婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜

naturalsoft

文字の大きさ
9 / 97

秘密の話

しおりを挟む
休憩中にシオンは領主を呼んで隣の部屋で秘密の話を持ちかけた。

「さて、領主様、少しお話をしましょう」
「し、シオン君、なんの話かな?」

領主もシオンの凄腕の冒険者である両親の事を知っている。
何かあったらヤバイと感じているのだ。

「あなた、私の両親に嘘の依頼を出したでしょう?国からの依頼とか言って冒険者ギルドに依頼を持っていった」

!?

「な、なんのことだね?私にはなんのことだか・・・」

見てわかるほどに冷や汗をかき、狼狽える領主にシオンは確信した。

「私には、あなたより偉い貴族の知り合いがいるのよ?なんでも国の依頼でイレギュラーなことは、貴族会議の議題として上がり、そこで許可が出ないと依頼は出せないそうじゃない。でも、冒険者ギルド経由で来た国からの依頼は、貴族会議に上がっていないんですって。さて、これはどういうことでしょうか?」

ダラダラ
ダラダラ

「領主様、いくら貰ったの?もし、ありえないけど私のママとパパに何かあったらあなたの命は無いわよ?」

シオンの両親は街のみんなに慕われている。
さらに冒険者たちもシオンの両親に憧れているし、命を救われた者も少なくない。
そんな両親に嘘の依頼を持ち掛けて危険な目に合わせたとなれば、多くの者から命を狙われるだろう。

「そ、それは………」

バンッとシオンは壁どんをして詰め寄った。

「それに、領主様も王太子殿下に騙された口でしょう?騎士団に結構な額を貢いだか、略奪されたんじゃ無い?」

「どうしてそれを!?」

チチチッッッ、と指を左右に振った。

「街のみんなの保証の話で、お金をもらっているのに保証すらできないっているのは、ものすごく強欲か、すでにもらったお金を使ったか、盗まれたかの3択しか無いでしょう?領主様は何度かあっているけど、そこまで強欲な印象はなかったし、1日で使える訳もない。なら、騎士団に奪われたと考えるのが普通。でも、さっきそのまま領主の屋敷も襲われたといえばいいのに、それをしなかった。つまり後ろめたいことがあるってことよね?」

ズルズルと領主は背中から崩れ落ちた。

「………すまない。私は騙されたんだ」

どうやら領主は予想通りお金で嘘の依頼を出したらしい。ただ王子からの依頼ではなく仲介人を通しての依頼だったようだ。

「よくそんな怪しい依頼を受けましたね」
「よ、弱みを握られて仕方なく………」

弱みね~
この人、腹芸出来なさそうだし貴族としては終わっているわね。

「それでお金はもらったけど、その弱みを騎士団の誰かに言われて巻き上げられたのね。救えないわ」
「ああ………」

領主は頭を抱えて泣き出した。

「ちなみに、その弱みって非人道的なヤツなの?」
「ヒック、そ、そんなことはしていない!……その、ちょっと不倫を………」

ま、まぁそのぐらいなら………
はぁ、どうしよかな。

その程度の弱みで両親を罠に嵌めて、街を危険に晒しても、弱みのせいで反論できなかったって………
シオンは予想以上の領主のダメダメさに頭を抱えた。
もっと酷い弱みなら遠慮なく断罪できたが、貴族の夜遊びなど当たり前の世界で、そのぐらいで断罪などできないからだ。

「その程度で?」
「私は入婿でな。爵位は妻が持っているんだよ。肩身が狭くて、ストレスが溜まっていた時、向こうから声を掛けてきて……それでズルズルと……」

それハニートラップじゃない?
マジで救えないわ!

「それなら私にも考えがあるわ。悪い様にしないから協力しなさい」
「ああ、もう私には逆らうことができないからな。なんでも言ってくれっ!」

もうヤケだと言わんばかりに真剣に言ってきた。
コソッ
「実は湖畔の森で暗殺されそうになっていたグランフォード公爵の娘であるエリザ・グランフォード公爵令嬢を助けたの」

!?

「えっ?」
「王太子殿下は騎士団に命じて森に公爵令嬢を放置したのよ。魔物に襲われたことにしてね」
「えっと?」
「今は私の屋敷で匿っているわ。でも、これを王子様が知ったら、今度はもっと多くの騎士団を引き連れて殺しにくるでしょうね。秘密を知っているかもしれない街の人々をまとめて殺しに」
「えっ!?えっ!?ワシも死んじゃうの?」
「でも、安心して。貴方がもしグランフォード公爵にエリザ令嬢を保護して命を救ったと言えば、グランフォード公爵からの印象はよくなり、必ず褒美がもらえるわ。もしかしたら側近として取り立てられる可能性だってあるわ」

「お、おお・・・!?」

「だから貴方にはグランフォード公爵の派閥でいてもらう。また相手が、不倫の弱みを言ってきたら、公爵令嬢を救ったと強気で否定しなさい。次は私達に相談して。必ず守ってあげるから」

「は、はい!はい!嘘の依頼をして申し訳ありませんでした!!!!!なんでも言うことを聞きます!!!」

領主は素晴らしい土下座をしてシオンに服従したのだった。

「後でいいのだけど、エリザ令嬢に生存している手紙を書かせるから、貴族としてグランフォード公爵に『確実』に届けて欲しいの。頼めるかしら?」
「はい!お任せください!私が行ってまいります!」

シオンはそろそろ休憩が終わる頃なので部屋に戻ろうとした時、尋ねた。

「あ、そうだ。ママとパパは隣の国に呼び出されたけど、刺客とか放っているの?」
「いえ!本当に私は嘘の依頼を出すよう言われただけで、それは以上の事は知りません。本当です!」

本当に知らない様だなと思いわかったわと言って部屋を出た。

「そうそう、私の両親が街に居ればこんなことにならなかったのに、本当に騙されていたのね。ママとパパの強さは知っているでしょう?それに不倫相手も王子の準備した美人局でしょうね。ご愁傷さま」

領主は、さらに騙されていたのかと怒りを覚えるのだった。

自業自得とはよく言ったものである。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

SSSランク冒険者から始めるS級異世界生活

佐竹アキノリ
ファンタジー
若くして剣技を極め、SSSランク冒険者となったリベルは、魔物を滅ぼした後の日常を持て余していた。その力はあまりに強大すぎて活躍の場はない上、彼を政治的に利用しようと各国は陰謀を企て始める。 この世界に居場所はない。新天地を求めて伝説の地を訪れたリベルは、そこで異世界への切符を手にする。 向かう先はSランクを超越した者だけが行くことを許される究極のS級世界だ。そこでSSSランクは始まりに過ぎない。10Sランク、100Sランクと高みはどこまでも続いていく。 活躍の場を得たリベルは、最強の冒険者を目指して成り上がっていく。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

転生先は小説の‥…。

kei
ファンタジー
「レティエル!レティエル公爵令嬢よ。お前との婚約は今日をもって破棄だ!」 そう声を張り上げたのは婚約者のクリスフォード王子。この国の第一王子である。会場である広間に響き渡る王子の声にはどこか侮蔑と嘲りが混じっていた。レティエル・ザックバイヤーグラヤス公爵。この国の筆頭公爵家の令嬢だ。 「はい! 喜んでお受けいたします!」 前世の記憶を頼りに破滅を回避。断罪イベントも無事に乗り越えた。やれやれと安堵する間もなく陰謀めいた動きにすっかり巻き込まれて――― 他サイトに掲載中。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

処理中です...