最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職

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第66話 共闘? まあ仕方ないか

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「どけっ! 行かせるかよっ!」


 神様を侮辱する男は雑に剣を振ってみせると、振り返って神様達を追おうとする。

 俺はそんな男の腕を咄嗟に掴んでそれを阻止する。


「くそっ! 離しやがれ!」

「い、かせないっ!」


 男の力は強く、じりじりと動かれる。

 普通の人間なら握り潰れてもおかしくないくらい力を込めているのにその腕に俺の手がまったくめり込んでいかない。

 爪も刺さらない。

 この男、強い。


「ちっ! まぁいいや今日はこの先に俺より強い人がいる。どのみちお前らの好きなようにはならない。っでも俺もここで追えなきゃ怠惰だと思われて減給待ったなしか……。しょうがねえてめえを殺して宮下を追わせてもらうぜ」


 男は俺の手を振り払うと俺の頭目掛けて片手で剣を振り下ろした。

 剣は大剣でそう易々とは振れなさそうなサイズ。

 足を止めさせる事が出来なかった時も思ったがこの男は力がやたらと強い。


 どちらかといえば、逃げ足やヒット&アウェイご得意な俺と対照的に一撃必殺のパワータイプなのかも。


「ちっ! すばしっこいやろうだぜ!」

「それが俺の取り柄なんでな」


 何とか避けれたが、言葉以上にギリギリだった。

 パワーが目立つが別に遅いわけでもない。

 気を抜けば一瞬で持っていかれる。


「俺も獲物を用意させてもらうか」

「モンスターの分際で大層なものもってんじゃねえか。それは魔剣か?」

「いくらお前の皮膚硬かろうと、これで捌いてしまえばいいっ!」

「はっ!やれるもんならやってみな!」


 俺はスピードを生かして右や左にステップを踏みながら慎重に近づく。

 不用意に突っ込むな。あくまで冷静に、隙を見て踏み込め。


「威勢の割にビビって手が出せないのか? ならまたこっちから……ふんっ!」


 男は大剣を高く振り上げると、血管が濃く浮き出る程力を込めて地面に剣を突き刺した。

 すると、地面はグラグラと揺れ体勢が崩れる。


 まずい。一旦後ろに……


「お前らも一旦下がれっ!」


 この階層に一緒に残った5匹のコボルト達は俺の声で後ろに飛んだ。

 俺自身もすかさず後ろに下がろうとしたが男との距離が近い所為で揺れが大きく、跳ねる事が出来ない。


「――おらあっ!」

「くっ!」


 男は大剣を地面から抜き取ると横一線豪快になぎ払う。

 俺は地面の揺れのお陰で前に倒れ込み何とかそれを避けきったが、伝わる衝撃は凄まじい。


 何かに思いっきり背中を叩かれたかのような痛みがヒリヒリと感じられる。

 避けきったはずの俺がこれってことは……


「「がぎゅああああっ!」」


 慌てて振り返ると距離をとっていたコボルト達が悲鳴を上げながら地面に倒れていた。

 衝撃によって体の部位が弾け飛んだりはしていないようたげど、腹や腕がべこんと凹んでいる。


 骨は確実に折れてるな。

 別にこいつらが弱い訳じゃない。

 レベル上げはしっかりやったし、実戦練習で俺の相手を務めてくれたりもしていた。

 その時俺の攻撃を受けたコボルト達は痛そうにしてみ

せたものの、ここまでダメージを負うという事はなかった。

 衝撃波だけでこれとか、もうこいつの方がモンスターな気もする。


「あーあ。お仲間さん達は簡単にグロッキーだな」

「でも生きてる。お前の攻撃で俺は、俺達は殺せないっ!」

「殺す、絶対に!」


 何度も何度も俺を狙って衝撃波を生み出す男。

 俺は揺れが収まったのを確認するとそれを掻い潜って懐に。

 このままじゃ俺がへばるのが先になる。

 ダメもとで突っ込むしかない!


「おっ! やっと仕掛けてくるか!でも食らってらないぜ。それ、なんか塗ってるだろ?」

「それもばれてるか」


 剣先にはテツカミバチ達の毒を塗っていたが、それもばれた。

 ワンチャン力自慢の為に受けてくれるかなとも思ったんだけど……


「あははははははははっ! 所詮コボルトっ! 俺の敵じゃな――」


 ――ドゴッ


「ぎゅあああああああああああああっ!」

「――こんな時にリスポーンするのとかずるいって……。もう消えてから5年も経ってるんだぞ」


 揺れから危機を感じたからなのか地中から今まで以上の図体をもったドラゴンが突如として現れた。

 リスポーンしてなかった……。いやしていた。きっと地中深くに潜って自分の体の成長を待ってたんだ。


「おいコボルトっ! 一旦休戦だ!こいつは各階層を移動出来る。ここで処理しとかないと最悪30階以上で狩りをしてる探索者にも被害が出るぞ!」

「それならテイムは出来ないのか? お前らの戦力を増やすのは嫌だが。戦うよりもその方が確実だろ」

「こいつはテイム出来ねぇんだよ。前にこれを何とか無力化した時、ステータスの合計値が足りないのなんのって言われてな」

「上にはこちらのモンスターに30階層以降でも今頃は他の探索者がいる。戦うしかないか……。おい、俺は仲間を回復させる。それまで1人で耐えてくれ」

「仕方ねえ、2分だ。2分で準備し――。あれそういえば何でコボルトが喋ってんだ?」

「……今更かよ!?」
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