88 / 97
作戦会議
しおりを挟む
それから数日経ち、地方や辺境からの軍が次々に到着した。
「随分と集まったね」
「物資は大丈夫なのかしら?
想像以上の軍勢に物資の心配をするアイリスだったが、グランフォード公爵が持ち込んだ物資は膨大だった。
交易都市として船で集めた物もあるが、1番はオオラン帝国が大敗して軍事物資を徴収できたのが大きかったらしい。オオラン帝国は半壊状態で敗走しており、とても近くに運んだ軍事物資を持ち帰ることができなかったのだ。
「なるほど。オオラン帝国の物資を徴収したからこれだけの軍でもしばらくは持つのか」
「でも国の治安を考えると短期決戦がいいよね」
そう、問題はこの後なのだ。
ネクロス王国の魔術師であるハーフエルフの居場所も不明だし、まだまだ油断できない状況だ。
丁度、昨日の夜にジーク王子が辺境騎士団を連れて到着した。辺境からだとかなり早かったと思う。エリザの父親も到着して、本日はようやく作戦会議というわけである。
ぶっちゃけ、バラバラな指揮系統の軍だ。各軍はバラバラで動くことになるだろう。
そして、大軍が動くと、メンツを気にするヤツも出てくる訳で・・・
「だから何度も言っておるだろう!我が騎馬隊が先陣を切って王都に攻め入ると!」
「ばかなことを言うな!敵の魔道具であるソウルアーマーは数百で万のオオラン帝国を壊滅させたのだぞ!騎馬隊では相手にならんと言っているだろう!」
「そもそも我々が集まったことで城門は閉じられました。物量戦術で東西南北から梯子を掛けて登るしかないでしょう。敵の戦力を分散させて城壁から登り、城門を開ける。戦術のセオリーです」
「だが話は戻るが、ソウルアーマーの部隊が出たら終わりだぞ。梯子を登っている時は無防備だ。こちらにも多くの犠牲がでる覚悟がいる」
ワイワイガヤガヤと議論のようで議論になっていない作戦会議が続いていた。
「では、こうしましょう。所詮我々は烏合の衆です。協力など不可能。ならば、3つの指揮系統で南、西、東の三つから各自攻めると言うのでいかがでしょう?北は湖があるため大人数では無理ですので」
「なるほど。各自が王城を目指すと言う訳だな?」
「どの部隊が1番乗りかは、各自の頑張り次第と言うことでいかがでしょうか?ただし、ソウルアーマーに対抗できるのは我々の近衛騎士団のみと言うことをお忘れなく」
ライラ王女の言葉に歯ぎしりする者もいたが、ジーク王子が上手いこと言った。
「そうだね。どこかが苦戦しているなら援軍の依頼をするとしよう。下手なプライドで仲間に多くの被害が出るのは得策ではないからね」
今後のために自前の兵力は残しておきたいと思っているのだ。
「・・・確かにそうですな。逆にライラ王女の軍は一騎当千と言っても数が少ない。逆に王城攻略で兵の数が足りなければお貸ししましょう」
「あら?ではその時はお願い致しますわ」
うふふふとと、なんとか会議は終わり、各自が持ち場へと準備へ掛かった。
「はぁ、シオンについて行けば良かった」
「息が詰まるね」
「でも、これでようやく総攻撃に移れますわ」
グランフォード公爵と一緒に作戦会議に参加して意見を言っていたエリザは疲れた様子ではあったが、気持ちを切り替えて向かった。
一方、王都に入ったシオン達は、その惨状に唖然としていた。
逃げ出している住民が多いのは知っていたが、治安がここまで悪くなっているとは思っていなかったのだ。
街中では当たり前のように暴動が起こり、略奪も起きていた。街の治安を守る兵士や騎士達も無視している状態だった。
「これは酷いね。ムシャムシャ」
「本当に、これがこの国の王都だなんて信じられませんわ。もぐもぐ」
シオンとエリーゼは魔法のバックに入れたパンを取り出して食べていた。
今の王都で商売をしている店がなく、配給制になっていたのだが、街の全員分は用意がなかった。それで略奪など起きているのである。この2人には食糧難は皆無であった。収納バックには数ヶ月分の食料が入れてあったからだ。そしてシオンは合理主義であり、無条件に食料を分けてやるほどのお人よしでもなかった。
「早く総攻撃の連絡ないのかな?こっちはもう棺桶の場所も特定して準備万端なのに」
「人が多く集まれば、決定に時間が掛かりますからね。しかも指揮系統が3つもあれば尚更です」
「でも、早く決着をつけないと王都の住民が滅んじゃうよ。騎士達が安心しているのはソウルアーマーが数百でオオラン帝国を打ち破ったという情報があるからだけど、食料が尽きればもっと悲惨なことになるよ」
「もしかしたら騎士達には備蓄があるのかも知れませんね。少なくとも数ヶ月は戦える食料と武器類が。それか援軍を待っているのでしょうか?」
「騙されるかも知れない。ネクロス王国はハーフエルフの魔導士フレイヤが個人で動いているけど、国としては動いていない。でも王国側にはそれを知る術がないんだわ」
!?
「では、ネクロス王国から援軍が来るのでそれまで持ち堪えろと言われていると?」
「憶測だけどね。このまま援軍が来なくて嘔吐が落とされてもいいと思っているかも知れないし、取り敢えず後方にも注意をするよう伝えてくれない?」
シオンはそばにいた妖精にお願いするのだった。
「随分と集まったね」
「物資は大丈夫なのかしら?
想像以上の軍勢に物資の心配をするアイリスだったが、グランフォード公爵が持ち込んだ物資は膨大だった。
交易都市として船で集めた物もあるが、1番はオオラン帝国が大敗して軍事物資を徴収できたのが大きかったらしい。オオラン帝国は半壊状態で敗走しており、とても近くに運んだ軍事物資を持ち帰ることができなかったのだ。
「なるほど。オオラン帝国の物資を徴収したからこれだけの軍でもしばらくは持つのか」
「でも国の治安を考えると短期決戦がいいよね」
そう、問題はこの後なのだ。
ネクロス王国の魔術師であるハーフエルフの居場所も不明だし、まだまだ油断できない状況だ。
丁度、昨日の夜にジーク王子が辺境騎士団を連れて到着した。辺境からだとかなり早かったと思う。エリザの父親も到着して、本日はようやく作戦会議というわけである。
ぶっちゃけ、バラバラな指揮系統の軍だ。各軍はバラバラで動くことになるだろう。
そして、大軍が動くと、メンツを気にするヤツも出てくる訳で・・・
「だから何度も言っておるだろう!我が騎馬隊が先陣を切って王都に攻め入ると!」
「ばかなことを言うな!敵の魔道具であるソウルアーマーは数百で万のオオラン帝国を壊滅させたのだぞ!騎馬隊では相手にならんと言っているだろう!」
「そもそも我々が集まったことで城門は閉じられました。物量戦術で東西南北から梯子を掛けて登るしかないでしょう。敵の戦力を分散させて城壁から登り、城門を開ける。戦術のセオリーです」
「だが話は戻るが、ソウルアーマーの部隊が出たら終わりだぞ。梯子を登っている時は無防備だ。こちらにも多くの犠牲がでる覚悟がいる」
ワイワイガヤガヤと議論のようで議論になっていない作戦会議が続いていた。
「では、こうしましょう。所詮我々は烏合の衆です。協力など不可能。ならば、3つの指揮系統で南、西、東の三つから各自攻めると言うのでいかがでしょう?北は湖があるため大人数では無理ですので」
「なるほど。各自が王城を目指すと言う訳だな?」
「どの部隊が1番乗りかは、各自の頑張り次第と言うことでいかがでしょうか?ただし、ソウルアーマーに対抗できるのは我々の近衛騎士団のみと言うことをお忘れなく」
ライラ王女の言葉に歯ぎしりする者もいたが、ジーク王子が上手いこと言った。
「そうだね。どこかが苦戦しているなら援軍の依頼をするとしよう。下手なプライドで仲間に多くの被害が出るのは得策ではないからね」
今後のために自前の兵力は残しておきたいと思っているのだ。
「・・・確かにそうですな。逆にライラ王女の軍は一騎当千と言っても数が少ない。逆に王城攻略で兵の数が足りなければお貸ししましょう」
「あら?ではその時はお願い致しますわ」
うふふふとと、なんとか会議は終わり、各自が持ち場へと準備へ掛かった。
「はぁ、シオンについて行けば良かった」
「息が詰まるね」
「でも、これでようやく総攻撃に移れますわ」
グランフォード公爵と一緒に作戦会議に参加して意見を言っていたエリザは疲れた様子ではあったが、気持ちを切り替えて向かった。
一方、王都に入ったシオン達は、その惨状に唖然としていた。
逃げ出している住民が多いのは知っていたが、治安がここまで悪くなっているとは思っていなかったのだ。
街中では当たり前のように暴動が起こり、略奪も起きていた。街の治安を守る兵士や騎士達も無視している状態だった。
「これは酷いね。ムシャムシャ」
「本当に、これがこの国の王都だなんて信じられませんわ。もぐもぐ」
シオンとエリーゼは魔法のバックに入れたパンを取り出して食べていた。
今の王都で商売をしている店がなく、配給制になっていたのだが、街の全員分は用意がなかった。それで略奪など起きているのである。この2人には食糧難は皆無であった。収納バックには数ヶ月分の食料が入れてあったからだ。そしてシオンは合理主義であり、無条件に食料を分けてやるほどのお人よしでもなかった。
「早く総攻撃の連絡ないのかな?こっちはもう棺桶の場所も特定して準備万端なのに」
「人が多く集まれば、決定に時間が掛かりますからね。しかも指揮系統が3つもあれば尚更です」
「でも、早く決着をつけないと王都の住民が滅んじゃうよ。騎士達が安心しているのはソウルアーマーが数百でオオラン帝国を打ち破ったという情報があるからだけど、食料が尽きればもっと悲惨なことになるよ」
「もしかしたら騎士達には備蓄があるのかも知れませんね。少なくとも数ヶ月は戦える食料と武器類が。それか援軍を待っているのでしょうか?」
「騙されるかも知れない。ネクロス王国はハーフエルフの魔導士フレイヤが個人で動いているけど、国としては動いていない。でも王国側にはそれを知る術がないんだわ」
!?
「では、ネクロス王国から援軍が来るのでそれまで持ち堪えろと言われていると?」
「憶測だけどね。このまま援軍が来なくて嘔吐が落とされてもいいと思っているかも知れないし、取り敢えず後方にも注意をするよう伝えてくれない?」
シオンはそばにいた妖精にお願いするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
SSSランク冒険者から始めるS級異世界生活
佐竹アキノリ
ファンタジー
若くして剣技を極め、SSSランク冒険者となったリベルは、魔物を滅ぼした後の日常を持て余していた。その力はあまりに強大すぎて活躍の場はない上、彼を政治的に利用しようと各国は陰謀を企て始める。
この世界に居場所はない。新天地を求めて伝説の地を訪れたリベルは、そこで異世界への切符を手にする。
向かう先はSランクを超越した者だけが行くことを許される究極のS級世界だ。そこでSSSランクは始まりに過ぎない。10Sランク、100Sランクと高みはどこまでも続いていく。
活躍の場を得たリベルは、最強の冒険者を目指して成り上がっていく。
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
転生先は小説の‥…。
kei
ファンタジー
「レティエル!レティエル公爵令嬢よ。お前との婚約は今日をもって破棄だ!」
そう声を張り上げたのは婚約者のクリスフォード王子。この国の第一王子である。会場である広間に響き渡る王子の声にはどこか侮蔑と嘲りが混じっていた。レティエル・ザックバイヤーグラヤス公爵。この国の筆頭公爵家の令嬢だ。
「はい! 喜んでお受けいたします!」
前世の記憶を頼りに破滅を回避。断罪イベントも無事に乗り越えた。やれやれと安堵する間もなく陰謀めいた動きにすっかり巻き込まれて―――
他サイトに掲載中。
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる