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トルデ様④
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アストルディアの言葉に、目をぱしぱしさせていたアニカは、俯いて自分の服の裾をぎゅうっと掴んだ。
「……私なんかが、そんな立派な人たちみたいになれるなんて、思っていいのかなあ」
「……なんかなんて、言わないでよ。アニカ」
思わず、その小さな体を抱き上げていた。
一瞬拒絶されるかな、と思ったけど、アニカは黙ってその小さな手を俺の首元に回してくれた。
「ねぇ、アニカ。アニカは俺のことを兎の騎士様だって言ってくれたけど……本当はアニカが騎士になりたかったの?」
アニカはちょっとだけ黙りこんだ後、ゆっくり首を横に振った。
「……違うよ。私は、騎士になりたかったんじゃなくて、騎士さまみたいになりたかったんだよ」
「…………」
「騎士さまみたいに……だれかを守れる強さがほしかったんだ」
「だったら、アニカはもう十分強いよ。……人間である俺から、小さい子どもたちを守ってあげてるじゃないか」
「……それは、違うよお。私は、騎士さまが怖がられて嫌な思いをしないよう、前に出ただけだもん」
「じゃあ、アニカは俺を守ってくれたんだ。ほら、やっぱりアニカは強い」
アニカは、強い。
たった7歳の女の子が、孤児院のみんなにお菓子を食べさせる為に、危険だとわかってて街に飛び出してきたんだ。
最初に出会った時も、何人もの大人の肉食獣人達に囲まれてお金を取られそうになっていたのに、アニカは泣きわめくことすらしていなかった。きっとそうすることで、よけいに肉食獣人を刺激するとわかっていたから。
そんな女の子が、弱いはずがない。
「アニカはね、すごく強くて、素敵な女の子だよ。だから『私なんか』なんて、言わないで」
「……騎士さま……」
また少しだけ黙り込んでから、アニカは毛皮の下の頬をほんのり赤く染めて笑った。
「……わかった。もう、言わないよ。ありがとう。騎士さま」
俺が見たかった、心からうれしそうな笑みで。
「ああーーやっぱりアニカはかわいいなあ!」
「わ、わっ!」
思わずぎゅうっと強く抱き締めると、アニカが恥ずかしさからか耳をぴくぴく揺らした。……照れてる姿もきゃわわ。もう、ネルドゥース家の養子にして、うちの子にしたい! クソ親父の子どもになっても絶対幸せになれないから、しないけど! いや、いっそ俺の養子にしてしまうか?
「……うぐっ」
そんなことを考えならアニカの耳に頬ずりをしていたら、後ろからヘッドロックをかける要領で顔を引き離された。
「……近い」
「…………はい」
さすがにちょっと、セクハラな距離感だったろうか。
イエス、ロリコン。ノー、タッチ。……いや、べったりさわっているうえ、俺ロリコンじゃないけど。ノー、ロリコン。イエス、タッチ。あかん、犯罪だ。
いつもと同じ無表情ながらも、ひどく冷たいアストルディアの視線を感じながら、アニカを降ろす。
……ごめんなさい。下心はないんです。ただただ愛でたかっただけなんです。
毛皮ごしでも、はっきりわかるくらいに真っ赤かなアニカが、長い耳を両手で片耳ずつぎゅうっと握りしめながら、上目遣いに俺を見た。
「……やっぱり、騎士さまが兎獣人だったら良かったのに」
「え?」
「そしたら種族とか立場とか気にしないで、大きくなったらおよめさんにしてって言えたでしょ?」
アストルディアの冷たい視線が、絶対零度まで冷え切った。
……い、幼気な少女をたぶらかしてごめんなさい。
「……いやあ、孤児院の子ども達、みんな可愛かったなあ」
「…………」
「最初は俺を怖がってた子達も、俺がつけ耳を外したら興味津々で近づいてきてくれたし」
「……私なんかが、そんな立派な人たちみたいになれるなんて、思っていいのかなあ」
「……なんかなんて、言わないでよ。アニカ」
思わず、その小さな体を抱き上げていた。
一瞬拒絶されるかな、と思ったけど、アニカは黙ってその小さな手を俺の首元に回してくれた。
「ねぇ、アニカ。アニカは俺のことを兎の騎士様だって言ってくれたけど……本当はアニカが騎士になりたかったの?」
アニカはちょっとだけ黙りこんだ後、ゆっくり首を横に振った。
「……違うよ。私は、騎士になりたかったんじゃなくて、騎士さまみたいになりたかったんだよ」
「…………」
「騎士さまみたいに……だれかを守れる強さがほしかったんだ」
「だったら、アニカはもう十分強いよ。……人間である俺から、小さい子どもたちを守ってあげてるじゃないか」
「……それは、違うよお。私は、騎士さまが怖がられて嫌な思いをしないよう、前に出ただけだもん」
「じゃあ、アニカは俺を守ってくれたんだ。ほら、やっぱりアニカは強い」
アニカは、強い。
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最初に出会った時も、何人もの大人の肉食獣人達に囲まれてお金を取られそうになっていたのに、アニカは泣きわめくことすらしていなかった。きっとそうすることで、よけいに肉食獣人を刺激するとわかっていたから。
そんな女の子が、弱いはずがない。
「アニカはね、すごく強くて、素敵な女の子だよ。だから『私なんか』なんて、言わないで」
「……騎士さま……」
また少しだけ黙り込んでから、アニカは毛皮の下の頬をほんのり赤く染めて笑った。
「……わかった。もう、言わないよ。ありがとう。騎士さま」
俺が見たかった、心からうれしそうな笑みで。
「ああーーやっぱりアニカはかわいいなあ!」
「わ、わっ!」
思わずぎゅうっと強く抱き締めると、アニカが恥ずかしさからか耳をぴくぴく揺らした。……照れてる姿もきゃわわ。もう、ネルドゥース家の養子にして、うちの子にしたい! クソ親父の子どもになっても絶対幸せになれないから、しないけど! いや、いっそ俺の養子にしてしまうか?
「……うぐっ」
そんなことを考えならアニカの耳に頬ずりをしていたら、後ろからヘッドロックをかける要領で顔を引き離された。
「……近い」
「…………はい」
さすがにちょっと、セクハラな距離感だったろうか。
イエス、ロリコン。ノー、タッチ。……いや、べったりさわっているうえ、俺ロリコンじゃないけど。ノー、ロリコン。イエス、タッチ。あかん、犯罪だ。
いつもと同じ無表情ながらも、ひどく冷たいアストルディアの視線を感じながら、アニカを降ろす。
……ごめんなさい。下心はないんです。ただただ愛でたかっただけなんです。
毛皮ごしでも、はっきりわかるくらいに真っ赤かなアニカが、長い耳を両手で片耳ずつぎゅうっと握りしめながら、上目遣いに俺を見た。
「……やっぱり、騎士さまが兎獣人だったら良かったのに」
「え?」
「そしたら種族とか立場とか気にしないで、大きくなったらおよめさんにしてって言えたでしょ?」
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……い、幼気な少女をたぶらかしてごめんなさい。
「……いやあ、孤児院の子ども達、みんな可愛かったなあ」
「…………」
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