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155. ダンスパーティー
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次の日も朝からダンス。
お昼を食べてまたダンス。
ダンスの先生二人が、細かくわたしの顔の角度から指先の動かし方まで指示していく。
「こんなに短時間で、ここまで踊れるようになる方はそういません。わたしたちも教え甲斐があって楽しいですね。ホントならあと二日ほど欲しいところですが、しょうがありません。顔の動かし方や目の方向など、もう少し細かく覚えていただきたいのですが、それは次回の楽しみにとっておきましょう」
「先生、ありがとうございます。もうこれで十分満足ですよ」
「パール様は吸収力がたいへん優れておいでです。できるだけ完璧に近づけましょう」
侍女長は完璧主義者なのか?
これだけ踊れたらもういいんだけど、侍女長にはさからっちゃダメだとわたしは知っているから、返事しておく。
「はい、頑張ります」
ライたちにも今日のダンスパーティーを楽しみにしていると食事のたびに言われているし……
ホント、辺境伯で少しやっていて良かったよ。
でもこれは冒険者に必要なんだろうか?
イヤ、侍女たちも踊っている……
ダンスはラメールの常識なのか?
まあ、教えてもらえるときには、なんでも覚えておこう。
先生や侍女長たちからも、やっとなんとか及第点をもらい、部屋に戻ってお風呂へ入る。
あとパーティーまで二時間ないから、侍女たちみんなの連帯感がすごい。
濃い青色のドレスを着せてもらう。
こんな色のドレスあった?
まだ十歳だからかわいいデザインだけど、ゴテゴテしていないのがわたし好みかな。
髪飾りはこの前ライが選んでいた、いつ付けるんだと思った豪華なモノ?
侍女長をみると、ニコッと笑っていたから当たりだな。
ライ、買ってたんだ……
いつもより凝った髪型に豪華な髪飾り。
化粧がないだけマシか……
「今回は身内だけのパーティーですので、お化粧はあえてせず、子どもらしさを全面に押し出し、かわいく仕上げさせていただきます」
侍女長たちが事前に説明してくれていたので、わたしもそれがいいと賛成してある。
ヒールはやっぱり踊りやすい自前のモノを、濃い青色に変えて履いていく。
みんなからキレイですよとほめられ気分よく、侍女長に手を添えられて、ダンスホールへと向かう。
ホールのドアの前で、一旦停止。
髪型とドレスのチェックが入り、なぜか聞こえていた音楽が急に変わって大きくなる。
そこでドアが開けられ、入場となった。
やっぱり三人はいて、わたしが最後だ。
六つの瞳が、こっちを見ている。
すぐライがやってきた。
「パール! キレイだよ。まるで紺碧の海の女神のようだっ」
「ありがとう……」
「パール、すごくキレイだぞ! その髪飾りも豪華でいいな!」
「ホントにステキですね。パールは青色がよく似合います」
侍女長から添えられていた手が、ライへと自然に移っていき、そのままエスコートされる。
まずは、一曲ライと踊るのかな?
練習曲がかかり、ホッとする。
身長差があるからライは踊りにくいだろうけど、そんなこと気にしてないようで、優しくダンスホールの真ん中にリードしてくれた。
「パール、大丈夫だから。おれの目を見て、今日は楽しもうな」
言われて、ハッと気がつく。
緊張して、足元ばかり見ていたっ!
「そうだね、ライ。教えてくれてありがとう。みんなに一生懸命教えてもらって、踊れるようになったんだから楽しまないとね!」
「ああ、そうだ! 楽しく踊ろう」
ライにくるっと回され、ふたり笑いながら気持ち良く踊ることができた。
なんだか曲もアレンジされていたようで、練習のときよりも長かったように思う。
同じ人とは続けて二曲は踊れない。
それができるのは婚約者以上の人なので、みんなのところまでライにエスコートしてもらって戻る。
次はソードと踊るようだ。
ステップの少し難しいリズミカルな曲がかかる。
なんとかついて踊れたみたい。
余裕のソードが踊りながら手をとって近づいた瞬間、笑ってほめてくれた。
「思っていた以上にやりますねっ! これなら合格点ですよ」
「へへっ、ありがとう。ソードはすごく上手だね」
「ふふっ、ほめていただきありがとうございます」
なんとか合格点をもらい、気分よく一曲終える。
このあとは、少し休憩してガントの順番になるのかな?
料理も本格的に出してくれているようで、食べきれない分は、わたしがもらって良いそうだ。
「侍女たちの分は?」
心配になってソードに聞く。
「今回はご褒美で別の場所に用意しています。これは初めからパールに渡す分込みの量ですから、気にしないでいいですよ」
「やったー!」
明日からの冒険に持っていけるのでありがたい!
ガントが笑いながらお肉をフォークで突き刺して、よかったなと言ってパクパク食べていた。
わたしも少しずつ食べて、味見していく。
ここの料理長が作る料理は、どれもおいしい!
料理をパクつくガントの気持ちがわかるよ。
少しして、ガントとも踊ることに。
「これはっ!?」
派手な動きのある、難しい曲が演奏される……
ガントがニヤッと笑って、エスコートしてきた。
「ガント、イジワルだねぇ~」
「ハハハッ! どのくらいの実力か、試させてもらうぞ! 身体強化しておけよ」
「ハァーっ。まあ、ガントらしいか? 身体強化倍掛けしておくよ」
それは派手で、だんだんと速くなる、身体強化必須の曲だった。
踊りの先生たちが最後に教えてくれた、イジワルな人がかける曲。
「この曲は難しくてそんなに踊れる人がいないはずなのに、パーティーに行くとなぜか一度はかかるのよ。イジワルする人が会場に一人はいるのね。だから完璧に覚えておいたほうが絶対いい曲なんですよ」
ありがとうございます、先生っ!
ニヤつくガントとは、闘うように踊った。
見ていた人たちから最後は拍手をもらえたけど……
ガントめ!
十歳にする仕打ちなのか?
初めてのダンスパーティーだぞ!
「思っている以上のできですね。この曲が踊れたら、もうどこのダンスパーティーでも参加できますよ。ガントについていける人はそういないので、ガントも楽しかったでしょう」
んっ、ソードが考えた筋書きだったのか?
「ああ、久しぶりに楽しませてもらったよ。あとはもう少し背がほしいな!」
「パール、大丈夫だよ。少しずつだけど、会ったときよりも背は伸びている。マークも背が高いし大きくなるよ。それより少し休憩したら、また一緒に踊ってくれるかな? またパールと踊りたいんだ……」
「いいよ! 背が伸びているのわかるの? うれしいなぁ」
「そうですね、少しずつですが伸びていますよ。人族の子どもの成長は早いですからね」
よい気分で少しの休憩のあと、またライと踊る。
ライは次も優しい曲を選んでくれた。
少し余裕が出てきたのか、おしゃべりしながら楽しく踊る。
思っていた以上に、いい気分……ふふっ。
お昼を食べてまたダンス。
ダンスの先生二人が、細かくわたしの顔の角度から指先の動かし方まで指示していく。
「こんなに短時間で、ここまで踊れるようになる方はそういません。わたしたちも教え甲斐があって楽しいですね。ホントならあと二日ほど欲しいところですが、しょうがありません。顔の動かし方や目の方向など、もう少し細かく覚えていただきたいのですが、それは次回の楽しみにとっておきましょう」
「先生、ありがとうございます。もうこれで十分満足ですよ」
「パール様は吸収力がたいへん優れておいでです。できるだけ完璧に近づけましょう」
侍女長は完璧主義者なのか?
これだけ踊れたらもういいんだけど、侍女長にはさからっちゃダメだとわたしは知っているから、返事しておく。
「はい、頑張ります」
ライたちにも今日のダンスパーティーを楽しみにしていると食事のたびに言われているし……
ホント、辺境伯で少しやっていて良かったよ。
でもこれは冒険者に必要なんだろうか?
イヤ、侍女たちも踊っている……
ダンスはラメールの常識なのか?
まあ、教えてもらえるときには、なんでも覚えておこう。
先生や侍女長たちからも、やっとなんとか及第点をもらい、部屋に戻ってお風呂へ入る。
あとパーティーまで二時間ないから、侍女たちみんなの連帯感がすごい。
濃い青色のドレスを着せてもらう。
こんな色のドレスあった?
まだ十歳だからかわいいデザインだけど、ゴテゴテしていないのがわたし好みかな。
髪飾りはこの前ライが選んでいた、いつ付けるんだと思った豪華なモノ?
侍女長をみると、ニコッと笑っていたから当たりだな。
ライ、買ってたんだ……
いつもより凝った髪型に豪華な髪飾り。
化粧がないだけマシか……
「今回は身内だけのパーティーですので、お化粧はあえてせず、子どもらしさを全面に押し出し、かわいく仕上げさせていただきます」
侍女長たちが事前に説明してくれていたので、わたしもそれがいいと賛成してある。
ヒールはやっぱり踊りやすい自前のモノを、濃い青色に変えて履いていく。
みんなからキレイですよとほめられ気分よく、侍女長に手を添えられて、ダンスホールへと向かう。
ホールのドアの前で、一旦停止。
髪型とドレスのチェックが入り、なぜか聞こえていた音楽が急に変わって大きくなる。
そこでドアが開けられ、入場となった。
やっぱり三人はいて、わたしが最後だ。
六つの瞳が、こっちを見ている。
すぐライがやってきた。
「パール! キレイだよ。まるで紺碧の海の女神のようだっ」
「ありがとう……」
「パール、すごくキレイだぞ! その髪飾りも豪華でいいな!」
「ホントにステキですね。パールは青色がよく似合います」
侍女長から添えられていた手が、ライへと自然に移っていき、そのままエスコートされる。
まずは、一曲ライと踊るのかな?
練習曲がかかり、ホッとする。
身長差があるからライは踊りにくいだろうけど、そんなこと気にしてないようで、優しくダンスホールの真ん中にリードしてくれた。
「パール、大丈夫だから。おれの目を見て、今日は楽しもうな」
言われて、ハッと気がつく。
緊張して、足元ばかり見ていたっ!
「そうだね、ライ。教えてくれてありがとう。みんなに一生懸命教えてもらって、踊れるようになったんだから楽しまないとね!」
「ああ、そうだ! 楽しく踊ろう」
ライにくるっと回され、ふたり笑いながら気持ち良く踊ることができた。
なんだか曲もアレンジされていたようで、練習のときよりも長かったように思う。
同じ人とは続けて二曲は踊れない。
それができるのは婚約者以上の人なので、みんなのところまでライにエスコートしてもらって戻る。
次はソードと踊るようだ。
ステップの少し難しいリズミカルな曲がかかる。
なんとかついて踊れたみたい。
余裕のソードが踊りながら手をとって近づいた瞬間、笑ってほめてくれた。
「思っていた以上にやりますねっ! これなら合格点ですよ」
「へへっ、ありがとう。ソードはすごく上手だね」
「ふふっ、ほめていただきありがとうございます」
なんとか合格点をもらい、気分よく一曲終える。
このあとは、少し休憩してガントの順番になるのかな?
料理も本格的に出してくれているようで、食べきれない分は、わたしがもらって良いそうだ。
「侍女たちの分は?」
心配になってソードに聞く。
「今回はご褒美で別の場所に用意しています。これは初めからパールに渡す分込みの量ですから、気にしないでいいですよ」
「やったー!」
明日からの冒険に持っていけるのでありがたい!
ガントが笑いながらお肉をフォークで突き刺して、よかったなと言ってパクパク食べていた。
わたしも少しずつ食べて、味見していく。
ここの料理長が作る料理は、どれもおいしい!
料理をパクつくガントの気持ちがわかるよ。
少しして、ガントとも踊ることに。
「これはっ!?」
派手な動きのある、難しい曲が演奏される……
ガントがニヤッと笑って、エスコートしてきた。
「ガント、イジワルだねぇ~」
「ハハハッ! どのくらいの実力か、試させてもらうぞ! 身体強化しておけよ」
「ハァーっ。まあ、ガントらしいか? 身体強化倍掛けしておくよ」
それは派手で、だんだんと速くなる、身体強化必須の曲だった。
踊りの先生たちが最後に教えてくれた、イジワルな人がかける曲。
「この曲は難しくてそんなに踊れる人がいないはずなのに、パーティーに行くとなぜか一度はかかるのよ。イジワルする人が会場に一人はいるのね。だから完璧に覚えておいたほうが絶対いい曲なんですよ」
ありがとうございます、先生っ!
ニヤつくガントとは、闘うように踊った。
見ていた人たちから最後は拍手をもらえたけど……
ガントめ!
十歳にする仕打ちなのか?
初めてのダンスパーティーだぞ!
「思っている以上のできですね。この曲が踊れたら、もうどこのダンスパーティーでも参加できますよ。ガントについていける人はそういないので、ガントも楽しかったでしょう」
んっ、ソードが考えた筋書きだったのか?
「ああ、久しぶりに楽しませてもらったよ。あとはもう少し背がほしいな!」
「パール、大丈夫だよ。少しずつだけど、会ったときよりも背は伸びている。マークも背が高いし大きくなるよ。それより少し休憩したら、また一緒に踊ってくれるかな? またパールと踊りたいんだ……」
「いいよ! 背が伸びているのわかるの? うれしいなぁ」
「そうですね、少しずつですが伸びていますよ。人族の子どもの成長は早いですからね」
よい気分で少しの休憩のあと、またライと踊る。
ライは次も優しい曲を選んでくれた。
少し余裕が出てきたのか、おしゃべりしながら楽しく踊る。
思っていた以上に、いい気分……ふふっ。
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