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隠された事情⑦
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ヴィダルスが嘘を言っていない保証はないが、それでもその言葉に少しだけ救われた気持ちになった。
「女王は清廉潔白のままだと言ったが、業務には支障は出ていないのか?」
「欲しがり過ぎだ。エドワード。これ以上は教えねぇ」
……当然と言えば当然だけど、そのままスルッと他の情報も漏らしてはくれたりはしないか。
こいつのこと、もっと単純でわかりやすい馬鹿だと思ってたんだけどな。……俺は自分が思っている以上に、を見る目がないのかもしれない。
密かに落ち込む俺を、どこか微笑ましそうに目を細めて見ていたヴィダルスは、そのままいつものように俺を膝に乗せ、後ろから抱きしめてきた。
「……今回女王陛下から課せられた任務は、特別重要なものでな。成果を出せれば、お前を俺にくれると直々に言われた」
「っ」
「喜べ、エドワード。牢暮らしも、もう数日の辛抱だ」
「……その先に待ち受けてる場所も、牢獄みたいなもんだろう」
「高級ベッドは保証してやるぜ。欲しいものも、何なりと手配してやる。どれだけ頼まれても、部屋からは出さねぇけどな」
くすくすと似合わない可愛らしい笑い声をあげながら、ヴィダルスが俺の頬にマズルの先を擦りつける。
「俺の屋敷にはな、とっておきの地下室があるんだ。獅子獣人の母が、いつか他の誰かに心を移すのでは、と。疑心暗鬼になった狼獣人の父が、母を幽閉する為だけに作った、屋敷中で一番豪奢な部屋がな。母は父が安心するまで望んで自らそこに閉じこもり、やがて信頼と自由を勝ち取ったが、俺は父ほど寛容にはなれない。俺が死ぬまで、お前はそこにいることになるだろうよ」
……一夫多妻の獅子獣人と、ただ一人の番に執着する狼獣人のカップルでも、(元々の性がどちらであっても)産む側が獅子獣人ならば上手くいくと聞いてたし、実際ヴィダルスの両親も夫婦円満だという話だった。
……けれど、見えない所で実は結構歪んでたんだな。お互いがそれで幸せならいいんだが。
これ、ヴィダルスの祖父にして、アルデフィアの妹だった人も、同じ感じだった可能性まであるな。全てが狼獣人の性だと言うなら。
「俺が戻ったら、その部屋で結婚式をしよう。誰にも見せない、誰も介入させない、二人だけの誓いの儀式を。着せたいドレスはもう、準備してあるんだ」
「……それで、首輪の力で無理やり愛を誓わせる気か? 虚し過ぎるだろ」
「そうでもねぇよ。……数十年後の予行練習だと思えば、悪くない」
口を割って入って来た舌の感触は既に慣れきっていて、もはや何も感じない。
ヴィダルスのものになれば、そのうち犯されることさえも、同じように何も感じなくなるのだろう。
友情の延長から始まったアストルディアのセックスに、体も心もすぐに馴染んだように。
「ーーすぐに戻ってくるから、良い子に待ってろ。エドワード」
口の端から垂れた唾液を舐め取り、最後にうなじを甘噛みして去って行ったヴィダルスの背中を、ただ睨みつけることしかできなかった。
詠唱や魔法陣で魔法を展開しようにも、魔力を動かすことすら満足にできない。なんなら怒りのままに壁を殴ることすら、できないのだ。勝手な自傷行為は、奴隷の価値を下げることになるから、致死性がなくても首輪に封じられている。
ここに入れられてから、何度も何度も【隷属の首輪】に逆らえないか試した。けれど一向にその力は衰える様子もなく、首輪そのものを素手で壊そうとしても、手が途中で動かなくなって触れることさえ叶わない。
「……くそっ」
ヴィダルスが去った途端に、訪れる眠気すら、首輪の効力であることに気がついたのは最近。
体力を温存する為に自ら進んで寝ているつもりだったが、よくよく考えれば、このお世辞でも寝心地が良いとは言い難い硬い石床の上で、長時間問題なく眠れていたこと自体がおかしい。恐らくは奴隷の体力を無駄に使わせない為や、自由時間によけいなことをさせない為に、命令がない時は極力眠らせておけるようになっているのだろう。
「女王は清廉潔白のままだと言ったが、業務には支障は出ていないのか?」
「欲しがり過ぎだ。エドワード。これ以上は教えねぇ」
……当然と言えば当然だけど、そのままスルッと他の情報も漏らしてはくれたりはしないか。
こいつのこと、もっと単純でわかりやすい馬鹿だと思ってたんだけどな。……俺は自分が思っている以上に、を見る目がないのかもしれない。
密かに落ち込む俺を、どこか微笑ましそうに目を細めて見ていたヴィダルスは、そのままいつものように俺を膝に乗せ、後ろから抱きしめてきた。
「……今回女王陛下から課せられた任務は、特別重要なものでな。成果を出せれば、お前を俺にくれると直々に言われた」
「っ」
「喜べ、エドワード。牢暮らしも、もう数日の辛抱だ」
「……その先に待ち受けてる場所も、牢獄みたいなもんだろう」
「高級ベッドは保証してやるぜ。欲しいものも、何なりと手配してやる。どれだけ頼まれても、部屋からは出さねぇけどな」
くすくすと似合わない可愛らしい笑い声をあげながら、ヴィダルスが俺の頬にマズルの先を擦りつける。
「俺の屋敷にはな、とっておきの地下室があるんだ。獅子獣人の母が、いつか他の誰かに心を移すのでは、と。疑心暗鬼になった狼獣人の父が、母を幽閉する為だけに作った、屋敷中で一番豪奢な部屋がな。母は父が安心するまで望んで自らそこに閉じこもり、やがて信頼と自由を勝ち取ったが、俺は父ほど寛容にはなれない。俺が死ぬまで、お前はそこにいることになるだろうよ」
……一夫多妻の獅子獣人と、ただ一人の番に執着する狼獣人のカップルでも、(元々の性がどちらであっても)産む側が獅子獣人ならば上手くいくと聞いてたし、実際ヴィダルスの両親も夫婦円満だという話だった。
……けれど、見えない所で実は結構歪んでたんだな。お互いがそれで幸せならいいんだが。
これ、ヴィダルスの祖父にして、アルデフィアの妹だった人も、同じ感じだった可能性まであるな。全てが狼獣人の性だと言うなら。
「俺が戻ったら、その部屋で結婚式をしよう。誰にも見せない、誰も介入させない、二人だけの誓いの儀式を。着せたいドレスはもう、準備してあるんだ」
「……それで、首輪の力で無理やり愛を誓わせる気か? 虚し過ぎるだろ」
「そうでもねぇよ。……数十年後の予行練習だと思えば、悪くない」
口を割って入って来た舌の感触は既に慣れきっていて、もはや何も感じない。
ヴィダルスのものになれば、そのうち犯されることさえも、同じように何も感じなくなるのだろう。
友情の延長から始まったアストルディアのセックスに、体も心もすぐに馴染んだように。
「ーーすぐに戻ってくるから、良い子に待ってろ。エドワード」
口の端から垂れた唾液を舐め取り、最後にうなじを甘噛みして去って行ったヴィダルスの背中を、ただ睨みつけることしかできなかった。
詠唱や魔法陣で魔法を展開しようにも、魔力を動かすことすら満足にできない。なんなら怒りのままに壁を殴ることすら、できないのだ。勝手な自傷行為は、奴隷の価値を下げることになるから、致死性がなくても首輪に封じられている。
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「……くそっ」
ヴィダルスが去った途端に、訪れる眠気すら、首輪の効力であることに気がついたのは最近。
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