迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
107 / 221

107. 一番偉い人

しおりを挟む
 なんとなくだけど、ライさんが一番偉いのかな?
 そのつぎは、どっちだろう?
 年齢的にはガンさんだと思うけど、ソードさんは貴族ぽい?
 
 馬車の椅子もライさんがひとり進行方向に座り、わたしとガンさんが進行方向に背を向けて座っている。

 ガンさんがわたしに気を使って、気分が悪くなったら自分へ伝えるように言ってきた……
 ここの人たちはガンさんのことを、ガントと呼ぶ……
 もしかして、名前を使い分けているのかな?

「ガンさん、名前ホントはガントリーさんなんですね?」

「あぁ。みんなは長いから、ガントって呼んでるかな。あの宿屋の人たちだけがなぜか、ガンって呼んでいるんだよな」

「そうなんだ。じゃあ、わたしもガントさんって呼んでもいいですか?」

「ああ、好きに呼んでくれ。それからおれにも、さんは、いらん」

「はい、ガント。これからしばらく、よろしくお願いします」

「おう。六日はかかるから、よろしくな」

 年上の人に さん を付けないのは、ちょっと気になるけど、ラメール王国はそういうところなのかも?

「パール! こっちへ座れ。進行方向のほうが楽なはずだ」

 ガンさん……ガントと話しをしていると、急にライさんが話に割り込んできた……

 うるさかったかな?

「ライ? おまえの座る場所が狭くなるけど、良いのか?」

「大丈夫だ。 パールさぁ、早くこい」

「へっ、……ライさんの横ですか? わたしはこっちでも大丈夫ですよ」

「パール。ライが良いって言っているから、向こうに座っておけ。絶対あっちのほうが楽だからな」

 二人に勧められ行かない選択肢は、今のわたしに無さそうだ……

 もう素直にライさんの横へ行く。

「ライさん。気をつかってもらって、ありがとうございます」

 一番偉い人には、丁寧に!

「ライだ……」

「えっ?」

「おれのことも、ライでいい……さんは、いらない」

「おい、ライ? おまえ、どうしたんだ? なんか変だぞ?」

「どうもしない……おれだけ、 さん付けが変だと思っただけだ……」

「そうか……まあ、そうだな」

 なんか、気まずい……

 ガタンッ!

 そう思ったとき、休憩ポイントに到着したようだ。
 よかった~ これで仕切りなおせる。

 一度みんな馬車を降りて、トイレ休憩だね!  
 先に行かせてもらう。

 オトイレをもらっていて、ホントよかったよ。
 安心、安全だよね。

 つぎは交代で、ガントが御者になるみたい。
 
 ソードさん、あっ!?
 ソードもわたしが馬車の中でライさん、じゃないライだった……
 そのライの横に座ると、おどろいた顔をしている。

「えっと、パール? それじゃあ、ライが狭い……こっちへおいで……」

 そうですよねっ!
 一番偉い人の横はちょっと気まずいし、わたしもダメだと思います!

 急いでソードのところへ行こうとして腰を浮かすと、ライに腕を掴まれその場にまた腰を下ろしてしまう。

「大丈夫だ……狭くない。パールは、ここでいい」

「ライ? それでは狭く……大丈夫なんですね?」

「ああ……」

 ハァー、もういいだろう……めんどくさい。
 図太くライの隣に座っておく。

 ソードの視線が少し痛いな。
 ソードはちょっとだけブロンさんに似たような雰囲気を持っている人で、金髪に近いハニーブラウンの髪がキラキラ輝いている。
 からだがムキッとしていて大きいのに、顔がすごくキレイで、若い? 
 十代?  
 アンバランスな感じがして不思議? 
 なん歳なのかな…… 

 ガントは黒っぽい焦げ茶色に少し赤みのある髪。
 からだもすごく大きくて、顔がイカつい。
 もう三十歳だと前に話していたから、いまはまだ二十代後半だよね。
 でも顔がちょっと怖い感じだから、歳がもう少しいっているように見えるのかな?

 ライは真っ黒い髪にからだは、がっしりしているほうだと思うけど。
 ガントたちに比べると、ちょっと細い。
 みんな背も高いし……
 ライは十代後半か二十代前半? ぐらいか。
 あとなんだかライは、上に立ち慣れた人の感じがするから金持ちの商家の息子か貴族……下級貴族の息子あたりかな?

 あんまり詮索はできないけど……んーっ。
 やっぱりちょっと、貴族ぽい?
 いや、きっと貴族だ。
 ライとソードには、気をつけよう……

 名前の呼び方も特にライには念のため、さんをキチンと付けて呼びたい。
 そんなことを、ひそかに考えていると……

「パール。あなたはどんな用事で、ラメール王国に行くのですか?」

 うわーっ、直球だな! 
 ソードはわたしをなんだか怪しんでいる?

「わたしは知り合いの人のお祖母さんのところへ預かり物を届けに……あとは観光でもしようかなっと……」

「そうですか。なにを預かってきたのか、パールは知っているのですか?」

「いいえ。袋に入れて預かったので中は知りません」

「そうなのですね? もし、変な モノ を預かっていたらどうするんです?」

「信頼している人なんで、大丈夫です!!」

「ふ、ふっ。怒らせてしまいましたか……」

 なんだかこの三人のほうが怪しくなってきたな。

 でもガントは、いい人だし……

「おい、ソード。そのへんにしておけ……」

「ふっ。ごめんね、パール。ちょっとした確認だから気にしないで」

「はい、大丈夫です」

 ここまでは、しょうがないか……

 それからは普通に旅の話。
 今日泊まるところは宿屋ではなく、できるだけ先に進んで野営をするのだと教えてもらう。

 このピアンタ最後の宿屋は値段の割に質も悪いし料理もマズいので、泊まらない予定で朝早くでてきたそうだ。
 そうしたら次のよい野営ポイントまで安全に着けるらしい。
 大人数のときにはいろいろ時間がかかって無理みたいだけど、これは慣れた少人数の旅人ならみんなしていることだと話してくれる。

 なるほどね……

 たまに早く出ていくお客さんがいたのは、もしかしてこのためかも?

 寝ずの番をみんなで順番にするそうだけど、わたしは無しで良いからゆっくり休んで疲れをとるようにソードが言ってくれた。

 馬車の旅は思った以上に揺れて、しんどい。

 知らない間に、うつら うつら……
 ライにもたれて、眠っていたみたいで……


 それを向かいに座っていたソードが、ハラハラしながら見ていたのを、わたしは知らなかった。

 
 いまから六日間、いろいろありそうだけど……

 大丈夫、今回はチェリーもいる!

 なんとか、なるさっ!!



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...