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五章 テクサイス帝国編 1 大陸最大の国
416 ヤトコと共にバイアステッチへ
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カズも塩パンを半分に割り、タマゴサラダを適量入れてがぶり。
「タマゴサラダに塩を入れなかったからなのか、塩パンと合うな(胡椒を入れればよかった)」
「ねぇカズ」
「ん?」
「そこにあるので終わりなの?」
作ったタマゴサラダは、もう半分もない。
「今回はな」
「なんでなんで、もっと作ってよ!」
「レラだけ大量に食べたの知られたら、アレナリア怒るぞ」
「ぅ……だ、大丈夫だもん。黙ってれば」
「本当にいいのか? 後ろめたくならないなら、作ってやってもいいけど、俺は食べないぞ」
「な、なんで」
「今回はレラがヤトコさんを助けて活躍したから、作ってやったんだ。楽しみにしてたからな(お酢があるってのを聞いたから、作って味見してみたかったのもあったけど)」
「二人の所に戻ったら、いっぱい作ってくれる?」
「限度はあるがな」
「分かった」
若干物足りなさを顔に出したと思ったら、塩パンタマゴサンドをぱくりとし、満足気な表情に変わる。
「残りは全部レラが食べていいから。昼にな」
「! やったー、ありがとうカズ!」
何かと騒がしい朝食だったが、マヨネーズとタマゴサラダがまた作れるようになったので、カズも満足した。
「久々に食べたが、やっぱり旨いな(コロコロ鳥の卵でゆで卵にするのはもったいないから、鶏卵を多く買っておこう。コロコロ鳥の卵がどこで売ってるかを探さないと。無くなる前に)」
朝食を済ませると宿屋を出てその足で市場に向かい、バイアステッチまでの食材を買い、追加でお酢と鶏卵も多めに買う。
毎日養鶏場から新鮮な鶏卵が運ばれて来ているらしく、市場には大量の鶏卵が売られていた。
カズが鶏卵を買う際に、店の中年男性に尋ねると「クラフトにはかもれつでだ」と一言いい、忙しそうに鶏卵を台車に乗せて何処かに運んで行ってしまった。
「かもれつってなに?」
「さぁ? カツレツ……とは関係ないよな」
疑問を抱いたまま市場を離れ、バイアステッチに向かう定期の馬車に乗る手続きする。
出発は一番早い馬車でこの日の昼過ぎ。
その次だと二日後の朝らしいので、昼過ぎの馬車に空きがあったのを確認し、三人分を予約した。
ただクラフトに来た時の馬車よりも、料金が割高だったのは少し気になったが、二日待つよりもいいかと、カズは料金を支払った。
バイアステッチに向かう馬車の手続きを済ませた二人は、ヤトコと待ち合わせの鍛冶屋組合に向かった。
鍛冶屋組合は冒険者ギルドと違い、職員含め殆どがドワーフだった。
中には人族や獣人などの他の種族も居たりするが、大抵は鍛冶に使う鉱石を買い取ってもらおうと来ていたり、鍛冶屋に仕事を頼みに来てる者達だった。
カズはざっと見渡しヤトコがまだ来ていなさそうだったので、邪魔にならないよう鍛冶屋組合の入口から少し離れた場所で待った。
レラは物珍しそうに、運ばれて来る色々な色や大きさをした鉱石を見て大人しくしていた。
三十分程すると流石に飽きたらしく、近くにあった雑貨屋を見ようと言い出した。
「少しくらいはいいか。そこの店なら、ヤトコさんが来てもわかるだろ」
「なら決まり。行こ行こ」
小走りで店に入ると、並べてある工芸品の数々を物色する。
置いてある大半は鉱石を採掘する際に出る屑石を加工して作られた物。
白い三角や四角の石に、赤と青の波模様が入った丸い石なんてのもある。
そこでレラの目に入ったのは、様々な花のかたちをしたブローチ。
レラはそれを指差し、カズに欲しいとねだる。
ブローチは真鍮のような柔らかい金属を加工して作られている。
「一つ銀貨一枚と銅貨一枚で、三つ買うと銀貨三枚になるのか」
並べてある工芸品を物色して、淡いピンク色の花の形をしたブローチを見つけた。
「レラ一人だけに買うとアレナリアが機嫌を損ねるだろうから、三人お揃いで良いか」
「買ってくれるの? いいよそれで」
カズは並べてあるブローチの中から三つを選び購入する。
一つはレラ用に小さいのを。
「ありがとうカズ。んでこれは、なんて花なの?」
「知らん。ただ俺の知ってる、さくらって花に似てたから選んだんだ」
「さくら?」
「そう、さくら。色もそんな感じなんだよ」
「へ~。きれいだね」
レラは自分のオーバーコートの左胸辺りにブローチを付け、カズに見せる。
「どう?」
「良いんじゃないか」
満足げな顔をするレラを連れて近くの露店で串焼きを買い、ヤトコが来る前に昼食を取ることにした。
レラは今朝と同じく、塩パンを使ったタマゴサンド。
「おっちゃん来ないね」
「もう昼を回ったぞ。これだと馬車に間に合わなくなる。焦らず二日後にすればよかったか」
前金で馬車の料金を払ったのは失敗だったかと思っていると、荷物を多く持って走って来るヤトコの姿が目に入った。
「すまんすまん。支度に手間取った」
「大荷物ですね」
「パフに頼まれた物を作るのに集めた物だ。前回作った時に材料が無くなったんで、今回は方々に行って集めて来たんだ。それでこの量だ」
「すぐ行けそうですか? バイアステッチまでの馬車が、もうすぐ出るんですよ。これを逃すと二日後になってしまいます。それにもう料金を払ってしまったので」
「なら急ごう。っと、その前に、組合に顔だけ出してく。荷物を置いてくから見ててくれ。五分で戻る」
背負っていた鞄と、両手の荷物をカズ達の元に置いて、ヤトコは走って鍛冶屋組合に入って行った。
「これ持って走るの? 馬車に間に合うと思う? カズ」
「厳しいな。……よし」
カズはヤトコの荷物全てを【アイテムボックス】に入れてしまう。
そして五分程でヤトコが戻って来ると、自分の荷物が無いことに気付く。
「荷物は俺のアイテムボックスに入れました。バイアステッチに着きましたら出しますから」
「そういうことか。盗まれたかと焦ったぞ」
「必要なったら言ってください。いつでも出しますから」
「了解だ」
「じゃあ急ぎましょう。早くしないと、間に合わなくなる」
カズはレラを抱え、バイアステッチに向かう馬車が停まっている場所まで走る。
ヤトコはぜぇぜぇと息を切らしながも、どうにか馬車に間に合って乗ることが出来た。
今回はただの馬ではなく、テイムされたバルヤールというモンスターが馬車を引く。
なので料金が二割増しになっていた。
強いモンスターが引く馬車は襲われる可能性が低く、しかも速いことから、料金が少し高めに設定されていた。
「これでバルヤールを見るのは二度目だ。他にもテイムしてる人がいるんだ。馬だから馬車を引かすには優秀なんだろか?(見た目は 前見たバルヤールと変わらないんだな)」
カズがバルヤールを見たのは、ブロンディ家専属の冒険者がテイムしてたのだ。
自分達の馬車を引かすなら、バルヤールをテイムするのも良いかもと、カズは考えていた。
ただ何処に生息しているかは、今のところ不明。
「バルヤールが引く馬車なら、十日掛かるところを六日で着くだろ。通常の定期で行き来する馬車だと、天候や馬車を引く馬に影響される」
「それは仕方ないですよ」
「まあそれもあと二年てとこだ」
「二年?」
「おう。今年からバイアステッチに向けて工事が始まる予定だ」
「工事の予定?」
「なんだクラフトで見なかったのか?」
「何をです?」
「何って魔導──……」
今日もパフ手芸店には、常連のお客が服の修理来ては、店主のパフと長話をしていた。
「アレナリアさんは依頼?」
「はい」
「なら今日は三人だね。ビワっちはお弁当だよね」
「そうです」
「実はあーし達も作って来たんだ。味見してよ」
カズとレラがヤトコと共にクラフトを離れた頃、バイアステッチのパフ手芸屋で働くビワは、同僚の半獣人の女性二人と遅めの昼食を取っていた。
「ビワっちのはどれも美味しいよね。わたしなんて、焼くか煮るかしたら、あとは濃い目に味をつければいいや。ってな感じで作ってた」
「プフルは小さい頃から適当」
「グレーツちゃんは慎重過ぎなの。もっと適当でいいじゃん」
「プフルは適当過ぎ。仕事は別として」
仕事のことや他愛ない会話をしながら、楽しげに昼食を取る三人。
パフ手芸店に勤めている半獣人の二人と、まだ少しぎこちないが、ビワは話せるようになってきていた。
「タマゴサラダに塩を入れなかったからなのか、塩パンと合うな(胡椒を入れればよかった)」
「ねぇカズ」
「ん?」
「そこにあるので終わりなの?」
作ったタマゴサラダは、もう半分もない。
「今回はな」
「なんでなんで、もっと作ってよ!」
「レラだけ大量に食べたの知られたら、アレナリア怒るぞ」
「ぅ……だ、大丈夫だもん。黙ってれば」
「本当にいいのか? 後ろめたくならないなら、作ってやってもいいけど、俺は食べないぞ」
「な、なんで」
「今回はレラがヤトコさんを助けて活躍したから、作ってやったんだ。楽しみにしてたからな(お酢があるってのを聞いたから、作って味見してみたかったのもあったけど)」
「二人の所に戻ったら、いっぱい作ってくれる?」
「限度はあるがな」
「分かった」
若干物足りなさを顔に出したと思ったら、塩パンタマゴサンドをぱくりとし、満足気な表情に変わる。
「残りは全部レラが食べていいから。昼にな」
「! やったー、ありがとうカズ!」
何かと騒がしい朝食だったが、マヨネーズとタマゴサラダがまた作れるようになったので、カズも満足した。
「久々に食べたが、やっぱり旨いな(コロコロ鳥の卵でゆで卵にするのはもったいないから、鶏卵を多く買っておこう。コロコロ鳥の卵がどこで売ってるかを探さないと。無くなる前に)」
朝食を済ませると宿屋を出てその足で市場に向かい、バイアステッチまでの食材を買い、追加でお酢と鶏卵も多めに買う。
毎日養鶏場から新鮮な鶏卵が運ばれて来ているらしく、市場には大量の鶏卵が売られていた。
カズが鶏卵を買う際に、店の中年男性に尋ねると「クラフトにはかもれつでだ」と一言いい、忙しそうに鶏卵を台車に乗せて何処かに運んで行ってしまった。
「かもれつってなに?」
「さぁ? カツレツ……とは関係ないよな」
疑問を抱いたまま市場を離れ、バイアステッチに向かう定期の馬車に乗る手続きする。
出発は一番早い馬車でこの日の昼過ぎ。
その次だと二日後の朝らしいので、昼過ぎの馬車に空きがあったのを確認し、三人分を予約した。
ただクラフトに来た時の馬車よりも、料金が割高だったのは少し気になったが、二日待つよりもいいかと、カズは料金を支払った。
バイアステッチに向かう馬車の手続きを済ませた二人は、ヤトコと待ち合わせの鍛冶屋組合に向かった。
鍛冶屋組合は冒険者ギルドと違い、職員含め殆どがドワーフだった。
中には人族や獣人などの他の種族も居たりするが、大抵は鍛冶に使う鉱石を買い取ってもらおうと来ていたり、鍛冶屋に仕事を頼みに来てる者達だった。
カズはざっと見渡しヤトコがまだ来ていなさそうだったので、邪魔にならないよう鍛冶屋組合の入口から少し離れた場所で待った。
レラは物珍しそうに、運ばれて来る色々な色や大きさをした鉱石を見て大人しくしていた。
三十分程すると流石に飽きたらしく、近くにあった雑貨屋を見ようと言い出した。
「少しくらいはいいか。そこの店なら、ヤトコさんが来てもわかるだろ」
「なら決まり。行こ行こ」
小走りで店に入ると、並べてある工芸品の数々を物色する。
置いてある大半は鉱石を採掘する際に出る屑石を加工して作られた物。
白い三角や四角の石に、赤と青の波模様が入った丸い石なんてのもある。
そこでレラの目に入ったのは、様々な花のかたちをしたブローチ。
レラはそれを指差し、カズに欲しいとねだる。
ブローチは真鍮のような柔らかい金属を加工して作られている。
「一つ銀貨一枚と銅貨一枚で、三つ買うと銀貨三枚になるのか」
並べてある工芸品を物色して、淡いピンク色の花の形をしたブローチを見つけた。
「レラ一人だけに買うとアレナリアが機嫌を損ねるだろうから、三人お揃いで良いか」
「買ってくれるの? いいよそれで」
カズは並べてあるブローチの中から三つを選び購入する。
一つはレラ用に小さいのを。
「ありがとうカズ。んでこれは、なんて花なの?」
「知らん。ただ俺の知ってる、さくらって花に似てたから選んだんだ」
「さくら?」
「そう、さくら。色もそんな感じなんだよ」
「へ~。きれいだね」
レラは自分のオーバーコートの左胸辺りにブローチを付け、カズに見せる。
「どう?」
「良いんじゃないか」
満足げな顔をするレラを連れて近くの露店で串焼きを買い、ヤトコが来る前に昼食を取ることにした。
レラは今朝と同じく、塩パンを使ったタマゴサンド。
「おっちゃん来ないね」
「もう昼を回ったぞ。これだと馬車に間に合わなくなる。焦らず二日後にすればよかったか」
前金で馬車の料金を払ったのは失敗だったかと思っていると、荷物を多く持って走って来るヤトコの姿が目に入った。
「すまんすまん。支度に手間取った」
「大荷物ですね」
「パフに頼まれた物を作るのに集めた物だ。前回作った時に材料が無くなったんで、今回は方々に行って集めて来たんだ。それでこの量だ」
「すぐ行けそうですか? バイアステッチまでの馬車が、もうすぐ出るんですよ。これを逃すと二日後になってしまいます。それにもう料金を払ってしまったので」
「なら急ごう。っと、その前に、組合に顔だけ出してく。荷物を置いてくから見ててくれ。五分で戻る」
背負っていた鞄と、両手の荷物をカズ達の元に置いて、ヤトコは走って鍛冶屋組合に入って行った。
「これ持って走るの? 馬車に間に合うと思う? カズ」
「厳しいな。……よし」
カズはヤトコの荷物全てを【アイテムボックス】に入れてしまう。
そして五分程でヤトコが戻って来ると、自分の荷物が無いことに気付く。
「荷物は俺のアイテムボックスに入れました。バイアステッチに着きましたら出しますから」
「そういうことか。盗まれたかと焦ったぞ」
「必要なったら言ってください。いつでも出しますから」
「了解だ」
「じゃあ急ぎましょう。早くしないと、間に合わなくなる」
カズはレラを抱え、バイアステッチに向かう馬車が停まっている場所まで走る。
ヤトコはぜぇぜぇと息を切らしながも、どうにか馬車に間に合って乗ることが出来た。
今回はただの馬ではなく、テイムされたバルヤールというモンスターが馬車を引く。
なので料金が二割増しになっていた。
強いモンスターが引く馬車は襲われる可能性が低く、しかも速いことから、料金が少し高めに設定されていた。
「これでバルヤールを見るのは二度目だ。他にもテイムしてる人がいるんだ。馬だから馬車を引かすには優秀なんだろか?(見た目は 前見たバルヤールと変わらないんだな)」
カズがバルヤールを見たのは、ブロンディ家専属の冒険者がテイムしてたのだ。
自分達の馬車を引かすなら、バルヤールをテイムするのも良いかもと、カズは考えていた。
ただ何処に生息しているかは、今のところ不明。
「バルヤールが引く馬車なら、十日掛かるところを六日で着くだろ。通常の定期で行き来する馬車だと、天候や馬車を引く馬に影響される」
「それは仕方ないですよ」
「まあそれもあと二年てとこだ」
「二年?」
「おう。今年からバイアステッチに向けて工事が始まる予定だ」
「工事の予定?」
「なんだクラフトで見なかったのか?」
「何をです?」
「何って魔導──……」
今日もパフ手芸店には、常連のお客が服の修理来ては、店主のパフと長話をしていた。
「アレナリアさんは依頼?」
「はい」
「なら今日は三人だね。ビワっちはお弁当だよね」
「そうです」
「実はあーし達も作って来たんだ。味見してよ」
カズとレラがヤトコと共にクラフトを離れた頃、バイアステッチのパフ手芸屋で働くビワは、同僚の半獣人の女性二人と遅めの昼食を取っていた。
「ビワっちのはどれも美味しいよね。わたしなんて、焼くか煮るかしたら、あとは濃い目に味をつければいいや。ってな感じで作ってた」
「プフルは小さい頃から適当」
「グレーツちゃんは慎重過ぎなの。もっと適当でいいじゃん」
「プフルは適当過ぎ。仕事は別として」
仕事のことや他愛ない会話をしながら、楽しげに昼食を取る三人。
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