迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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27. ルート様と手合わせ

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「未熟者ですが、よろしくお願いします」

「……お願いします」

 マークと一緒に辺境伯家の剣や魔法を練習する鍛錬場までやってきた。
 ルート様が使う時間は、一部貸し切りになっている。
 基本的には野外だが、雨でも鍛錬できるよう端の一部分に屋根が付いていて、そこから扇状に広がる景色は小高い丘へと向かっている。
 まわりに草や木はそう生えておらず、茶色い土色が視界の大半を占める。
 ちょっと壮大だ。
 こんなところがあったのかと感心してしまった。
 あとからマークに聞くと、危ないのでわざとわたしにはこの場所を教えなかったようだ。
 なるほど……

「マークとパールだったね? 歓迎する。これから週に一度、よろしくたのむよ」

「フンッ。 父上がおっしゃるから付き合ってやるが、まぁ、せいぜい怪我をしないよう……わたしの足を引っ張るなよ」

「……気をつけます」

  心の中で……お小遣い、お小遣い、と呪文を唱えた。

 ここでの手合わせには、辺境伯様からお小遣いが貰える。
 マークがそのお金を、わたしの自由にして良いと言ってくれた。
 初めてのお小遣いだから、ちょっとうれしい。

「まずは二人並んで、素振りを五十回してもらおうかな。マークはわたしの隣でわたしの補助ね」

 二人並んで素振りを始める。
 五十回なんてたいした数でもないし、さっさと終わらせようと思っていたら、横からルート様がボソッとつぶやく。

「はじめから五十回とは、きついなぁ……」

 思いもしなかった言葉に思わず、エッ!? 
 驚いて横をチラッとみると、ルート様に睨まれた。

「よそ見しない。プラス十回!」

 嘘でしょう! 
 ルート様にまた睨まれる、怖い!

 落胆しながらも六十回の素振りを終えると、ルート様が鬼のような顔をして怒鳴ってきた。

「足引っ張るなっていっただろう!」

「ひっ、ごめんなさい!!」

 チッっと、舌打ちまでされてしまった。
 怖いよー
 気をつけないと、これは危険だ!

 まずはアース様に一通り、軽く剣の型を教えてもらう。
 さすがにアース様はピシッと、決まっている。
 ルート様は……まだまだかな?
 
 わたしの顔をチラリみて、考えていたことが顔に出ていたのか、ルート様がかみついてきた。

「剣の型はもう覚えている。何度も同じことをするより、せっかく今日はこいつがいるんだ、打ち合いを早くさせてくれ!」

 その言葉にアース様がルート様をじっと見つめ、そのあとわたしをチラッとみてから話しだす。

「剣の型で体を慣らすのは、相手を攻撃する技のためだけでなく、それが自然に相手の攻撃を避ける、受けるっという、できて当たり前の動作に繋がってきます。型の繰り返しの稽古には意味があるのですよ」

 ルート様が苦虫を噛み潰したような顔をする。

「それではわたしと、手合わせしてみましょうか。 まずはパールから。ルート様はそこでマークと見学していてくださいね」

 そう笑顔でルート様に伝え、一瞬マークをチラッと見てこっちにくる。

 アース様はすぐさま木剣を構え、挨拶の礼もそこそこで、わたしに振りかぶってきた。

「はやっ!」

 あわててアース様の木剣を身体強化で押さえこむ。

 カコーンッ!!

 木と木が重なる鋭い音がする。

 まだ四歳の子ども相手に、いきなりこんなきつい打ち込みする?

 イラッとして、いつもより強めに身体強化をかけてしまった。
 そのまま思わず、アース様の木剣を力技で横にそらす。
 バランスを崩させて、あとは左右の肩、そして腰。

 いち 、 にっ 、 さん!

 正面を思いっきり打つために、アース様を追い込んでいく。

「うっ」

 今だっ! っと思ったタイミングで、マークに叫ばれた。

「パール!!」

 ハッ! として、 一歩下がる。

「……重い 、 剣でしたね……」

 アース様はそれだけいうと、くるっと後ろを向きルート様のところに行ってしまう。

「お待たせしました。次はルート様の番ですよ」

「……あぁ。わかった」

 二人はしばらく打ち合いをして、休憩になる。

 小声でマークに聞いてみた。

「あぶなかった? 大丈夫かな?」

「おまえ、実は短気なんだ……」

 聞こえていたけど、無視しておいた。

 だって、初めて打ち合う相手、それも四歳児にあれはない。
 思わずちょっと強めに身体強化かけても仕方がないと思う。

 それから少しルート様とも軽く手合わせをして、初回の剣の練習は無事? 終了した。

 帰り際、アース様に声をかけられる。

「パール、あなたの……レベルはいくつ……いや、失礼これは失言……なんでもありません」

 人にレベルを聞くことはマナー違反で、特に貴族の人たちにとってレベルは将来を左右する問題になるため、簡単に口にしてはいけないデリケートな事柄にあたる。

 平民はもともとレベルが低い人が多いので、それほど気にはしないけど、お貴族様的にはアウトだ。

 わたしもレベルを知られたら面倒くさいことになりそうだし、アース様の言葉は聞かなかったことにして、そのまま鍛錬場をあとにする。

 小屋に戻るとマークがいつもの特製ハーブティーを入れてくれた。
 ひと息ついて話しだす。

「アース様がパールと打ち合う前な、アース様チラッとこっちをみたんだよ。そのときはわからなかったけど、今考えるとパールにああいうことをすると、おれに事前に知らせていたのかなってな」

「えっ 、なんで?」

「ルート様のためだろう。アース様はパールがルート様よりだいぶ強いとわかっていたから、短慮的な人はどんな目に合うのか、よいチャンスだから身をなげうって教えたのさ」


 すごい! やられた、さすが専属の護衛だね。


















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