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邂逅①
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転移魔法は一度行ったことがある場所にしか飛べない。レンリネドや第二王子派の刺客がセネーバまで来たことがある可能性は限りなく低いため、襲いかかってくる刺客がいれば、戦争を引き起こしたいセネーバの獣人が差し向けた刺客と言うことになる。
何度か直接セネーバ王家と面会しているクリスでも、向こうの戦争賛成派の全貌は掴めていないと言っていたから、今までセネーバがリシス王国に対して不干渉を貫いていたからと言って油断はできない。
「どうせ転移魔法がここまでしか使えないなら、いっそネーバ山を登ってきた方が良かったかもな。その方が箔が付く」
襲いかかってきた魔物を片手間で倒しながら、小さく肩を竦める。
魔物の強さは、辺境伯領の森と同じレベル。恐らくセネーバ側のネーバ山の状況も、辺境伯領側と変わらない可能性が高い。クリスとジェフなら、問題なく踏破できただろう。
……もしかしたら、たまたま今日山頂でまたお犬様と出会えて、次の約束できたかもしれないから、そっちのが良かったな。
「駄目だよ。箔が付き過ぎる」
「? どういう意味だ」
「ネーバ山の山頂まで辿り着くという行為は、セネーバの王族にとって成人儀礼で、王族以外の人間が単身でそれを成し遂げることができれば貴族位をもらえるくらいの偉業なのさ。外国人である僕たちがそんなことをすれば、脅威扱いされて友好関係を築くどころじゃなくなるよ」
「……初耳だが」
「僕も最近教えてもらったんだよ。だからエディ、君が昔山頂に行ったことは、あまり吹聴しない方がいい。ちなみにこれを教えてくれた君の宿敵アストルディアは、6歳で単身踏破したらしいよ。王族は部下の同行が認められているのに、供一人つけずにね。彼は本当に規格外の男だ」
「…………」
俺は8歳(お犬様のサポート付)なのに、あいつは6歳(単身)。
こんな所でも負けている感じが、地味にイラッとする。
……てか、下手したらセネーバの王族とニアミスした可能性あんじゃん。やっば。次転移する時は、警戒しなきゃ……行かないと言う選択肢なぞはまずないが。お犬様にもう一度会う為なら俺は何だってするぜ。
結局道中で魔物以外に遭遇することはなく、森を抜けて王都に到着した。
ちなみにスキル看破で亜空間収納できることがバレているので、荷物は当然俺持ちだ。
リシス王国と変わらない町並みの中で、ちらほらと獣頭の人々を見かけるようになってきたわけなのだが。何だかとても視線が痛い。
「……なんか、すげぇ嫌な顔をされてないか」
「人間が嫌……というより、みんなエディの方を見て嫌そうな顔してるね。何か嫌われるようなことした?」
もしかして、俺が辺境伯領嫡男でネーバ山の穀物を持ち出した噂が広がっているのだろうか? それにしては皆、生理的に嫌そうな感じなんだが……。
内心モヤモヤしているうちに、学校に到着する。やはり学校の構造も、リシス王国とはさして変わらないようだ。50年前までは同じ国だったことを考えれば、当然と言えば当然かもしれない。
「建物の構造は変わらないけど……使っている魔道具はかなり古いみたい。50年以上前のものを直し直し使っているんだよ。多分。僕はこの辺に、取引の余地を見出しているんだ」
「だと俺の付与魔法が役に立つかもな」
「まあ、魔法いらずで生活できる道具は開発されているみたいだから、どこまで有効かはわからないけどね。取り敢えずここで生活してみて、その辺りを探って行こう」
入寮の手続きを終え、荷物を部屋に置くともう夕方だった。今日は食堂で夕飯を終えたら、各自部屋で休むことに決めた。
「……てか、本当にエディ嫌われてるね」
寮監の穏やかそうな羊獣人の男も、すれ違う獣人の生徒達も、皆が皆俺を見て嫌そうな顔をするのでとてもいたたまれない。俺が一体、何をしたというんだ。
俺が食堂の席についた瞬間、周囲にいた奴らがざっと距離を置いてきたのは、さすがに少し泣きそうになった。こんなんで友好関係なんか築けるのだろうか。
「……ありがとうございます。ジェフ」
俺に気を使ったジェフが、代わりにトレイに乗せたご飯を持って来てくれて、労るように肩を叩いた。
食堂の料理はとても美味しそうだったが、正直味がしない。
「王子様モードのエディがこんなに嫌われてるの初めてみた~。何が原因なんだろうね? 猫かぶりがバレてるとか?」
ニヤニヤと楽しそうなクリスを睨みつける。いや、本当にこれ死活問題なんですけど。どうしよう。
頭を抱えながら一人機械的にスプーンを動かしてると、不意に周囲がざわめいた。
「ーー来たか。クリス」
何度か直接セネーバ王家と面会しているクリスでも、向こうの戦争賛成派の全貌は掴めていないと言っていたから、今までセネーバがリシス王国に対して不干渉を貫いていたからと言って油断はできない。
「どうせ転移魔法がここまでしか使えないなら、いっそネーバ山を登ってきた方が良かったかもな。その方が箔が付く」
襲いかかってきた魔物を片手間で倒しながら、小さく肩を竦める。
魔物の強さは、辺境伯領の森と同じレベル。恐らくセネーバ側のネーバ山の状況も、辺境伯領側と変わらない可能性が高い。クリスとジェフなら、問題なく踏破できただろう。
……もしかしたら、たまたま今日山頂でまたお犬様と出会えて、次の約束できたかもしれないから、そっちのが良かったな。
「駄目だよ。箔が付き過ぎる」
「? どういう意味だ」
「ネーバ山の山頂まで辿り着くという行為は、セネーバの王族にとって成人儀礼で、王族以外の人間が単身でそれを成し遂げることができれば貴族位をもらえるくらいの偉業なのさ。外国人である僕たちがそんなことをすれば、脅威扱いされて友好関係を築くどころじゃなくなるよ」
「……初耳だが」
「僕も最近教えてもらったんだよ。だからエディ、君が昔山頂に行ったことは、あまり吹聴しない方がいい。ちなみにこれを教えてくれた君の宿敵アストルディアは、6歳で単身踏破したらしいよ。王族は部下の同行が認められているのに、供一人つけずにね。彼は本当に規格外の男だ」
「…………」
俺は8歳(お犬様のサポート付)なのに、あいつは6歳(単身)。
こんな所でも負けている感じが、地味にイラッとする。
……てか、下手したらセネーバの王族とニアミスした可能性あんじゃん。やっば。次転移する時は、警戒しなきゃ……行かないと言う選択肢なぞはまずないが。お犬様にもう一度会う為なら俺は何だってするぜ。
結局道中で魔物以外に遭遇することはなく、森を抜けて王都に到着した。
ちなみにスキル看破で亜空間収納できることがバレているので、荷物は当然俺持ちだ。
リシス王国と変わらない町並みの中で、ちらほらと獣頭の人々を見かけるようになってきたわけなのだが。何だかとても視線が痛い。
「……なんか、すげぇ嫌な顔をされてないか」
「人間が嫌……というより、みんなエディの方を見て嫌そうな顔してるね。何か嫌われるようなことした?」
もしかして、俺が辺境伯領嫡男でネーバ山の穀物を持ち出した噂が広がっているのだろうか? それにしては皆、生理的に嫌そうな感じなんだが……。
内心モヤモヤしているうちに、学校に到着する。やはり学校の構造も、リシス王国とはさして変わらないようだ。50年前までは同じ国だったことを考えれば、当然と言えば当然かもしれない。
「建物の構造は変わらないけど……使っている魔道具はかなり古いみたい。50年以上前のものを直し直し使っているんだよ。多分。僕はこの辺に、取引の余地を見出しているんだ」
「だと俺の付与魔法が役に立つかもな」
「まあ、魔法いらずで生活できる道具は開発されているみたいだから、どこまで有効かはわからないけどね。取り敢えずここで生活してみて、その辺りを探って行こう」
入寮の手続きを終え、荷物を部屋に置くともう夕方だった。今日は食堂で夕飯を終えたら、各自部屋で休むことに決めた。
「……てか、本当にエディ嫌われてるね」
寮監の穏やかそうな羊獣人の男も、すれ違う獣人の生徒達も、皆が皆俺を見て嫌そうな顔をするのでとてもいたたまれない。俺が一体、何をしたというんだ。
俺が食堂の席についた瞬間、周囲にいた奴らがざっと距離を置いてきたのは、さすがに少し泣きそうになった。こんなんで友好関係なんか築けるのだろうか。
「……ありがとうございます。ジェフ」
俺に気を使ったジェフが、代わりにトレイに乗せたご飯を持って来てくれて、労るように肩を叩いた。
食堂の料理はとても美味しそうだったが、正直味がしない。
「王子様モードのエディがこんなに嫌われてるの初めてみた~。何が原因なんだろうね? 猫かぶりがバレてるとか?」
ニヤニヤと楽しそうなクリスを睨みつける。いや、本当にこれ死活問題なんですけど。どうしよう。
頭を抱えながら一人機械的にスプーンを動かしてると、不意に周囲がざわめいた。
「ーー来たか。クリス」
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