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アンポンタンの進路
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小さな子どもが親にしがみつくように、短い手足全部を使って胸元に貼り付いているアンゼを呆れ全開で引き剥がしながらも、内心は非常に複雑な気持ちになる。
タンクは、まだいい。王宮警備がメインの仕事の、比較的平和な部隊に配属された。よっぽどの事態がなければ駆り出されることはないだろう。
だがアンゼの部隊は、何か戦力が必要な事態が起これば真っ先に最前線に送られる部隊なのだと、アストルディアが言っていた。どちらも将来性があると判断された有能な新兵だけが配属される部隊だと言うことだけれども、俺からすれば雲泥の差がある。
だって、リシス王国とセネーバで戦争が始まれば、真っ先に駆り出されるのはアンゼの部隊だ。ヴィダルスが卒業すれば、その部隊長に任命されるだろうという話もひどく気にかかる。
俺はいつかヴィダルスの命令で特攻を命じられたアンゼと、戦わないといけないかもしれないのだ。
「……そんなことより。ポンダーはタンクと将来の約束を取り付けることはできたのですか」
湧き上がる苦いものを誤魔化すように口にした問いに、タンクは顔を真っ赤に染め、ポンダーは得意げにVサインを作った。
「もーちろん! やっぱり新兵のうちは子づくりは難しそうだけどね! 産休取れる立場になったら、番になってくれるってー」
「いや、違うでしょ! 産休取れるくらい出世できない限りムリだって言ったの!」
「でも、俺の嫁さんになるのが嫌だとは一言も言わなかったよね? 俺のこと、嫌いじゃないっしょ?」
「それは……もちろん、好き、だけど」
「なら、いいじゃん。俺、タンクが俺の子を産んでもいいって思えるようになるまで、ずっと待ってるからさー。気が向いたら、いつでも嫁にきてよ」
ニコニコと笑いながら、ポンダーがタンクの手を握る。
「俺さ、タンクが俺を好きになってくれるかもと思った瞬間、すーっと気持ちが楽になったんだよねー。駄目だと思ってたから認められなかっただけで、本当は初めて会った時からきっとタンクのことが好きだったんだ。魔力相性だってめちゃくちゃいいし、きっと俺らは【運命の番】なんだよ。ワニ獣人は別に一途な種族じゃないけど、俺もうタンク以外番にしようなんて思えないし」
「……なんで俺なんか、嫁にしようと思えるんだよ……まじ理解できない」
「タンクが好きだからだよ。この優しそうな顔も、それに似合わない強さも、筋肉がついた体も、ノリがいい性格も、全部好き」
「だからって……嫁はないだろ。逆はともかく……」
……あ、これもうタンク、ほとんど落ちてるわ。
カバ顔のマッチョな癖に、やたら可愛らしいし。
嫁になるのが引っかかってるだけで、番になること自体は全く異論なさげだし。
そう思った瞬間、無駄に勘がいいポンダーに縦長の瞳孔のワニの目で、キッと睨まれた。……はいはい、惚れないから。安心してくれ。
「……嘘だろ。ポンダー。タンク。お前らそう言う関係だったのか」
生ぬるい気持ちで二人を眺めていたら、すぐ隣りでアンゼが崩れ落ちた。
「ーー俺、二人の親友なのに、何も聞いてないんだけどおおお!!!」
地面に伏せって、わんわん泣き出したアンゼを、慌てて三人がかりで慰める。
何だかんだで俺達三人は、皆、本気泣きしているアンゼには弱いのだ。
「……くそ。アンゼを慰めてたら、クリス達との待ち合わせの時間ギリギリになっちまった」
亜空間に持ち帰る荷物を全て収納し、駆け足で廊下を急ぐ。
置いてかれたとしても別に自分の転移魔法で帰るだけだけど、王太子との待ち合わせに遅刻したことで発生する借りが怖い。クリスなら絶対嬉々として、今後その負い目を利用するに決まっている。
いっそ転移魔法で待ち合わせ場所に向かおうか。そう考えた隙を見計らったように、伸びて来た腕に空き教室に引きずり込まれた。……くそ! この展開、俺知ってるぞ!
タンクは、まだいい。王宮警備がメインの仕事の、比較的平和な部隊に配属された。よっぽどの事態がなければ駆り出されることはないだろう。
だがアンゼの部隊は、何か戦力が必要な事態が起これば真っ先に最前線に送られる部隊なのだと、アストルディアが言っていた。どちらも将来性があると判断された有能な新兵だけが配属される部隊だと言うことだけれども、俺からすれば雲泥の差がある。
だって、リシス王国とセネーバで戦争が始まれば、真っ先に駆り出されるのはアンゼの部隊だ。ヴィダルスが卒業すれば、その部隊長に任命されるだろうという話もひどく気にかかる。
俺はいつかヴィダルスの命令で特攻を命じられたアンゼと、戦わないといけないかもしれないのだ。
「……そんなことより。ポンダーはタンクと将来の約束を取り付けることはできたのですか」
湧き上がる苦いものを誤魔化すように口にした問いに、タンクは顔を真っ赤に染め、ポンダーは得意げにVサインを作った。
「もーちろん! やっぱり新兵のうちは子づくりは難しそうだけどね! 産休取れる立場になったら、番になってくれるってー」
「いや、違うでしょ! 産休取れるくらい出世できない限りムリだって言ったの!」
「でも、俺の嫁さんになるのが嫌だとは一言も言わなかったよね? 俺のこと、嫌いじゃないっしょ?」
「それは……もちろん、好き、だけど」
「なら、いいじゃん。俺、タンクが俺の子を産んでもいいって思えるようになるまで、ずっと待ってるからさー。気が向いたら、いつでも嫁にきてよ」
ニコニコと笑いながら、ポンダーがタンクの手を握る。
「俺さ、タンクが俺を好きになってくれるかもと思った瞬間、すーっと気持ちが楽になったんだよねー。駄目だと思ってたから認められなかっただけで、本当は初めて会った時からきっとタンクのことが好きだったんだ。魔力相性だってめちゃくちゃいいし、きっと俺らは【運命の番】なんだよ。ワニ獣人は別に一途な種族じゃないけど、俺もうタンク以外番にしようなんて思えないし」
「……なんで俺なんか、嫁にしようと思えるんだよ……まじ理解できない」
「タンクが好きだからだよ。この優しそうな顔も、それに似合わない強さも、筋肉がついた体も、ノリがいい性格も、全部好き」
「だからって……嫁はないだろ。逆はともかく……」
……あ、これもうタンク、ほとんど落ちてるわ。
カバ顔のマッチョな癖に、やたら可愛らしいし。
嫁になるのが引っかかってるだけで、番になること自体は全く異論なさげだし。
そう思った瞬間、無駄に勘がいいポンダーに縦長の瞳孔のワニの目で、キッと睨まれた。……はいはい、惚れないから。安心してくれ。
「……嘘だろ。ポンダー。タンク。お前らそう言う関係だったのか」
生ぬるい気持ちで二人を眺めていたら、すぐ隣りでアンゼが崩れ落ちた。
「ーー俺、二人の親友なのに、何も聞いてないんだけどおおお!!!」
地面に伏せって、わんわん泣き出したアンゼを、慌てて三人がかりで慰める。
何だかんだで俺達三人は、皆、本気泣きしているアンゼには弱いのだ。
「……くそ。アンゼを慰めてたら、クリス達との待ち合わせの時間ギリギリになっちまった」
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