迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
38 / 221

38. 冒険者の装備

しおりを挟む
 これから本格的に、冒険者をするための持ち物を揃えていく。

 質の良いものは王都のほうが多い、でも質を気にしすぎて王都に着いてから全部一人で揃えるよりは、冒険者の経験がある自分(マーク)と一緒に揃えたほうが安全だと、マークがアドバイスしてくれた。

 まずはカバンだが、これは流行りのデザインを気にしなければこのリエール領でも質の良いものが揃えられる。
 一年もあれば注文して上質なモノを作ってもらえるので、いくつか頼むことになるだろう。
 毛布も揃える。
 これも数枚注文して、少し小さめにしてもらう。
 可能な限り荷物を小さくまとめるためだ。
 体が小さい分カバンも少し小さめになるから、できるだけ荷物は選別しないといけない。
 安全に生き延びるための準備を万全にして、 冒険をする。
 なので他の人よりはどうしても、荷物が多くなってしまう。
 大切な物と今なくても大丈夫な物を選んでいく。

 マークは的確に選んでくれる。

 お嬢様からいただいた、あのもんだいの扇子を売って、大金が手に入ったからお金は気にするなというし。
 マークにはどんなお礼をすればよいのか……

  ♢

 今日はわたしに合う剣を、マークと一緒に選びに行くことになった。
 店に入ってすぐ、わたしに合いそうな剣がでてくる。
 小ぶりな剣だ。
 腰に装着するためのベルトもある。
 薬草採取用のナイフも一緒に装備できる優れものだった。
 ついでにナイフもだしてもらう。

 なんというか…… わたしにピッタリだ。

「よくこんな、小さなセットがありましたね?」

 ちょっと気になって聞いてみる。

「そりゃ、お前さんは有名だからね。それにマークからも、六歳の女の子が使う丈夫な剣を準備しておくように、ずっと前から頼まれていたから当たり前さ」

 そうだったのか……

 「マーク、ありがとう」

 マークは優しくそして懐かしそうに、店のおやじさんを見て笑った。

「おれはなにもしてないよ、ここのおやじが親切なのさ」

 マークと店のおやじさんが揃ってわたしを見てきて、にっと笑みを浮かべる。

 優しい二人のおかげで、あっという間に装備が整う。


 この剣とナイフの装備は、これからしばらく装着して体に慣らすことになった。
 さすがにお屋敷の中は外していくが、湖へ行くときや馬小屋のまわりにいるときには、装着して違和感や具合が悪いところはないか、マークと一緒にチェックしていく。

 この剣の装着には、マークがまた辺境伯様の書斎まで、お許しをもらいに行ってくれた。
 そのとき先日お渡ししたしおりの報奨金? と、何枚か追加でしおりの注文を受けてきたようで、しょんぼりしてわたしに謝ってくる。
 しおりは奥様の分と、辺境伯家の家名で五枚。
 あと、畏れ多いことだが、王家の名で三枚注文を受けたそうだ。

 しおり作りはちょっと面倒だけど、一番大変なのはマークだから……わたしはなにも言うことはない。
 わたしの冒険者準備の仕度金もかねて、辺境伯様からお金をたっぷりいただいてきたというし、これからのことも考えて、しおりを頑張って一緒に作ろうと伝えた。
 マークはホッとした顔をしている。
 マークのせいじゃないのに……
 
まぁ、いろいろあったけど、金銭面は気にしないで準備ができそうだ。
 マークは自分の給金もだして、完ぺきに用意するつもりでいる。
 申し訳ないと思うけど、これから生き延びるためだといわれると、やっぱり何もいえなくなる。
 もう割りきって、全部甘えることにした。

 だから辺境伯様からいただくお金は、全部マークにおまかせして使ってもらい 、マークの負担を少しでも減らしてもらいたい……うまくいくかな?
 できればマークの給金は残して、マークのこれからに備えてほしいのに……

  ♢

 次の日、カイルさんが貨車を引いてやってきた。

「辺境伯様にいわれて、持ってきたぞ!」

 あいかわらず仕事がはやいな。
 マークと貨車の中を覗くと、立派な丸太の部分や根っこの部分、他にもいろいろと思いのほか大量に運ばれてきた。

「カイルさん。辺境伯様から頼まれたのは、しおりで 十枚もなかったはずだぞ? こんなに香木を運んできて、どうするつもりだ?」

 マークが呆れて聞く。

「いや、なにね。辺境伯様が王家の分とこの辺境伯家の分は、最高級の部分を使って作ってもらうようにおっしゃたからね、いろいろな場所の部分を持ってきたのさ」

 王家だぞっと、鼻息が荒い。

「残った香木はパールの好きにしても良いそうだが、必ず完成させたものは一つ、辺境伯様の分も作って渡すようにと、いいつかったよ」

「えー! それって、サンプル集めだよね」

 マークが苦笑いしながら。

「まぁ、そういわずに。あのしおりは、本当に評判がいいんだよ」

「……わかった」

 香木がいっぱい手に入ったし、これでみんなのプレゼントを作って渡すのもいいかも。
 もしかしたら辺境伯様も、わたしがルート様たちに渡したように、お屋敷のみんなにも何かプレゼントをすると思って、香木をくれたのかもしれないし。
 良いほうに考えよう!

 気を取り直して、みんなのプレゼントを考えだした。

「おい、パール。まずは、しおりを作るんだぞ!」

 わたしの考えていることが顔にでていたのか、マークに釘をさされてギクっとする。
 
 カイルさんはそんなやりとりをしているわたしたちを、あたたかい目で見ていた。
 そして、ぼそっと。

「……おまえたち、ホントの親子みたいだな」

「な、なにを……あたりまえだ! オムツだって、すべておれが替えていたんだ。正真正銘、おれの娘さ!」

 マークがなんだかうれしそうに、胸を張って答えている。
 わたしはちょっと照れて、お決まりの……

「マーク! オムツの話しなんて、するかな~ 信じられなーい!」

 カイルさんとマークが、顔を見合わせ吹きだした。

 わたしも二人を見て、笑いだす。
 
 そして顔をそむけ、下を向き……また……


 ほほえんだ。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...