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第一部・最終章 魔術剣修道学園
最終回
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「…………残念です。とても」
静かな声でそう言ったマリナ女史は、少し考えてから付け加えた。
「今年度の十二主席は、あなたとユリさんの二人だと確信していたのですが」
「…………俺も、そのつもりでした」
いつもの冗談を言う気力は一切なく、それどころか両眼がじんわりと熱くなってきたので、カズヤは慌てて顔を上向けた。
空は、昨夜の嵐に洗われたかのように雲一つない。緑の若葉を輝かせる木々の枝では、沢山の小鳥たちがさえずっている。こんな日は、広場の芝生に寝転がったらさぞ気持ちいいだろうが──カズヤが、この学園で昼寝をすることはもう二度とない。
カズヤは昨夜一晩を、寮の地下懲罰房で過ごした。開校以来ほとんど使われたことがないというため房はしっかり掃除され、ベッドも中等修剣士寮なみだったが、カズヤは一睡もできなかった。
波乱万丈の戦いから一人生還すると、寮では捜索隊が出る一歩手前だった。
雨の中負傷したカズヤをマリナ女史が発見すると、事務室で事情聴取を執り行った。
俺はそこで、地下室で起きたことを全て話した。入学試験での不正、ユーグがユリを拉致したこと。そして、俺が禁書目録を違反し、ユーグが使用した禁忌魔術によって、ユリが俺の身代わりとなって死亡したこと。
マリナ女史は話を聞き終わると、一度何かを言いかけて口を閉じ、次いで刺し傷でボロボロになった右腕と右眼に高位の治癒術を、何も言わず黙って施してくれた。傷口は少しずつ塞がっていき、数分経つ頃には綺麗に塞がっていた。右眼も驚くことに、完璧に治ってしまった。
怪我が完治すると、俺は魔術剣修道学園の生徒証を取り消され、地下懲罰房に入れられた。
分かってはいたが、俺はもう学園の生徒じゃなく、単なる犯罪者に成り下がってしまった。
やがて夜が明け、細い窓から朝日が差し込み、午前九時の鐘と同時に懲罰房の錠が回された。てっきり衛士あたりが引っ立てに来たのだろうと思ったのだが、扉の向こうに立っていたのは意外にも、事務室で事情聴取を行ったマリナ女史だった──というわけだ。
「……クラスのみんなには、話しましたか」
少し震えながら、マリナ女史は少し間を開けてから答えた。
「今朝話しました。後日、あなたが作った墓石に伺う予定です」
「……俺については?」
「……誰一人として、あなたを恨んでいません。寧ろ、禁忌魔術を使用している時点で罪人なのだから、あなたは人を殺していない。だから禁書目録違反にはならないと主張しています」
「そうですか……」
一年間を共にしたクラスが一丸となって庇ってくれたことに涙しながら、そっとかぶりを振る。
「如何なる罪人だろうと、殺めれば同じ罪人になります。みんなの好意に、甘えるわけにはいきません」
「そう……罪を背負う覚悟は、出来ていると言うことですね」
そこでマリナ女史は顔をしかめ、少しだけ後悔の念を思わせる表情で俺を見た。
だが俺は、マリナ女子の発言を訂正するように意見した。
「罪を背負う覚悟なんて、本来必要ないんです。普通に生きていれば……法を守りさえすれば、不要な覚悟なんですから。そして俺は、それが出来なかっただけなんです」
諭すように告げ、完治した右手に視線を落とす。
自分の右手は、昨日まではまだ綺麗な手だった。しかし今は、人を殺めた汚れた手になっている。そして俺も、もう人じゃなく、殺人鬼になってしまった。
異世界であろうが、俺は人殺しであることに変わりない。もう元の世界に帰っても、家族には会えそうにない。だってもう、みんなが知ってる水樹和也はいないのだから。
悔やみながら右手を凝視する俺に、マリナ女史は珍しく躊躇うような気配を見せたあと、右手をカズヤの肩に載せた。
「あなたにはこれから、禁書目録に背き、他者の生命を損じた咎により裁かれるでしょう。ですが、忘れないで下さい。ここに、あなたの無実を信じている者が大勢いることを」
「え……そ、それは、どういう……」
カズヤは反射的に問い返した。
「あなたが積み重ねてきた沢山の力に、長い旅で培ってきた思いに、きっと、創世神様は応えてくれるはずです」
慰めの言葉を、最後の教訓をしっかりと理解する。頷き、自分の右肩に乗ったマリナ女史の手を両手で包み込むと、胸の前に移動させる。
「ありがとうございます、講師。もし俺の罪が許されるなら、一緒に、委員長の……ユリの墓に行きましょう」
言い終えると、両手で包んだ細い指先を、そっと自分の口許に押し当てた。マリナ女史は驚いたように何度か瞬きし、見間違いかもしれないがほんの少しだけ頰に色彩を添えて、仄かに微笑した。
「今のは?」
「天界の騎士が、創世神に対して行った、誓いの儀です」
「そうですか……中々、悪くないですね」
ゆっくりとカズヤの両手から自分の右手を引き抜いて──
「それでは、行きましょう。迎えが来ています」
いつもなら、移動教室で生徒たちが行き交っているはずの学園敷地は、しんと静まりかえって誰の姿も見当たらなかった。
その代わりに、カズヤは修練場前の広場で思いがけないものを発見した。
晴天からの陽光を受けて、眩く輝く巨大な生物。全身を覆う鱗が白銀色に煌めいている。折り畳まれ、二つの尖塔のようにそびえる翼や、弧を描く長い尾を見るまでもなく、それは飛竜だった。天界の騎士が駆る、飛翔生物だ。
乗り手の姿は周囲になかった。マリナ女史は、高みから二人を見下ろす飛竜に臆する様子もなくカズヤを修練場の入れ口まで導くと、そこで足を止めた。
カズヤをじっくりと見据え、軽く頷くと、無言のままに身を翻す。長靴を鳴らして中等修剣士寮のほうへと去っていくマリナ女史の背中に、深々と一礼。足音が聞こえなくなるまで待って顔を上げ、ちらりと飛竜の様子を確かめ、修練場の大扉に向き直る。そこで気付く。自分の腰に、焔天剣が不在してることに。
昨夜マリナ女史に没収されてから受け取るのを忘れてしまった。戻って回収しなければ。
急ぎ身を翻し寮に戻ろうとしたが、一歩も踏み出さずに修練場に向き直る。
ここで戻ったら逃走したと思われる。罪を償うことを信じて俺を一人残したマリナ女史に申し訳ない。
それに、罪人の俺がこれ以上何を望む。大事な人を失い、他者を愛剣で殺めた俺がこれ以上何かを欲するのは強情だ。
焔天剣に別れの念を送り、閉ざされた扉へと無造作に手を伸ばした。
「みんな……さようなら」
言うや否や押し開き、大またに踏み込む。
内部は、明かり取りの窓が閉められているのか薄暗かった。板張りの修練場にも、周囲の観覧席にも、当然ながら生徒や教官の姿はまったくない。
正面奥の白壁には、創世神と邪教神の壮絶な戦いを主題とした絵が描かれている。そして、広大な修練場の真ん中に、こちらに背を向けて壁画を見上げる人影がひとつ──。
カズヤは何度か天界の騎士を見ている。その時の騎士は、身の丈が二メートルに迫ろうかという偉軀だった。しかし今、カズヤの視線の先に立つ何者かはあの騎士より小さい。
両肩の留め金から垂れる純白のマントには、中都統制教会の紋章が刺繍してある。しかし何より眼を引くのは、長い金髪だ。深く清らかな色で、わずかな光の下でさえ輝いている。
人影が動こうとしないので、ゆっくりと歩き始めた。修練場を一直線に横切り、背を向ける人物の五メートルほど手前で立ち止まる。
「……カズヤ中等修剣士です」
どうにかつっかえずに名乗る。天界の騎士に連行される緊張がないといえば嘘になるが、それ以上の胸騒ぎがする。
開け放たれたままの入り口から吹き込む微風に揺れる白いマントと金髪。
──どこかで見たことがある。
白と金。かなり前に、近くで見たことがあるような……。
思い出せそうで思い出せないもどかしさは、数秒後、心臓が止まるほどの衝撃へと変わった。
「私は、人界の母創世神様に忠誠を誓い、人界を守護する存在、天界の騎士です」
騎士が、背中を向けたまま名乗った。
その声を、聞き間違えるはずがなかった。一年半前の、旅立つ瞬間までずっと、異世界に転移してからずっと、毎日のように聞いていた声だ。
「……セレナ……? 今の声…………セレナ……なのか…………?」
うわごとのように囁いた。
一歩近づくと、すぐ目の前で金髪とマントが揺れ、ふわりと仄かな香りが広がる。優しくて、懐かしい香り。薪割りする隣から、いつも漂っていた香り。
「セレナ……!」
もう一度、今度ははっきりとした声で呼びかけながら、カズヤは天界の騎士にしてセレナの右肩に触れようとした。
きっと彼女なら、罪を犯した俺を、笑って迎えてくれる──
という予感は、不意に煌めいた光が打ち砕いた。
凄まじい衝撃が左頬を襲い、カズヤはひとたまりもなく吹き飛ばされ、修練場の大理石で出来た床に背中から倒れ込んだ。
何が起きたのか全く理解出来ず、すぐに上体を起こしてなお呆然と両眼を見開いた。
今なお背中を向けたままの騎士の右手が真横に伸ばされ、そこにはいつの間にか一振りの長剣が握られていた。しかし、抜き身ではなく銀張りの鞘に収められている。騎士はあの刹那に鞘ごと腰から外し、その先端でカズヤの頬を打ったのだ。
滑らかな動きで剣を下ろし、騎士は言った。
「……言葉には気をつけなさい。創世神様が制定した禁書目録に背いた者が」
雪解け水のように清冽で、凛とした厳しい声でそう告げてから、騎士はついに振り向いた。
「…………セレナ……」
その名前がもう一度零れるのを、カズヤは止められなかった。
銀色の長剣を携える騎士は、一年半前に初めて接触した女の子で、異世界で初めて出来た友達で、俺の帰りを待っているはずのセレナで間違いない。
装いは、コドールの村とは全然違う。胸と肩、腰は流麗な彫刻が施された薄手の鎧に覆われ、スカートは足許近くまである。だが顔は見紛うようもない。
艶やかな金髪。クリーム色の肌。少し切れ上がった両の眼の、茶色。中都に来てからでさえ彼女以外の誰にも見たことのない色だった。
一つ違うのは、瞳に浮かぶ光。コドールの村での彼女の瞳には、天真爛漫の一言に限るほど輝いていた。だが今は、ただ冷ややかな視線のみが、床に倒れた自分に注がれるのを感じた。
桜色の唇が動き、再び、可憐にして冷徹な声が流れた。
「気絶させるつもりで打ったのですが、まさか意識が残ってるとは。偶然ではなく必然的に威力を受け流したのなら、相当の実力者……あるいは禁書目録を背く大罪人だけのことはある、というわけですか」
耳に流れ込んでくる言葉は、カズヤはどうしても受け入れがたいものだった。あの優しいセレナがこんなことを言うはずはない。いや、それ以前の問題だ。
セレナがカズヤを見ても何の反応も示さないこと、カズヤの頬に躊躇いなく容赦ない一撃を浴びせたこと、そもそも天界の騎士として眼前に立っていること自体が信じられない。
呆然としていたお陰で、わずかばかりの冷静さを取り戻すことが出来た。
カズヤが落ち着きを取り戻したのと同時に、セレナも右手の剣を腰に戻した。マントをなびかせて、大扉の方へと歩き始める。
「ついてきなさい」
指示に逆らうという選択肢など、最初からない。どうにか立ち上がり、無言でセレナの後を追った。
修練場を出ると、セレナは広場に待機する飛竜へとまっすぐ歩み寄り、鼻面を右手でそっと撫でた。続いて、鞍の後ろに設けられた荷入れから、奇妙な道具を取り出す。三本の太い革帯を鎖で連結したそれは──拘束具。
カズヤを直立させると、冷然と告げた。
「中等修剣士カズヤ。そなたを禁書目録違反の咎により捕縛、連行、審問ののち処刑する」
立ち尽くすカズヤの体に、セレナの手によって拘束具が巻かれていく。両腕と胸、腰を革帯にがっちり締め付けられ、たちまち身動きひとつ出来なくなる。
背中から伸びる鎖を握って飛竜の傍まで戻り、たくましい両脚を覆う鎧の留め金に固定した。
何故セレナが自分を忘れてしまったのか、答えは中都統制協会にあると考えたが、何度考えても辛い。
あのセレナが、何の躊躇いもなく淡々と拘束具を着けてくるのが、本当に辛かった。
カズヤがもう一度、恐怖と焦燥に襲われかけた、その時。
背後から小さな足音が聞こえ、振り向く。
近づいてくるのは、学園の制服を着た中等修剣士だった。
紫色のポニーテールに、頭頂部からは二つの耳が飛び出している。あれは、中都まで共に旅した、獣人族のサヤ。
彼女がここに来た理由は、両手に抱えている荷物で判明した。
黒い鞘の長剣。見紛いようもない。昨夜、事務室に置き去りにしてしまった、愛剣である焔天剣だ。
「サヤ!」
名前を呼ぶと、彼女は小さな笑みを見せた。だがそこで、セレナが飛竜から離れ、カスミを見た。右頬を痺れさせた苛烈な一撃を思い出し、咄嗟に叫んだ。
「だめだサヤ! 近づくんじゃない!」
だが、サヤは足を止めない。掌は擦り切れ、広場の石畳にぽたぽたと血の雫を落としながら、最後の十メートルを歩き切ると、セレナの前でがくりと膝を突いた。
荒い息を繰り返してから、毅然と顔を上げ、言う。
「天界の騎士様、お願いがございます。カズヤに、大罪人に、剣をお返しする許可を」
セレナは無言でサヤを見下ろしていたが、やがて小さく頷いた。
「許可します。罪人に剣を持たせるわけにはいかないので、私が預かります。特別に、一分間の会話も許可します」
右手で焔天剣を摑むと、サヤの手から軽々と持ち上げる。まったく重さを感じさせない動作で飛竜の傍に戻り、拘束具が入っていた荷入れに収める。
サヤは、ぼろぼろになった掌を握り合わせ、痛みなどまるで感じていないかのように安堵の笑みを浮かべた。よろめきながら立ち上がり、カズヤに走り寄る。
「…………カズヤ」
目の前で立ち止まったサヤは、泣き腫らした跡のある瞳で、カズヤを見た。
反射的に目を逸らしそうになり、カズヤは懸命にサヤの視線を受け止め続けた。
彼女にとって今の俺は、共に旅を続けた仲間ではなく、殺人を犯した大罪人だ。厳しい拘束具に自由を奪われ、鎖で繋がれている大罪人だ。
その時。
彼女の両眼に大粒の涙が盛り上がりる溢れて頬を伝った。
「一つだけ……聞かせて」
両手をぎゅっときつく握り締め、か細い声を絞り出すように続けた。
「カズヤは……自分のしたことを、後悔してる?」
サヤの問いに俺は、
「……してない」
毅然とした態度で答えた。
「俺のした行為は馬鹿な行為だ。だけど、後悔はしてない」
「……どうして?」
「正しいと思ったからだ」
きっぱりとした口調で言った。
「絶対の法以上に守らなきゃいけないと思ったからだ。結果的に、目標である十二主席にはなれなかったけど、後悔は一切してない」
「……分かった。それが聞ければ、十分だよ」
「ああ。最後に、サヤと話せて良かったよ」
図々しい思いかもしれないが、今この瞬間だけは、大罪人になる前の、旅人だった時に戻れた気がした。二度と戻らない時間を体験できた気がした。
「時間です。離れなさい」
セレナは、いつの間にか飛竜の鞍にまたがっていた。ぴしっと手綱が鳴り、竜が巨体を起こす。鎖が引っ張られ、カズヤの体がわずかに宙に浮く。
銀色の翼が力強く打ち鳴らされ、巻き起こった風が紫色の髪を揺らした。
飛竜が螺旋を描いて空へと舞い上がるにつれ、眼下のサヤがどんどん小さくなっていく。やがてその姿が石畳の色に紛れて消え、一年半と短い時間お世話になった魔術剣修道学園の全景もたちまち遠ざかり──。
背に天界の騎士を乗せ、片足に大罪人をぶら下げた飛竜は、中都の真ん中にそびえる建造物、中都統制協会目指して、一直線に飛翔し始めた。
《第一部》完
第二部予告──。
禁書目録を違反したカズヤは、人界の心臓たる建造物・中都統制教会に連行される。
しかし、教会の監獄内で獄吏が変死が相次いだ。その気に乗じて脱獄したカズヤであったが、運悪く天界の騎士「キクノ」と鉢合わせてしまう。
何故カズヤが人界で目覚めたのか。天界の騎士とは一体何者で、何故セレナが天界の騎士を名乗っているのか。禁書目録が制定された本当の理由。全ての真実が明らかとなる。
そして、邪教神が支配する魔界でも、事態を進展させる恐ろしい出来事が……
静かな声でそう言ったマリナ女史は、少し考えてから付け加えた。
「今年度の十二主席は、あなたとユリさんの二人だと確信していたのですが」
「…………俺も、そのつもりでした」
いつもの冗談を言う気力は一切なく、それどころか両眼がじんわりと熱くなってきたので、カズヤは慌てて顔を上向けた。
空は、昨夜の嵐に洗われたかのように雲一つない。緑の若葉を輝かせる木々の枝では、沢山の小鳥たちがさえずっている。こんな日は、広場の芝生に寝転がったらさぞ気持ちいいだろうが──カズヤが、この学園で昼寝をすることはもう二度とない。
カズヤは昨夜一晩を、寮の地下懲罰房で過ごした。開校以来ほとんど使われたことがないというため房はしっかり掃除され、ベッドも中等修剣士寮なみだったが、カズヤは一睡もできなかった。
波乱万丈の戦いから一人生還すると、寮では捜索隊が出る一歩手前だった。
雨の中負傷したカズヤをマリナ女史が発見すると、事務室で事情聴取を執り行った。
俺はそこで、地下室で起きたことを全て話した。入学試験での不正、ユーグがユリを拉致したこと。そして、俺が禁書目録を違反し、ユーグが使用した禁忌魔術によって、ユリが俺の身代わりとなって死亡したこと。
マリナ女史は話を聞き終わると、一度何かを言いかけて口を閉じ、次いで刺し傷でボロボロになった右腕と右眼に高位の治癒術を、何も言わず黙って施してくれた。傷口は少しずつ塞がっていき、数分経つ頃には綺麗に塞がっていた。右眼も驚くことに、完璧に治ってしまった。
怪我が完治すると、俺は魔術剣修道学園の生徒証を取り消され、地下懲罰房に入れられた。
分かってはいたが、俺はもう学園の生徒じゃなく、単なる犯罪者に成り下がってしまった。
やがて夜が明け、細い窓から朝日が差し込み、午前九時の鐘と同時に懲罰房の錠が回された。てっきり衛士あたりが引っ立てに来たのだろうと思ったのだが、扉の向こうに立っていたのは意外にも、事務室で事情聴取を行ったマリナ女史だった──というわけだ。
「……クラスのみんなには、話しましたか」
少し震えながら、マリナ女史は少し間を開けてから答えた。
「今朝話しました。後日、あなたが作った墓石に伺う予定です」
「……俺については?」
「……誰一人として、あなたを恨んでいません。寧ろ、禁忌魔術を使用している時点で罪人なのだから、あなたは人を殺していない。だから禁書目録違反にはならないと主張しています」
「そうですか……」
一年間を共にしたクラスが一丸となって庇ってくれたことに涙しながら、そっとかぶりを振る。
「如何なる罪人だろうと、殺めれば同じ罪人になります。みんなの好意に、甘えるわけにはいきません」
「そう……罪を背負う覚悟は、出来ていると言うことですね」
そこでマリナ女史は顔をしかめ、少しだけ後悔の念を思わせる表情で俺を見た。
だが俺は、マリナ女子の発言を訂正するように意見した。
「罪を背負う覚悟なんて、本来必要ないんです。普通に生きていれば……法を守りさえすれば、不要な覚悟なんですから。そして俺は、それが出来なかっただけなんです」
諭すように告げ、完治した右手に視線を落とす。
自分の右手は、昨日まではまだ綺麗な手だった。しかし今は、人を殺めた汚れた手になっている。そして俺も、もう人じゃなく、殺人鬼になってしまった。
異世界であろうが、俺は人殺しであることに変わりない。もう元の世界に帰っても、家族には会えそうにない。だってもう、みんなが知ってる水樹和也はいないのだから。
悔やみながら右手を凝視する俺に、マリナ女史は珍しく躊躇うような気配を見せたあと、右手をカズヤの肩に載せた。
「あなたにはこれから、禁書目録に背き、他者の生命を損じた咎により裁かれるでしょう。ですが、忘れないで下さい。ここに、あなたの無実を信じている者が大勢いることを」
「え……そ、それは、どういう……」
カズヤは反射的に問い返した。
「あなたが積み重ねてきた沢山の力に、長い旅で培ってきた思いに、きっと、創世神様は応えてくれるはずです」
慰めの言葉を、最後の教訓をしっかりと理解する。頷き、自分の右肩に乗ったマリナ女史の手を両手で包み込むと、胸の前に移動させる。
「ありがとうございます、講師。もし俺の罪が許されるなら、一緒に、委員長の……ユリの墓に行きましょう」
言い終えると、両手で包んだ細い指先を、そっと自分の口許に押し当てた。マリナ女史は驚いたように何度か瞬きし、見間違いかもしれないがほんの少しだけ頰に色彩を添えて、仄かに微笑した。
「今のは?」
「天界の騎士が、創世神に対して行った、誓いの儀です」
「そうですか……中々、悪くないですね」
ゆっくりとカズヤの両手から自分の右手を引き抜いて──
「それでは、行きましょう。迎えが来ています」
いつもなら、移動教室で生徒たちが行き交っているはずの学園敷地は、しんと静まりかえって誰の姿も見当たらなかった。
その代わりに、カズヤは修練場前の広場で思いがけないものを発見した。
晴天からの陽光を受けて、眩く輝く巨大な生物。全身を覆う鱗が白銀色に煌めいている。折り畳まれ、二つの尖塔のようにそびえる翼や、弧を描く長い尾を見るまでもなく、それは飛竜だった。天界の騎士が駆る、飛翔生物だ。
乗り手の姿は周囲になかった。マリナ女史は、高みから二人を見下ろす飛竜に臆する様子もなくカズヤを修練場の入れ口まで導くと、そこで足を止めた。
カズヤをじっくりと見据え、軽く頷くと、無言のままに身を翻す。長靴を鳴らして中等修剣士寮のほうへと去っていくマリナ女史の背中に、深々と一礼。足音が聞こえなくなるまで待って顔を上げ、ちらりと飛竜の様子を確かめ、修練場の大扉に向き直る。そこで気付く。自分の腰に、焔天剣が不在してることに。
昨夜マリナ女史に没収されてから受け取るのを忘れてしまった。戻って回収しなければ。
急ぎ身を翻し寮に戻ろうとしたが、一歩も踏み出さずに修練場に向き直る。
ここで戻ったら逃走したと思われる。罪を償うことを信じて俺を一人残したマリナ女史に申し訳ない。
それに、罪人の俺がこれ以上何を望む。大事な人を失い、他者を愛剣で殺めた俺がこれ以上何かを欲するのは強情だ。
焔天剣に別れの念を送り、閉ざされた扉へと無造作に手を伸ばした。
「みんな……さようなら」
言うや否や押し開き、大またに踏み込む。
内部は、明かり取りの窓が閉められているのか薄暗かった。板張りの修練場にも、周囲の観覧席にも、当然ながら生徒や教官の姿はまったくない。
正面奥の白壁には、創世神と邪教神の壮絶な戦いを主題とした絵が描かれている。そして、広大な修練場の真ん中に、こちらに背を向けて壁画を見上げる人影がひとつ──。
カズヤは何度か天界の騎士を見ている。その時の騎士は、身の丈が二メートルに迫ろうかという偉軀だった。しかし今、カズヤの視線の先に立つ何者かはあの騎士より小さい。
両肩の留め金から垂れる純白のマントには、中都統制教会の紋章が刺繍してある。しかし何より眼を引くのは、長い金髪だ。深く清らかな色で、わずかな光の下でさえ輝いている。
人影が動こうとしないので、ゆっくりと歩き始めた。修練場を一直線に横切り、背を向ける人物の五メートルほど手前で立ち止まる。
「……カズヤ中等修剣士です」
どうにかつっかえずに名乗る。天界の騎士に連行される緊張がないといえば嘘になるが、それ以上の胸騒ぎがする。
開け放たれたままの入り口から吹き込む微風に揺れる白いマントと金髪。
──どこかで見たことがある。
白と金。かなり前に、近くで見たことがあるような……。
思い出せそうで思い出せないもどかしさは、数秒後、心臓が止まるほどの衝撃へと変わった。
「私は、人界の母創世神様に忠誠を誓い、人界を守護する存在、天界の騎士です」
騎士が、背中を向けたまま名乗った。
その声を、聞き間違えるはずがなかった。一年半前の、旅立つ瞬間までずっと、異世界に転移してからずっと、毎日のように聞いていた声だ。
「……セレナ……? 今の声…………セレナ……なのか…………?」
うわごとのように囁いた。
一歩近づくと、すぐ目の前で金髪とマントが揺れ、ふわりと仄かな香りが広がる。優しくて、懐かしい香り。薪割りする隣から、いつも漂っていた香り。
「セレナ……!」
もう一度、今度ははっきりとした声で呼びかけながら、カズヤは天界の騎士にしてセレナの右肩に触れようとした。
きっと彼女なら、罪を犯した俺を、笑って迎えてくれる──
という予感は、不意に煌めいた光が打ち砕いた。
凄まじい衝撃が左頬を襲い、カズヤはひとたまりもなく吹き飛ばされ、修練場の大理石で出来た床に背中から倒れ込んだ。
何が起きたのか全く理解出来ず、すぐに上体を起こしてなお呆然と両眼を見開いた。
今なお背中を向けたままの騎士の右手が真横に伸ばされ、そこにはいつの間にか一振りの長剣が握られていた。しかし、抜き身ではなく銀張りの鞘に収められている。騎士はあの刹那に鞘ごと腰から外し、その先端でカズヤの頬を打ったのだ。
滑らかな動きで剣を下ろし、騎士は言った。
「……言葉には気をつけなさい。創世神様が制定した禁書目録に背いた者が」
雪解け水のように清冽で、凛とした厳しい声でそう告げてから、騎士はついに振り向いた。
「…………セレナ……」
その名前がもう一度零れるのを、カズヤは止められなかった。
銀色の長剣を携える騎士は、一年半前に初めて接触した女の子で、異世界で初めて出来た友達で、俺の帰りを待っているはずのセレナで間違いない。
装いは、コドールの村とは全然違う。胸と肩、腰は流麗な彫刻が施された薄手の鎧に覆われ、スカートは足許近くまである。だが顔は見紛うようもない。
艶やかな金髪。クリーム色の肌。少し切れ上がった両の眼の、茶色。中都に来てからでさえ彼女以外の誰にも見たことのない色だった。
一つ違うのは、瞳に浮かぶ光。コドールの村での彼女の瞳には、天真爛漫の一言に限るほど輝いていた。だが今は、ただ冷ややかな視線のみが、床に倒れた自分に注がれるのを感じた。
桜色の唇が動き、再び、可憐にして冷徹な声が流れた。
「気絶させるつもりで打ったのですが、まさか意識が残ってるとは。偶然ではなく必然的に威力を受け流したのなら、相当の実力者……あるいは禁書目録を背く大罪人だけのことはある、というわけですか」
耳に流れ込んでくる言葉は、カズヤはどうしても受け入れがたいものだった。あの優しいセレナがこんなことを言うはずはない。いや、それ以前の問題だ。
セレナがカズヤを見ても何の反応も示さないこと、カズヤの頬に躊躇いなく容赦ない一撃を浴びせたこと、そもそも天界の騎士として眼前に立っていること自体が信じられない。
呆然としていたお陰で、わずかばかりの冷静さを取り戻すことが出来た。
カズヤが落ち着きを取り戻したのと同時に、セレナも右手の剣を腰に戻した。マントをなびかせて、大扉の方へと歩き始める。
「ついてきなさい」
指示に逆らうという選択肢など、最初からない。どうにか立ち上がり、無言でセレナの後を追った。
修練場を出ると、セレナは広場に待機する飛竜へとまっすぐ歩み寄り、鼻面を右手でそっと撫でた。続いて、鞍の後ろに設けられた荷入れから、奇妙な道具を取り出す。三本の太い革帯を鎖で連結したそれは──拘束具。
カズヤを直立させると、冷然と告げた。
「中等修剣士カズヤ。そなたを禁書目録違反の咎により捕縛、連行、審問ののち処刑する」
立ち尽くすカズヤの体に、セレナの手によって拘束具が巻かれていく。両腕と胸、腰を革帯にがっちり締め付けられ、たちまち身動きひとつ出来なくなる。
背中から伸びる鎖を握って飛竜の傍まで戻り、たくましい両脚を覆う鎧の留め金に固定した。
何故セレナが自分を忘れてしまったのか、答えは中都統制協会にあると考えたが、何度考えても辛い。
あのセレナが、何の躊躇いもなく淡々と拘束具を着けてくるのが、本当に辛かった。
カズヤがもう一度、恐怖と焦燥に襲われかけた、その時。
背後から小さな足音が聞こえ、振り向く。
近づいてくるのは、学園の制服を着た中等修剣士だった。
紫色のポニーテールに、頭頂部からは二つの耳が飛び出している。あれは、中都まで共に旅した、獣人族のサヤ。
彼女がここに来た理由は、両手に抱えている荷物で判明した。
黒い鞘の長剣。見紛いようもない。昨夜、事務室に置き去りにしてしまった、愛剣である焔天剣だ。
「サヤ!」
名前を呼ぶと、彼女は小さな笑みを見せた。だがそこで、セレナが飛竜から離れ、カスミを見た。右頬を痺れさせた苛烈な一撃を思い出し、咄嗟に叫んだ。
「だめだサヤ! 近づくんじゃない!」
だが、サヤは足を止めない。掌は擦り切れ、広場の石畳にぽたぽたと血の雫を落としながら、最後の十メートルを歩き切ると、セレナの前でがくりと膝を突いた。
荒い息を繰り返してから、毅然と顔を上げ、言う。
「天界の騎士様、お願いがございます。カズヤに、大罪人に、剣をお返しする許可を」
セレナは無言でサヤを見下ろしていたが、やがて小さく頷いた。
「許可します。罪人に剣を持たせるわけにはいかないので、私が預かります。特別に、一分間の会話も許可します」
右手で焔天剣を摑むと、サヤの手から軽々と持ち上げる。まったく重さを感じさせない動作で飛竜の傍に戻り、拘束具が入っていた荷入れに収める。
サヤは、ぼろぼろになった掌を握り合わせ、痛みなどまるで感じていないかのように安堵の笑みを浮かべた。よろめきながら立ち上がり、カズヤに走り寄る。
「…………カズヤ」
目の前で立ち止まったサヤは、泣き腫らした跡のある瞳で、カズヤを見た。
反射的に目を逸らしそうになり、カズヤは懸命にサヤの視線を受け止め続けた。
彼女にとって今の俺は、共に旅を続けた仲間ではなく、殺人を犯した大罪人だ。厳しい拘束具に自由を奪われ、鎖で繋がれている大罪人だ。
その時。
彼女の両眼に大粒の涙が盛り上がりる溢れて頬を伝った。
「一つだけ……聞かせて」
両手をぎゅっときつく握り締め、か細い声を絞り出すように続けた。
「カズヤは……自分のしたことを、後悔してる?」
サヤの問いに俺は、
「……してない」
毅然とした態度で答えた。
「俺のした行為は馬鹿な行為だ。だけど、後悔はしてない」
「……どうして?」
「正しいと思ったからだ」
きっぱりとした口調で言った。
「絶対の法以上に守らなきゃいけないと思ったからだ。結果的に、目標である十二主席にはなれなかったけど、後悔は一切してない」
「……分かった。それが聞ければ、十分だよ」
「ああ。最後に、サヤと話せて良かったよ」
図々しい思いかもしれないが、今この瞬間だけは、大罪人になる前の、旅人だった時に戻れた気がした。二度と戻らない時間を体験できた気がした。
「時間です。離れなさい」
セレナは、いつの間にか飛竜の鞍にまたがっていた。ぴしっと手綱が鳴り、竜が巨体を起こす。鎖が引っ張られ、カズヤの体がわずかに宙に浮く。
銀色の翼が力強く打ち鳴らされ、巻き起こった風が紫色の髪を揺らした。
飛竜が螺旋を描いて空へと舞い上がるにつれ、眼下のサヤがどんどん小さくなっていく。やがてその姿が石畳の色に紛れて消え、一年半と短い時間お世話になった魔術剣修道学園の全景もたちまち遠ざかり──。
背に天界の騎士を乗せ、片足に大罪人をぶら下げた飛竜は、中都の真ん中にそびえる建造物、中都統制協会目指して、一直線に飛翔し始めた。
《第一部》完
第二部予告──。
禁書目録を違反したカズヤは、人界の心臓たる建造物・中都統制教会に連行される。
しかし、教会の監獄内で獄吏が変死が相次いだ。その気に乗じて脱獄したカズヤであったが、運悪く天界の騎士「キクノ」と鉢合わせてしまう。
何故カズヤが人界で目覚めたのか。天界の騎士とは一体何者で、何故セレナが天界の騎士を名乗っているのか。禁書目録が制定された本当の理由。全ての真実が明らかとなる。
そして、邪教神が支配する魔界でも、事態を進展させる恐ろしい出来事が……
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