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今日もアクアオッジ家は平和です
48 ㉓『呪いの核』
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アンドリュー第三王子が手を伸ばした扉は、音も無く開いた──
彼の耳には声が聞こえている……
紛れもない人の声と、他の人には聞こえない、脳に響く……耳障りな金属音のような声が──
タウン・ハウスは床材や柱、梁などすべて完全に焼け落ちて灰になり、骨組みすら残っていない。
アンドリュー王子が最初耳にしたのは、生きている男たちの声だった。
本来なら、別館と焼け落ちた本館とは結構な距離があり、声が聞こえるはずもないのだが──
だが……今のアンドリュー王子は常ならぬ姿だった。
憑りつかれたように迷いなく歩いていることもだが、瞳は幾重もの虹彩に煌めき、瞳孔は縦に細く伸びており、鋭い光を前方に向けている。
視線の先には──
「おいっ! まだ見つからないのか!?」
「そうは言ってもなあ! 『呪いの核』なんてどんな形状なのかもさっぱり分からん!」
「一番怪しいところは高温で近付けないし、どうしたらいいんだ!」
見るからに侵入者と分かる、三人の黒装束の男の姿があった──
タウン・ハウスが燃え尽きたこの広大な土地は、黒灰色と白灰が入り混じった厚い層が地表を覆っている。
耐火性の高いレンガ製暖炉すら燃え尽きて崩れた残骸になっているところを見るに、相当の高熱で焼き尽くされたのだろう。
何よりも異様なのは、悪魔と対峙した地下室があった空間がぽっかりと口を開けており、紅い炎がちろちろと燃えて、まるで地獄の入口のような光景が広がっていることだ。
アンドリューはまっすぐその地獄の穴に向かって一直線に歩き始めた。
一歩一歩踏みしめるごとに、地表の灰がギュッ、ギュッ、と音を立てる。
闖入者に気付いた男が、アンドリューに向かって叫んだ。
「おいお前!」
同時にぎょっとしたように他の男も叫んだ。
「触るな! そいつ、操られてやがる!」
「なんだって!?」
「まっすぐ穴に向かって歩いてるんだぞ!? おかしいだろ!」
何を……? こいつらは、なぜこんなに無知なんだ……?
あの穴に目的のモノがあるからに決まってる──
紅い炎がまるで舌のように蠢いている穴から、地鳴りのような低い怨嗟の音が響いた。
地面の奥底から突き上げるような震動が伝わり、穴から風が巻き起こる。
灰色の大地が揺れ、積もった灰が舞い上がった。
次の瞬間、穴から吹き上がる熱風が灰をさらい、世界そのものが竜巻に吞み込まれていくかのようで、まるで物語の地獄風景が現実に起こっている。
風は次第に強くなり、周りにあった大量の灰が竜巻に吸い込まれていく。穴の中で蠢いている炎が、バチバチという音と共に火柱を上げた。
黒装束の男たちが、吸い込まれる力に抗って必死に踏ん張る。
だが、足場は灰で脆く、靴底がズリズリと滑り、男たちも例外なく竜巻に引き寄せられていく。
立っているのも難しくなっていく中、アンドリューだけは平然としていた。
まるで風が彼だけを避けているように思えて、男たちの慌てぶりが滑稽なパフォーマンスのようだった──
彼の耳には声が聞こえている……
紛れもない人の声と、他の人には聞こえない、脳に響く……耳障りな金属音のような声が──
タウン・ハウスは床材や柱、梁などすべて完全に焼け落ちて灰になり、骨組みすら残っていない。
アンドリュー王子が最初耳にしたのは、生きている男たちの声だった。
本来なら、別館と焼け落ちた本館とは結構な距離があり、声が聞こえるはずもないのだが──
だが……今のアンドリュー王子は常ならぬ姿だった。
憑りつかれたように迷いなく歩いていることもだが、瞳は幾重もの虹彩に煌めき、瞳孔は縦に細く伸びており、鋭い光を前方に向けている。
視線の先には──
「おいっ! まだ見つからないのか!?」
「そうは言ってもなあ! 『呪いの核』なんてどんな形状なのかもさっぱり分からん!」
「一番怪しいところは高温で近付けないし、どうしたらいいんだ!」
見るからに侵入者と分かる、三人の黒装束の男の姿があった──
タウン・ハウスが燃え尽きたこの広大な土地は、黒灰色と白灰が入り混じった厚い層が地表を覆っている。
耐火性の高いレンガ製暖炉すら燃え尽きて崩れた残骸になっているところを見るに、相当の高熱で焼き尽くされたのだろう。
何よりも異様なのは、悪魔と対峙した地下室があった空間がぽっかりと口を開けており、紅い炎がちろちろと燃えて、まるで地獄の入口のような光景が広がっていることだ。
アンドリューはまっすぐその地獄の穴に向かって一直線に歩き始めた。
一歩一歩踏みしめるごとに、地表の灰がギュッ、ギュッ、と音を立てる。
闖入者に気付いた男が、アンドリューに向かって叫んだ。
「おいお前!」
同時にぎょっとしたように他の男も叫んだ。
「触るな! そいつ、操られてやがる!」
「なんだって!?」
「まっすぐ穴に向かって歩いてるんだぞ!? おかしいだろ!」
何を……? こいつらは、なぜこんなに無知なんだ……?
あの穴に目的のモノがあるからに決まってる──
紅い炎がまるで舌のように蠢いている穴から、地鳴りのような低い怨嗟の音が響いた。
地面の奥底から突き上げるような震動が伝わり、穴から風が巻き起こる。
灰色の大地が揺れ、積もった灰が舞い上がった。
次の瞬間、穴から吹き上がる熱風が灰をさらい、世界そのものが竜巻に吞み込まれていくかのようで、まるで物語の地獄風景が現実に起こっている。
風は次第に強くなり、周りにあった大量の灰が竜巻に吸い込まれていく。穴の中で蠢いている炎が、バチバチという音と共に火柱を上げた。
黒装束の男たちが、吸い込まれる力に抗って必死に踏ん張る。
だが、足場は灰で脆く、靴底がズリズリと滑り、男たちも例外なく竜巻に引き寄せられていく。
立っているのも難しくなっていく中、アンドリューだけは平然としていた。
まるで風が彼だけを避けているように思えて、男たちの慌てぶりが滑稽なパフォーマンスのようだった──
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