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出陣じゃい!
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シオンは泣いていた。
ただでさえ朝が弱いシオンは、エリザに叩き起こされ、貴族街にある高級宿のためお風呂があったので、お風呂に入れられ、髪を結われて着せ替え人形と化していた。
「シクシクッ、まだ~?お腹空いたよ~」
「もう少しですわ。我慢してくださいまし!」
なんとエリザがシオンの着付けをしていた。
「こう言うのって侍女の仕事じゃないの~?」
「普段はそうですが自分で出来た方が良いと思って学びましたの」
自慢げに誇るエリザにシオンはそうじゃないと言う顔をしたが、エリザの手は止まらなかった。
そしてようやく終わったのはさらに30分後であった。
「よ、ようやく終わった・・・」
シオンはよろよろと部屋を出ると、遅い朝食を食べるのであった。
コルセットがキツく余り食べれなかったシオンはぐったりした状態で馬車に乗せられ、御者はレイが担当し、あらかじめ聞いていたアーロン商会の店舗へ向かった。到着するとアーロン商会はザワっと軽い騒ぎになった。
トップの会長は港町に向かっており、店を任されている人物も、泊まった馬車を見て冷や汗がでる状態だった。
「さ、最上級のおもてなしをするんだ!丁寧に話を聞いてどこの誰なのか確認を!」
馬車にはAランクの魔物が騎獣のグリフォンであり、馬車も最上級の装飾が施された一級品。まさか王族の方のお忍び訪問では!?と、本店の従業員が軽いパニックになるのも無理なかった。
問題は馬車に『家紋』がないため、どこの誰なのかわからないことだった。
馬車が止まってから5分ほどしてようやく馬車の扉が開かれた。
コソッ
『どうしてすぐに降りないの?』
『相手に対応できる準備時間を作るためですわ』
ふむふむ?
いまいち理解していないシオンの手を引いて馬車から降りた。
店に入ると、出勤している従業員が左右に分かれて整列していた。
「「いらっしゃいませ!」」
エリザの後ろにいたシオンはぴぇっ!?と驚いたがエリザは平然と進んでいった。
「もし、急にお邪魔してごめんなさい。少しお聞きしたいことがあるのですが、個室でお話しできる場所はないかしら?」
「は、はい!こちらにご用意があります。私は現在店を任されております責任者のカーマと申します。よろしくお願いいたします」
支配人も緊張しながら出迎えて、個室へと案内してくれた。
「そ、それでは本日はどのようなご用件でしょうか?」
「あら?そんなに緊張しなくてもよろしくってよ。私は『この国』の貴族ではありませんので」
エリザの含みのある言葉にカーマは脳をフル回転させた。
他国の貴族!?
「では本題に入りましょうか。実はお忍びの旅行に来たのですが、途中でアーロンさんと言う商人にお会いしまして、こちらを頂いたのです」
シオンはメダルを出して机に置いた。
「これは会長の!?」
「お恥ずかしいのですが、この国の情報に疎いもので、大変失礼なことを尋ねますが、アーロン商会についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
カーマはさらに緊張した。
このメダルはアーロン会長しか持っていないもので、最上級の信頼できる者にしか渡さないことで有名だ。しかも魔法が掛けられており、盗んだメダルなどは色が変わりわかるようになっている。
「失礼ながらメダルを拝見しても?」
「ええ、どうぞ」
カーマは手に取ると本物かどうか確認した。
「どうやら本物で間違いないみたいですね。失礼ながらアーロン会長とはどこでお会いしたのですか?」
「港町から王都に向かう道中でお会いしました。街道の脇に馬車を停めて、休憩中でしたわ」
相手の言葉に偽りはなさそうだが、どう回答すれば良いのかかなり悩むことになった。
「なるほど。アーロン会長がこのメダルを渡すとはかなり異例なことなんですよ」
「まぁ!そうなのですね。それではお聞きしたいのですが──」
エリザの質問はカーマの思っていた事と違い、普通に話しても大丈夫な内容だった。
「アーロン商会がこんなに大きな商会だとは思いませんでした」
「いえいえ、これからもご贔屓にしていただけるなら幸いです」
カーマから話を聞くと、アーロン商会はネクロス王国でもかなり大きな商会らしく、雑貨や食料品などをメインに取り扱っているようだ。無論、貴族向けの商品も扱っているが、庶民に寄り添った商会と言う事で、知名度が高く、人気も高いとのこと。
「そのメダルはちょっとしたパーティなら紹介状代わりとして使えます。ただし、ペアの2人までですが」
「ありがとうございます。まさかあのお方がアーロン会長とは知らなくてお恥ずかしいですわ」
扇を口元にやって表情を見せないようにする仕草は共通の動作であった。
決して平民が真似できない優雅な仕草にカーマは気を抜かないようにした。
「実はこちらのシオンと会話して気に入ったと言う理由でこのメダルを頂いたそうなのです」
「ええっ!?会長がそれだけ?」
「そうなんですの。それで流石に貰いすぎだと思いまして、この度アーロン商会にお邪魔させてもらいました」
あの会長が取引なしでメダルを渡すなんて!?
驚きを隠せなかったカーマにエリザは微笑んで、シオンに視線を送った。
「どうやらアーロン商会は信用できそうなので、メダルの御礼をしませんとね?」
シオンは収納バックを取り出した。
「それは?」
「これは秘密なのですが、エルフの方から頂いた魔法のバックなのですわ」
????
流石のカーマも見たことがなく首を傾げるのだった。
ただでさえ朝が弱いシオンは、エリザに叩き起こされ、貴族街にある高級宿のためお風呂があったので、お風呂に入れられ、髪を結われて着せ替え人形と化していた。
「シクシクッ、まだ~?お腹空いたよ~」
「もう少しですわ。我慢してくださいまし!」
なんとエリザがシオンの着付けをしていた。
「こう言うのって侍女の仕事じゃないの~?」
「普段はそうですが自分で出来た方が良いと思って学びましたの」
自慢げに誇るエリザにシオンはそうじゃないと言う顔をしたが、エリザの手は止まらなかった。
そしてようやく終わったのはさらに30分後であった。
「よ、ようやく終わった・・・」
シオンはよろよろと部屋を出ると、遅い朝食を食べるのであった。
コルセットがキツく余り食べれなかったシオンはぐったりした状態で馬車に乗せられ、御者はレイが担当し、あらかじめ聞いていたアーロン商会の店舗へ向かった。到着するとアーロン商会はザワっと軽い騒ぎになった。
トップの会長は港町に向かっており、店を任されている人物も、泊まった馬車を見て冷や汗がでる状態だった。
「さ、最上級のおもてなしをするんだ!丁寧に話を聞いてどこの誰なのか確認を!」
馬車にはAランクの魔物が騎獣のグリフォンであり、馬車も最上級の装飾が施された一級品。まさか王族の方のお忍び訪問では!?と、本店の従業員が軽いパニックになるのも無理なかった。
問題は馬車に『家紋』がないため、どこの誰なのかわからないことだった。
馬車が止まってから5分ほどしてようやく馬車の扉が開かれた。
コソッ
『どうしてすぐに降りないの?』
『相手に対応できる準備時間を作るためですわ』
ふむふむ?
いまいち理解していないシオンの手を引いて馬車から降りた。
店に入ると、出勤している従業員が左右に分かれて整列していた。
「「いらっしゃいませ!」」
エリザの後ろにいたシオンはぴぇっ!?と驚いたがエリザは平然と進んでいった。
「もし、急にお邪魔してごめんなさい。少しお聞きしたいことがあるのですが、個室でお話しできる場所はないかしら?」
「は、はい!こちらにご用意があります。私は現在店を任されております責任者のカーマと申します。よろしくお願いいたします」
支配人も緊張しながら出迎えて、個室へと案内してくれた。
「そ、それでは本日はどのようなご用件でしょうか?」
「あら?そんなに緊張しなくてもよろしくってよ。私は『この国』の貴族ではありませんので」
エリザの含みのある言葉にカーマは脳をフル回転させた。
他国の貴族!?
「では本題に入りましょうか。実はお忍びの旅行に来たのですが、途中でアーロンさんと言う商人にお会いしまして、こちらを頂いたのです」
シオンはメダルを出して机に置いた。
「これは会長の!?」
「お恥ずかしいのですが、この国の情報に疎いもので、大変失礼なことを尋ねますが、アーロン商会についてお伺いしてもよろしいでしょうか?」
カーマはさらに緊張した。
このメダルはアーロン会長しか持っていないもので、最上級の信頼できる者にしか渡さないことで有名だ。しかも魔法が掛けられており、盗んだメダルなどは色が変わりわかるようになっている。
「失礼ながらメダルを拝見しても?」
「ええ、どうぞ」
カーマは手に取ると本物かどうか確認した。
「どうやら本物で間違いないみたいですね。失礼ながらアーロン会長とはどこでお会いしたのですか?」
「港町から王都に向かう道中でお会いしました。街道の脇に馬車を停めて、休憩中でしたわ」
相手の言葉に偽りはなさそうだが、どう回答すれば良いのかかなり悩むことになった。
「なるほど。アーロン会長がこのメダルを渡すとはかなり異例なことなんですよ」
「まぁ!そうなのですね。それではお聞きしたいのですが──」
エリザの質問はカーマの思っていた事と違い、普通に話しても大丈夫な内容だった。
「アーロン商会がこんなに大きな商会だとは思いませんでした」
「いえいえ、これからもご贔屓にしていただけるなら幸いです」
カーマから話を聞くと、アーロン商会はネクロス王国でもかなり大きな商会らしく、雑貨や食料品などをメインに取り扱っているようだ。無論、貴族向けの商品も扱っているが、庶民に寄り添った商会と言う事で、知名度が高く、人気も高いとのこと。
「そのメダルはちょっとしたパーティなら紹介状代わりとして使えます。ただし、ペアの2人までですが」
「ありがとうございます。まさかあのお方がアーロン会長とは知らなくてお恥ずかしいですわ」
扇を口元にやって表情を見せないようにする仕草は共通の動作であった。
決して平民が真似できない優雅な仕草にカーマは気を抜かないようにした。
「実はこちらのシオンと会話して気に入ったと言う理由でこのメダルを頂いたそうなのです」
「ええっ!?会長がそれだけ?」
「そうなんですの。それで流石に貰いすぎだと思いまして、この度アーロン商会にお邪魔させてもらいました」
あの会長が取引なしでメダルを渡すなんて!?
驚きを隠せなかったカーマにエリザは微笑んで、シオンに視線を送った。
「どうやらアーロン商会は信用できそうなので、メダルの御礼をしませんとね?」
シオンは収納バックを取り出した。
「それは?」
「これは秘密なのですが、エルフの方から頂いた魔法のバックなのですわ」
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流石のカーマも見たことがなく首を傾げるのだった。
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