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連載2
対決8
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それは一瞬の出来事だった。
こときれたエイドリーの大太刀から噴き出した黒いもやが、一瞬にして私を包み込んだ。
【災厄の魔女の呪い】と見た目は似ている。それなのに、もやには聖女としての力が通じない。
驚いて駆け寄ってきた兄様の姿が、もやが私の顔を包んだことですぐに見えなくなってしまった。
「ディアナ!」
兄様の叫び声を聞いた瞬間、私は意識を失った。
目を覚ますと、切りたった崖の下に横たわっていた。
いや、崖というのは、少し齟齬がある。
崖は遙か上空で折りたたまるように水平になっていて、穴を開けたように少しだけ見える空をのぞけば、まるで箱みたいにこの空間を覆ってしまっていたから。
「……ここは、トリアスの神殿?」
いや、それにしては少し様子がおかしい。
立ち上がって、改めて周囲を観察する。
蔦に覆われて崩壊しそうだった神殿が、新築のように綺麗になっているし、あの日兄様やシャルル王子と見た疑似太陽はどこにもない。
なにより上空に見える空に違和感があった。見た目だけなら普通の空のはずなのに、どこかおかしい。注視しようとすると気持ち悪くなって、どこがおかしいのか探すことすらできなかった。
……あの空は本物の空なのだろうか。
そもそもここは、この世界に実在する場所なのだろうか。
「……ここはルイス陛下が亜空間に作り出した、トリアスの神殿よ」
「っ」
突然降ってわいたかのように目の前に現れたユーリアに、思わず息を飲み込んだ。
「ルシトリアにある本物の神殿には足を踏み入れることができないから、何かがあればここを利用しているの。本当は別のちゃんとした神殿をセーヌヴェット国内に用意すべきなのだろうけど、今はまだ本物の神殿を模した状態のまま維持しなければならないらしくて。こんな崖、国内にはどこにもないから、亜空間で再現せざるを得なかったって聞いたわ」
真っ赤な唇を歪ませて、ユーリアは笑う。
笑ったことで目尻や口にしわができ、ユーリアを年齢以上に老けて見えさせていた。
「……どうして、私がそんな所に……」
「いざという時の為に、ルイス陛下がエイドリーの大太刀に細工をしていたらしいの。エイドリーがあなたの騎士に殺されたり、裏切った場合、大太刀にかけられた魔術が自動展開して、あなたをここに連れてくるようにね。私はそんな細工なんて必要ないと思っていたけど、まさかあのエイドリーがあなたの貧相な騎士なんかにやられてしまうなんて思わなかったわ」
こときれたエイドリーの大太刀から噴き出した黒いもやが、一瞬にして私を包み込んだ。
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「ディアナ!」
兄様の叫び声を聞いた瞬間、私は意識を失った。
目を覚ますと、切りたった崖の下に横たわっていた。
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なにより上空に見える空に違和感があった。見た目だけなら普通の空のはずなのに、どこかおかしい。注視しようとすると気持ち悪くなって、どこがおかしいのか探すことすらできなかった。
……あの空は本物の空なのだろうか。
そもそもここは、この世界に実在する場所なのだろうか。
「……ここはルイス陛下が亜空間に作り出した、トリアスの神殿よ」
「っ」
突然降ってわいたかのように目の前に現れたユーリアに、思わず息を飲み込んだ。
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真っ赤な唇を歪ませて、ユーリアは笑う。
笑ったことで目尻や口にしわができ、ユーリアを年齢以上に老けて見えさせていた。
「……どうして、私がそんな所に……」
「いざという時の為に、ルイス陛下がエイドリーの大太刀に細工をしていたらしいの。エイドリーがあなたの騎士に殺されたり、裏切った場合、大太刀にかけられた魔術が自動展開して、あなたをここに連れてくるようにね。私はそんな細工なんて必要ないと思っていたけど、まさかあのエイドリーがあなたの貧相な騎士なんかにやられてしまうなんて思わなかったわ」
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