸」の拡大がより大きいのかも知れん」
「なるほど、分らなくは無いわね、この董卓もだけど連合側も微妙過ぎるし‥第二次連合と成っても同じく長期中央での消耗戦になるわね」
「ま、そこは向こうの事情でもあるがウチとしては「予想予知」を放置は出来ない」
「そうね‥裏とか先とか色々あるけど私がどうにか出来る話じゃない、分っている所をこなすしかないな」
「まあの、これは、今までの事情、事例からも大差ないし基本的な部分、予想予知の所で逐次やるしかあるまい」
「ええ、わかったわ」
こうして円は首都決戦「前」に言われた通り潜入して宮中周りを張ったヤオは消えて内部へ、である
予想予知で言われた部分の分岐の根源、つまり、洛陽の取り合いもそれ程掛からず突入する
連合側、孫堅が二つの関を突破した勢いのまま洛陽へ、ここでも激しい争いになるが、勢いに勝る側が都へ踏み込み内部での戦いと成る
ここで先の予想予知通り、董卓軍が都に放火、と言ってもただの焦土策ではない「全部焼け」だった
しかも事前策ですらなく、避難誘導すら薄い、宮中の官僚、宦士も慌てて避難する有様である、そして宮中に潜入したヤオから連絡が入る
「大混乱じゃな、今のうちに入れ」だった
円はすぐさま宮中「上」から侵入、内部は急な作戦で大混乱で持ち出しが始まる、しかも既に街には火が放たれている
「うわ~‥」としか円も言いようがない
円も屋根づたいに移動しながら集団を見守り後ろについた、誰がその王允なのか分らないがどうやらこの集団を守ればいいらしい
官僚らが正面門から出る所と同時「敵」が現れ、出入り口を塞いだ、5人程の兵が刀を抜いて一斉に官僚らに切りかかった
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「ヤオ!向こうを、こいつらは私がやる!」と
叫ぶと同時百歩神拳で吹き飛ばしてヤオの代わりに連合兵との間に飛び降り、割り込んだ、既に相手残りも四人、円ならどうという事もない
ヤオも受けて分身と自身で逃げる集団と円に同時ついた、手前の兵から殴り倒しに掛かる
一瞬で敵、3を発勁の掌打で倒し「残り一人!」と飛び掛るが、その最後の一撃を避けられた
予想してなかった事、だけに前に突っ込んで体勢が崩れた所、腹に突きを食らって円も後ろに吹き飛んだ
咄嗟、硬気功を張ってダメージを防いだが円も宮殿の入り口まで後ろに飛ばされ、踏みとどまった、7,8メートルは軽く飛ばされただろうか、思わず円も歯を食いしばった
「ぐ‥」
と唸って「そいつ」と対峙する
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が、相手はそれに応えず、兜を脱ぎ捨て、刀を抜く、そして笑って返した
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「!‥まさか、向こうの使徒?!」
「そうらしいな」
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「魔」の側の使徒だった、故に、人間側の兵に紛れても分りはしない、手を合せるまで気が付かなかったのである
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即座に空振りした刀を返して斜め左上から下に斬る円はそれも後ろに跳んで避けるがその「間」を相手は取らせない
前に駆けながら十字に二撃放つ「十字」と表現した通り1と2が同時に繰り出されたように感じる程早い、これで、円は右肩を僅かに斬られた
一瞬、それで気をやった、それが「隙」と成った。止めの一撃、最も避け難い胸への突きを差し込む
円はこれを左45度回転してかわし、自身が回った勢いのまま右掌打を打ち返した、だが、武器と素手、右手が届く訳が無い、と相手は思った
瞬間、相手と自分の前で空気爆発が起こり相手が吹き飛ばされた、そう、当てる気等最初からない
かねてから「有効」として構想があった「近距離からの百歩神拳」これを手が届かぬと見せかけ、相手と自分の間の空間に打ち込んで誘爆させた
「ぐう!」と相手も唸って再び距離を取ったが、これで、相手が膝から崩れる、まるで「電撃」でも食らったかの様に体の自由が利かない、左肩から胸まで痺れる
「なんだこれは‥!」
気功の特徴は精神波に近い事である、何が相手だろうと、生物なら、乱す勁を食らうと干渉して体の自由を奪われる、打ち込む側の意図で「毒にも薬にもなる」
これで相手も正面門から街側へ逃走し闇に消えていった
円も驚いたが、今はそれが優先ではない。直ぐに振り返って宮中から逃れた官僚らを追おうとした。これで終りとは限らない
が、それをヤオは止めた
「終りじゃ、変更なし」と告げられ、円も大きく息をはいた
「ふう‥終ったか‥」
「うむ、ご苦労じゃったな」
「何なのアイツ‥」
「円の逆の立場の人間じゃな」
「みたいね‥やっぱり強いのね」
「まぁ、どのくらい生きているかにも寄るが、条件は同じじゃからの、だが、円の方が明らかに上じゃな」
「持ってる技の差、でしょうね。武だけなら微妙だけどね‥」
「ま、兎に角戻ろう、連合の兵も殺到してくる」
「そ、そうね」
二人も街から消えたのであった
その後二人は長安、次の董卓の遷都先に向かいながら情報も収集しながら集落等を渡り歩く。ヤオの云った通りに進む事になった
連合側は洛陽を制圧するが都は半数消失、焦土策、ではあるがこれはつまり「向こうが欲しがっているモノを一つも渡さない」というやり方だった。
洛陽を捨てる際もあるだけの金品を略奪、これで長安へ移った
洛陽を占拠、奪還した事で一時、この集まりも解散し、其々の国へ戻る、聊か中途半端な終わり方ではあるが曹操にしても、孫堅にしても、また後ろから足を引っ張られては堪らんし、この連合は当初から協力する意思に欠ける、ならば、同一行動を続ける必要も無いと感じた
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一色義龍:道三の息子。帰蝶の兄。道三を倒して、美濃の国主になる。幕府から、名門「一色家」を名乗る許しを得る。
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斯波義銀(しばよしかね):尾張の国主の家系、名門「斯波家」の当主。ただし、実力はなく、形だけの国主として、信長が「臣従」している。
【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
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