迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

文字の大きさ
199 / 221

199. わたしの護衛騎士ブレンダ

しおりを挟む
 テオは、どこかなあ~?

「おかえりパール。モナルダにお礼を伝えてくれた?」

「うん、おめでとうって!」

 テオがいた! シーナに抱っこされている。

「テオーーっ! かわいいね」

「うふふ、よかったわねテオ。かわいいって」

 しばらく見ていたら、また眠ってしまった……

 マークたちは新しい従業員を決める面接をして、食堂の方で会議だそうだ。
 いろいろ決めることがあるみたい。
  
 あとはシーナにモナルダから預かった、母乳がよくでて疲れが軽減するポーションを渡してライのところへ帰ることにする。

 シーナはモナルダのポーションをすぐに飲んでいた。
 疲れているんだね……

 また明日来ると告げシーナにはゆっくり休んでもらい、わたしはライのところへ向かう。
 

  ♢♢♢


 あれっ?
 書斎に入ると見慣れた顔がある!

 ブレンダだ!

「パール、おかえり。ブレンダが待っていたよ」

「ただいま、ライ! ブレンダ、久しぶり!」

 ブレンダが、軽く微笑んで一度うなずく。

「パール、おかえり! おれたちのことを忘れてないか? こっちもみてくれよ、ハッハッハ!」

「えっ、忘れるって? ただいまガント、ソード」

「パールおかえりなさい。わたしたちもパールが帰ってくるのを楽しみに待っていたのですよ」

「そうなんだ。ありがとうソード、教えてくれて。 みんなも待っててくれていてありがとう」

 あーっ、まずはちゃんとあいさつだった。
 あいさつは基本なのに……

 順番にも気をつけないと。
 みんなが王太子様や偉いお貴族様だと、忘れていたかも……
 これは、危険だ……
 ふーっ。


「ブレンダ、もう用事は済んだの?」

「パール、おかえり。ああ、用事は全部済んだよ」

「パール? ブレンダから聞いたんだけど、マークがブレンダにパールの護衛を頼んだらしいね」

「うん、そうだよライ。自分がわたしのそばに長くいてあげられないから心配で、わたしが結婚するぐらいまでの百年か二百年ぐらいまで一緒にいて、世間のことをもっと教えてくれるように頼んだみたいなんだよ」

「そうか、百年か二百年……結婚……」

「パール。そのことなのですが、少し事情が変わってしまったんですよ。王妃様とパールはお会いしましたよね。ブレンダを助けたり迷い人だともお知りになられましたし、わたしたちを当たり人にもしてくれました。王妃様がパールのことをとても気に入ったみたいで、パールの護衛の話を知ってマークの依頼でブレンダが護衛するのでは、いろいろとね……まあ、権力的にも弱いとおっしゃって……」

「権力的に……ですか?」

「そう、いまブレンダが来ている服は騎士の服ですよね。これだと、後ろにラメール王国があるとすぐわかりますから、どこの貴族でもそう簡単に下手なことはしません。でもこれが私服でパールが平民だとわかると、バカな貴族や力のある商会は強くでてくるのですよ」
 
「あっ、それセージが言ってた……」

 ライがうなずいている。

「パール、母上がブレンダを助けてくれてお礼がしたいと言ってただろ? わが国の迷い人だとも知ったしな。それでな、ブレンダを王妃様からの依頼で、パールの護衛騎士にすることにしたんだよ。それだとブレンダは、騎士としての正規の報酬を受けとりながら安全に護衛ができる。二人にとって損はないだろ?」

「えっ、でもそれって……なんだかわたし、この国に縛られてしまうの? いろいろこれから冒険もしたいし、自由に過ごしたいんだけど……それにあとひとつの国、セルバ王国にも行くつもりだから……」

「パール、セルバに行くのか!?」

「そうだよ。いまはテオが生まれたところでそばにいたいからあまり遠くには行ってないけど、近いうちに必ず行くよ」

「もし、わたしの自由がなくなるなら、護衛はいらない。申し訳ないけどそう王妃様にお伝えしてくれる……」

「パール。ブレンダはね、この話をしたらきっとパールは王妃様の申し出を断るだろうと言ってはじめは自分も騎士になる気はないと断ったみたいなんですよ。でもね王妃様が、パールは自由だと宣言してくださったそうで、それでこの話をお受けしたと教えてくれたんです」

「そうなの? ブレンダ?」

「ああ、そうだよ。王妃様がパールは自由だと宣言してくださってね。だから好きなところへ行ったらいいんだよ。わたしがどこでも付いていくからね。それにこれで、パールが結婚したあともわたしが騎士を辞めるというまで一緒だよ。わたしはパールの専属だとそのとき一緒に宣言してくださったからね!」

「うそ?! そうなの? ブレンダとずっと一緒にいれて、わたしは自由なの?」

「パール。これなら、断る理由がありませんね」

「うん、ソード! そうだよね! 王妃様にありがとうってお礼を伝えておいてくれる?」

「ふ、ふ、ふ。それは、後ほどですね」

「そうと決まればブレンダは今から、わたしたちと同じ同僚になります。これから長い付き合いになりそうですが、よろしくお願いしますよ」

 ソードがそう言うと、ブレンダはサッと椅子から立ち上がって敬礼して……

「パール様を誠心誠意お守りさせていただきます。二年のブランクがありますが、どうぞよろしくお願いいたします」

「ブレンダ……」

 ライがうなずき、ガントが。

「ブレンダ、また一緒だな! よろしく頼むぞ!」

 敬礼をしたままブレンダはガントに軽くうなずいていた。
 ヒィェ~……敬語? ライはわかるけど、ガントとソードもブレンダより偉いんだ……おどろきだよ?!

「わたしとははじめてですが、これからいろいろありそうですね。ブレンダよろしくお願いしますよ」

 ソードもうれしそうにブレンダに声をかけている。

 その間もずっとブレンダは敬礼していた……

「さあ、これで決まったな。母上も安心してよろこばれるだろう。でも、パール……ホントにセルバに行くのか?」

「行くよ」

「ライ、今日はこの辺で……」

 ソードが軽くライに声をかけていた。

「ああ……」


 そのあとはわたしの部屋をブレンダに案内して、少し話しをする時間を作ってもらった。

 二人きりにしてもらい、お茶を飲みながら話を聞く。

 ロゼットイチリンを倒してブレンダの無事を知らせる相手はやはり王妃様だったみたいだ。

「王妃様の信頼を得ていた騎士なのに、わたしの護衛なんかでいいのかな? マークが無理やり頼んだんじゃないの?」

「そんなことないよ。わたしの意思さ」

「そう、ならうれしいけど……」

「そんなわたしのことよりパール、セルバ王国にはいつ頃行く気でいるんだい?」

「んーっ、いまはテオともっと遊びたいからね。数年後かな?」

「そうなのかい? いまなら、赤ん坊はそんなに動けないだろう? そのあいだに行ってしまった方が、いいようにも思うけどね……」

「えっ? そうなの?」

「ああ、しゃべれるようになった子どもはかわいいからね。その頃にセルバへ行くのは辛くないかい?」

「あーーっ! そうかも?!」

「ふっ、ゆっくり考えたらいいよ」

 よく考えたら、そうかも……
 プールだってでき上がるのは、早くて一年後だし。

「ブレンダ、もう少しわたしに魔法の使い方を教えてくれる? モナルダにもポーションの応用編を教えてもらいたいし、それから考えるよ」

「ゆっくりでいいよ」

「うん」


 ブレンダ…… 

 なんだかわたしの、家族ができたみたい……

 すごくうれしいな。



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...