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暑苦しい愛情
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「……はあ」
「幼い頃、絵本で読んでドラゴンの存在を知って以来、ずっと憧れていてな。知性といい、強大な力といい、美しさといい、この世でドラゴン程、素晴らしい生き物は他に存在しない! 騎士になって以降もその熱い想いは募るばかりで、王がドラゴンを従えたと話を聞くなり、狂喜乱舞で世話係に志願したんだ」
恋する乙女のように微かに頬を染めながら、ルートさんはうっとりと語る。
……貴方。そんな表情できたんですか。さっきまで鉄仮面みたいな顔してたのに。
「……初めて番のドラゴンと対峙した時の感動は、忘れられない。俺が想像していたよりも、本物のドラゴンはずっとずっと素晴らしかった……! だがドラゴンは誇りが高い種族。故に、俺が傍にはべることを、すぐには許してくれなかった。しかし何度炎で燃やされても、噛みつかれても、爪で引き裂かれても、めげずにドラゴンの傍に通い続けてくれた結果、彼らは最終的に俺のことを受け入れてくれたんだ……! 俺は、人間の中では、王の次にドラゴンの信頼を得ている人物として、ドラゴンの世話の総責任者という名誉ある地位を手に入れることができた……!」
「……へ、へえ……それは良かったですね……」
コカトリスに何度ひどい目に遭わされても、コカトリスを飼うことを切望する私に、人のことを言えないかもしれない。
……でも、このドラゴンに対する暑苦しい情熱は、正直ちょっと引く。
けして嫌いじゃないけど、それでも引く。……普段が感情表現が乏しい人な感じなだけに、特に。
「……だから、本当はドラゴンの卵も、俺が孵化させて大事に大事に育てたかったんだ」
……卵を見つめるルートさんの目が、潤んでいるように見えるのは、気のせいだろうか。
うん、多分気のせいだ。そういうことにしとこう。
「ドラゴンへの熱い想いと、騎士としての鍛錬に青春に捧げた俺の体は清い。だから、もしかしたら卵も孵ってくれるのではと期待していたのだが……やはり乙女でなければ難しいらしい。どれ程切望した所で、男の俺は乙女にはなれん。ーー故に、リッカ。お前に托すしかないんだ」
……あの。さらっと童貞宣言するの、やめてくれません?
知りたくなかったよ、そんな情報。
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恋する乙女のように微かに頬を染めながら、ルートさんはうっとりと語る。
……貴方。そんな表情できたんですか。さっきまで鉄仮面みたいな顔してたのに。
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……卵を見つめるルートさんの目が、潤んでいるように見えるのは、気のせいだろうか。
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