迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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127. 大岩を除去する

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 ソードが自分たちも残って、大岩が除かれるのを見学すると言いだした。
 二日かかると説明したけど大丈夫だという。

「パール。おまえ大岩が除去されたりすることなんて、そうないぞ! オレでもぜったい観にいくけどな!」

 そうなのか?

 今日は宿屋へ戻り、明日七時この家に集合と決定した。
 大岩を除いたあとは、順番に家をまわるそうだ。
 五十件もないらしい。


 宿屋の食堂で食べるステーキはすごくおいしかったけど、あの濃厚シチューには敵わない……
 あれはおいしすぎた。

 三人はここのワインをおいしそうに飲んでいる。
 濃いガーネットのような色をしているんだな……
 じっとワインを見つめていたら。

 ソードがチラッとわたしを見てひと言。

「パールはまだ、飲めませんよ」

 ガントもそうだ、そうだと、ワインを飲んでご機嫌だよ。
 ライはなぜか、静かに飲んでいた。

 明日は五時半頃ここで朝食を食べ、ゆったりお茶でも飲んでから馬車でカベルネの家へみんなで向かうとソードが教えてくれる。

 時間も確認したし、わたしはワインを飲まないので先に部屋へ戻らせてもらう。

 今日はもう、部屋の中にテントを出してゆっくり寝る。
 お風呂もテントのモノを使った。

 からだが大ドクダミで臭くなってしまうのかと思ったら、この大ドクダミは時間が経つとなんともいえない香ばしいようなスパイシーなようなとても複雑な良い匂いにいろいろ変化するそうで、宿屋に戻ったときには四人とも甘い匂いがしていたようだ。
 それでも丁寧にからだを洗って、アラクネの寝間着に着替えてベッドへ飛び込む。

 あーっ、気持ちいい!

 明日の魔法袋はチェリーと相談して念のため、サラマンダーが五匹の時間経過ありを用意しておく。
 これなら余裕だろう。
 魔法袋に登録したらスッと、からだの力が抜けてきて自然と眠たくなってきた。

 今日は疲れたよ……


 朝一階の食堂へ行くと、すでに三人揃って朝食を食べている。
 野菜とソーセージが入っていてここもスープストックのような味の、優しい味付けだった。

 そうか……

 お酒を夜に飲んでいる人が多いから、この味なんだ……
 なんとなく、自分の中で納得して朝食を終える。

 カベルネの家には馬車で向かう。

 村人たちが大勢待っていてくれた。
 カベルネの家族が出迎えてくれる。
 わたしを待っていたというより、ライかな?

 カベルネが期待に満ちたキラキラした笑顔で話しかけてくる。

「パール! オレのメルロ兄ちゃん。去年この村に戻ってきたんだ。兄ちゃんも大岩が取り除かれるところを一緒にみたいそうだ! いいだろう?」

「はじめまして、パールです。見学は別にいいですけど? 一瞬ですよ?」

「「「えっ、一瞬!?」」」

 なんだか、いろんなところから声がしたけど?
 
「それでもいいよ、ありがとう。 近くでみたいんだ。カベルネと一緒に見学させてもらうね」

 去年この村に戻ってきたということは、コウジュのお兄さんより一つ年上の十五歳かな?
 カベルネよりなんだか、柔らかくて優しい感じがする。

「パール、大岩を魔法袋に入れるんですよね?」

 ソードも聞いてきた。
 まだ詳しくは聞いてないから、村長のガメイおじいさんに確認する。

「ガメイさん。いまから除去する大岩は、いらないんですよね? もし必要なモノや移動するだけなら、できれば除去する前に教えてください」

「ああ、村の者にも先に伝えておこう」

 まずは、大岩……

 うわーっ!!

 近くでみると見上げてしまう……
 それに……

 近くにいるのはカベルネ家族とライたち三人だけど、村人の大半が観にきてる?

 ガメイおじいさんに最終確認して、腰のカバンから魔法袋をだすと……

 どこからか、おーっ! と声がする。

 もう気にせず、魔法袋を大岩に向けて無言でもいいけど、これだけ観にきてくれているし……

「大岩よーっ! 中に入れっ!」

 スッと大岩が消える。

「「「おーーっ!! 消えたーーっ!!」」」

 すごい歓声だな……

 カベルネが感動してわたしの横までやってきて、腕を掴もうとしたその手をライがバシッと止める。

 なにごとかと、カベルネと二人でライを見上げてしまう。
 ソードがすぐに教えてくれた。

「急にパールに触れて、昨日のガントのようになったらたいへんですからね……」

 あーっ!? 

 カベルネと二人、顔を見合わせ納得する。

 ホントだよ! 
 カベルネがケガでもしたら、たいへんだよね。

「カベルネ、気をつけてよ!」

「あぁ、わかった。危なかったな……」
 
 二人、頷き合う。

 そこからは、一軒ずつ家をまわっていく。

 たしかに大人が十人ぐらいなら、なんとかなりそうな大きさの岩が家の近くにあったり、畑にあったり……
 
 お昼までに十件ぐらいしか、除去できなかった。
 このままでは、三日かかるかも……

 ペクメズおばあさんたちの作ってくれた簡単に食べれる昼食。
 移動中に休憩してすぐ食べれるよう、パンに野菜とお肉が挟んである。
 おいしく川辺で食べながら、ライに聞いてみた。

「もしかしたら三日かかるかもしれないから、もう大岩の除去もみたのだし、先に王都へ向かってくれてもいいよ」

「大丈夫だ……」

「パール、わたしたちもそんなに急ぐ用事はないので気にしなくてもいいのですよ。それに、この村の様子が分かるよい機会でもあるのです」

 そうか、じゃあいいよね!
 もう気にしない。

 昼からはガメイおじいさんとカベルネあとメルロお兄さんにお父さん、それからライたち三人の八人で村をまわっていく。

 順調にサクサク進み、あと一軒で今日はおしまい。

 そこの家は簡単な岩の移動だけだったので、すぐにすんだ。
 後半なんとか頑張って、明日もう一日で終わりそうだよ。

 よかった!

 カベルネの家ではペクメズおばあさんとお母さんが、いろんな家庭料理を用意してくれている。
 明日は本格的に村人総出で宴会になるそうだ。
 
 カベルネはドサクサに紛れて、ワインを飲もうとしてまたペクメズおばあさんに頭をペシッとされていた。

 こりないな……

 でも気持ちはわかる、飲んでみたくなるよね。

 代わりに出してもらったブドウ水もおいしい!
 ここの果物は、なんでもおいしい。
 ペクメズおばあさんオススメの糖蜜も、数種類だしてくれた。

 甘い!

 最初食べたときここまで甘いと思ってなくて、喉がおかしくなってしまうかと思ったけど……

 そばにあった、なにかナッツのペーストと一緒にパンに塗って食べるとおいしいと、ソードに勧められ試してみる。
 濃厚な……へーっ、また味が変わって、うんおいしい。

「ソードはこの糖蜜知っていたんだね? よく食べるの?」

「好きで食べるというよりは、食べさせられた感じですね」

「ふっ、カベルネも同じことを言っていたよ。すごいね! やっぱりこれ、からだに良いのかな?」

「ホ、ホッ、ホッ! そうじゃろうな。ウチのペクメズとソードのばあさんモラセスは姉妹だからのっ」

「「姉妹?」」

 カベルネと二人。

 顔を見合わせ、さけんでいた。


「「うそーーっ?!」」


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