迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
79 / 221

79. 優しい竜人ブロンさん

しおりを挟む
 王都ハビタからブロンさんが、いなくなる?
  田舎に帰るのか……
 二人抱きしめられ横のテトリをみると、ブロンさんをじっと見つめて……とても寂しそう。

「テトリ……そんな顔しないで。さみしいけど、しょうがないわ……あなたにもこのマジックバックをあげるから、これはサラマンダーが三匹分だけど時間が停止なのよ。登録も五人できるから、すぐにしなさい」

「えっ、オレがもらっていいのか? あ、ありがとうブロンさん!!」

 あわてて、テトリも登録していた。
 ふふっ、こんどはほっぺたがプクッとなって、ニッコニコだ! テトリよかったね。

 中身をのぞかせてもらう。
 白いサラマンダーが三匹横に寝ていたのが、なにも見えなくなった。
 なるほど……こういうふうに見えているのか……

 それからブロンさんがちょっと待っててと、お店の奥へ行ったのでその隙に預かっていた採取用の小袋を八枚返しておく。
 テトリは目をキラキラさせて、ホントにうれしそうだよ!

 ブロンさんが奥から戻ってくると、いつでも旅立てる格好になっていた。

「さあ、もうひと頑張りよ! テトリも手伝って」

 二人でお店の商品を集め、それをすべて渡してくれる。

 お店がガランとして、なにもない……

「ふ、ふ、ふっ、これで明日からどんな商売でもできるわね」

 何も無いのに、なにができるの?

 そんなことを考えていたら、ブロンさんはテトリに向かって。

「テトリ。これでしばらく会えないけど、これからのことは働かせてもらうことになるタルボさんに相談して、この先のことをちゃんと決めなさいねっ」

 そう告げながらカードを一枚渡していた。
 わたしを紹介してくれたお礼だという。

 テトリは高価なマジックバックをもらったから、十分だと言っていたけどカードをみて震えている。

 ここの権利書? 
 このお店をもらったみたいだ。

「わたしは田舎へ帰るから、もうこのお店はいらないの。 そのかわり、テトリには田舎の場所は教えないし、もし知ってもだれにも言わないでね。知られていいことひとつもないわ。一番目のあなたはいま見たとおり、ブロンさんはお店の商品をすべて迷い人に渡したと言ってね。あなたは迷い人を紹介したお礼に、迷い人がいらないと言ったお店だけをもらったのよ!」

 ほほうー?! そうきたか!
 みんな、考えてるなぁー!
 テトリもピンッときて。

「わかった……店をありがとう……また、百年ぐらいしたら連絡してきて……オレは……ここで暮らすから……」

「それがいいわ! 孤児院にはなにも言わないですぐ出なさい。そして少しの間、おとなしくしてたほうがいいわね。お店があるんだからここからタルボさんのところに通ってもいいし、なにか商売をしてもいい。このお店は迷い人ではなくわたしからもらったのだから、だれも文句はないはずよ」

 竜人は長生きだからすごい、百年か……
 ブロンさん優しいなぁ~

 それからしばらく、テトリはお店のことや今後のアドバイスをブロンさんから受けていた。

「さあ、つぎはマプさんよ! 喜ぶと思うわ~」

 ふ、ふ、ふっ

 テトリにマプさんがどんな人か聞いてみる。

「タルボじいさんの幼なじみで商い上手な、ちょっと顔はいかついけど優しい人だぞ」

 ブロンさんは商売のことを教えてもらった先生のような人だと言っていた。
 息子さんのアロさんとは、ここ王都ハビタの学校で同級生だったそうだ。

 そうか、そういうつながりね!

 次のマプさんのお店まで、わたしはブロンさんに抱っこされて連れて行ってもらうことになった。
 やはり十歳のわたしの足では遅すぎるようだ。
 さっきのテトリのはやさでは、わたしがおとなになってもぜったい無理だと思うけど……
 それに今はドレスだしね。

 ブロンさんの抱っこはテトリの時と違って普通の抱っこだったのでホッとする。
 マプさんのお店まではホント一瞬、あっという間に着いてしまう。
 なんなら、さっきよりもはやかったかも?
 おそるべし、竜人さん?!

 マプさんのお店はドンッと大きな二階建てで、ブロンさんのお店よりすごく立派でとても豪華! 金ピカだしね!

 三人すぐお店の中へ入って行く。
 わたしはずっとブロンさんに抱っこされたまま、キョロキョロと辺りを見回し、興味津々だよ!

 二階は倉庫にでもなっているのか? お店は一階だけのようだな……

 あっ!? マプさん親子がいたみたい。

 マプさんはブロンさんより背が低いけど、顔が大きくて歯が鋭そう……
 ウッウ……やっぱり竜人のおとなの人の顔は、ちょっとこわい。
 なんなら、ブロンさんよりも顔はこわいかも……
 息子のアロさんが、声をかけてきた。
 
「いらしゃい! なんだっ? ブロンじゃないか……おまえ……とうとう、ツガイを見つけたのか!」

 それを聞いて、マプさんが驚いて……

「なにっ?! ブロンがツガイを連れてきたのか!!」

「ちがーうっ!! はーーぁ、お客さんは今いるのかしら?」

 すぐブロンさんが否定していた。
 コレ、どこかで聞いたようなやりとりだな…… 
  テトリと一瞬目が合い、ちょっと笑ちゃう。

「んっ、今はおまえたちだけだぞ。テトリ、久しぶり! 元気にしてたか?」

「はい。アロさん、お久しぶりです。マプさんも、お元気でしたか?」

「あぁ、わたしは元気だ。それよりおまえたち、今日はどうしたんだ? ブロンおまえ、どこかへ行くのか?」

「さすがですね。はい……今日でお別れです。それよりも、お店を少し閉めてもらえませんか? できればカギをかけてください」

「んっ…………アロ。すぐに閉めろ……」

 マプさんの言葉で息子のアロさんが動きだす。
 
 アレっ? アロさんが足を引きずってる……
 事故って言ってたけど、お孫さんだけじゃないんだ……

 お店を閉めてきたアロさんは二階の従業員に、しばらく下へ降りてこないよう伝えにいく。
 気がきくなぁ~

 マプさんはわたしたちをお店の中にあるソファセットの場所へ案内してくれた。
 そこで話しを聞くようだ。
 息子のアロさんも戻ってきて、やっとブロンさんがわたしを抱っこからおろしてくれる。

「ブ、ブロン、これは……ど、どういうことだ……」

 さすが、年の功。
 すぐにマプさんは気づいたようだけど、息子のアロさんはマプさんとブロンさんを交互に見てわかっていないようだった。
 ブロンさんに勧められて、テトリと一緒にソファへ座る。
   
「さすがね、マプさん。見ての通りマプさんは三人目よ」
 
 ソファに座っていたマプさんが急に立ち上がり……

「ああーーっ!! なんということだーーっ! ブロン!! ありがとーー!!」

「父さん、どうしたんです? 急に大きな声で……大丈夫ですか? ブロン、どうしたんだ?」
  
「はーっ、アロ……あいかわらず鈍い子ね! この子はパールちゃん。迷い人よ」

「迷い人…………ほ、ほ、ほんとうに? 迷い人なのか?」

「うっうっうおーーっ!! やったぞーー!」   

 
 喜んでもらえたようで、よかったよ……






しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...